大文豪に私はなる!   作:破戒僧

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第60話 スゥ23歳、お祝いとお知らせ

 

 

 テゾーロが『ゴルゴルの実』の能力者になり、その鍛錬に必要な黄金を手に入れる方法をアドバイスとかしてみて……結果、1人ゴールドラッシュが起こったりして。

 それからまたしばらく時間が経ち……私はまた1つ歳をとり、23歳になっていた。

 

 前世なら、四年制大学を卒業して社会人の仲間入り、っていう節目の年齢だな。

 

 ここ1年くらい、それ以前に比べて……割といろいろなことがあった年だったな。

 

 まず、私の懸賞金について。

 ここまで約3年間ずっと、初頭手配の5500万ベリーのままやってきたわけだけど……この度、とうとう懸賞金が更新され、値上がりしてしまった。

 

 何度か海軍の船とか撃退したり、5000万ベリーを超える海賊とかもぶっ飛ばしたりしちゃってたからな……。

 海賊としての活動は全然しないで大人しくしてても、さすがに『この金額じゃ安い』って問題視されたか。

 

 新しい手配額は、7600万ベリー。

 まあでも、そんなに上がったわけじゃない。『億越え』ってわけでもないし、うん……全然許容範囲だよね、まだまだ。

 

 ……この上がり方を見るに、何度か億越えの賞金首を討ち取ったことがある……ってことまでは把握されてないな。

 それを知られてたら、こんなもんじゃすまなかっただろうし。

 

 海軍はもちろんだけど、海賊もさあ……大人しくしてても向こうから寄ってくるんだよ。

 私を討ち取って名を挙げようとするやつもいれば、下衆い考えを丸出しにして、捕まえて色々なことをしようとしてくるやつ……奴隷にして売り飛ばそうとか考えてるやつもだな。

 

 特に後者2つ、気のせいじゃなければ、十代の頃より増えた気もする。

 ……自分で言うのもなんだけど、色々育ったからな……大人の色気? とか、出てきたんだろうか? 全く自覚みたいなものはないんだが。

 

 自分ではナルシストでもないつもりなので、容姿に関して自分で言及するのは何とも……

 まあ一応、『ボンキュッボン』で割と童顔で、色白でシミ一つない肌ではあるけども。

 

 身長は特に、ワンピースキャラ特有のメートル単位での巨体になったりはしてないが……女性としては高め、か?

 いやでも、身長高い女性多いんだよなこの世界。マリーもソニアも、つい先日4m超えたし。

 

 しいて言うなら、ハンコックと同じか、ちょっと低いくらい、かな。

 

 あと、髪は少し伸びて、セミロングとロングの間くらいになった。私としては特にこだわりはなかったんだけど、ステラやシャッキーに、長い方が似合うって言われたので伸ばしてる。

 毛量が多い上に、微妙にふわっと癖のついた髪だから……毎朝きちんととかすのがちょっと大変かな。さぼると横に広がっちゃうんだ。

 褒めてもらえるのは普通にうれしいから……これはまあ、自慢の髪、かな。

 

 ……いつの間にか話がそれたな。

 

 まあとにかく、襲ってくる奴らを返り討ちにしてたら、私の懸賞金が増えたって話だ。

 

 次に、ついこないだなんだけど……ちょっと、これまでにない大冒険をした。

 

 何があったかというと……『空島』に行った。

 ただし、狙って行ったわけじゃなく、偶然行けた感じであり、行き方も、原作でルフィ達がやってた『突き上げる海流(ノックアップストリーム)』を使ったわけでも、他の行き方として描写されてた『ハイウエスト』とかいう場所から行ったわけでもない。

 

 さらに、たどり着いた『空島』は、原作に出てきた『スカイピア』じゃなかった。聞いたこともない名前の島で……一応無人島ではなかったけど、原作には出てきてなかったはず。

 

 まとめると、偶然、原作にもなかったやり方で、原作に出てこなかった空島に行けたのである。

 神様もいなかったし、ゲリラもいなかった。雷様もいなかった。黄金もなかった。

 

