もしこういうの苦手な方がいましたらすいません。何も考えず、勢いで楽しむ感じでどうぞ。
全ての始まりは、一体いつのことだったか。
36年も生きてると、昔のことを思い出すのも割ともう大変だ……テープ巻き戻すのに時間がかかるというか、何というか。良くも悪くも濃い人生だったからな……。
雑誌の新人小説大賞に応募して賞をもらった時? ああ、嬉しかったなー。
町の小さな子供達に、私オリジナルの絵本を読んで聞かせてあげた時? あれも、子供達が喜んでくれて嬉しかったし、楽しかった。
育ての両親が経営していた本屋で、本を読み漁ってた時? あの頃から私、本の虫だったね。
ひょっとしたら、それよりももっと前……それこそ、もう覚えていない『前世』とか……その頃から私は、『作家』になりたいと、心のどこかで思ってたのかもしれない。
そう思えるくらいに、私にとって、執筆活動は人生の一部……いいや最早、生命活動の一部だ。
答えは出ないし、出す意味も別にないけれど……きっとこの考え方は、いつまでも変わらないんだろうと思う。
本を書いて、それを誰かに読んでもらえることが、そしてそれで幸せになってもらえることが……たまらなく嬉しい。生きがいだ。生きる意味だ。
だから……その邪魔をする奴は私は、誰だろうと許さない。
海賊だろうと、海軍だろうと、政府だろうと……
実の父親だろうと、新聞屋だろうと、原作主人公だろうと……『四皇』だろうと。
私のペンを折ろうとする奴は、許さない。代わりにそいつの骨でも心でもへし折って駆逐して、何が何でも執筆は続けると心に決めている。
私個人のエゴはもちろんとして……世界中に、私の本を、物語を、待ってくれている読者達がいる。
彼ら、彼女らに、私の本を読んで、笑顔になってもらいたい。泣いてもらいたい。怒ってもらいたい。考えてもらいたい。
口をつぐまなくていい。我慢しなくていい。
邪魔する奴は誰だろうがぶった斬ってなぎ倒して、読みたい人に読みたい物語を届けるよ。
もちろん今、物理的にも私の前に立ちはだかって道をふさいでる、この怪獣も。
四皇だか何だか知らないけど、さっさと倒してここからどかして、これからも書いて書いて書きまくって、皆に夢を届けてみせるから……
だから……
「お前ら全員……私の本を読め―――!!」
見える範囲の景色が全部、ガラッと変わる。
割れた雲、ないし空の隙間から満月と星空が覗いていた、中々に神秘的な光景だったけど……それがまるで塗り潰されたように変わる。
一面に広がる、鮮やかな藤の花の景色に塗り替わる。
「……は!? これは、一体……?」
突然のことにきょとんとしているナチュラルボーンデストロイヤーは放っておいて……その、世界の変化に伴って、私の姿も変わる。
和装に包まれていたはずが、一瞬にして……詰襟と羽織を着こんだ、全く違う姿に。
手には、七星剣ではなく、また別な……黒塗りの日本刀。
「こりゃあまるで、モンドールの『本の中の世界』……小娘、一体何をした!?」
「行くぞ、“ビッグ・マム”!!」
無視!
生憎ともう私“スイッチ”入っちゃってるんで、余計な問答に応えてる心の余裕ないんだよね!
―――ゴオオオオオオオオ……!!
