大文豪に私はなる!   作:破戒僧

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今回、諸事情により一挙2話更新しております。
最新話選択でここに来てしまった方、先程投稿した前話と合わせてお楽しみください。


第271話 それぞれの状況、各々の釈明

 

 

「もうやめてくれェ! スモやんが死んじまう!」

 

「その人がいなくなったら……誰が俺達みたいなゴロツキの面倒みてくれんだよォ!!」

 

『拒絶の冬島』パンクハザード。

 その、少し前までタンカーが停泊していた港で……1人の男が、苛立ちを紛らわすかのように暴れていた。

 

「お前『七武海』だろォ!? なんで味方のはずの俺達海軍を……」

 

「バカ野郎お前、スモ中将が言ってただろ!? こいつが『ジョーカー』なんだよ! 闇の『仲買人(ブローカー)』で……シーザーの、いや、この研究所の黒幕!」

 

「そうか、それで……いやそれだとまずくねえかコレ!? こいつまさか、スモさんや俺達の口を封じに来たんじゃ……」

 

 困惑と焦りで大いに狼狽えながら、『G-5』のゴロツキ海兵達がその視線を向ける先にいるのは……『王下七武海』の一人にして、闇の仲買人『ジョーカー』。

『天夜叉』こと、ドンキホーテ・ドフラミンゴ。

 

 奇妙な形に指を曲げて作られた独特の構えを取りながら……眼下で倒れ伏すスモーカーを見下ろして不敵に笑っている。

 

 もっとも、笑っているのはほぼ表面上のポーズだけであり……実際には頭の中は、堂々と自分を脅迫してきたローや、その協力者である『麦わらの一味』、そして、ここにいる海兵達と……自分の思い通りにならない者達全てに対しての苛立ちで満ち満ちていた。

 それもあってだろう、振りかざす『イトイトの実』の糸の刃に迷いはなく、海軍本部中将の肩書を持つスモーカーをも一方的に叩き伏せてしまっていた。

 

「よくわかってんじゃねェか……安心しろ、路頭に迷わせるようなことはねェ……。色々と余計なことも知ったようだし、お前らも含めてここで皆殺しにしてやるからよ……! その後は、ローと麦わらも! 今日中に全員だ……でねェと、さすがに面倒なことになる……!」

 

 最悪の形で海兵達の疑問に答えを返しつつ……すっと手を持ち上げるドフラミンゴ。

 サングラス越しのその視線は、足元に倒れ伏し、抵抗する力も残っていないらしいスモーカーに向いている。

 

 最悪の結末が現実のものになろうとしているのを前に、しかし、力がないがゆえに割って入ることもできない海兵達だが……その手が振り下ろされることはなかった。

 

 それよりも早く……

 

「まずはスモーカー、てめェから……」

 

 

 

「―――ちょっと待て、そこのチンピラ」

 

 

 

 背後から、ドフラミンゴの首元に……すっ、と刃が伸びた。

 

「…………!」

 

「「「え……!?」」」

 

 突如として現れたその第三者に……海兵達はもちろん、これほど接近されるまで気づけなかったドフラミンゴも……浮かべた笑顔の下で静かに驚愕する。

 

 既に『番傘』から抜き放たれて構えられているその抜き身の刃は、少し動かすだけで、頸動脈を切り裂ける位置に差し込まれていた。

 さすがにその状態から、その存在を無視して動き、スモーカーの命を刈り取るのは……少なくとも即断できることではなかった。

 

「お、おい、あれって……」

 

「『海賊文豪』……!? なんでここに……」

 

「たしか、トラファルガー・ローのボスなんだよな……?」

 

 思わず、といった調子で海兵の幾人かが呼んだその名は、ドフラミンゴがその声から思い起こしたまさにその人物のものだった。

 少しだけ振り返り、視線を後ろにやると……その当人と、サングラス越しに目が合った。

 

 自分と同じ『王下七武海』の女海賊……『海賊文豪』こと、ベネルディ・トート・スゥと。

 

 

 ―――ブゥン……!!

