今年最初の投稿です。
―――ぷるぷるぷる……ぷるぷるぷる……
―――ガチャッ
「はいもしもし、こちら『王下七武海』スゥのホットライン用電伝虫ですが」
『……よーやく、出てくれたか……嬢ちゃん』
普段よりも随分疲れた風に聞こえる声が、電伝虫の向こうから聞こえてきた。
声の主は言うまでもない。クザン元帥である。
ここ最近、通信が入っても、ママが作った『自動音声応答装置』でだけ応対して後回しにし続けていたけど……今日、一通り戦後処理やら何やらが終わったので、出ることにした。
今言ったように、クザン元帥の声は……だいぶ疲れているようだった。
まあ、理由はわかり切ってるけどね。私達が起こした『戦争』やら、ビッグ・マム海賊団の壊滅やらから派生した数多のトラブルへの対処で、それはもう海軍は忙しいんだろう。
『今更言うまでもなくわかってるだろうが……ちょっとくらい、嫌味の1つくらい言わせてくれよ? お前さん……何てことしてくれたんだよ。世間は今めっちゃくちゃだぞ……!』
「でしょうね」
しれっと返す私。
それに対して、電伝虫の向こうからは、はぁ~~っ、と、大きなため息が聞こえてきた。
『俺、お前さんはそういう……何だろうな、大それたことをやるとか、自分からトラブルを起こすのとかは嫌いだと思ってたんだがな……。けど今回のこれは、明らかにシキ
「ええ、私の方も積極的に協力しましたね。とはいえ、売られた喧嘩を買っただけですが」
『……? ビッグ・マムの方から何かちょっかいかけられてたってことかい?』
「ええ。このまま何もしなかったら……冗談でもなんでもなく、私や娘達、それにパパの人生やら何やらふんだくられるところでした。そんなことされたら私だってキレますよそりゃ」
一応、全部ではないけど、ざっくり説明する。
今回の件は、ビッグ・マムの方からちょっかいを出してきた。
内容は、パパの暗殺と、その後に私達を取り込む形での『金獅子海賊団』の乗っ取り。そのために、私の娘のいずれかと『政略結婚』を企てていた。
実際にもう手は出されていたので、『上等だコラ』というわけで敵の作戦その他諸々を逆利用して裏をかき、戦争を吹っかけた。
パパの作戦や、こっちの色々進んだテクノロジー、そして、成り行きから協力して戦うことになったルフィ達も含めた、それぞれの奮闘のおかげで見事勝利。
ビッグ・マムの本拠地である『
ノウハウはめっちゃあるので、順調も順調。早晩、元通りに平和に、そして豊かに民達が暮らす『万国』を見ることができるだろう。
あと、これは完全にパパの管轄になるんだけど……今まで『ビッグ・マム海賊団』の傘下だった海賊団のいくつかが、鞍替えする形で『金獅子海賊団』の傘下に入った。
新世界でも名の知れた大物も何人かいるけど、さすがに他の海賊団、それも滅ぼした先からの鞍替えなので、潜り込んで寝首を……なんて心配もしつつ、しかし使えそうなら重用していくつもりで色々と考えているみたいだ。
なお、そいつらのまとめ役には、元ビッグ・マム海賊団のパルフェをつける案があったけど、本人は早々にアリスの直属の部下になって一緒にいるようになってしまったので、没になった。
『……まあ、お前さんとこのゴタゴタが無事に解消したのは……お疲れさんと言っとくか。最後の部分の話だけは、海兵としては素直に喜ぶわけにはいかねェがな』
「まあ、『七武海』とはいえ海賊の勢力が増してるわけですからね」
戦争でいくらか削れてしまったけれど、それを補って余りあるくらいのリターンだ。
人数的にはもちろん、『ビッグ・マム海賊団を滅ぼした』『“四皇”に勝った』という事実がでかい。金獅子海賊団自体のネームバリューが大きく成長し、金獅子の名と、その旗の持つ『力』は今や、『準四皇』を超えて『四皇』相当とすら言われている……らしい。
その一助になっているのは……間違いなく、モルガンズによる報道だろう。
戦争開始時に私が『保護』したことで、『ストロングライオネル号』から特等席で戦争の一部始終を見届けたモルガンズ。