燃え盛る業火のような音に変わる、私の呼吸音。
何もないはずの空中を蹴って加速し……迎撃に振りぬかれる剣もかわして、ビッグ・マムの懐に飛び込む私。
同時に、私が持っている刀から、陽炎のように揺らめき、しかし激しい勢いの炎が燃え上がる。
そして……首元めがけて、振り抜く。
「“ヒノカミ神楽”……“炎舞”!!」
深々と首を切り裂き……頸動脈には至らなかったけど、大きな傷を刻み込んだ。
同時に、その首元から炎が燃え上がり……ビッグ・マムを焼く。この炎は、実は本物じゃなくて幻だけど……
「あぁ、熱ぁあぁああっ!? 何だい、こりゃあ……火!?」
「ママ、大丈夫!? 今おれが食べて取り除……え、何でだ!? この火、食えない!」
ビッグ・マム本人にとっては、本物の炎のように……あるいは、それ以上の痛みになって傷口を焼く。そしてしかし幻だから、プロメテウスは食べることはできない。
首元で燃え続ける消えない炎、深々と切り込んだ傷の内側から焼かれる痛みにいらだったビッグ・マムは、振り返って……その怒りを込めて剣を振り上げ、私に叩きつけようとしてくる。
が……周囲がおろそかになっちゃったのはいただけないな。
「“岩の呼吸・弐ノ型”……“天面砕き”ィ!!」
ドゴォン、というすさまじい音を立てて、ビッグ・マムの後頭部に巨大な鉄球が直撃した。
目ん玉が飛び出しそうになった形相で驚いたビッグ・マムは、『何だァ!?』と怒号を上げつつ後ろを振り返ると、そこには……
「おめェは……『海賊文豪』の娘の……『鉄獅子』!?」
「あっはっはっは、やっぱ面白れーな母ちゃんのこの技!」
けらけらと笑いながら、巨大な鎖付き鉄球――反対側にはこれまた巨大な斧がついている――を振り抜いた姿勢のレオナがそこに。
さっきまでいなかったはずのレオナの突然の参戦に、ビッグ・マムが困惑しているが……そんな暇はなかったりする。
なぜなら、今まさに左右から……
「“水の呼吸・漆ノ型”……“雫波紋突き”!!」
「“雷の呼吸・漆ノ型”……“
スズとアリスが、それぞれ水流と雷光を纏って突撃してきたからだ。
2つの攻撃はビッグ・マムにまたしても直撃し、さらに……
「“風の呼吸・玖ノ型”……“韋駄天台風”!!」
「“炎の呼吸・玖ノ型”……“煉獄”!!」
上空から飛び込むように出現したイリスが風を纏って連続で切りつけ、正面から突撃したスノウが放った炎の一撃が大きく切り裂く。
「何だってんだ次から次へとォ!? いつの間にこんな数の手下を呼び寄せた!?」
「手下じゃないよ……この
『イノチノシヘン』は、ユゥと融合した状態の私が使うことができる技で……『パサパサの実』と『ブクブクの実』、2つの悪魔の実の『覚醒』能力を組み合わせた技だ。
この技を発動すると、世界そのものが、様々な法則ごと書き換わる。
そして私は、その『世界』に応じた力を発揮できるようになる。
『世界』の元ネタになるのは……これまで私が書いてきた、全ての物語。
今展開している世界は、『
世界がそういう風に書き換わったから、私はその世界の能力を使えるようになった。
そしてこの世界には、私と共に世界を盛り上げる『キャスト』を召喚することができる。
今、一斉に現れてビッグ・マムを攻撃したレオナ達は、本物であって本物ではない。
肉体は、さっきまで出していた私の分身たちと同じで、『パサパサの実』の能力で作った偽物……だけどその意識は、船にいるはずのレオナ達に遠隔で意識を飛ばして協力してもらっている。すなわち、彼女達本人だ。
当然、彼女達もまた、『世界』に合わせた力を発揮できる。
私が作った物語を表現するには、私ひとりじゃ力不足なんだよね。悲しいような嬉しいような、悔しいような光栄なような……まあ何でもいい。
ともかくここから先は、
「上等だ……おめェら全員この手で……」
ごめんだけど、ビッグ・マムが言い終わるのを待たずに……
―――ぱらり
ページが、めくれる。
また違う世界が、この世界を塗り潰して顕現する。
また、私達の服装が変わる。今度は……奇しくも、最初私が着ていたのと同じような服装……黒を基調とした和装だ。
途端に急加速するスズ。その手に、刃から柄まで全て黒塗りの、鍔が『卍』の形になっている刀をもって……
「“天鎖斬月”!!」
凄まじい速さで飛び回りながら、何十回、何百回とビッグ・マムを斬りつける。
なお、言い忘れてたが、彼女達が纏っている覇気は、さっきまでの私の分身達と同じで私由来の覇気……に加えて、彼女達自身が自分で覇気をつけ足して強化しているので、相当な強度である。ゆえに、ビッグ・マムにも十分に歯が立つ。
飛び回るスズに気を取られている間に、レオナとスノウとイリスがさらにビッグ・マムを狙う。
