まあ確かに、自分の作品の女主人公って、程度は違えどだいたいアレな目に遭ってますけどね……
中には楽しみにしていただいてた方もいらしたようで……
ご期待にそえるかどうかはわかりませんが、面白くなるように書けるようがんばります。
あと、今回何気に原作キャラ(?)が出ます。
『聖地マリージョア』。
『
本来であれば、ここには限られた海軍上級将校や、世界政府関係者、あるいはそれに準ずる立場を持つものしか近づくことはできない。
……仮にそれができても、近づこうと思う奴なんていないかもしれないが。
誰だって、存在自体が地雷みたいな連中と好んで関わりたくなんてないだろうしね。
そして、限られた者しか入ることのできないマリージョアの中でも、特に隔絶された空間が存在することを、私は今日知った。
マリージョアの中心部にある、巨大な城『パンゲア城』。
そこにある『天竜門』という名のゲートをくぐった先には、『神の地』という、また大層な名前の場所があり……そこが誰あろう、『天竜人』達の住処となっている。
そこには、海軍元帥だろうが世界政府の重役だろうが入ることは許されないそうだ。
『天竜人』以外で例外的にそこに入る、あるいは住まうことを許されるのは、彼らに仕える立場の護衛や使用人。そして、彼らの『妻』や『奴隷』達である。
海軍元帥も入れないという場所に、例外的に入れているということに、ちょっと特別な感じがしてドキドキしたものの、結局それは、天竜人の『所有物』として、『持ち込まれて』いるに過ぎないわけなので……冷静に考えてみると、嬉しいとも思えないな。うん。
船を降りて、天竜人……『バノサッカ聖』とやらに付き従う形で、何も言わずに歩いていく。
ここでもやはり、私の首には特に首輪とかは付けられない。周りは固められてるが。
直立不動のままで立っている、大仰な鎧を着た番兵を、目だけ動かしてチラチラ見ながら歩いて、『天竜門』をくぐると……なるほど、天竜人が好きそうな、荘厳な建物ばかりが並ぶ街がそこにはあった。
定期的に、徹底的に掃除や整備がされているんだろう。通りにはゴミ一つ落ちておらず、老朽化を思わせるような建物の傷や汚れも見当たらない。
ふと横を見ると、空港とかにあるような『動く歩道』みたいなものまである。残念ながら、私達が行く方向にはないようだけど。
清潔感、利便性、まさにこの世の中心と言っても過言じゃないような都市だ。
けど……
(このすごい空間をつくるのに、どれだけの加盟国の血と汗と涙を吸い上げて、どれだけの奴隷の未来を奪ってきたんだか……)
そんなことを考えると、何というか……素直に感心もできない気分になる。
そうこうしているうちに、どうやらバノサッカ聖の自宅らしい御殿に到着。
でっかいなまた……確実に個人の住居として使うようなサイズじゃない気がするんだけど。
「ではバノサッカ聖、第27婦人の方は、お色直しにご案内いたしますので」
「うむ、任せるえ」
(……お色直し?)
