大文豪に私はなる!   作:破戒僧

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第75話 スゥの冒険記 スゥVSハンコック(後編)

 

 

Side.三人称

 

 鳴り響く剣戟の音。

 片や桃色の光の剣、片や銀色の鋼の剣。

 

 双方ともに覇気をまとい、すさまじい勢いでぶつかり合っている。虫一匹入り込む隙間もないのではないかと思えるほどに。

 ……それこそ、これが『一騎討ち』とはいえ、どちらかと言えば試合、武術比べの類であるということを忘れそうになるほど、真に迫る勢いで。

 

「……すごい」

 

 その様子を見ていたマリーゴールドが、思わず、といった様子でぽろりと口からこぼした。

 こちらは何も言わなかったが、隣にいるサンダーソニアも同じだった。一瞬たりとも目を放すことはせず、目の前で戦う2人……スゥとハンコックの立ち合いに見入っている。

 

 自分達の姉にして九蛇の皇帝と、九蛇ではないが縁深く、恩人であり親友と言っていい相手。

 その2人が繰り広げる、今の自分達は到底届かないレベルの戦いを前に、あっけにとられつつも……戦士としての本能で、少しでも多くのことを学び取ろうと、目を離さずに見続ける。

 

 そして、同じく審判兼見届け役としてその戦いを見守っている、『ニョン婆』こと、アマゾン・リリー先々々代皇帝グロリオーサもまた、目の前でぶつかり合う女戦士2人の戦いには、言葉も出ない様子だった。

 

(2人ともまだ若い身でありながら、よくぞここまで……少なくとも武力に関しては、最早わしが何を心配するような段階にはないのは間違いあるまい。わかっていたこととはいえ、こうして目にすると圧倒される)

 

 一瞬の拮抗の後、ギィン、と硬質な音を立てて互いに剣を弾き合い、距離を取る2人。

 

 よく見ていないとわからないが、剣での戦いで押されているのはハンコックの方だった。

 『九蛇』の戦士ゆえ、自分の得意分野以外にも一通りの武術を修めている彼女は、剣ももちろん巧みに使いこなす。そこらの剣士どころか、熟練のそれであっても容易く手玉に取るほどに。

 

 が、剣士としての腕ではスゥが上手を行っている。それゆえに、同じ条件下での戦いともなれば、どうしても後れを取ってしまう。

 

 が、この戦いはもとより剣の腕のみで競うものではない。

 

 ハンコックは一瞬距離を取った瞬間、手に持っていた光の剣を、スゥめがけて投げつける。

 それをスゥは当然、剣ではじいて防ぐが、その間にハンコックは、能力でまた新たな武器を……先ほどと同じ光の剣を、今度は2本、手元に作り出した。

 

 しかもその2本を連結させ、よりリーチの長い武器……薙刀を作り出し、大振りで遠心力の乗った一撃をスゥめがけて振るう。

 

 それを一発受けた瞬間、リーチと馬力で不利になったと判断したスゥは、威力をいなしながら懐に飛び込む。長さが逆に不利になる間合いに入るために。

 

 が……それはハンコックの誘いだった。

 薙刀を大きくふるい、その勢いに乗る形で、彼女の最も得意な武器……蹴り技を放つ。

 

「“情熱脚(パッション・フェムル)”!!」

 

 普段使っている、相手を石化させて蹴り砕く技ではない。彼女が新たに生み出した能力、『愛の炎』を載せた灼熱の脚技。

 

 『紙人間』ゆえに炎や熱が大弱点であるスゥは、覇気を込めた腕で受け止めるが……その相性の悪さゆえか、はたまたハンコックの錬度ゆえか、その上から貫通して熱とダメージが叩き込まれるのを感じ、わずかに顔をゆがめる。

 そこからの判断は早く、自分の体を紙に変えて一部を切り離す。他の紙でその部分を補填したため、『切り離した』とはいっても体は無傷である。

 

 そして、切り離した腕の一部は、ひらりひらりと舞い落ちる途中で発火し、燃え尽きた。

 

 牽制にはなった紙の投げナイフも。ハンコックが一振りさせた足に触れた瞬間に燃え落ちる。

 攻撃するにも防御するにも、致命的なまでに相性が悪い能力を得られてしまったことに、スゥは思わず苦笑するしかなかった。

 まだ腕に残る衝撃を、手をぷらぷらと振るようにして散らすスゥに、ハンコックは笑みを浮かべながら問いかける。

 

「どうじゃ、まだ降参する気にはならぬか?」

 

「当然。まだまだやれるよ……このくらいで勝ったと思われちゃ困る」

 

「そうか……なら、機会だけは見誤らんようにな」

 

