大文豪に私はなる!   作:破戒僧

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第39話 スゥ16歳、天竜人の妻

 

 

「そんな……せ、先生が……!?」

 

 ある出版社の編集部にて。

 つい先程、自分宛に届いた手紙を読んで……その内容に、編集者・エディは愕然としていた。

 

 差出人は、自分が新人の頃から交流を持っていて、最も親しくしていると言っていい作家だ。

 

 当時まだ『期待の新鋭』と呼ばれていた彼女……スゥとは、新人同士、二人三脚でここまで頑張ってきたという自負がある。

 気付けば、単なるビジネスパートナーとしての枠を超え、親友のように気楽に接して話し、より面白い作品を作るために力を尽くせる……そんな仲になっていた。

 

 その彼女から届いた手紙。

 普段は、打ち合わせのアポイントにしろその他の連絡にしろ、電伝虫を介して行っている彼女が、どうしてわざわざ手紙を送ってきたのか。

 

 不思議に思いつつもそれを開いたエディは、封を開けて目を通して……凍りつくこととなった。

 

(先生が、天竜人に……こ、こんなことって……!)

 

 天竜人と言えば、世界政府や海軍によってその権力を保証され、守られている……この世界における、絶対的な権力者だ。

 政府によって禁止されているはずの『奴隷』を公然と引き連れ、虐げ、何の罪もない市民の生活を気まぐれ1つで滅茶苦茶にする。

 

 その暴虐ぶりは、言葉で語りつくすことはできないとしばしば言われ、目をつけられたが最後、この世の全てが敵になるに等しい。まともな人生を歩むことなどできなくなってしまう。

 

 手紙の内容には、市街で偶然天竜人に出くわし、目を付けられたこと。これから『妻』として、聖地マリージョアへ連れていかれること。そのせいで今後しばらく連絡を取ることもできないことなどが書いてあった。

 ちゃんといつか帰ってくるから心配はいらない、その時はまたよろしく、とも。

 

 その様に書いてはあっても、心配せずにいることなど無理な話だった。

 相手は天竜人。耳をふさぎたくなるようなむごい話には事欠かない。はた目からも見目麗しいと言っていいであろうスゥが、どんな仕打ちを受けることになるのか……エディには、想像するだけでつらかった。

 

 しかし、自分にはどうすることもできない。単なる市民に過ぎない彼女には、この出来事にわずかでも関わることなどかなわない。

 

 彼女にできることは、少しでも早く、無事なうちにスゥが解放されることを祈ることだけだった。

 

(待ってます……先生、私、信じてずっと待ってますから、だから、絶対帰ってきてくださいね! まだまだ私、先生の作品が世に出ていくお手伝いをさせてもらいたいんですから! あの時、どこまでもついていくって……私、嘘を言ったつもりはないんですからね!)

 

 涙をこらえ……彼女は歩き出した。

 

 まずはこのことを上司に報告して、今後の対応を検討しなければならない。これからはしばらく、彼女の原稿は入ってこないし、こちらから依頼をすることもできない。

 同じ内容を、共通の知り合いであるモルガンズにも伝えなければいけない。

 

 やることはいくつもある。彼女がいつか、無事に帰ってきてくれた時……今までと変わらず迎え入れて、また一緒に歩きだすために。

 

 

 ☆☆☆

 

 

「……運が悪かった、としか言いようがないな、これは……」

 

「昔からそうね、あの子……何というか、苦労する星の下にでも生まれているのかしら」

 

 ところ変わって、こちらは『シャボンディ諸島』にある、『シャッキー’S ぼったくりBAR』。

 その店主と、カウンターについている初老の男が、手紙を読んでため息をついていた。

 

 エディに届いたものと同じで、その手紙には、スゥが天竜人の妻(の、1人)になることになったことや、しばらく連絡も取れなくなるが、心配はいらない、といったことが書かれていた。