そこで私は、バノサッカ聖が入っていった家とは別な……別館っぽい屋敷(こっちもでかい)に案内されて入っていった。
まず連れていかれたのは、巨大なお風呂。
着ている服を全部脱がされてすっぽんぽんになり、お風呂で使用人の人達数人に付き添われて、体を洗われる。
他人に入浴のお世話をさせるなんて、前世まで通して初めての経験だよ……多分。
前に後ろに上に下に全部……髪の毛にいたるまで……自分でやる時より数段丁寧に洗われた。スタッフはきちんと女性だけだったけど……正直恥ずかしかった。
洗い終わった後は、ハーブっぽい香りが立ち上るお湯がなみなみと満たされた湯船にゆっくり浸かって温まり、入浴は終了。
お風呂から出ると、脱衣場には『お色直し』の言葉通り、新しい服が用意されていた。
下着から何から、手触りがめっちゃすべすべで、装飾も細かい……こういうの特に詳しくない私でも、超がつくレベルの高級品だってわかる。一着何万、いや何十万ベリーするんだろうか。
というかこれ、ドレス? 初見過ぎて着方わかんないんだけど……って戸惑っていたら、これも使用人の人達が手伝って……というか、普通に着せてくれた。……正直、助かった。
……でもやっぱり、上下の下着まで『着せてもらう』のは少し恥ずかしかった。
着てみるとわかったんだけど、ナイトドレスみたいなデザインで……生地が薄くて、露出も多いな……。胸元も大きく開いてて、肩も出てるし……なんか、エロい。
けど、決して下品でもない感じ。清楚さとエロスが、なんだか絶妙な割合で同居してる。
これ、私の普段着になるの? えぇ、ちょっと……でも、文句なんて言えるはずもないし……。
幸いと言っていいのか、特に寒いとかそういう風には感じない。気温的には快適だ。
次に連れていかれたのは、化粧室。
姿見を横に何枚もつなげたような巨大な鏡があって、その前に腰かけて……専門のメイクさんがお化粧をしてくれた。多分めっちゃ高級な化粧品とか化粧水とか、あとなんかよくわかんないのも色々使って。
普段私、めんどくさくてほとんど化粧なんてしないんだけどな……。
しかし、色々やられただけあって……肌の張りとか血色とか、すごくいい感じに仕上がってる……気はする。さすがはプロだ。
そのまま、顔だけじゃなくて髪や、爪やまつ毛までセットしてもらった。
メンテナンスされてるロボットか何かの気分だった。
お風呂といい……こんだけ身の回りのことを他人に委ねてやってもらったの初めてだよ。
それも終わると、服と私に合うアクセサリーを選んでもらい、それを身に着け……これでようやく、『お色直し』は完了となった。
その後は今度は本宅に行って、『バノサッカ聖』にお目通し。
リビングで待っていた彼の目の前に歩いて出ていって……できるだけ優雅に見えるように一礼。
その時、初めて『バノサッカ聖』の顔やたたずまいをきちんと見た。さっきまではじっくり見るタイミングなんてなかったからな。
加えて、マリージョアに戻ってきたからか、シャボンのヘルメットがないからわかりやすい。
ワンピース原作における『天竜人』の代表格にして、作中屈指のド畜生と名高い『チャルロス聖』は、原作者も認めるくらいに不細工なデザインだったけど……こっちも相当なもんだな。
丸顔に肥満体型、肌はアブラギッシュでたらこ唇。
天竜人特有の髪型はそのままだけど、心なしか生え際が後退しているような気も……あと、今笑った時に口の中が見えたんだけど、歯並び悪いな。モノちゃんと噛めてるのかな?
いかにも薄い本とか、成人向けゲームとかで活躍しそうなビジュアルをしている気がする。
これで、ツナギ着て女子高の用務員とかやってたら完璧だな(偏見)。
そんな人の前にこの清楚エロドレスで出るのはちょっと心配だったんだけど、逃げるわけにもいかないので覚悟決めて出ると……じろじろと上から下まで見てきて、『うむ』と満足そうにうなずいていた。
「よし、もう帰っていいえ」
「はっ、では、ご案内いたします」
……え、終わり?
本当に『お目通し』だけ……ちょっと見てもらっただけで終わっちゃった。
エロいことどころか、少しの雑談すらなし。最初に『スゥと申します』って自己紹介だけして、もう帰れって言われたんだが……え?