しかし、直前に気づいたビッグ・マムが、迎撃のために、炎を纏わせた大剣を振り抜こうとする。
「そう簡単にいくと思うな小娘共ォ!! “
「私が行きます! “大紅蓮氷輪丸”!!」
ふりぬかれる炎の刃を、飛び出したスノウが……氷の龍のような鎧をまとって迎撃。正面からその一撃を止めて見せ、さらに凶悪なまでの冷気でプロメテウスの熱をかき消していく。
「さ、寒いっ!? こいつ、寒いし冷たいよママ!?」
「冷気だとォ……!? 次から次へ、まるで『悪魔の実』の能力じゃねェかい……こんな何でもアリ……なァ!?」
手がかじかむほどだっただろう、スノウの刃の冷気に気を取られた瞬間、
「“龍紋鬼灯丸”ゥあ!!」
またしても。レオナが操る巨大な三節棍――もはやそうは見えない凶悪な見た目だけど――ビッグ・マムの脳天に直撃。
さらにその直後、素早くレオナもスノウも飛びのいたかと思うと……
「なんか私だけコレ、刃物系じゃないのが気になるけど……まあいいでしょ! 私、派手なの好きだし……“雀蜂雷公鞭”!!」
遠距離からイリスが放ったミサイルが直撃して、島全体に爆風が広がるほどの大爆発がビッグ・マムを襲い、包み込んだ。
「げっほ、ごほ……こンの……!?」
その爆風に紛れて……ひらひらと舞う、桜の花びら。
その数、数億枚。
しかしそれは、一斉に殺到してビッグ・マムを襲うようなことはなく……私の手元に1本の刀になって終息した。
そして隣には、くすんで焦げたような見た目の刀を持つアリス。
私とアリスは、同時に地面を蹴って真正面からビッグ・マムめがけて突撃する。
それを見たビッグ・マムは、さらにヘラを剣に宿して、もう何度も見た巨大な剣に姿を変えさせ、それを振りかぶる。
それでも私も、アリスも止まらない。
「“
「“残火の太刀”……“旭日刃”!!」
「 “終景”……“白帝剣”ッ!!」
全てを焼き滅ぼす熱のこもったアリスの刃と、数億の刃の力を結集した私の刃。
ビッグ・マムが振り下ろした、巨大な光の刃を……真正面から切り裂いて、そのまま突撃……驚愕するビッグ・マムを、深々と左右から『×』の字に切り裂く。
「オォォオ……!!」
「「「マ……ママ~~~!?」」」
たまらずよろけるビッグ・マム。ホーミーズ達の心配する声が響く。
しかし倒れはせず、しっかりと大地を踏みしめて……まだ正面にいる私達をにらみつけてくる。
傷だらけの血まみれになってるのに――だからこそ、かもしれないが――すごい迫力だ。さすがは『四皇』ってことか。
「小せえ刃でよくもまあザクザクザクザク……やってくれるもんじゃねェか、ガキどもォ!! 上等だ……てめェらみたいなのを、何百人も海に沈めて来た!」
勢い衰えぬまま、再構築?した光の刃を振り抜いてくる。
バッとその場から離れ、距離を取る私達。
「これしきのやんちゃで簡単に取れると思うなよ、おれの首をォ! こちとら何十年も、この海に君臨してんだ……お前らがミルク飲んでる時から、いや、生まれる前からなァ!!」
「いるよね~……とかく年齢とか経験年数をやたら持ち出す老害。そーいうのもう流行らないってのにさ!」
「そういう意味で言ってるわけではないじゃろうが……まあ、おおよそその通りではあるな」
「何十年だろうが何百年だろうが、関係あるか! あたし達が生きてるのは、今この瞬間だ!」
「それに、君臨したのがどれだけ長かろうと……終わる時はそれこそ、あっけなく終わるものよ」
「そして、それは必ず来るものだ。お前の場合は……それが“今”だ……!」
口々に言う娘達。どれもその通りだと思ってしまう。
あの怪獣を前にしてそんだけ言えるようになったなら……1人前も1人前だね。
―――ぱらり
ページがめくれる。
世界が変わる。
さあ……こんなところでもたもたしてられないよ! まだまだあるんだ、私の物語は……どんどん行くからついてきな娘達!!
「“スターバーストストリーム”!!」
「“大・後光刃”!」
「“エクス”ッ……“カリバー”ッ!!」
レオナの16連撃、スノウの巨大な光の刃での連撃、イリスの全てを飲み込む巨大な一撃、
立て続けに決まり、ビッグ・マムにまた傷を作る。
「 小癪なァ……“
振り抜こうとしたビッグ・マムの光剣が、半ばから断ち切れてスカッと空ぶる。
やったのは、アリス。ゆったりした和装に身を包んでいて、
「またつまらぬものを斬ってしまった……!」
「『万色』……テメェ!!」
その瞬間、懐に飛び込んだスズが、神速の抜刀。
「“
二段構えの神速の抜刀術が、深々とビッグ・マムを切り裂き……しかしすぐにその場から飛びのいた。
後ろで構えてる、私の邪魔になるからだ。
「“アバンストラッシュ”!!」
逆手持ちの刃から放たれた一撃が、さらに深くビッグ・マムを切り裂く。
……年齢がばれるとか言わない!! 別に隠してないし!