 

 

「……っ!?」

 

 直後、突如としてドフラミンゴの目の前……いや、その周囲一帯の景色が、まるで違うものに変わった。

 一歩も動いていないはずにも関わらず、まるで違う場所に来てしまったかのように。

 

(雲!? ……空!? どこだここは!?)

 

 足元には、まるでドライアイスの煙のようなふわふわとした濃霧……よりも濃い『雲』が立ち込め、吹雪とは言わないまでも寒風が吹き荒んでいたはずが、穏やかな風が吹いて肌をなでている。

 まるで、話に聞いた『空島』のような光景。

 

 いや、景色だけではない。温度も、湿度も、全てが違う。

 まるで幻でも見せられているような現状に、さしものドフラミンゴも困惑し……

 

 そして、足元への警戒が手薄になった瞬間、何かが高速で動き、抑え込んでいたスモーカーを奪われた。

 

 しまった、と思った次の瞬間、景色が元に戻った。

 先程までと同じ寒風が吹きつけ、足元は雲ではなく大地に変わり……

 

 ……そして、いつの間にか目の前に、パタン、と何かの『本』を閉じたところらしい女性が1人……立っていた。

 その姿は、『海賊文豪』の娘、あるいは妹かと思うような……やや若く見えるが、よく似た見た目だった。

 

 そして、すぐ背後に立っていたはずの『海賊文豪』本人は、いつの間にか距離を取っていて、数歩後ろ程度の位置に立っていた。

 

 その傍らには、またも見慣れぬ影。

 子供くらいの背丈で、フード付きのローブをかぶっているため、顔はわからない。しかし、フードの影から大きな目が覗いて、ドフラミンゴの方を油断なくうかがっているのは見えた。

 

 そして、その小さな誰かの肩には……今しがた足元から奪われた、スモーカーの大柄な体が、荷物のように担がれていた。

 どうやら、あの一瞬でスモーカーを強奪したのはこの子供(?)らしい。

 

 スゥはというと、半歩前に出て……謎の子供とスモーカーをかばうように、殺す相手を手元から失ったドフラミンゴと相対する位置に立った。

 刀を片手で持ってだらりと力なく下ろし、構えていないように見えるが……その目は油断なくドフラミンゴの方を見据えている。

 

 スモーカーがひとまず助かったことに、周囲の海兵達はほっとするも、『七武海』が2人――それに加えて、どうやら『海賊文豪』の部下らしい人物が2人――目の前で対峙しているというとんでもない状況ゆえに、緊迫感は消えていない。

 戦いの余波だけで自分達など吹っ飛びかねないような状況であることを考えれば、むしろ増しているとすら言えた。

 

 その中心にいる2人は、どちらも自然体のように、軽い調子で言葉を交わしていた。

 

「こんな辺鄙な島に何の用だ……面白いものなんざ転がっちゃいないぞ」

 

「そんなことわかってるよ。ここがどういう島なのかは聞いて知ってるし、別に取材しにここに来たわけじゃない」

 

「だったらなぜこんなところに来た? そしてなぜ俺の邪魔をする……顔に『面倒くさい』って書いてあるぞ。関わるのが嫌ならさっさと帰ればいいだろう……俺とお前が敵対、もとい、俺の邪魔をする理由なんざないはずだが?」

 

「その原因になってるのは現在進行形であんたがやってる問題行動だっての。仮にも七武海が海兵相手に何やってんのさ……そんでそんなの前にして私に何もするなっていうのも無茶でしょうに」

 

「…………やれやれ、おめでたいお嬢様だな」

 

 ため息をつきつつ、呆れたように頭を振るドフラミンゴ。

 

「もう1度言う。さっさと何も見なかったことにして、『お友達』を連れて帰れ。俺は色々やることがあって忙しい上に……今虫の居所が悪いんだ。あまりイラつかせるな……『海賊文豪』」

 

 言いながら、その周囲の空気をピリピリと張りつめたものにしていくドフラミンゴ。

 隠す気もなく迸りはじめた殺気は、ともすればそのまま、目の前のスゥめがけて襲い掛かるのではないかとすら思うほどにとげとげしく、濃密なもの。

 

 彼女に対する本気の威嚇であり、また忠告であることは間違いない。

 