 けど、色々と得難い経験はすることができた。

 

 『空魚』とか、空島の水産物が結構美味しかったし……文字通りの『雲海』の感覚も、なんだか不思議な感じで面白かった。

 能力者だから、泳ぐことはできなかったけど、ちょっと水際で歩いてみるくらいならできた。

 

 通貨単位は、スカイピアと同じ『エクストル』だった。手持ちの貴金属を両替してもらってお金を手に入れて、色々買い物もした。

 

 そして何より、『(ダイアル)』が手に入ったのは嬉しい。下の世界……青海にないものだから、ずっとほしいと思ってたんだよね。いろいろ便利だし。

 

 今回訪れた島は小さい島で、そんなに水産物や『貝』の種類もなかったけど……これ、他の『空島』に行けば、もっと別なものが色々手に入って、色々な経験ができるのかな?

 しかも聞けば、空島への入り口はあちこちにあるって言うじゃないか。それこそ、『偉大なる航路』に限らず、4つの海からでも行ける場所はあるとかないとか……

 

 そういうのを探してみるのも、面白そうではあるかも。

 

 その他にも、海賊との戦いの中でいい武器を手に入れたり、テゾーロとさらに何度かゴールドラッシュしたり、また色々出版したり……色々とあったなあ。

 割と忙しい、けど充実した1年だった。

 

 

 

 さて、そんなある日のこと。

 

 私は今日、『女ヶ島』に来ていた。

 

 ハンコック達を送り届けてからも、女ヶ島にはちょくちょく遊びに来てた。いつでも来てくれていい、って言われてたからね。

 まあ、『ちょくちょく』来れるようになったのは、『凪の帯』を自力で横断できるようになってからだから、わりと最近かもだけど。

 

 しかし、今日はちゃんと理由、ないし用事があってここを訪れている。

 

 どんな用事かというと、

 

「それじゃあらためまして……『九蛇海賊団』の船長就任、おめでとう、ハンコック! お祝いに来るの遅くなっちゃってごめんね」

 

「気にするな、スゥ。こうして来てくれたことがまずわらわは嬉しい……ありがとう」

 

 そう、ハンコックがこの度、『九蛇海賊団』の船長になった。

 イコールで、『アマゾン・リリー』の皇帝に即位したわけである。

 

 2年前、彼女をここに送り届けた時は、ハンコックならすぐだって言ってはいたけど……復帰後わずか2年で、女ヶ島のトップに上り詰めるとは。さすがは未来の『海賊女帝』。

 

 いや、確かもうそう呼ばれ始めてるんだっけ?

 

 二つ名について聞くと、隣にいたマリーゴールドが、

 

「姉さまが船長になった後、初めての遠征で、8000万ベリーの懸賞金がかかってね。海軍の軍艦も何隻も返り討ちにしたから、すごい勢いで有名になり始めてるわ。『女ヶ島』の皇帝っていう立場も相まって、『海賊女帝』なんて呼ばれてるみたい」

 

「それに恐れをなして、先日政府から、姉さまに『王下七武海』にならないか、っていう誘いが来たところなのよ。どうするかは今検討中」

 

 続けてサンダーソニアもそんな風に教えてくれる。

 あ、もう来てるんだ、『七武海』の誘い。やっぱ受けるの?

 

「……正直迷っておってな。ニョン婆は、外部の干渉を防ぐ手札になるから受けるべきだと言っておるが、わらわとしては、その『七武海』の地位自体が、逆に外部からの……特に、政府や海軍の干渉を招くことになるのではないかと思っておる。それに……風評など気にするつもりはないとはいえ、『政府の狗』呼ばわりされるのも面白くはないしな」

 

「メリットとデメリット、どっちもあるもんね……いつまでに決めるの?」

 

「一週間以内に『伝書バット』に返事を持たせて飛ばすか、政府に直接電伝虫で伝えることになっておる。まあ、よく考えて決めることにするさ」

 

 ふぅ、と溜息をつくハンコック。皇帝だと色々決めなきゃいけなくて悩むことも多いのかな?