「“
倒れることなく反撃して来るビッグ・マム。
殺気と同じ、ヘラ、プロメテウス、ナポレオンが融合した『動く攻撃』が襲い掛かってくるけど……その眼前に、臆することなく立ちはだかる、イリスとスノウ。
スノウは手に持った、鍔の部分が白毛に覆われた大太刀を構え、振り抜く。
「“爆龍破”ァ―――!!」
『『『ぎゃああぁあ~~~~!!』』』
放たれた衝撃波は、襲い掛かってきていた『
「何ぃいい!?」
『『『ママ、逃げて~~~!!』』』
ホーミーズ達の叫びもむなしく、衝撃波はビッグ・マムに直撃。『
それだけで終わらない。倒れたビッグ・マムめがけて、イリスの追撃が迫る。
しかも、その手に持っているのは……刀剣ではなく……
「……銃!? いや杖か!? 使えるのは剣技だけじゃねェってのかい!?」
「いつ誰がそんなこと言ったかしら? そもそも、お母さんがどんだけ色々な物語を書いてると思ってるの……そんなバリエーション狭いわけないでしょ!」
その、機械チックな杖の先に、桃色のエネルギーが収束していき……イリスの身長を超えるほど大きな光の塊になり……
「これが私の……全力全開!! “スターライトブレイカー”―――ッ!!」
放たれた光の砲撃が、動けずにいたビッグ・マムに直撃。
熱戦とも電撃とも違う、単純な破壊力に、砲弾も効かない鋼の肉体もきしむ音を響かせる。
「オオオオオ……ッ……!?」
さーまだまだ行くよ! いい感じにイリスが口火を切ってくれた。
ここから先は刀や剣に限らず、好き放題やりたい放題行ってみよう!
「“かめはめ波”ァ―――!!」
「“気円斬”ッ!!」
「“ギャリック砲”ォッ!!」
スズの投げたエネルギーの刃が剣をはじいて退かし、私とアリスの放ったビームがビッグ・マムに直撃する。
「んちゃ―――っ!!」
レオナのビームも……こいつだけ何か違わね? ……まあいいか。
「“カイザーフェニックス”!!」
「“メドローア”!!」
「“アバンストラッシュ”!!」
イリスが放った巨大な鳥をかたどった炎が、スノウが放った全てを消し飛ばす閃光が、私が放った逆手持ちの剣から繰り出される剣撃が、ビッグ・マムを捕らえて大きく……あれ、待てよコレさっきやったな?
「え、大丈夫お母さん? 忘れるの早……」
「……若年性……(ぼそっ)」
「やかましゃア!!」
テンション上がってちょっと度忘れしただけだよ! この年でボケてたまるか!
別にいいでしょ天丼禁止ルールとかないから!
「“
「“霊丸”!!」
「“ティロ・フィナーレ”!!」
アリスの帯電し超高速で飛ぶ弾丸が撃ち抜き、レオナの放った光弾が打ち据え、イリスが出現させた巨大な銃が畳みかける。
最後のだけちょっとなんか危ない気がするけど……とりあえずビッグ・マムの噛みつき攻撃とか来たら警戒しとこか。
「ジャン・ケン……“グー”!!」
オーラを纏ったレオナの拳が、ビッグ・マムの顔面に盛大にめり込んだ。
あ、ここから格闘も混ざる感じね。オーケー。
「“50連釘パンチ”!!」
「“ゼブルブラスト”!!」
「“
「"界王拳"ッッ!!」
スノウの、釘を打つように深く深く突き刺さる拳の衝撃。
スズの、雷撃と共に放たれる拳の一撃、
アリスの、光り輝く拳から放たれ、内部にまで浸透する波紋の一撃。
イリスの、全身を闘気が覆った状態での連続攻撃。
「あ~たたたたたたたたたた……ほあたァッ!!」
「あべしひでぶうわらば―――っ!?」
今を生きる資格のない者に叩き込む百発の拳(私)。経絡秘孔を捕らえて内部からビッグ・マムを爆散……はさせなかったけど、大ダメージは与えたみたい。
「オラオラオラオラオラオラオラオラ!!」
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!!」
「ドラララララララララララララララ!!」
「アリアリアリアリアリアリアリアリ!!」
「ボラボラボラボラボラボラボラボラ!!」
えっと、どれが誰……まあ何でもいいや!
あっはっはっは! なんだか楽しくなってきた!
拳じゃなくてなんか戦闘機の銃撃も混じってたけど、まあ全然どうでもいいな!
「オラァアァ!!」
「無駄ァアァ!!」
「ドラァアァ!!」
「
「
「ヤッダーバァ―――ッ!?」
「あっはっはっはっは!! あーっはっはっはっはっは!!」
さー、まだまだどんどん行くぞー!