聞いた話では、パパに交渉して、記録映像電伝虫の映像から切り出した写真を何百枚も買い取って、それを新聞に載せたらしい。
真実の歪曲はもちろん、誇張すらほとんどなし。ありのままを紙面に並べて……それだけで十分に刺激的な記事が出来上がり、世界各地へ運ばれていった。
『情報屋』や『善意の提供者』からもたらされるレベルとは全く異なる濃度、密度の、ライブ感フルスロットルな情報の爆撃。全世界の人々に与えた刺激は、過去最高クラスだった。
聞いた話じゃ、世界政府から制肘されても全く聞き入れずに書き続けたとか。ほんといい度胸してるよなアイツ……これ思うのもう何百回目だろうな。
ともあれ、そのモルガンズの趣味というか生きがいに等しいジャーナリズムのおかげで、金獅子海賊団の名は、今や世界中に知れ渡っているトレンドというわけだ。
『海賊の世界も相当揺れてるようだが……それ自体は問題じゃねえ。縄張り争いは激化してるが、加盟国やら何やらへの被害なんかは、そこまで増えてるわけじゃないからな。むしろ、自分達で食い合って勝手に自滅してくれてる分にはありがたいし……一部においては、例によってお前さん達『金獅子』が動いてくれてる。頂上戦争の時みたいにな』
「ああ……そういやこの機に乗じてまたパパがナワバリ増やしてましたね」
白ひげの時と同じで、『ビッグ・マム』の旗を失って窮地に立たされるナワバリもいくつかあったんだけど……そういうのを片っ端からナワバリに収めていった。
今度は『頂上戦争』の時と違って、きちんと利益になる……『太客』になるナワバリをね。
ビッグ・マム海賊団はビジネスとして旗を貸し出してたわけだから、国自体の景気もいいし利益も大きく出る、好条件のナワバリが揃ってた。
その一部はさらに、金獅子海賊団の運営ノウハウや、投資みたいに物資を投げたり設備を整えたりしてレベルアップさせてるらしい。将来さぞ大きな利益を海賊団に落としてくれるだろう。
(しかし、ビッグ・マム海賊団を滅ぼしたのは他ならぬ私達なんだから……守りを失ったナワバリの買い上げと、そこからの
『まあ、そのへんはいいんだよ。いや、問題ではあるんだが……所詮はおたくの海賊団の運営方針だからな。加盟国に被害を出したわけでもなく、むしろ守ってくれてんだ……こっちが口出す話じゃねえ。……それよりも、問題は別のところでな?』
「別って言うと?」
『……お前さん、ジュエリー・ボニーを傘下に加えてたんだって?』
……ああ、それ来るか。そりゃ来るよな。
「ええ。結構前から。うちの子達とも仲良くやれてて、年の近いいい遊び相手ができたって皆喜んでますよ。もちろんボニー本人も」
『ああ、そりゃよかった……ってそうじゃなくてよ。困るぜ嬢ちゃん……ボニーに関しては、世界政府から『優先捕縛指示』が出てる海賊だろ?』
「ええ、出てますけど……海賊には違いないんだから、配下に加えても問題ないですよね? 規則は読み込んでますけど、除外規定とかなかったと思いますけど」
私が『七武海』に就任した時に、ギオンさんからもらった書類には、『部下ないし傘下にした海賊も恩赦の対象とする』とは書かれていたが、それについての例外は、『政府の統治に著しく大きな害を与える者』は除くという点のみ。
要するに、革命軍とかを傘下にすることはできないわけだが……それだけだ。
海賊なんてのは元々無法者だし、いちいち『政府に害かどうか』なんて論ずるだけ無駄。
加えて、傘下に入れれば、今度は七武海としての規定に縛られて、政府に害のある活動の方をできなくなるわけだし、特段そのへんを細かく気にする必要はないんだ。……本来は。
けど、ボニーは違う。
公表されてはいないけど、彼女はくまに対する『人質』だった。だからこそ、さっきの『優先捕縛指示』とやらの対象になってる。
ただ、私がコレを知っているのは、くまの記憶を見たからであり……表向きには、ボニーが『優先捕縛』の対象である理由は公開されていない。もちろん、くまとの繋がりも。
理由が公開されていない以上は、政府にとって危険だとか害だとか、そういう判断はできない。