 原作では、いかにも自信たっぷりな統治者ないし指導者って感じだったけど、今はまだ、比較的丸い……のかも?

 

 とりあえず、何か相談とか、力になれることがあったら遠慮なく言って、と言っておいた。

 

 私からはひとまず、就任祝いに持ってきた、色々な種類の『(ダイアル)』詰め合わせを渡して……それに加えて、こっちからも伝えることがあったので言っておく。

 

「『偉大なる航路』を出る……? そなた、『4つの海』に行くつもりなのか?」

 

「うん。『偉大なる航路』だけが海じゃないからね、色々な経験を求めて、しばらく『偉大なる航路』を離れて、色々回ってみることにした。それなりに時間はかけてね」

 

 私の報告に、ハンコックだけでなく、サンダーソニアやマリーゴールド、それに他の仲のいい九蛇の娘達も驚いていた。

 『4つの海』から『偉大なる航路』に、夢を抱いてやってくる海賊は多いだろうけど、その逆はあまり聞かないもんな。海賊たるもの、『偉大なる航路』で暴れてなんぼ、みたいな認識だし。

 

 あるいは、『新世界』に行こうかともちょっとは考えたんだけど……さすがにまだ早い気がするというか、そこまでの自信はないというか……

 この『4つの海』の旅は、そのまま修業期間としても活用する予定だ。『新世界』へ行くための。

 

「……こうして『九蛇』の皇帝になったわらわさえ1度も勝ったことがないそなたに、そんな風に過度に謙虚というか、自信なさげでいてほしくはないのじゃがな……」

 

「? 何か言った?」

 

「いや、何でもない。まあ、お主の実力なら『4つの海』程度、何も心配はいるまい。どのくらいの期間行っているつもりなのじゃ?」

 

「特に決めてないんだけど、そうだね……それぞれの海1つあたり1~2年くらいはたっぷりかけて色々回りたいかも」

 

「随分と気の長い旅行計画じゃな。ビオラやリンドウあたりが寂しがりそうじゃ」

 

「あははは、ごめんね。……ハンコックは寂しがってくれないの?」

 

「さての。気が向いたらいつでも来るといい、お主ならすぐじゃろ。それに……そうじゃ、『4つの海』に出ている間、執筆活動は続けるのか?」

 

「もちろん! 私のライフワークだし、今回の旅だって、その旅で得た『経験』を資料にするためのものだからね。まあでも、書いた原稿を出版社に届ける方法ならいくつもあるし、もしかしたらたまに『偉大なる航路』に帰ってくるかもしれないしさ。ほら、4つの海からでも、『リヴァースマウンテン』を通れば来れるわけだし、今の私ならいざとなれば『凪の帯』も突っ切れるし」

 

「ならよい。お主に筆を置かれると、泣きそうな連中が女ヶ島にも多くてな。かくいうわらわも、全部ではないが楽しんで読ませてもらっておる。『4つの海』の経験から書き上げる新作も、期待させてもらうぞ」

 

「期待にそえるように頑張るよ。そっちも、色々頑張ってね」

 

 こうして私は、しばしの間、『偉大なる航路』を離れて……『4つの海』を回って、色々な経験をこの身に収めていくための旅に出ることにした。

 

 なお、この話は、シャッキーやレイリー、ステラやテゾーロにはすでにしてある。

 皆、多少なり心配しつつも、快く送り出してくれた。

 

 よっし、せっかく世界をめぐるんだ……いい経験をいっぱいして、いい話を書けるようにならないとな!

 

 まずは、このまま『偉大なる航路』に戻らずに、『凪の帯』を突っ切って、『南の海(サウスブルー)』に行くことにするか。

 原作ではほとんど何も描写なかったから、何があるかすらわからない海だな。

 

 ……でも、うん、かえって楽しみだ!

 

 

 

 

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