大文豪に私はなる!   作:破戒僧

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どうも皆さま、破戒僧です。

今日から更新再開いたします。
また1日1回更新続くかどうかはちょっとわかりませんが……矛盾ができない程度に考えつつ、なるべく毎日かけていけたらな、と思ってます。

よろしくお願いします。

では、新章となりまして第62話、どうぞ。


第5章 嵐の前のフリーランス
第62話 スゥ、帰還


 

 

 『偉大なる航路(グランドライン)』。

 

 世界を一周する形でぐるりと海を横断し、『赤い土の大陸(レッドライン)』と共に、世界の海を4つに分ける、一続きの長大な海。

 特殊な気候や気象が存在し、あまたの海獣や海王類が住むその海を、ある者は『海賊の墓場』、またある者は『海賊の楽園』と呼ぶ。

 

 常識が通用せず、『ありえないなんてことはありえない』という格言をまさに体現したかのようなその海では、その時々の場所や運にもよるが、あまりにも非常識な風景を、日常的に、当然のように目にすることになる。

 

 例えば、こんな風に。

 

「本当だって! 嘘なんか言ってねえ、信じてくれよ!」

 

「馬鹿言え、いくら『偉大なる航路』だからって、そんなもんがあってたまるか。大方、酒飲みすぎて変なもん見たんだろうが」

 

「そうだよ。何だ一体『空飛ぶ船』って……」

 

 とある海賊船の甲板にて、慌てた様子の1人の男と、その仲間たちが何やら言い合っていた。

 

 その騒ぎを見たこの船の船長は、一体何の騒ぎだと、少し苛立った様子で話しかける。

 

「ああ船長。すいやせん、騒がしくして……こいつが変なもんを見たって騒ぐもんで」

 

「あ? 変なもんだ? 一体何を見たってんだ」

 

「なんでも、羽の生えた船が空を飛んでたとかなんとか……」

 

「ほ、ホントですよ船長! 俺、酔っ払ったまま見張りなんかしてません! 信じてください!」

 

「羽の生えた船、ねえ……?」

 

 それを聞いて、船長の男は周りを見渡してみるが、そんなものは当然、どこにも見えない。

 部下の言う通り、二日酔いか何かで変なものを見たか、あるいは何かを見間違えたのだろうと、その船長も結論付けた。

 

「お前が嘘を言ってるとは思わねえがよ……さすがに何かの見間違いだろ。小舟を掴んで飛んでた怪鳥か、あるいは船みたいな形をした鳥とかな」

 

「ぎゃははは、船長そんな鳥いますかね!? それはそれで怖えっすよ!」

 

「まあでも、大方そんなところでしょうね。ほら、酔ってねえんならさっさと持ち場に戻れ。交代の時間はまだ先だぞ」

 

「へ、へい……」

 

 まだ微妙に納得のいかなそうな様子だったが、もうすでにその『羽の生えた船』は見えなくなってしまっており、船長達に見て確かめてもらうことも、もうできない。

 本当に見間違いだったのかもしれないと、無理やり自分を納得させて、その男は仕事に戻った。

 

 

 

 そんな一コマが繰り広げられていた海賊船の、はるか前方。

 その上空、雲よりも高い位置にて。

 

「お姉さま!? スゥお姉さま!? 今寝てた!? 寝てましたよね絶対!?」

 

「んあ……いやいや、寝てない寝てない、大丈夫大丈夫」

 

「寝てた人はみんなそう言うのですわ……」

 

「ちゃんとしてくださいよぉ! この船飛んでるのスゥお姉さまの能力なんですから! お姉さまが寝たら落ちちゃいます! そしたら私達、真っ逆さまで海の藻屑ですよぉ!」

 

「あんたたちは魚人だから泳いでどうにでもなるじゃない! 私なんか能力者だから一発でアウトだって……っていうかスゥお嬢様、あんたもそうでしょ! ホント死ぬからしゃきっとしてよね! 眠いんなら眠気覚ましのドリンクとか飲みますか?」