それに、それこそ革命軍クラスで『アウト』と呼べるような連中でさえなければ、たいていの奴は七武海の『恩赦』の対象にできる。
だから、少なくとも表ざたになっている情報の範囲内から判断すれば……私がボニーとその海賊団を傘下に入れることは、問題ないことなのだ。
……というか、
「ちょっと前まで私もその『優先捕縛』の対象だったでしょ……それが今はこうして『七武海』やってんだから、別に問題はないはずですよね?」
『……そういやそうだったな』
政府に都合の悪い思想を流布するインフルエンサーになり得るっていう『影響力』のせいで、私にもその『優先捕縛指示』が出てた時期があったよね。そんな私も、今では七武海。
それらを総合的に鑑みれば……『人質』という真実が公表されていない範囲のボニーを、私が傘下に加えることは……まあ、いい顔はされなくても、問題にはならないはずだ。
多少は問題行為かもだけど、それを帳消しにできるくらいには私は海軍や政府に貢献してる。
そして、くまが改造された背後関係は、ボニーが『人質』である事実も含めて、政府や海軍の一握りの人間しか知らないトップシークレット。公表できるものではない。
ゆえに、私がボニーを傘下に加えていたことに、とやかく言われるほどの非はない。
とどめに、その『人質』の主目的だった、くまの『人間兵器』としての改造はもう終わっている――そのくまはいなくなっちゃったわけだが――ため、そもそもボニーも『人質』としてはもうお役御免である。いなくなっても特に何も困らないのだ。
ただ政府の面子と、本人が海賊になっちゃったから追われてるだけで。
『まあ、理屈の上ではそうなんだが……政府の方も色々事情があってな……いやまあ、わかった。それはひとまず置いとこう』
と、クザン元帥はちょっと強引に話を断ち切った。
どうやら、ボニーの話は……気にはなってたようだけど、これ以上突っ込んで追及して来るつもりはないようだ。
それよりも……ここから先が本題かな?
電伝虫の向こうで深呼吸して、声のトーンが幾分かマジになったようだった。
『単刀直入に言うぞ、嬢ちゃん。政府は……お前さん達に期待してる。『四皇』に匹敵する力を持ちながら、政府側で力を振るってくれる存在としてだ』
「………………」
『だが、同時に危険視されてもいる。これも当たり前だな……何せ、お前さん達は、数十年もの間この海に君臨し続けてきた『ビッグ・マム』を……『四皇』を引きずり下ろしちまったんだ。それだけの『力』があると、身をもって証明した。海賊団そのものはもちろん……お前さん個人もだ』
「……でしょうね。どうりでここ数日、政府の工作員があちこちに潜り込もうとしてるわけだ」
『工作員? あー……サカズキの野郎、さっそく動いてたのか。悪いな嬢ちゃん、騒がせちまってたみたいで』
「いえ、割といつものことなんで。一応全員生け捕りにしてあるんで、後で適当なところで捨て……解放しますね」
『命があるだけでも儲けもんだと思うべき……なんだろうな。拷問とかしたか?』
「いえ……さすがに尋問はしましたけど、政府の諜報部員だってことが分かった時点で、それ以上は特には」
んなことしなくても、情報抜きたけりゃ『
内訳として、海軍からの密偵は0。政府からの諜報員が数人いた。うち、半分くらいが『特高』の猟犬だった。フットワークというか躊躇いのなさがすげえよ……さすがは正義の狂犬が『長官』についてるだけはあるなって感心した。迷惑だけど。
「……あ、でもちょっとした嫌がらせはしましたね」
『……具体的には?』
「『グラブジャムン』って知ってます? 世界一甘いって言われるお菓子なんですけど、それ食べさせました」
濃縮乳に小麦粉100g、砂糖水2㎏を混ぜてボール状にし、油で揚げて、それをさらに激甘のシロップに付け込んだ甘味の暴力みたいなお菓子である。
食べた人の感想だと、『甘すぎて脳がしびれる』『一瞬で虫歯になったかと思った』『噛めば噛むほど無限に甘さが出てくる』『舌がバカになる』とか色々散々に言われている。