「“サンライトクラッシャー”!!」
「“絶刀空閃”!!」
「必さぁぁつ!! “旋風圏”!!」
「“
「“
「“
「“
「「“ライダー・ツインマキシマム”!!」」
「「「“エクストリーム・ルミナリオ・MAX”―――ッ!!」」」
「“超電導波サンダーフォース”!!」
「"バオウザケルガ"――ッ!!!!」
「アルセウス、君に決めた!」
「私の友達! 出てこいエンマ大王!!」
「黒より黒く(省略)……“エクスプロージョン”ッ!!」
「魔帝七つ
「「「うおおおおおボンタンボンタンボンタンボンタンボンタンボンタン!!」」」
etc……etc……
斬撃、魔法、銃撃、その他よくわからないものまで……手当たり次第に片っ端からぶち込んでいく。
バリエーション豊富どころじゃない攻撃の数々に、ビッグ・マムも対応しきれず、またダメージもどんどん積み重なっていって動きが悪くなってきてるのがわかる。
それでも、その気迫や戦意は微塵も衰えていないのは、さすが『四皇』としか言えない。
何度か、こっちの攻撃を強引に突破したり食い破って反撃すらしてきたし……けど残念ながら、その全てをこっちはさらに食い破って、反撃に反撃している。
この技、私のテンションが上がれば上がるほど手が付けられなくなっていくっていうか、私自身制御しきれなくなっちゃうんだよね!!
いや正確には、現在進行形でもうそんな感じなんだけど、制御する気がなくなっていってもっともっとやりたい放題ああもう説明面倒!!
もう知〜らねっ! なるようになーれ♪
「“
スノウの、鉛色に硬質化&肥大した両拳。
「“ペガサス流星拳”!」
スズの、秒間100発の音速拳の乱打。
「“デトロイト”……“スマッシュ”!!」
レオナの、雲を吹き飛ばす爆風を生むほどの拳。
「“アーンパーンチ”!」
イリスの、なんか……にこやかで平和な拳。
「“必殺マジシリーズ”……“マジ殴り”!!」
アリスの、割とマジでシャレにならない拳。
「げっは、ごほっ……ポコポコポコポコ殴ってくれやがって……躾のなってねェガキ共だ……!」
「それはまあ、ごめんね? どいつもこいつもやんちゃ盛りでさあ……まあでも、あんたんとこよりはマシな子育てしてる自負はあるけど……ねっ!!」
言いながら私は。忍者みたいに指で『印』を組んで……いや、実際今からやるのは忍者のアレなんだけど……
「生意気なこと言ってんじゃねェぞ! お前がおれより『母親』として上だぁ!? こちとらもう50年前から母親やって80人以上のガキ共育て上げてんだよ! 血のつながりもねえ拾ったガキとの“家族ごっこ”しかできねェような
「むしろ私があんたに聞きたいよ……前々からそう思ってた。あんた、お腹を痛めて生んだ……血のつながった子供達に……」
ペロスペローやオーブン、モンドールやスムージー達の様子を思い出す。
自分達に歯向かったり、従わなかった、あるいはただ単に都合が悪かった者達を、いたぶって殺してげらげら笑っている姿を。
「まともな躾や道徳教育もちゃんとしないわ……」
プリンちゃんやパルフェ、シフォンのことを思い出す。
ローラに顔が似ているというだけで痛めつけられ、もう親を愛せなくなってしまったというシフォン……『3つ目の目が気味が悪いから隠せ』と前髪を伸ばされ、本当の自分を封じ込められ……プリンちゃんに至っては、本当の自分に自信がなくなってしまったという、悲痛な声を。
「まともに愛してやることもできないわ……そのままの彼女達を受け入れることもしないわ……」
ビッグ・マムの常日頃の様子を思い出す。
横暴で、傲慢で、自分勝手で、話が通じなくて……『来るもの拒まず、去る者は殺す』だのって、とにかくもう何から何まで問題だらけで……
いや、問題だらけなのが悪いんじゃなくて……
「子育てを通して、子供達から何も学んで自分を顧みたりすることもしなくて……マジで50年間何やってたんだってさあ!」
ホントもう、一時期毎日のように思ってたことだよコレ!
子育てって本当に……それを通して色んな事に気づかされるんだ。教師とか保育士、介護士なんかもそうだって聞くけど、面倒を見ることを通して、面倒を見ているはずの相手から色んな事を教わって……それで自分の無知や理解不足を恥じたり、人生がより豊かになったりする。
あるいは、夫とか親とか、その他家族からも同じように学んだりする機会も多い。マジで多い。……私夫はいないけど。
はずなのに……何で?
母親歴50年だろ!? 私なんかよりずっとそういう機会あっただろ!? なんでこんなんなってんだよ!?
うちのパパでさえ、傍から見て割とちゃんとわかるけど、私やスズ達と交流する中で色々変わっていったとことあるんだぞ!?