 

「えー、あれ美味しくないからヤダ」

 

「なら、いっそどこかで一度降りて休憩にしませんこと? 思い切って仮眠を取った方が安全ですわ」

 

「そうしましょうよ。ちょっと遅刻するくらい、テゾーロ様達も許してくれますって。電伝虫でも1本入れておけば。ね?」

 

「さんせーっ! 安全第一!」

 

「あー……うん、じゃ、そうしよっか。リュビ、ちょっと海図見て、近くによさそうな島とかないか調べて。サフィル、電伝虫持ってきて。盗聴防止の白電伝虫も一緒にね。エムロードは予定表を書き直しといて。あとハニーは…………特に何もないや」

 

「ないんかい」

 

 上空高くを進むその船には、海賊が言った通り、羽が生えていた。

 船の中腹あたりから、左右に3枚ずつ……3対6枚の、紙でできた羽根。

 

 それが風を捉えて浮力を発生させ、また自らも羽ばたいて推力を生み出すことで、大空を自由自在に舞っている。

 

 その船の中で、5人の少女、あるいは女性がきゃいきゃいと騒いでいた。

 

 内3人はまだ年若い、十代半ばほどの……どうやら魚人。

 3人とも日に焼けた褐色の肌で、健康的で元気な美少女といった雰囲気。

 

 別な1人は人間で、その少女たちよりも年上のようだ。緩いウェーブのかかった金髪で、3人の魚人の少女とはまた違った、大人らしい妖艶な雰囲気をまとっている。

 

 残る1人……その4人から『お姉さま』あるいは『お嬢様』と呼ばれているのは、わずかにふんわりとした質感の、白に近いプラチナブロンドの髪が特徴的な女性だった。

 見た目は若々しく、少女と言っても通じそうではあるが……その実、この中で一番年上なのは彼女である。

 

 そして、この船の責任者……いうなれば『船長』とでもいうべき立場であり、先程の会話の中身の通り、この船を大空に飛ばしているのは、ほかならぬ彼女の『能力』だ。

 

「スゥお姉さま、この近くにバナロ島っていう島があるみたいです。特に目立った観光資源とかも無い島みたいですけど……まあ、ゆっくり休む分には問題なさそうかと」

 

「ん、じゃあそこ行こっか。さすがに空から乗り付けるのは騒ぎになるだろうから、ちょっと手前で降りて海からいかないとね……ふぁ」

 

「頑張ってお姉さま! あ、でも行くのが海なら私達だけでも航海はできますね。今日は風もあるし、いざとなったらハニーに水車回してもらえば」

 

「マジで? あ、じゃあその間ちょっと寝ていい? いやー、さすがに眠くてちょっと限界かもだったんだよね、正直」

 

「やっぱり眠かったんですのね……」

 

「執筆のために3徹もするからですよぉ……もぉ、小説のことになるとホントに色々ぶっ壊れるんだから」

 

「モルガンズも電話でそれをあおりますしね、まったくあの鳥め……」

 

「ハニー、ハンモックどこだっけー?」

 

「はいはい、こっちですよー」

 

 緊張感のないやり取りをしながら、その船はゆっくりと高度を下げていき、無事に海面に着水。

 そこからは、船に乗る3人の魚人の少女達が操船を代わり、今の今まで『紙の翼』を生やさせて大空を飛ばしていたその張本人は、ハンモックに体を預けて寝息を立て始めた。

 

 彼女の名は、ベネルディ・トート・スゥ。

 人呼んで『海賊文豪』。

 

 懸賞金7600万ベリーがその首にかかる賞金首でありながら、その右手とペンで生み出し続ける本によって世界中にファンを持つ、異色の海賊。

 

 実に8年近くにも及ぶ、4つの海を股にかけた諸国漫遊の旅を終え、この『偉大なる航路』に戻ってきたところだった。

 

 

 ☆☆☆

 

 