興味本位でレオナとボニーが作った奴だったんだけど、あの2人すらギブアップしたほどだ。
なお、今回食べさせた政府の諜報部員の感想は、『甘すぎて美味いとかまずいとかじゃなく『寒い』と感じた』……だそうです。
「あ、今度差し入れに送りますね」
『嫌がらせかお前……今度ガープさんが仕事放っぽって逃げ出したら食わせてみっかな』
……大丈夫かなそれ? あの人戦闘力は相変わらずバケモンだけど、結構お年を召してらっしゃるのは事実だし……内臓疾患とかにならないか心配。
それはさておき……話が脱線しちゃったから戻そうか。
「さて……私が政府に、期待されつつ危険視もされてる、って話でしたよね? ……で、それを踏まえたうえで……私にどうしろと?」
『……顰蹙買うことになるのは承知、ないし覚悟の上で言うんだがな……お前さんには、今まで以上に、海軍、ないし政府に寄り添った立場で仕事をしてほしい』
「……自分で言うのもなんですけどね、今でも私、十分、海軍の役に立ってると思うんですが。今以上にあなた達にすり寄れ、って言うんですか?」
『ああ……そうすりゃまだ、可能性があるかもしれねえ』
「……? 可能性?」
『今……『世界会議』で話し合われてる議題の一つが、ちっと厄介でな……いや、海兵としてこの議題を『厄介』とか言っちまうのも多分、違うんだろうけどよ……』
そのまま、事情を聴く。
…………
………………
……………………なるほど。
「『王下七武海』制度の撤廃……まあ、実際問題だらけの制度ですもんね」
『……驚かねえんだな。特権を失って追われる身に戻っちまうかも知れねえのに、平気なのか?』
「平気かどうかって言われると……まあ、色々面倒なことになるなとは思いますよ。でも……実際、今回のドレスローザといい、ちょっと前のアラバスタといい……ああ、あとは『頂上戦争』の時もか。七武海の地位、悪用されすぎですもんね。容認されてる『必要な犠牲』もバカにならないから、方々から突き上げ食らってるんでしょ?」
『よくご存じで……って、ああ、最後のは俺が前に愚痴ったことだったな』
そうそう。私が七武海になってしばらくして、海軍に都合よく仕事こなしてくれる奴だ……って認知され始めたあたりで、雑談の中でぽろっとね。言ってたね。
「それで、さっきの話というか、提案ですか」
『ああ……あくまで議題が成立すればの話だが、今言った通り、そうなればお前さんも追われる身……1人の海賊に戻っちまう。ただ、海軍や政府にとって一定の利用価値があり、そのために働く姿勢を示せば……また違う結果になるかもしれねえ。『世界徴兵』……知ってるか?』
「たしか、藤虎さんと……もう1人の大将『緑牛』を海軍に抜擢した時の……」
『ああ、犯罪者や問題人物の中の、広くはその存在を知られていない『在野の実力者』を登用するための制度だ。免罪と引き換えに海軍に『徴兵』し、地位を与えることで、正義の戦力にする。原則として、海賊はその対象外だが……』
「元々が超法規的な措置。私の今までの貢献度や、『利用価値』次第では……いくらでも解釈を変えて、前例なしでも『アリ』にできると」
しかしそのためには……今クザン元帥が言っていた通り、政府にとって都合のいい存在である、あり続ける必要がある。
そして、政府が求める『都合のよさ』の中には……私にとって、絶対に許せない一線を超えたものも、当然のように含まれていることだろう。
インペルダウンの時には一蹴した『広告塔』とか……あるいは、ボニーを差し出せとか……
……である以上、私の心は……もう決まっている。
「……クザン元帥」
『……なんだい?』
「今までありがとうございました。信じてもらえないかもだけど、結構やりがいもあって、色々と普通じゃできない経験もできて……悪くなかったです、『七武海』」
『……そうかい。そりゃよかった』
驚いた様子はなかった。
私がこういう決断をして、こう言ってくるって……わかってたのかな、たぶん。