 やはりまだ危機は去っていないのだと青ざめる海兵達。

 

 スゥの味方と思しき2人は、それに動じることはなく……目を細め、いつでも動けるように軽く構えをとる。

 少女の方は本のページを開き、子供の方はスモーカーをかばいつつ半身に構えた。

 

 そして、スゥはというと……一切耳を貸さず、また、周囲の海兵達の冷や汗が止まらなくなるほどの殺気をさらりとスルーし、懐に手を入れる。

 

「そういうわけにもいかないんだよ。あんた何かろくでもないことしにここに来たみたいだけど……あんたと違って、こちとらちゃんと仕事で来てんの」

 

 言いながら取り出したのは、電伝虫。

 どうやら既に通話状態になっているらしいその口から聞こえてきたのは……その場にいる全員をさらに驚愕させる声だった。

 

 

『おいおい、海賊文豪。そこは『パンクハザード』だろ? 誰もいねえはずの島で……どんな騒ぎになってんだ?』

 

 

「え……!?」

 

「この、声は……」

 

 海兵達の一部……誰の声なのかがわかった者達が驚愕で固まる中、ドフラミンゴの頬に冷や汗が一筋伝った。

 

「……クザンか……!?」

 

『そこは政府関係者も含めて『立ち入り禁止』の島だろう。麦わらを追って飛んでったスモーカーはともかくとして……何だってお前さんがそんなとこにいんだ、『天夜叉』?』

 

「フフフ……フッフッフ……! 相変わらず海賊らしくねえというか……権力と仲がいいな『海賊文豪』!? 立派に海軍の使い走りなんざやりやがって!」

 

 電伝虫の向こうにいる、海軍元帥・クザンからの『おーい、聞いてるかー?』という、これまた気の抜けたような声を……完全にスルーして笑うドフラミンゴ。

 ことごとく思い通りにいかない状況への苛立ちやあてつけも含まれているのだろうが……半分ほどは、本当にスゥの『政府の狗』っぷりを笑っているようにも見えた。

 

『なんか爆笑してるとこ悪ィがよ……あー、いや、いいややっぱ。文豪の嬢ちゃん、ちょっとそのへんの状況簡潔に説明してくれるか』

 

「了解。ええと……周りには『G-5』のゴロ……海兵が大勢。あとスモーカーさんが倒れてて割と重傷。犯人は見た感じこのチンピラで、スモーカーさん以外にも何人かやられてますね……あとなんか島全体に毒ガスっぽいのが充満してます。このへん一帯にはなぜかないけど。あとルフィ……『麦わらの一味』はいなくて、代わりにドフラミンゴの部下が2名縛られてます」

 

『異常事態しか起こってねえじゃねえか。マジで何があったんだその島で……? ちなみに、船はあるか? そいつらが乗ってきた、海軍の軍艦だ』

 

「……? そういえばないですね……というか、港なのに船らしきものが一隻も止まってないです。……施設自体は使われてた形跡あるのに」

 

『たしぎ大佐はいるか? スモーカーの場合、大体あの刀好きの眼鏡ちゃんとセットだし……今回の遠征にも同行してたはずだが』

 

「いませんね、見える範囲ではどこにも」

 

『何から何まで妙だな……おいスモーカー、生きてるか? 聞こえるか?』

 

「が、げほっ……元、す……」

 

『あー悪いやっぱいい喋んな。生きてるのだけわかればいい。後ででいいから報告頼むわ。まあ……大方ろくでもない何かがあったんだろうが。そんで、そろそろお前さんからも話聞きたいんだがな……『天夜叉』?』

 

「フッフッフ……断る。さっき言った通り俺は忙しいんだ」

 

 スゥとクザンが電伝虫で話している間も、もちろんずっとドフラミンゴは様子をうかがっていたが……会話中の軽い調子に反して、襲い掛かれるような隙は感じ取れなかった。

 奇襲は無理。加えて、相手は『海賊文豪』とその部下2人。スモーカーのように、正面からねじ伏せられるかと考えると……

 

(……さすがにキツイ、か)

 

