大文豪に私はなる!   作:破戒僧

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冬島編、今回でラストになります。

感想欄で百合がお好きな方が多くてびっくり。

そうなると、今回のこの結末は……どう、なんだ?

とりあえず、どうぞ。


第71話 スゥの冒険記 とある冬島(4)

 

 

冬島サバイバル生活 9日目

 

生存者内訳

男:7名

女:2名

オカマ:3名

 

 予想できたトラブルに、予想できなかったトラブルに、色々あったけど……ひとまず無事に全員生き残り続けられてるよ。

 

 サバイバル自体は、前までと同じように余裕がある状況だ。

 

 ただ、ここ数日で、再びメンバーのメンタルが少し揺るがされ始めた。

 

 原因は主に2つ。

 

 1つは、こないだも懸念して考えた、ひとところに男と女(と、オカマ)が押し込められているがゆえの、情欲から来るストレスの問題。

 

 そしてもう1つは、『いつまでこれが続くんだろう』という心配……かな。

 

 この数日間の間に、何度か風が穏やかになって、『今なら海に出られるんじゃないか!?』っていう感じになる時があったんだ。

 男達……特に、気が短い海賊達はその時に、『まだ様子を見た方がいい』っていう私達の声に耳を貸さず、強引に出航しようとしたことがあった。

 

 けど数時間もすればまた猛吹雪に逆戻り。

 もし出航していれば、海の真ん中で視界が利かなくなり、立ち往生からの海面凍結、身動きが取れなくなり、そのまま餓死あるいは凍死一直線だっただろう。

 

 まるで罠にかけるかのような、この不定期に来る疑晴天がややこしいしタチが悪い。

 

 幸い私は『風見鶏』でその疑晴天に関してもある程度見破れるから、罠にかかって死ぬことになるのは回避できてるんだけど……問題は、『行けると思ったらだめだったこと』と、『それが何回も続いていること』だ。

 コレのせいで、いつになったら自分達はこの島を脱出できるのか、ずっとここに閉じ込められたままなんじゃないか、っていう不安が皆の心の中に広がっている。

 

 その苛立ちが余裕をなくさせていき、それとは関係ないところにまで八つ当たり的に不満が爆発してしまいそうになるのだ。

 さっきちょっと触れた、劣情云々もそうだし……それ以外にも、日々のちょっとした不満とか、いつもの生活習慣の中で我慢してること諸々とかにさ。

 

 前までに比べて、ギスギスして口論が起こることが増えてきた気もする。あるいは逆に、1人でふさぎ込んで不安がったりしているようなところを見せる者もいる。

 そのたびに私やシェレ、それにオカマさん達がどうにかなだめてるけど、いつまで持つか……

 

 意外なのは、海賊達3人の方にも……劣情とか不満をまき散らすような形じゃなくて、わかりやすく弱気になっている様子を見せる機会が多いことだ。

 最初は色々と、荒くれらしい強気さを見せていた海賊達だけど……ここ最近はちょっと違う。

 

 私やシェレはそれを意外に思いつつ、漠然と不安を感じつつも、その理由まではわからなかった。

 

 けど、ここでも活躍してくれたのは彼女達だった。

 

「簡単なことよ。彼らも同じ、不安で、怖いのよ。これからのことを考えるとね。いろいろなことを考える余裕が出てきたからこそ、それに気づいちゃったのねん」

 

 ただいま食事中。

 『ご一緒いいかしらん?』とこっちに来たオカマさんの1人が、そう説明してくれている。

 

 3人は相変わらず気配りができるオカマで、何か思いつめたりしている様子のメンバーがいると、それとなく近くに寄って話を聞いたり、愚痴を吐き出せるだけ吐き出させてそれを聞いてあげたりと、皆の精神の安定に一役も二役も買っている。

 それゆえに、今こうして起こっていることについてもきちんと理解しているようだった。

 

「最初は不安で不安で、生き残ること以外、何も考える余裕がなかった。少し余裕ができると、ちょっぴりおイタなことを考えちゃうようになった。それも少し落ち着いて、もっと大きく物事を見るようになったのね、きっと」

 

「大きく……とは?」

 

「スゥちゃんがさっき言ってたことそのまま。このまま行ったらどうなるのか、自分達に未来はあるのか……ってことよん。例えば、この間の『疑晴天』の時、彼らは早くここを出よう! って言ってたけど、実際にその時船を出してたら、海の真ん中で死んじゃってたわけよね? 私達が止めたからそうはならなかったけど……」