「人んちの教育方針に口出しすんじゃねェよ小娘が! そもそも、おれのいうことを聞いてりゃ、皆幸せに決まってんだ! 従わねェ奴はわがままだから、殺さなくっちゃならねェだろう!?」
「どこから突っ込んでいいのかわかんないわァ! 一回あんたの頭カチ割って、家族ってもんをどう考えてんのか覗いてみてみたいくらいだよ!」
「カチ割られんのはテメェだよ! “マーマ
とびかかって剣を振り下ろしてくるビッグ・マム。
しかし、私を縦に両断したはずの一撃は、ほとんど手ごたえなくスカッと空を切り……後には、真っ二つにされた木片がころんと転がるだけだった。
“変わり身の術”で逃れた私は、ビッグ・マムの上空に出て……
「“忍法・天蓋新星”!!」
何もない場所に……巨大化したビッグ・マムよりもさらにはるかに大きい、球体の隕石を呼び出して、頭上から落下させる。
「ぬ……う……うぉぉぉおおぉあぁぁあああっ!?」
雄叫びを上げて、ビッグ・マムは大剣を掲げ、振ってきた隕石を切り払おうとするが……巨大な上に頑丈すぎてそれができない。
だが驚いたことに、何千トン? 何万トン? あろうかというその巨大な岩塊を、剣1本と身1つで止めてみせた。
「子が子なら、親も親だねェ……何を、えれェもん落としてくれてんだ……! これしきのことで、おれが潰れるとでも思ってんのかぁ!?」
「あ、じゃもう1個お願いします」
というわけでそのさらに真上に2個目を召喚。倍プッシュだドン。
「うごあぁぁああ!?」
「「「ママ~~~!?」」」
あえなく潰されるビッグ・マム。
衝撃で島にできる巨大なクレーター。というか島が沈むなり割れるなりしそうな勢い。
「お前ぇぇええ~~~! よくもママをォ~~!!」
「これ以上は好き勝手はさせないわよォ~~!!」
すり抜けて出てきたらしいプロメテウスとヘラが、その身を大きく膨らませて私に体当たりして来る。どちらにあたっても、高熱と雷撃でただじゃすまない所だけど……
「それはこっちの……」
「セリフじゃ阿呆が!」
私の背後から飛び出してきた、レオナとスズ。
それぞれ、今の私と同じように忍術の『印』を手で結んで……次の瞬間、スズの足元から大量の水が、レオナの足元から大量の砂が噴き出した。
しかも、砂の方はただの砂ではない。キラキラと光る『砂金』が混じっている。
「「ぎゃあああぁぁあああ~~~!?」」
その大量の水と砂が、プロメテウスとヘラに一斉に降りかかる。
プロメテウスは言うまでもなく水は弱点。
今のサイズなら少量の水はものともせず蒸発させられるが、スズが放ったのはダムの放流もかくやと思わせるほどの大量の水。凌ぎきれず、どんどん体を削られていく。
そして、ヘラに吹き付けた『砂金』は伝導体であり……電気をよく通す。
ということは、それを大量にヘラに吹き付けて体内で暴れさせれば、中に蓄えられた電気がどんどん放電していき、弱っていく。
「ち、ちくしょう、逃げ……」
「逃がさん! “水遁・
渦巻いていた水が、何千匹もの水でできた鮫に変わり、逃げようと、離れようとするプロメテウスを追いかける。追いかけて、食らいついて、食いちぎって、消していく。
「雷雲の弱点は、2年前に空島でルフィが見せてくれたから知ってるんだよ! こうすりゃお前、どんどん放電して消えてなくなって晴れるだろ!」
「こ、小娘ェ~~! 私の電気をぉ~~!」
「うっさいよ生後1時間以内! こちとらもう17歳だバーカ!」
レオナはさらに風もプラスし、砂の渦を作ってヘラをそこに閉じ込め、洗濯機の中に放り込んだように複雑な気流で上下左右に振り回す。振り回しながらどんどん『砂金』で放電させる。
逃げられず、抵抗もできず、削られ、奪われ、振り回され……どんどん小さくなっていく。
ついには、強化される前の元の大きさにまで縮んで、弱弱しく、動くこともできなくなり……
「これで最後じゃ! “水遁・大鮫弾の術”!!」
「こっちも! “風遁・砂漠大葬”!!」