「もちろん、議題がどうなるか……どういう着地の仕方をするかって、それ次第なんでしょうけどね。でも、仮に『七武海』が廃止になっても、方針変えて『悪い海賊』やるつもりはないですから……そこは安心してください。今までみたいに、お手伝いはできなくなりますけどね」
『その点は安心できるが……嬢ちゃんと『金獅子海賊団』の人手がなくなるのって、地味に痛手どころじゃねえんだよなぁ……あー、畜生。俺の方が今から憂鬱だよ』
秘匿回線だからって……ぶっちゃけるなあ、この人も。
……海兵と海賊で、こんな風に気軽に雑談できてることの方が変なんだとは、わかってる。
わかってても……なんだかんだで、居心地悪くはなかったな。
この空気が、このやり取りが、名残惜しくないと言ったら嘘になるけど……それでも……私は、『文豪』だ。
だから……
『この先の荒れる時代を前に、政府はもちろん、海軍も色々と本腰を入れて動き始めるだろう……今この状況で、政府や海軍の敵に戻るってのは、いくらお前さんでも楽な道じゃねえと思うぞ。そのへん……ちゃんと理解して、覚悟はできてんだよな?』
「やだなあ、クザン元帥……何言ってんですか今更。海軍はともかくとして……」
一拍。
「政府が私の味方だったことなんて、一度だってなかったでしょうが」
『……違えねェ』
☆☆☆
それから、しばらく経った後のことだった。
毎度おなじみ『世界経済新聞』のトップニュースで、少し前に閉幕した『
どれもこれも刺激的どころじゃないニュースであり、よく世界政府が記事にすることを許可したなと思うほどの……ああ、そうか。
「許可されてないのに記事にしたのか……」
モルガンズだもんな。やるよな、そのくらい。
……だから昨日いきなり電伝虫かかってきて、『ちょっとの間、うちの本社ごとそっちに行かせてもらっていいか?』って言ってきたのか。ほとぼりが冷めるまで、私達『金獅子海賊団』のナワバリで政府の追っ手やら何やらをやり過ごす気だな、あいつ。
まあいいけど……しかし、色々あったんだなマリージョアで。
天竜人・チャルロス聖殺人未遂……未遂か。残念。そのまま死ねばよかったのに。
やったのは、ドレスローザにいたサイとレオ……え、この2人の攻撃を受けて死ななかったのかあの鼻水。……すごくね?
さらに、死亡記事……サボがコブラ王を殺したって?
これもありえないだろ……革命軍はそりゃ現体制の敵だけど、権力者全部を敵視してるわけじゃない。コブラ王は、革命軍にも認められるくらいには『市民の味方』として認知されている名君だし、狙われる理由がないはずだ。
これについては、本人に今度聞いてみよう。大口スポンサーのテゾーロ経由で連絡を取ってもらって、元々会う予定してたからね。
理由は言うまでもなく、復活したくまの件だ。
目覚めた後、最初は夢だと思っていたくまだったけど、現実だと認識してからは、涙を流して感謝してくれて……その後、しっかりと娘を、ボニーを抱きしめてあげていた。
今はまだ表舞台に出るわけにはいかないから、『メルヴィユ』に隠れてもらってるけどね。
今言った、革命軍との顔合わせの時に連れ出すつもりだ。サボやドラゴンさん。イワさんとも、何年かぶりの顔合わせで、『人質』云々の心配もなく、腹を割って話せるだろう。
そのくま自身も、今回の記事には驚いてたらしい。サボにはきちんと説明してほしいもんだ。
ビビ王女も行方不明らしいし……心配だな。ホント、マリージョアで何が起こったんだか。
新聞に載ってる、コブラ王の死亡や、革命軍による宣戦布告……『大将藤虎』と『大将緑牛』との戦いの他にも絶対何かあっただろ……。
そして何より……今、世界中で最も話題になっているであろう大事件。
『
『王下七武海』制度の、完全撤廃。
元帥に聞いてた通り……マジでそうなった。
これにより、私を含めた『王下七武海』は、ただの海賊に戻り……また、海軍から追われる身となるわけだ。
新聞の情報だと、すぐに海軍から軍が差し向けられて逮捕される見込みである、とのことだけど……果たしてそう上手くいくかな?