 それを悟ると、ドフラミンゴはあっさりと構えを解いて自然体に戻った。

 そして、スゥ達に背を向けてすたすたと歩き去ろうとする。

 

『今聞こえた状況だけでも割と問題行動数多やらかしてるように見えるんだが……? いくら『七武海』だからって許容できる我儘には限界があるってこと……わからないわけじゃねェよな? 何か弁明でもあるなら早いうちに……』

 

「心配すんな元帥殿。あんたら海軍が面倒がるようなことにはならねェよ。明日か明後日には全て解決してる、問題はない……飯でも食って寝てりゃすぐさ」

 

(とはいえ、スモーカーと海兵共の口をふさげないなら……やり方は変える必要がある。これからローと麦わらを探して殺せてもあまり意味はねえ……かといって放置してると、シーザーを失うか……『あいつら』に借りを作ることになっちまう。なら……)

 

 クザンからの問いかけの一切を無視し、拘束されているベビー5とバッファローの元へ。

 それゆえクザンも、これ以上何を聞いてもまともに答えは返ってこないと悟り、もう何も言わず……海兵達に『負傷者の手当てさっさとしろよ』と指示を出すにとどまった。

 

 が、そのままバッファローに乗ってその場から去るかと思われていたドフラミンゴだが……離陸直前、ちらりとスゥの方を振り向いた。

 

「おい、『海賊文豪』……」

 

「? 何?」

 

「何も知らねェ小娘に、ひとつ忠告してやろう……。政府の仕事に一生懸命なのは別に知ったことじゃねえが……」

 

 その顔には、あざ笑うかのような笑みが浮かんでいた。

 

「『お飾り』が仕事を頑張りすぎると、大好きなパパに嫌われるぞ? 気をつけな……」

 

 スゥからの返事は待たず、そのままドフラミンゴ達は離陸し……『パンクハザード』を去った。

 

 あとに残されたスゥは、半分ゴロツキのような海兵達が、右往左往しつつも必死にスモーカーの治療を行っているのを見ながらも……その傍らで見守り続けた。

 今しがたドフラミンゴが言い残した言葉の意味を、なんとなく考えながら。

 

 

 ☆☆☆

 

 

 一方こちらは、数時間前にその『パンクハザード』を出港した……『麦わらの一味』の船。

 その甲板にて、笑顔でありながら目が決して笑っていないアリスと、一応はその海賊団の傘下で『部下』ということになっているローが相対していた。

 その周囲を、顔色は各々違いながらも、様子をうかがいながら『麦わらの一味』が取り囲む。

 

 相対している、といっても、別に戦うために向かい合っているわけではない――これからの展開次第でそうならないとも言えないが――事情を聴きに訪れたアリスに対して、ローが今までの経過を説明している、といった状況である。

 

「じゃあ、あくまでお母さんの部下として、『金獅子海賊団』の利になるように動いたものだ、と」

 

「報告もなく勝手に動いたことは、お嬢には後で謝罪するつもりだ。ただ、麦わら屋にシーザー、海軍、そして『ジョーカー』……これだけの面子が揃っている以上、一旦事態が動き出せば、割り込むことすら難しくなる。ある程度の主導権を握るためには、あの場で判断して動く必要があった。……知っての通り、特に麦わら屋は、色々と勝手に突っ走るからな」

 

 話の中で名前が出てきてはいるが、『なんか難しいこと話してんなー』くらいにしか思っていないルフィは、首をひねってなんとなくそれを聞いている。

 おそらく、あとでロビンかウソップあたりから要約された内容を聞くのだろう。

 

「インペルダウンと頂上戦争でのことを知ってるから、それには一応は同意できるかな。けど、君自身のそれ以前の行動についてはどうなの? ボクはもちろんお母さんも、君が『パンクハザード』に拠点を構えてることも、ましてやそこでシーザー・クラウンや、『ジョーカー』配下の連中と協力関係にあることは知らなかったんだけど。しかも、もう何か月もそれを続けてたんだって? 何で報告しなかったの? 何かやましいことでも企んでたわけじゃないよね?」

 

「……どうしてもう、そこまで知っている? 誰からの報告だ?」

 

「質問してるのはこっち」

 