とどめの一撃に、スズは大量の水を圧縮して作った巨大な鮫の頭を、レオナは大量の砂と砂金を、それぞれ砲撃のごとく打ち出す。
「う、うわぁあぁあああ~~~!!」
「マ、ママぁぁあ~~~!!」
プロメテウスは、巨大な鮫の頭に飲み込まれ、内部の水に全方向から押しつぶされる形で……完全に鎮火、消滅。
ヘラは、殺到した砂金の奔流にすりつぶされて、全ての電気を放電され、水蒸気の体の破片も残されず、消滅。
「プロメテウス~~!! ヘラ~~!!」
その時丁度、巨大隕石×2の下から這い出してきたビッグ・マムとナポレオン。
剣に宿ったナポレオンは、凶悪な形相ながらも、目の前で、長く連れ添った『太陽』と、新しく仲間に加わった優秀な『雷雲』が完全消滅したのを見て、信じられないとばかりに愕然とする。
しかし……そんな彼にも、
「安心しなよ……すぐ同じところに送ってあげるからさあ!」
「お父さん、それ思いっきり悪役のセリフ」
「いやまあ、敵ですしまちがいではないんですけどね」
「はい、というわけで全員集合!」
アリスの呼びかけに応じて、イリス、スノウに加え、今まで戦っていたレオナとスズも……
さらに、ナナ、サーヤ、ユゥ、そしてルゥまでもが……娘達『全員』がこの母の元に集った。
「あれ、ユゥも出て来て大丈夫なのか? 母ちゃんと融合してるのに」
「問題ありません。皆さんと同じで、この体は依り代ですから」
「右に同じです」
「同じです」
「む……ルゥも来たのか」
「私だけ仲間外れ、
「賑やかになったね~……これで大丈夫、アリス?」
「まったく問題なし! それじゃ、行くよ皆!! 合体だ!!」
アリスの号令と共に、その手に巨大な赤い布……マントのようなそれが生まれ、私達全員を包み込む。
するとその中から、緑色の膨大なエネルギー……『螺旋力』でできた巨人が出現し、赤い布をマントとして纏い、ビッグ・マムの眼前に仁王立ちになる。
そのサイズたるや、巨大化しているビッグ・マムよりもはるかに大きく……ビッグ・マムの頭がくるぶしにすら届かないほど。まさに、天を衝くと言えるレベルの巨体だった。
私や娘達の想像力が無限の可能性となり、何でもアリの世界とはいえ……あまりにも規格外すぎるその姿に、そのサイズに、あんぐりと口を開けるビッグ・マムとナポレオン。
しかし、それでも……数十年この海に君臨してきた『皇帝』は、怯まず、臆しない。
変わらず狂暴な笑みを浮かべて、一歩も引かずに言い放つ。
「上等だァ!! かかってこいおんどれァ! 図体だけの木偶の棒におれが殺れると思うなよ! おれァ『ビッグ・マム』だぞ!!」
『言われなくても今から行くよ!! “超・天元突破”!! “ギガドリルブレイク”―――ッ!!』
赤いマントを放り投げ、エネルギーでできた体を作り変えて、巨大な翡翠色のドリルに変わる。
それ自体が衝撃波になって全てを破壊できそうな轟音を響かせて回転し……その切っ先をビッグ・マムに向けて、一直線に突撃する。
ビッグ・マムは、ナポレオンにありったけの覇気を纏わせて受け止めるが……サイズが違いすぎ、またこけおどしでもなんでもないその暴虐的な螺旋の力に、ほんの一瞬もこらえることはできなかった。
いや、ビッグ・マムとナポレオンはこらえたんだけど……島の地盤が一瞬で、衝撃に耐えきれずに崩壊。
パパが用意したバトルフィールドが、砕け散って海に沈んでいく。
その島から、地盤岩盤を砕いて巻き上げながら……猛烈な勢いで進むドリルが、ビッグ・マムをそのまま押し出していく。
踏ん張る足場を失ったビッグ・マムは、ドリルをナポレオンで防ぎつつも、そのまま押され……岩盤の残りを砕きながら押され続け……そのまま押し出されて海に落ちるかと思ったところで、すくい上げるようにドリルが上を向いた。
そのまま上に押され、どんどん上に飛ばされていく。
……その、途中、
「ごめん……ママ……もう、限界……うあぁぁああああ!!」
―――バキバキバキ……バリィン!!