 

「それにビビってる、と?」

 

「より正確に言えば、自分達の判断が間違っていたことに、かしら。自分達のやりたいようにやったら死んでいた。私達が止めたから助かった。彼らが気にしてるのはそのあたりねん」

 

 そう言ってオカマさんは、海賊達の方に目を向ける。

 その目は……奴隷の子を慰めた時や、冒険家達を励ます時にしていた、慈愛の目だった。向ける先が海賊達であっても、それは変わらなかった。

 

「海賊なんて、やりたい放題やってなんぼ、ってとこあるでしょ? 今までは、仕方ないから合わせてやってるんだ、っていう意識が強かったのよ。けど、何度も経験するうちに、気づいてしまった。自分達だけじゃこの島で生きていけないことに。無事に脱出するどころか、生き延びることすらできないんだってことに。……自分達が、生かされている、生かしてもらっているってことに」

 

「それは……しかし、今更ではないか? こう言っては何だが、ここにいる全員、そういう状況だと言って差し支えないだろう?」

 

「そうそう。役割分担して負担を減らして、どうにかサバイバルできてるわけだし」

 

 その役割の中では……一応は海賊達も、きちんと自分達の仕事はこなしている。もちろん、さぼれば死ぬわけなので、当然と言えば当然なんだが。

 けど仕事をきちんとやっている以上は、別に負い目に感じる必要もないと思うんだが。

 

「頭ではそうわかっていても、男の子ってそのあたり不器用なものなのよん。自分の人生、自分の好きなように生きていきたい、自分で道を選んで切り開きたい……そんな風に思うものなの。特に海賊なんて立場の子はね。海賊になった動機がそれだっていう子も多いんじゃないかしら」

 

 だからこそ、と続ける。

 

「多少の妥協こそあれ、己の道を貫くことこそ信条。しかし、それができない状況に置かれ、半ば自分達の生殺与奪を握ってるのは、自分達よりも強くて色々なことができる者達。彼女達に見捨てられてしまったら、自分達は死ぬしかない……そんな風に考えてしまうの。無用な心配でもね」

 

「けど、『そう考えてしまう』ってこと自体が、彼らにとっては耐えがたい屈辱……ってこと?」

 

「屈辱っていうよりは、不安でしょうね……けど、そういう弱気な部分を見せるわけにはいかない。見せたくない。それもまた、彼らの男の子ゆえの意地みたいなもので……結局それが攻撃的な言動に変わって、周りも巻き込んで余計に不安な空気を作り上げてしまう、ってわけねん」

 

 なるほどね……言われてみると納得する。

 

 彼らも、単に傍若無人気味の無法者っていうだけじゃなく、いや、そうであってもそれ以前に……1人の人間に変わりはない。

 怖いこともあるし、不安にもなる。そしてそれを表に出せずに、他人にかみつくようなめんどくさい反応を見せてしまったりもする……と。

 

 そう考えると、彼らも少しはかわいそうな状況ではある、のか。

 だからって周囲に当たり散らされたり、トラブルを巻き起こされちゃたまったもんじゃないが。

 

 しかし困ったな、それがこの問題の原因だとすれば……解決方法は『この島を脱出して解放される』以外にないぞ。

 役割分担の構図をいまさら変えるわけにはいかないし。そんなことしたら、今の生活に慣れてようやくでき始めた『余裕』がなくなる。

 

 結局のところ、打つ手なし。吹き出した不満、起こったトラブルを、その時々で対処していくしかないってことか……

 

 そんな風に考えていると。

 

「ふっふっふ、しょうが無いわね、あのお馬鹿さん達ったら。いいわ、ここはひとつ、お姉さん達が一肌脱いであげようかしらん♪」

 

「「…………?」」

 

 何やらオカマさんには考えがあるようで、『任せて!』と私達にウインクを飛ばしつつ、海賊達の方に歩いていった。

 

 何をするつもりなのかは教えてくれなかったし、予想もつかないけど。

 前まで見たいに、また愚痴を聞いたりしてなだめてあげる、とかかな? でも、それだと結局は根本的な解決にはならない気が……

 

 ……いや、どの道何もできない私達が言うことじゃないか。

 

 今まで幾多のトラブルを解決してきて、なんだかもう純粋に尊敬できる人生の先輩みたく思えてきてるオカマさん達のことを、信じて待ってみよう。

 彼女達なら、なんとかしてくれる。そんな気がする。

 

 

 

 

 

 そんな風に考えてしまった。

 

 油断してしまったんだと思う。

 今までずっと、大丈夫だったから。

 

 彼女達に任せておけば大丈夫だ。きっと何とかしてくれる。何も心配することなんかない。

 

 そんな風に考えて……

 

 せっかく、せっかくここまで、誰一人欠けることなく、12人でやってこれたのに……!