 ぴしゃりと言うアリス。

 わずかにその目が細められたのを見て、ローはこちらからの質問は諦め、説明を続ける。

 

「その行動に俺の個人的な事情が含まれていることは否定しない。ただ、報告せず単独でことを進めていたのは、情報を可能な限り秘匿するためと、何かあった時の被害を最小限にするためだ。俺が何かへまをしても、最悪俺一人の始末で、あと腐れなく片が付くようにした」

 

「殊勝なことだね。それは今のこの状況も? この期に及んで、まだお母さん達に報告も説明もするつもりがなかったみたいだけど」

 

「時間がなかったのと……報告に関しては盗聴を警戒してだ。これは完全に俺の過失だが、騒動の最中に、連絡用の秘匿回線用の電伝虫を紛失した。通常回線では、海軍やその他の『裏』の連中に傍受される危険がある。もちろん、最終的に『金獅子海賊団』の利益になるように動くつもりだったし、何か迷惑がかかっちまった場合は、その責任は取るつもりだった」

 

「今はまだ迷惑は掛かってないとでも言えるの? 『カイドウ』が動きかねない事態なのに? もしそうなったら、君の首一つでどうにかなるようなことじゃないよ? それどころか、君達『同盟』は最初からそれを見据えて動いていたようにも……いや、そうとしか思えないんだけど」

 

 

 

「おいおい、ことごとく全部バレてんじゃねえか……大丈夫かよ?」

 

 隅の方で恐る恐るといった感じで見ていたウソップが、2人の会話を聞いて……さすがに動揺やら困惑で震えている。

『同盟』を組んで四皇を――最終的にとはいえ――相手にすると決まっただけでも恐ろしかったのに、早々にその内容は露見し、やってきた刺客(少なくともウソップにはそう見えている)は、ほぼ完全にこちらの動きや事態を把握している。

 

 一緒にマストの陰に隠れているチョッパーも『大丈夫なのか……?』とすがるような目で事態を見守っていた。

 2人とも、この不意に始まった会談の行方がどうなってしまうのか……ロビンが危惧していた『金獅子』を敵に回すような最悪の事態にならないか、それで頭がいっぱいだった。

 

 そのせいで……そのマストに縛り付けられているシーザーが、表情に出さないようにニヤニヤと笑っていることには、気づけていなかった。

 

 

 

「今言った通り迷惑はかけない。この先どう転んだとしても、カイドウの怒りが『金獅子海賊団』にむかないようにする手はずはある。むしろ、大親分にとっては利益になるはずだ。それをここで詳しく言うわけにはいかないが……お前ならわかるんじゃないか?」

 

 そこでローは、ちらりとシーザーの方を見る。

 それにつられるように、アリスも同じ方に視線を向ける。

 

 たったそれだけでアリスは、何を言いたいのかを察したかのように「ふぅん」と呟き、それ以上何かを聞いてくることはなかった。

 

 その後アリスは、ローとドフラミンゴが交わした『取引』の内容を聞いた上で、しばし黙って考え込んだかと思うと、すっくと立ちあがって言った。

 

「ひとまず内容は理解できた。このことはおじーちゃんと、お母さんにも報告させてもらうけど……構わないよね?」

 

「もちろんだ。ただ……勝手に動いておいて何だが、無断で何か手出し、口出しは避けてほしい。計画が狂うと、用意できる利益も手をすり抜けていっちまう可能性がある」

 

「……どの口が、って言いたいところだけど、それも含めておじーちゃん達に伝えるよ。それと、ないとは思うけど……」

 

 

 

 ―――ド ク ン !!

 

 

 

「「「……っ!!」」」

 

「お母さん達を裏切ったら……許さないからね」

 

 無意識か、それとも狙ってか。

 アリスから迸った『覇王色』の覇気がその場を席巻し……甲板にいた者達のうち、危うく数名が意識が飛びそうになる。

 

 実際に気絶したのは、年齢ゆえ仕方ないこともあるだろうが……モモの助だけだった。

 

 それを一顧だにせず、アリスは能力で浮遊し……そのまま飛んで去って行った。

 

 

 

 

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