 久しぶりの『偉大なる航路』……ってわけでもないんだよなあ。

 4つの海を旅してたのはホントだけど、用事とか色々あってちょいちょい戻ってきてたから。

 

 その用事だけ済ませてすぐに旅に復帰してはいたけど、それでもまあ……最後に『偉大なる航路』には、半年くらい前にも入ってたっけ。

 ああいや、中1年くらいちょっと長めに滞在して、むしろ旅の方をお休みしてた期間もあったからな……色々あって(2回目)。

 

 うん、まあ、そんなに深く考えなくてもいいか。

 もともと自由にあちこち旅して『経験』を積んで、色々な小説を書く……そういうのが私の人生だったわけだし、気にしても今更ってもんだ。

 

 ともあれ、この8年間、私は『4つの海』……『南の海』『西の海』『北の海』『東の海』を順繰りに巡って、その海にある様々な島や国、あるいは、遺跡や、既に滅びた国なんかをめぐってきた。

 

 特筆すべきことが何もなく、収穫がなかった島もあれば、『偉大なる航路』でもなかなかできないような、得難い経験ができた島も中にはあった。

 

 『南の海』では、空手の盛んな島や、あんまりよろしくない貴族政治の島があった。それ関係のトラブルにもちょいちょい巻き込まれたけど、漫遊の旅の慣らしにはちょうどよかったな。

 

 『西の海』では、別名を『マフィアの海』。その名の通りマフィアやらギャングの活動が盛んで、あんまり治安がよくない感じ。表面上は取り繕っていても、裏取引とか、色々ブラックな部分が見え隠れする海だったと思う。それこそ、世界政府加盟国ですらも。

 

 『北の海』は、豊かな国と貧しい国、治安がいい国と悪い国の差が激しい海だった。

 病気と戦争によって滅んだ『白い町』こと『フレバンス』……の、跡地にも行ってみた。この国も、世界政府の犠牲者なんだっけな。

 

 『東の海』は……一番平和な海、ではあったと思う。海賊の強さ的にも、海軍の強さ的にも。

 でも、一番イベントが多い海でもあった。詳しくは省くが。

 

 出会いもあったし、別れもあった。敵も倒したし、友達や仲間もできた。

 

 ただ、今この船に乗ってるこの4人は……まあ、一応『仲間』ではあるものの、私の海賊団の仲間、ってわけじゃないんだけどね……。

 どっちかといえば……お世話役とか、従者、みたいな感じなんだろうか。

 

 まあ、色々助かってるし、一緒にいて結構楽しいので、彼女達のことは好きだ。だから、うん、仲間として扱うことに抵抗は特にない。

 

 それでも、基本的に私って、自由気ままな一人旅が好きだから……拠点に戻ったら、それから先はまたしばらく1人で好きなようにさせてもらうつもりでいるけどね。

 

 そのあたり、『パパ』にもきちんと話をしなきゃな。

 

 さて、それじゃまあ……ちょっと手近な島で休憩してから、目的地である『グラン・テゾーロ』にはその後行きましょうかね。

 元気かなー、テゾーロもステラも、あとハンコック達も。

 

 

 

 




あっという間に年月は流れ……というわけで、時間飛んで8年経過後でスタートしました。

その8年の間に何が起こったか、どんなエピソードがあったか、誰と出会ったか……そのへんの部分については、今後機を見て書いていくよていです。
あるいは後付けでネタを今後思いつき次第、とかも……その方が書きやすいので。

さっそく色々、謎とか伏線っぽいのとかキーワードっぽいのとか出てきましたし……


それと、作中にていきなり登場したキャラが4人ほどいますが……彼女達の素性については次回書く予定です。明日か明後日……かな。
……一応、オリキャラではないんですが……知名度(多分)ないからほぼオリキャラ扱いになっちゃう……かも?

まあ何はともあれ、今後書いていきます。
今後ともどうぞ拙作をよろしお願いします。破戒僧でした。
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