普通に返り討ちにされる未来しか見えないんだが。
だって『王下七武海』は、たった7名でも、世界中の海賊達へのけん制になるような『知名度』や『強さ』を持っていることが必須条件だったんだから。
知名度10割で七武海になった
……え、私はどうなのかって?
もちろん、逮捕しに来たら返り討ちにするつもりだし、備えもしてあるけど……パパの予想だと、私のところにはそもそも、逮捕しに来ないんじゃないかって話だ。
理由は……大事になるから。
少し前までの時点ですでに『準四皇』とまで言われていた私達は、ナワバリの広さや、傘下まで含めた海賊団の規模からして、敵に回せば超・超・超大規模な『戦争』を覚悟しなければならないレベルの存在である。
準備もなしにそんな戦争を起こしては、海軍も無事では済まない。
2年前の頂上戦争の時も、総力を結集してどうにか『白ひげ海賊団』を迎え撃ったんだ。
各地の『元・七武海』拿捕のために戦力を分散させている状況で、私達の相手をできるとも思えない。
そもそも私達の拠点であるメルヴィユは、簡単には近づくこともできない『空島』だ。
それに加えて、ママの発明やら何やらで、その防備は以前とは比べ物にならないレベルで充実しているし、戦力も揃っている。侵入者に対する警戒もね。攻め込まれる心配は、ほぼない。
その辺の費用対効果を考えれば、私達に手を出すことは避けるはず。
とどめに……前にちらっと話したことある気がするんだけどさ。
海軍は原則、今まで行ったのと同じ理由で、『四皇』相手には勝手に戦いを仕掛けられないから。政府の許可がないと、交戦することすら許されないから。
だから、私達に手は出さないと思う。戦争にならないように。
……いきなり何を言ってるんだって? どういう意味かって? ……そのまんまの意味だよ。
新聞に挟まっていた、いくつかの手配書。
それらが挟まっていたページの記載。
それを、繰り返し読む。……内容は変わらない。気のせいとか、見間違いじゃない。
……まあ、こうなるかもとは思ってたんだよ。何せ、ビッグ・マムを倒しちゃったんだし。
そのせいで、『四皇』の座が1つ、空位になったとなれば、次にそこに座るのは誰だ、っていう話に当然なるし……
そして、誰がそれに一番ふさわしいかと言えば……ねえ。
WANTED!
金獅子海賊団 『ひな壇』所属“三人官女”
“濁流”のスズ
懸賞金額:10億9600万
同じく“三人官女”
“鉄獅子”のレオナ
懸賞金額:10憶4400万
同じく“三人官女”
“万色”のアリス
懸賞金額:11億4900万
それぞれが『3将星』……すなわち、ビッグ・マム海賊団の大幹部を倒したという実績からだろう。爆上がりした娘達3人の懸賞金(レオナに至っては初頭手配でコレ)。
加えて、
金獅子海賊団 幹部(アリスの側近)
シャーロット・パルフェ
懸賞金額:11億3500万
“雷帝”エネル
懸賞金額:12憶5600万
金獅子海賊団傘下 ボニー海賊団船長 兼 『ひな壇』所属“五人囃子”
"大食らい"ジュエリー・ボニー
懸賞金額:4億
金獅子海賊団 幹部
“凶児”ルゥ
懸賞金額:10億2400万
あの戦争で活躍した面々にも次々と懸賞金が。
元々高額賞金首だったパルフェはいいとして……『自然系』の能力者であり、戦争では艦隊1つを、事前準備アリとはいえ壊滅させたエネルや、『七武海』の私の護衛としてのキャリアがそこそこあるルゥが高値が付いたな。
この面子だとボニーが安く見えちゃうかもだけど、4億って相当だからね。
具体的には、実力を正確に知られていなかったとはいえ、オーブンやダイフクが3億だ。注目度も大きく違ってくるだろう。