「ナポレオン……お前まで……!!」
自分の『分身』であるホーミーズ達のうち、捨てたゼウスを除けば最後の1体だったナポレオンまでもが、その手の中で砕け散った。
「う……うおおおおおぉぉおおおっ!?」
なおもお止まらず向かってくる翡翠のドリルを、ビッグ・マムは、両手を覇気で黒く染めて受け止め……しかし到底止めきれずに、がりがりと手のひらを傷だらけにされて削られながら、どんどん上へ上へ、天高くへと持ち上げられていく。
そして、砕け散った地上の島が豆粒程度にしか見えないほどの……地平線が丸みを帯びて見えるほどの高さにまで至って、ようやく、突き放されるように解放された。
同時に、翡翠のドリルがほどけるように消え……中から……私と娘達が現れる。
そして、私の姿は……手に七星剣を持ち、背中に『エナジーウイング』を生やしている。
服装は、黒の和装に白い羽織。すなわち、『世界』に染まっていない、本来の私の姿。
「私の本を、これからも……世界中に届けたい」
「これからも、家族と、仲間達と……皆で笑顔で幸せに暮らしたい」
「いつまでも、どこまでも……私らしい生き方を貫きたい」
「そのためには……」
「お前が邪魔だ……ビッグ・マム!!」
手にした七星剣に、思いっきり覇気を込める。
『武装色』はもちろん、『覇王色』も、込められるだけ、纏えるだけ。
「お前が海賊としての『欲望』で、私の家族を害して、奪うなら……」
翡翠色の光を塗り潰す勢いで、『覇王色』の赤が広がり、あたりを照らす勢いで迸る。
「私は私の未来のために……お前の全てを拒絶する!!」
もう彼女の手には、長年振るってきた愛剣はない。
『太陽』も『雷雲』もない。
ついでに言えば、今から
それでも、ビッグ・マムは……この、目の前にいる大海賊は、
その目に、その覇気に……一点の曇りも迷いも見せない。
恐らくは、最後の最後までそうなんだろう。
「大口叩くじゃねえかよォ小娘!! ならやってみろ……お前にそれができるかァ!?」
言いながらビッグ・マムは、少し前にやったのと同じように、手のひらからポワン、と『魂』を……それも、さっきよりかなり大きいのを出して、飲み込んだ。
……何年分の寿命だったんだろ? 今確かビッグ・マム、68歳だったよな……しかも、プロメテウス達とか、徴税用の『化身』とかを生み出すのに、結構寿命使ってるはずだし……
それに、この寿命食ってパワーアップする方法も、今日初めて使ったわけじゃないはずだ。『ロックス海賊団』とか現役時代に、何度か使ってたはず。
もう何年分寿命、残ってるのやら……躊躇いなく燃やして力に変えて……怖くないのかな?
ないんだろうな……その覚悟くらい、とっくの昔に決めてるんだろう。だからこそ彼女は、『四皇』とまで呼ばれる大海賊になれた……のかも。
先程までをさらに倍する体格に巨大化し、もうホントに怪獣映画の怪獣と相撲でも取れそうな大きさになったビッグ・マム。その上で全身に覇気を纏い、黒く染まってるせいで、全身黒光り+覇王色で所々赤く光って……もうほんとに怪獣だ。
そのまま、全てをかけてつかみかかってくる彼女を見て……私も覚悟を決めた。
「これで最後だ……全エネルギー結集!!」
瞬間、『ブクブクの実』と『パサパサの実』の合わせ技で形作られた世界がほどける。
紙の分身で作った、アリス達の
それら全てを形作っていたエネルギーが、『紙』に姿を変えて……一斉に私の元に殺到して来る。
その全ての紙を、私は体内に、そして剣に吸収し……次の一撃のための『力』に変えた。
剣の切っ先、その一点に集中させた覇気が、振れずとも当たる、斬れるほどの力になる。
「言われなくても……やってやる!」
そして、飛翔。
一気に最高速度まで加速し……真正面から、漆黒の大怪物の懐目掛けて突っ込んでいく。
「お前を倒して……夢をかなえる! 私は……」
剣を構えて……襲い掛かってくる2本の腕をかわし……食らいついてくる大あごから逃れ……
ガチン、という音を聞きながら、大きく振りかぶるように、目いっぱい体をひねって構えて……
「“大文豪”に!! 私は……なる!!!!」
降りぬかれた私の剣は、大きさ的に到底及ばないはずの、超巨大化ビッグ・マムの数十mの巨体を……袈裟懸けに横断し、深々と切り裂いた。
その奥の奥……肉を割き、骨を断ち、その命に届くまでに。
“触れずに”斬ったにも関わらず……決定的なものを切り裂いた感触が、確かにあった。
ふと見ると……ビッグ・マムの体の色は、黒くなくなっていた。
普通の肌色に戻って……力も抜けてしまったようで……うめき声の一つも聞こえてこない。
そして、落ちていく。
今のビッグ・マムには、その巨体を飛ばせてくれる下僕もいない。助けてくれる部下もいない。
彼女単体で飛ぶ手段がない以上、あまりにも当然の結果。
体が大きすぎるせいで、その表情は見えないままだけど……最後に私を道連れにするとか、そういう抵抗を微塵も見せないままに……力なく、その巨体は落ちて行き……
一発、派手で大きな水柱を作り上げて……海に、消えた。
というわけで、第300話にして、VSビッグ・マム、決着です。
スゥの集大成、四皇相手の最終決戦はどういうバトルがいいかなと考えて……この展開は割とずっと前から決めてました。
当初『最終決戦』にする予定だった頂上戦争は、エースに元気玉撃たせて赤犬に勝たせるって、そっちはそっちでやはり決めてたんですが。
クロスオーバーで他の作品の技がこれでもかってくらいに入ってるので、『最終決戦がこれかよ』って苦手な方もいらしたかもしれませんが、その場合はすいません。
完結までいよいよカウントダウン始まりましたが(多分)、もうしばしお付き合いいただければ幸いです。