 また、エディの手紙にはなかった内容として、シャボンディ諸島の港に停めてある自分の船の管理を、しばらくの間頼みたい、などの内容も入っていた。

 

「あの子の実力なら、逃げようと思えば可能だっただろうが……」

 

「それでお尋ね者になってしまうことや、こっちに迷惑がかかることを嫌ったんでしょうね」

 

 手紙のあて名がBARの店主としてのシャクヤクだったことや、手紙の中でレイリーの呼び名が一貫して『レイさん』になっていたことなどから、意図を読み取るシャクヤク。

 共通して元海賊という過去を持つ2人に配慮してのことだと、2人はすぐに分かった。

 

「心配するなって書いてあるけど、ちょっとそれも難しい話よね……何せ『天竜人』だもの」

 

「だが幸いにも、『奴隷』ではなく『妻』としてだ。そこまで露骨に虐げられるようなことはないと思いたいな。それでも油断できない生活にはなるだろうが……あの子ならうまく立ち回るだろう」

 

 はぁ、とため息をつくシャクヤクを安心させるように、レイリーは言う。

 

 レイリーの言う通り、これが『奴隷』として連れ去られたのであれば……面白半分で人を傷つける天竜人達のことだ、スゥがどんな目に遭うかは、考えたくもないだろう。

 しかし、『妻』であるならば……多少なりとも『奴隷』とは区分された生活になるはず。どんな形で暮らすことになるのかは、その天竜人の考え方次第だろうが……連中は割とそのあたりをきちんと区別して扱いたがるきらいがあるので、ある意味では信用できる。

 

 とはいえ、護衛や従者の不手際に苛立った天竜人が、その場の癇癪でそれを撃ち殺した、というような話もよく聞くため、油断はできないが……それについては、それこそ『天竜人』以外に誰にでも当てはまる話だろう。いっそ考えても仕方がない。

 

「あれで意外と世渡り上手な子だ……案外すぐに飽きて捨てられるかもしれないし、信じて待とうじゃないか。それに……こんなことも書いてあるしな」

 

 そう言ってレイリーは、手紙の最後に書かれていることを指し示して笑う。

 直接的には書かれておらず、暗号になっていたそれは……読み解いた時、思わず吹き出してしまったくらいに『彼女らしい』ものだった。

 

「『一生に一度あるかないかの機会だから、せっかくだしマリージョアを存分に取材してくる』……か。多分コレ本気で言ってるわよ。相変わらず神経が太巻きなコね」

 

「案外、その経験をもとに傑作が生まれるかもしれないぞ。土産話にでも期待して待つとしよう……それと、ハチにも説明しなければいけないな。次に来るのはいつだったかな?」

 

「もうそろそろだと思うわ。……あの子も優しいから、心配しちゃうでしょうね」

 

 心配していないわけではない。

 ただそれ以上に、信じてやることに決めた。

 

 バーのカウンターをはさんで静かに談笑する2人は、自分達の弟子であり、時には娘のようにかわいがっていた少女のことを想いながら、ひとまず寂しい時間を過ごすことを受け入れた。

 

 2人とも、何となくだが、これが今生の別れになるようなことはないと、どこかで確信しているようで……はた目からは、いたっていつも通りに見えていたという。

 

 

 ☆☆☆

 

  

 はいどうもー、このたび天竜人・バノサッカ聖の『妻』になりました、スゥです。

 現在私は、マリージョアの『神の地』にあるお屋敷で、何不自由なく暮らしています。

 

 ……うん、ホントに何不自由なく、普通に過ごせてます。

 今のところ、ではあるけど、何かひどい目にあったりすることもなく、普通に。

 

 どんな感じに普通なのか、具体的にじゃあ、私の1日を追ってみようか。

 

 まず朝、ふかふかのベッドで起きます。

 寝巻は多分シルクっぽい素材のネグリジェで、めっちゃ肌触りいい。というか、私が着る服ってインナーからアウターまでどれも肌触り最高で、いくらするのか想像もできないものばかりだ。

 

 あとコレも地味な共通点として、どれも生地が薄くてセクシーなデザインなのは……バノサッカ聖の趣味なんだろうかね?