……というか、くまの最終手配額も超えたな。たしか2億台だったと思う。
この他にもまだいるけど、ひとまず代表的なのはこのあたりかな。
ちなみに、活躍が限定的だったせいか、スノウやイリスの手配書はなかった。最後の方でちょっと、残敵掃討や島の封鎖に出た程度だからかな。
その頃には、スピーカー役のモルガンズは、戦争終結までの情報をメインに据えて新聞の原稿づくりに入っちゃってたから、戦後処理まで目は向けてなかったと思うし……仕方ないか。
んでもって、満を持してこの人。
金獅子海賊団 最高顧問
“金獅子”のシキ
懸賞金額:42億4400万
ゴールド・ロジャーの時代からの生き残り。伝説的大海賊。
その金額が久々に更新され、こうなった。
たしか、最近更新された『黒ひげ』が22億、『赤髪のシャンクス』が40億だから……その2人を超えて、ガッツリ四皇クラスである。
世界政府がどれだけパパを危険視してるかがわかる数字だ。
でも……『四皇』ではない。あくまで『クラス』だ。
正直、『ロジャーの時代の生き残り』っていうネームバリューもあるし、次の『皇帝』になるのはパパじゃないかな、と私は思ってたんだけど……そうはならなかった。
やっぱ、直接『四皇』を打倒したっていうのは……大きかったみたい。
後は……結局、今の『金獅子海賊団』を率いているのは、名義上は、今の『提督』になるしね。
その結果が……これです。
金獅子海賊団 二代目提督
『四皇』“海賊文豪”
ベネルディ・トート・スゥ
懸賞金額:44億1200万
「すっげ~~! 母ちゃん44億だって!」
「じい様を超えてトップか。まあ、『ビッグ・マム』を討ち取った実績を考えれば……妥当じゃろうな」
「この額だと、現役最高の『百獣のカイドウ』の46億に続いて、ナンバー2だね。女海賊に限定すれば、ビッグ・マムの43億を超えて、歴代最高額だよ!」
大はしゃぎする3人娘。
他の娘達……イリスやスノウ、ルゥ達ホーミーズ組も大体同じ。良くも悪くも政府が『世界最高クラスの大海賊』であると私を認めたことが、嬉しくて誇らしくてたまらないらしい。
なお、娘達だけじゃなく、『金獅子海賊団』全体がだいたいこんな感じだ。
もともと私の『七武海』就任からして、パパが何かを企んでいて、そのための準備期間だと、皆が受け止めていた。海賊団の皆はもちろん、海軍も、政府も、世間も。
そして、その『政府の狗』な仮の姿を脱ぎ捨てて、とうとう金獅子が動き出すぞって時に……この特大のニュースだ。
大幹部クラスが軒並み10憶越えになったばかりか、『金獅子』と『海賊文豪』の2枚看板が揃って40憶越え、極めつけに私が『四皇』の地位にまでなった。
下っ端海賊達からすれば、政府の狗と言われ思われて、正直というか、大なり小なり面白くなく思っていたところから一転、『四皇』の一味という超ド級のブランドが転がり込んできたわけだから……そりゃ大はしゃぎするってもんだろう。
……その中心にいる私は、別にそこまで盛り上がってもいないんだけどね。
(やれやれ……覚悟はしていたとはいえ、これから色々大変そうだ。まあでも……こうなったからには、私も色々好き放題やらせてもらうけどね!)
具体的には……『七武海』だからこそできなかったこととか。
これから満を持してお披露目するつもりでいる……構想十年以上の超問題作を形にしたり……その他、政府に遠慮してしないでおいたこと、たくさんあるからね!
覚悟しろよ世界! 私はまだまだ、まだまだ好き勝手やっていくぞ!
今年もどうぞ本作『大文豪に私はなる!』をよろしくお願いします!
あ、次回、最終回です(おい)。