しかし、その場にとどまるわけにもいかないので、また使用人さん達と別館にとんぼ返り。
帰ってきた後、使用人さんに改めてここでの生活について聞かされる。
基本的にここでは、私に何か仕事、ないしやるべきこととかそういうのは……ない。
食事は1日3回出る。
服もアクセサリーも用意される……というかメイクさんが毎日選んで用意してくれるとのこと。望めば自分で選ぶことも可能だそうだが。
何か欲しいものがあれば、使用人に頼むとか相談すれば、大体のものは手配される。あまり行きすぎな贅沢とかはできないが。新聞とかも希望すれば読めるらしい。
ただし、こちらから外へ何かアプローチするようなことはできないらしい。外出はもちろん、手紙を書いて出すのも原則NG。
その他、生活に関しては全般的に面倒見てもらえるし、使用人や奴隷が助けてくれる。
自分達に求められることは、ただこの家で暮らすことだけという、公認ニート。
後は、必要に応じて『バノサッカ聖』のいうことを聞くこと、くらいだそうだ。
それからしいて言うなら、体調管理に気を遣うことも。
自分の身分はバノサッカ聖の『妻』であり、その身は彼の所有物。体を壊したり、太りすぎたり痩せすぎて美しさを損ねたりするようなことがないように、ってことらしい。
また、私の立場が『第27婦人』であることからもわかるように、この屋敷には私以外にも『妻』が26人いる。彼女達とも揉めることなどせず、仲良くするように、とのことだった。
……船で会ったメイドさんが言うには、妻同士が仲良くしてるのを見て楽しむ、っていう趣味もあるんだっけか。『バノサッカ聖』には。
『外に出ない』『妻同士仲良くする』『天竜人のいうことは聞く』……この3点さえ守っていれば、あとは好きなように生活できるってことだな。
それなら……気が向いた時には執筆とかだって出来るかもしれないな。目を付けられる可能性もあるから、その辺は慎重にならないといけないかもだが。
そんな説明を、これから『自室』として使う部屋でしてもらったわけだが……その最後に、私の身の回りの世話をする『奴隷』について聞かされた。
邸宅そのものの管理や家事は、基本的に正規の使用人がやるものの、さすがに妻1人1人に使用人がつく、というところまではいかないらしい。
なので、代わりにある程度の権限を与え、なおかつ使用人の真似事ができる程度には教養のある奴隷を与えて身の回りの世話をさせる、というやり方だそうだ。
そこまで言って使用人は『入りなさい』と、外に待たせていたらしい、その女性を呼んだ。
年齢は……私より何歳か年上に見える。顔もスタイルも整った美人さんだ。サラサラの金髪と、色白の肌、澄んだ青色の瞳が特徴的だ。
そしてなんというか目を引くのは……彼女の笑顔。
張り付けたような笑みでもなく、無理して浮かべているような笑みでもなく……奴隷という逆境にもめげずに気丈に、精一杯笑っているという感じの……
粗末な服と金属の首輪ゆえに、奴隷であることは確かだが、その事実がかすんでいるくらい……星のように輝いている女性だと、そう思った。
「こちらがスゥ様の身の回りのお世話をする奴隷になります。基本的に何をお申し付けいただいても構いませんが、奴隷はあくまでバノサッカ聖の所有物。みだりに傷つけたり、壊したりといったことは避けるようお願いします。さあ、挨拶を」
「はい」
酷い内容の説明を横で聞いていても、顔色一つ変えない。
一歩前に進み出て、その女性は……私の目をまっすぐに見つめて、自己紹介してくれた。
「初めまして。私、今日からあなたのお世話役をさせていただきます……ステラと言います。どうぞよろしくお願いします……奥様」
劇場版『GOLD』より、ステラさんに来ていただきました。
ご存命のうちに遭遇したわけですが、さて、今後どうかかわっていきますやらね……
なお、マリージョア内の様子や天竜人の生活については捏造や想像、独自設定、独自解釈などが多分に含まれていますが、ご了承ください。
今後原作中とかでそういうのが出てきた際に矛盾が生じたら……その時は許してください。
また、作者は単行本派なので、本誌派の方との間にも微妙に齟齬が出る可能性も無きにしも非ずです。