 

 

 この数日後。

 それは、起きた。

 

 

 

 

 

冬島サバイバル生活 14日目

 

生存者内訳

 

男:4名

 

 

女:2名

 

 

 

 

 

 

 

オカマ:6名

 

 

 

 

 

「「なんで!?」」

 

 

 

「やだぁ~、ちょっとお肉の切り方変になっちゃったぁ~! もうどうして上手くいかないのぉ!?」

 

「あらぁんダメよそんなんじゃ! おてては猫の手、料理初心者なんだからゆっくり丁寧に作りましょ。愛情たっぷりの料理を皆に食べてもらいたいでしょ?」

 

「そうよ、焦らないでゆっくり丁寧に! 私も手伝うわ、半分ちょうだい?」

 

「ねえお姉さま、味付けってこれでいいのかしら。ん~……いつもお姉さま達が作ってくださるのより、ちょっと濃いかもしれないわ」

 

「そのくらいで大丈夫よ! 煮込めば野菜からお水が出るから丁度良くなるわ。さあ皆、あとはゆっくりコトコト煮込んで完成よ! もちろん愛情を込めるのを忘れちゃだめよん!」

 

「「「はいっ、お姉さま!!!!」」」

 

 調理場に立つ、6人のオカマ。

 うち3人は、確かにこの間まで、口調も恰好も男そのものだったはずだった。

 

 それが、たどたどしくも一生懸命な手つきで、肉を切り、野菜を刻み、鍋に火をかけて料理を作ろうとしている。

 

 ねえ君達? なんでそんなことになってんの?

 君達ついこの間まで、いかにも海賊、いかにも無法者、無頼漢って感じで荒くれてたよね? 私やシェレのことちゃんとエロい目で見て、いかがわしいことしようとして狙ってたよね?

 

 何でそんな……オカマさん達と同じ、慈愛に満ちた目になってんの!?

 

 しかも顔! その、なんか……ひげも生えてた人は全部剃って、立派な青髭になっちゃって……

 海賊の服じゃなく、オカマさん達と同じ女物の服を着こなし……てはないか。体ごついままだから違和感は普通にすごい。でもそれはオカマさん達も同じだ。

 

 マジで何が起こったの!? このたった数日の間に! 君達の心と体に何が起こったの!?

 

 っていうかオカマさん達!

 どうやって解決するのかって予想もつかなかったけど! 信頼して任せちゃったけど!?

 

 確かに彼ら、男の子の意地だから弱みを見せられないんだって言ってたけど!

 

 だからって男の子じゃなくすれば解決するなんてどう予想しろってんですか!?

 

「私達、今まで愚かだったわ! 自分達だけがつらいんだなんて思って、他人を思いやることができなくて……」

 

「皆に迷惑をかけて、不快な思いをさせてばかりだったの……よよよ……」

 

「ニコライ、あなたもごめんね……私達が独りよがりで、人の痛みがわからなくて、傷つけることしかできなかったばかりに、ひどいことをして、つらい思いをさせてしまって……」

 

 あ、奴隷の子、ニコライ君っていうのね。

 

 ニコライ君、今まで自分にきつくあたってた海賊達が、ある意味で変わり果てた姿になって、泣きながら自分を抱きしめて詫びているっていう今の状況についていけなくて固まってるよ。

 怒りも泣きもせず、感情の整理が追いついてない感じ。

 

 もちろん、冒険家達3人や、私やシェレも唖然とするばかりだ。

 

 ……しかし、

 

 

 

「…………すごい」

 

 

 

 ……ニコライ君?

 

「あんなに怖かった海賊達でも……こんなに優しい心を持つことができるんだ。皆さんみたいに、人を愛する、優しくて強い人に変わることができるんだ……!」

 

 あの、君……なんでそんなキラキラした目になってんの?

 なんでそんな期待と尊敬のまなざしでオカマさん達を見てんの?

 

 いや、君がオカマさん達のことを尊敬してるのも、懐いてるのも知ってたけどね? 助けてもらってたし、優しくしてもらってたし。

 けど、男には、人間には決して越えちゃいけない一線ってものがきちんとあってね!?