 ネグリジェなんか、スケスケで普通に体の線が見えちゃうくらいだし。エロい。

 

 起きたらすぐにお着換え。

 着替えは夜のうちにお手伝いさんが用意してくれているので、下着まで全部それらに着替える。その際に、寝汗とかは濡れタオルで軽くだけど始末して、きちんと清潔にしておく。

 

 この着替え、本当は自分1人でやりたいんだけど……恥を忍んで、私専属の奴隷であるステラに手伝ってもらっている。

 何でかっていうと……普段着として着るドレスの構造が複雑で、1人だと上手く着れないから。背中の留め具とか飾り紐とか、人に見てもらわないと安心できないような構造があちこちにある。

 初日に着たドレスも、私には着方すらわからない代物だったっけな……。

 

 着替えが済んだら、諸々の後始末をステラに任せて、朝食に行く。

 

 食事は、屋敷のランチルームで1日3回、決まった時間に、『妻』全員で一緒にとることになっている。妻同士が仲良くするための交流の一環としてだそうだ。

 

 食事は毎食、すごく豪勢なものが当然のように出てくる。小耳にはさんだ話だと、一食数万ベリーという値段が付くような料理ばかりなんだそうだ。

 美味しいけど、テーブルマナーに気を遣うので、ちょっと窮屈に思えてしまう。 

 

 それ以外の時間は、各自、屋敷から出なければ思い思いに過ごせる。

 

 自室に戻って1人の時間を楽しむもよし。

 毎日きちんと届く新聞や、書庫にある豊富な蔵書を読んで時間をつぶすもよし。

 サロンで他の『妻』達とお茶したり、ゲームして交流しながら過ごすもよし。

 

 外に出て庭を歩いたりするのもOKだ。私達が出てはいけない『屋敷』というのは、敷地内全体を指していて、門を出なければ庭とかなら普通に歩いて問題ない。

 その庭もかなり広いので、屋敷の周りを2~3周くらい歩くだけで、そこそこの運動量のウォーキングになる。……靴はヒールとか飾り靴なので、歩きにくいけど。

 

 とにかく、昼間は何をしてもいい。自由なのだ。

 

 強いて言うなら、他の妻たちとできるだけ交流して、仲良くすることが推奨されているくらい。

 

 私以外の『妻』……私が『第27婦人』なので、他に26人いるわけだが、肌の色や目の色、髪の色や長さ、質感、体型なんかはさまざまである。共通した好みの女性を集めている……という感じはしなかった。

 

 共通しているのは、皆、美しくて若いという点と、種族が人間であるという点くらい。

 魚人やミンク族は見たことないし、人間であっても、普通からある程度以上に外れた姿かたちの種族……手長族とか足長族、蛇首族なんかはいない。巨人族もいない。

 

 食事や、サロンでお茶したりゲームに興じている姿は、その光景だけ見れば華やかだ。

 

 内実は違うのかって? ……それは人によるんだよ。

 

 私みたいに、いっそ割り切って楽しんじゃってる人や、むしろ高貴な生活をノリノリで満喫している人は、明るくて元気なので、まあ見ていられる。話してみても割と楽しいし、ここでの生活の秘訣とかいろいろ聞けるから有意義だ。

 

 が、やはりそうでない人もいる。物静かで不愛想な人や、それを通り越して明らかに暗い雰囲気をまとって、うつむいているような人もいる。ほの暗い目をしてブツブツ何かつぶやいている人も中にはいた。

 

 本人の意思に関係なく、無理やり家族や……ひどい人では、夫がいるのに引き裂かれてここに連れてこられたって人もいるからな……仕方ないと言えば仕方ないだろう。

 