 

「僕も……僕も、皆さんみたいに、強くて優しい男に、いや、オカマになれますか!?」

 

「もちろんよ、ニコライ君! 歓迎するわ!」

 

「一緒に一緒に立派なオカマを、いえ、新人類(ニューカマー)を目指しましょう!」

 

「心を乙女に! 強く、優しく、美しく! いざ、性別を超えたその先へ!」

 

「「「ヒーハー!!」」」

 

 は、早まるなー!

 

 

 

 ……あ、ちなみに彼ら、彼女らの名誉のために言っておくと、海賊さん達3人は、オカマになったから改心したわけじゃなかったよ。

 

 きちんとオカマさん達に根気強く、優しく、時に厳しく諭されて、『もう自分に正直になっていいの。皆に甘えてもいいのよ。一緒に歩んでいきましょう』って言ってもらって、凍り付いた心をきちんと溶かしてもらっていた。

 ちゃんと、まっとうな方法で物事を解決してくれていたのだ。

 

 ……ただ、その結果として心を開きすぎたというか、色々なものを解放しすぎた海賊3人が、男という壁すら越えてしまっただけで。

 

 

 ☆☆☆

 

 

冬島サバイバル生活 15日目

 

生存者内訳

男:3名

女:2名

オカマ改め新人類(ニューカマー):7名

 

 翌日にはこれである。

 

 元から割と童顔で美男子だったニコライ君は、他の面々に比べればまだビジュアルはましだけど……すげえ、もう7人とも、昔からの戦友だったみたいに仲良く、違和感なく溶け込んでる。

 

 逆にこっちが疎外感感じるくらいだ。

 

 ま、まあ……いや、うん、えっと……逆に考えよう。

 これでもうトラブルは起こらない。悩みの種だった海賊達の欲求とかそのへんも、別方向にメンタルがぶっ飛んで解消されてくれたわけだし……問題は、なくなった。

 

 別な問題が色々発生してる気がするが、気にしなければどうということはない!

 

 むしろ、残る男3名……冒険家の彼らの方のそういう感情とか不安感に集中して警戒できると思えば、うん、決して悪くは……

 

 

 ☆☆☆

 

 

冬島サバイバル生活 19日目

 

生存者内訳

男:0名

女:2名

新人類(ニューカマー):10名

 

 

 こ れ で あ る

 

 

 いや確かにこないだ思ったけども! 冒険家3人のメンタルとかそっちの方が注意だって!

 だからって同じようにこの方法で解決してくれとは言ってない!

 

 というかそうやってポンポン気軽に性別を超越すなよ!?

 

 で、聞いてみたら、冒険家3名をこの道に引きずり込んだのは、最初の3人であるナチュラルオカマさん達ではなく、なんと海賊からオカマに転生した3人だった。

 自分達と同じで不安に押しつぶされそうになっている冒険家3人を見ているだけにはできず、たどたどしくも話を聞いて力になろうとして。

 

 それを嬉しく思った冒険家3人が心を開いて、無事に和解して心を通わせることができて。

 

 そして、彼らもオカマになった。

 

 何この感染力。

 何で改心とオカマがいちいちセットなの?

 何でそんな何着も何着も女物の服持ってんの?

 私は何を見せられてるの? オカマハザード?

 

 こんなことになるなんて予想もしなかったよ……

 誰一人欠けることがなかったのは喜ばしいけど、女2人以外全員新人類(ニューカマー)になっちゃうとかどう予想しろってんだよ。

 

 女:新人類(ニューカマー)が1:5の比率になっちゃったまさかの状況。

 私もシェレも、安心したはいいけど、ちょっと逆に肩身が狭いというか、ノリについていけない感じの日々を過ごしていくんだろうな……。

 

 そんな風にため息をつきながら、私は思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まさか、さらにこの先があるなどとは思いもしなかった。

 

 

 

 

 

「私は……うらやましい。男とか、女とか、そんなことを気にせずに、自由でいられるあなた達の在り方が……そんなものをものともしない、その自由で強い心が……」

 

「いいのよ、無理しなくて……気を楽にして話してみなさい、シェレちゃん」

 

 

 

「私が生まれた国は、簡単に言えば男尊女卑の国だった。男は騎士になって国を守るために戦う。女は家庭に入って男を支える。それが人として当然、それが幸せ……そういう風習が強く根付く国だった。異を唱える者は爪弾きにされ、責められ、追い立てられた。私は、そんな国が嫌だった」

 

「私は女だが、騎士になりたかった。戦って、大切なものを守りたかった。でも……その大切な人に……家族に否定され、『お前みたいな奴は娘じゃない』って……だから私は国を出て、賞金稼ぎになって……身一つで生きてきたんだ」

 

「確かに私は女だから、男より力も弱いし、なんなら剣の才能だってなかった。それでも私は……私が生きる道を自分で決めたかったんだ!」

 

 

 

「「「決めればいいジャナイ!!」」」

 

 

 

「男も女も関係ない! 力があるなしも関係ない!」

 

「大切なのはあなたの気持ち! あなたがどう生きたいか、どういう生き方なら胸を張って生きられるか!」

 

「飛び越えなさいそんな境界線(ボーダー)! 人の可能性は無限大、男だって女だってオカマだって、なりたい自分になっていい! そこに何もおかしなことなんてない!」

 

「私は、おかしくないのか? 女なのに強くなりたくても、男のように生きたくても……女なのに、女なのに(スゥ)を好きになるような、そんなおかしな……」

 

「おかしくなんてない! 人は自由! 全てはあなたが決めること!」

 

「男が好きでもいいじゃない! 女が好きでもいいじゃない!」

 

「胸を張って愛を叫ぶのよ、あなたが本当に気持ちを伝えたいその人に!」

 

「私は、私は女だけど……私も……私も、あなた達や彼ら、いや彼女らのように、自由になれるだろうか!?」

 

「なれる!」

 

「なるのよ!」

 

「なりましょう!」

 

「「「歓迎するわ、ようこそ新人類(ニューカマー)の世界へ!!」」」

 

「「「ヒーハー!!!!」」」

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

冬島サバイバル生活 20日目

 

生存者内訳

男:0名

女:1名

新人類(ニューカマー):11名

 

 

 

 なんで?

 

 どうして?

 

 だって、しぇれ、は、おんな。

 

 おかま、なんで。

 

 すきって、うん、それは、うれしいけど。

 

 わからない。

 

 どうして?

 

 だれかおしえて。

 

 

 

「さあ、スゥちゃん」

 

「あなたも、こちらの世界へ」

 

「前から思ってたのよ、スゥちゃんにはこういう服も似合うって」

 

「かわいいもんね、スゥちゃん」

 

「そうそう、スタイルもいいし」

 

「おしゃれしてみせたら、きっと皆あなたにくぎ付けよ?」

 

「お化粧も覚えて、おめかししましょ」

 

「開きましょう、新たな扉」

 

「なりましょう、新人類(ニューカマー)

 

「大丈夫、怖くなんかない」

 

「私達は仲間、いつも一緒だ」

 

 

 

 わたしは

 

 かんがえるのをやめた。

 

 

 

 ☆☆☆

 

 

「……ってことが前にあったの」

 

「お、おう」

 

 数年後、女ヶ島を訪れた時の宴席で、ふいに『カマバッカ王国』という国について話題に上がったので、その時のことを思い出して、ハンコック達に話した。

 聞いてるだけなのに気圧されてるハンコックがちょっと面白かった。

 

 あの後結局、合計1か月弱くらいで天気が落ち着いて、無事に脱出できたんだけどね……それまで、お化粧とか、女の子っぽい服とか、お料理とかいろいろ教わることになっちゃったよ。

 

 まあ、有意義な時間ではあったとは思うよ。私自身は『新人類』にはならなかったけどさ。

 『新人類』になっても、皆、気さくで話してて楽しいのは変わらなかったし、むしろ他人を気遣って協力できるようになったし。

 

 あと、『攻めの料理』もちょっとだけ教えてもらった。本来は『新人類拳法』の修行で学ぶものらしいから、本格的に伝授はされず、ほんのさわり程度だけどね。

 それでも食べると元気が出てくる料理は作れるようになったので、何気にでかい収穫だと思う。

 

 ちなみに、シェレは今でも賞金稼ぎとして活動してるけど、私とも交流は続いてる。『グラン・テゾーロ』にも時々遊びに来るよ。

 他の面々……元海賊、元奴隷、元冒険家の計7人は、オカマさん達についていって『カマバッカ王国』に行ったそうだ。立派な『新人類』になれたのかな。

 

 色々圧倒されて、最後の方はついていけなくなることもあったけど……思い返せば、割と楽しい日々だった、かも。

 

 

 

 

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