 『妻』達の内情はこのくらいにして、1日の生活に戻る。

 昼食や夕食も同じく、ランチルームで一緒に食べる。それ以外は基本、自由時間。

 

 夜になると……9時前後にはお風呂に入る。初日には1人で入れられた大浴場で、これも妻全員が、多少時間は前後するが、一緒に入る。交流もそうだが……単に効率の問題かな、これは。

 

 昼間のうちにかいた汗をしっかり流し、汚れを落とし、清潔にする。そして、また用意された寝間着に着替える。

 その後は、そのまま部屋に戻ってもいいし、書庫やサロンでゆったり過ごしてもいい。

 

 10時には消灯、就寝となる。サロンその他の使用もできなくなるので、全員部屋に戻る。

 屋敷内は兵士や侍従が見回りをする。その時にまだ部屋の明かりがついたままだと注意されるので、さっさと寝るに限る。

 

 なお、私にステラがついているように、妻達には1人につき1人、世話役の女奴隷がついている。

 彼女達は基本的に、私達が寝た後に就寝し、私達が起きるより早く起床するという生活を送っているので、夜更かしは彼女達にとってもきついことになるのだ。

 

 疲れてふらふらの人をそばに置いておきたくはないし、このへんは私も気にしている。

 

 

 

 私達『妻』の1日はこんな感じ。

 

 これだけ見ると、すごく楽で理想的なニート生活って感じがするかもしれない。

 実際そうだ。何もしなくていいし、衣食住は高水準で保障されている。

 

 娯楽や生活範囲が限られているとはいえ、確実にそこらの一般市民よりいい暮らしをしている。この生活を純粋に楽しんでいる『妻』も少なくない。

 

 ……が、それはあくまで、何も波風立つような出来事がなければ、の話だ。

 

 この生活は、言ってみれば、『バノサッカ聖』のペットとしてかわいがられているが故のもの。

 だから私達は、彼に『かわいがられる』ように勤めなければならず……かわいがられなくなってしまえば、いとも簡単に根底からひっくり返され、全てを失ってしまう。

 

 まず、この屋敷だが……外観の特徴として、窓がやたらと大きい。

 これは、外から……というか、バノサッカ聖の本宅から、私達のいるこの別邸が、中までよく見えるようにそうなっているらしい。

 

 そっちに面した窓は、金色の格子状の飾り窓になっている。

 外から見たら、多分、巨大な金色のケージの中を覗き込むような形になるんじゃないだろうか。ハムスターとかを飼っている檻みたいに。

 

 私達がまさに、観賞用、愛玩用のペットとして扱われていることがわかる。

 

 昼に着るドレスや、寝る前のネグリジェなんかがセクシーなつくりなのも、バノサッカ聖の目を楽しませるためだ。

 実際、こっちを眺めてニヤニヤ笑っているバノサッカ聖の姿を、何度も窓越しに見た。

 

 さらに、気まぐれで屋敷に遊びに来て、私達の生活の様子を眺めていくこともある。

 その時は私達は、膝立ちで平伏するとかじゃなく、軽く会釈する程度にとどめて、普段通りの生活をしていることを求められる。そういうのを観賞したがってるから。

 

 私達は愛玩動物として、彼を楽しませなければならない。そうでなければ存在理由がない。

 

 例えば、太りすぎや痩せすぎで醜くなってしまったら。

 もしも、不潔にしていて汗臭かったり、服装や髪型の乱れで不快な思いをさせてしまったら。

 

 その時は……私達はいとも簡単に捨てられるだろう。

 場合によっては、ひどい仕打ちを受けたり、『妻』ではなく『奴隷』にその身分を落とされてしまうかもしれない。……過去にはそういう目に遭った人もいたと、『妻』としての先輩に聞いた。

 

 そうならないために、私達は常に気を配る必要がある。

 

 引きこもって自堕落に過ごすことなく、庭を歩いたりして適度に運動し、体型や美貌、健康を保たなければならない。

 しかし、あまりに力を入れすぎて『あいつ暑苦しいえ』なんて言われたらそれはそれで終わりなので、あくまで運動する姿自体も優雅にしなくてはならない。

 

 服装にも常に気を遣う。崩して着ていたり、肌の手入れ、髪のセットがおざなりだったりするのは厳禁。

 

 だからこそ、必要であれば『恥ずかしい』とかそんなことは考えずに、お手伝いさんの手を借りてきちんとした形でドレスも寝巻も着こなさなければならない。

 

 髪の手入れやお化粧はもちろん、起きた時の寝汗の始末や、お風呂で体を洗ったり拭いたり……あるいは、ムダ毛の処理なんかも然り。手が届かないところ、一人では上手くできないところは、手伝ってもらってでもきちんとやるべき。

 

 すっぽんぽんの姿を、同性とはいえ間近で見られたり、触られたり、その他色々……恥ずかしいことかもしれないが……そんなこと気にしている場合じゃないのである。

 愛される姿であることが、ここで生きていくための必須条件なんであるからして。

 

 私も、必要だと思ったらそうすることにしている。

 特に私、髪がかなりボリューミーでセットに割と気を遣うから、変になってないかステラに確認と、場合によってはセットも頼んでいるのだ。

 

 ただし、美しさや健康を保っていたからと言って、絶対に安全とも言い切れないのが、ここでの生活の怖い所のもう1つでもあるんだけどね……。

 

 何でかと言えば、時々気まぐれでバノサッカ聖から妻の誰かが呼び出され、聖地内の散策や、他の天竜人の家に遊びに行く際のお供をさせられるからだ。

 その時に『何か』が起こらないとも限らないのである。

 

 例えば、その遊びに行った先の天竜人が『その女欲しいえ! わちしの妻と交換してほしいえ!』とか言ってきたり、

 

 他の天竜人がやってる『遊び』――天竜人がやる『遊び』というのは大体ろくでもないのは周知の事実である――に、『お前も参加して来い』とか言われることになったり、

 

 ひどいときは、他の天竜人のご婦人が『私に髪の色や肌の色が似ていて気に食わないアマス』とか言って唐突に撃たれたり……いや、仮にも『妻』なのでこれはそうそうないらしいが。

 

 他にも、そうあることではないけど、気に入った部下に報奨代わりに『妻』を与えたり、流行りだからといってタトゥーを入れることを強要したり、余興代わりに『悪魔の実』を食べさせられたりといったこともあるらしい。

 

 なお、この話を聞いた私は、早々に自分が能力者であることを自己申告した。

 

 そのせいで見世物にされるリスクなんかはあるが、それを知らずに悪魔の実を食べさせられることになる方が怖い。

 悪魔の実は1人が2つ以上食べることはできず、もし2つ目を口にした場合は体が粉々になって死んでしまう。

 

 そう報告した直後、私はバノサッカ聖に呼び出されて能力を見せることになった。

 面白そうに見て笑っていたものの、すぐに見飽きたみたいで『帰っていいえ』と言われた。

 

 ……よかった、『体が紙なのかえ? じゃあ試しに火をつけてみるえ』とか言われなくて。

 それ普通に死ぬ奴。火は私の大弱点だ。

 

 なお、それ以降私は、能力をむやみに使わないように海楼石のアクセサリー(腕輪型)をつけて過ごすことになってしまったけど、純度の低い奴らしいので、ちょっとだるい程度で普通に動ける。デザインもおしゃれだ。

 

 こんなのもあるんだな、この世界には。

 海楼石に『純度』なんてものがあることも、初めて知った。

 

 結局、何も起こらないように、何かに巻き込まれないように願いつつ過ごすのが、ここマリージョアで生きていくための唯一のやり方なんだなって、この数日で嫌でも思い知ることになった。

 

 果たして私は、(いろんな意味で)きれいな体のままこの聖地を後にすることができるのやら……。

 

 

 

 

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