 チュッ、と再びの投げキッス。

 すると、今度はハートマークがいくつにも分裂し……計8つにその数を増やして、ふわふわとハンコックの周囲を漂い始めた。

 

 一体何かと思って警戒するスゥに、ハンコックはまた、光の薙刀と足技を組み合わせた接近戦を仕掛けてくる。

 それをいなして隙を窺うスゥだったが、距離を取ろうとハンコックからわずかに体を離した瞬間……何と、それらのハートマークから、桃色のビームが放たれて攻撃してきた。

 

「はい!? 何その……ファン〇ル!? 移動砲台!?」

 

「これも新技、“虜の射手(スレイブビット)”じゃ! 8人の射手がわらわの援護をしながら戦っているに等しいことと思え!」

 

 とっさにスゥが口走った『フ〇ンネル』が何なのか、地味に気になりながらも、ハンコックはより苛烈に攻め続ける。そしてそれを、絶妙なタイミングで援護する移動砲台の存在が、より一層スゥを追い詰めていた。

 

(あのファ〇ネルもどきが厄介すぎる! まあ、似たようなことなら私もできるけど……)

 

 口には出さずに、スゥは背中から紙を何枚か射出し、それを……

 

「“折神”……“飛燕”!」

 

 鳥の形に……それも、彼女が作れる“折神”の中でも有数の速さを持つ、燕の形のそれに変化させ、移動砲台の方を破壊しにかかる。その数、実に20羽。

 目にもとまらぬ速さで襲い掛かるそれらを、ハンコックは戦いながらも正確に察知し、『虜の射手』のビームで迎撃、撃墜していくが、その弾幕を縫って到達する燕の嘴に貫かれ、ハートマークの射手達は次々に爆散していく。

 

 それらに加えて、2体の“獅紙舞”を繰り出し、ハンコックにけしかけるスゥ。

 それらがわずかに時間を稼ぐ間に、スゥは手元にさらに2枚の紙を出す。そして、手に持った剣を目にもとまらぬ速さで振るい……その紙を切り裂いた。

 

 一瞬の後、そこには、まるで甲冑を着た人の形……にしては体中がとげとげしい鋭角なデザインに覆われた、まるで怪人のような『何か』を模した『切り絵』ができていた。

 それをスゥは、空中に放り投げ……

 

「それじゃこっちも新技でお返しだよ……“切神(キリガミ)”!!」

 

 放り投げた紙が蠢いたかと思うと、切り絵の怪人が大きく膨らむようにして、あっという間に大柄な人型になって出現し、スゥの眼前に降り立った。

 そして、スゥの『行け!』という指示通りに、ハンコックに向かっていく。両腕からは刃が伸びており、それを振りかざして襲い掛かる。

 

 ハンコックはそれを光の薙刀で容易くいなしながら、胴を深く切り込んで、先ほどの『獅紙舞』と同じように一撃で切り裂いて燃やし尽くそうとするが……その一撃は、1体目の胴体にわずかにめり込んだところで止まってしまう。炎も中々燃え上がらない。

 

「何……!?」

 

「“切神”は私が覇気を込めた紙で作る、戦闘特化の兵隊! 汎用性はあんまりないけど、そこらの海賊船くらいなら1体で余裕で全滅させられるくらいには強いから油断しちゃダメだよ!」

 

 スゥが話している間にも、『切神』の1体がハンコックの刃を抑え込みつつ、もう1体がその刃を突き出してくる。

 

 ハンコックは手元の光の剣を消し、『切神』の攻撃をかわしながら、『情熱脚』でその体を蹴り飛ばす。しかしそれでもなかなか燃え上がらないことと、足から伝わってきた硬質な感覚に、スゥが言っていたこの怪人の強さが本当だと悟る。

 

(じゃが、これだけの力を持たせるのなら『覇気』も相応に消費するはず……そう何度も使えるわけではないはずじゃ。増援の心配はそこまで要らん……ならば!)

 

 2体の『切神』と連携して攻めてくるスゥを、再び作り出した光の薙刀でいなしつつ、ハンコックはまたいくつかの『虜の射手』を作り出してけん制する。

 そして距離ができた隙に、手元にハートマークの弓を作り出して……『切神』の一体に向けて放った。

 

 先程と同様に防がれてしまうが、その瞬間、がくん、と『切神』はバランスを崩して転倒する。

 見ると、その片足が石化しており、動かなくなっていた。

 

「……っ! あーそうか、そりゃ炎だけじゃなく、元からあった石化の方も使えるよね」

 

「そういうことじゃ、この手の奴相手には、直接的な攻撃力よりも、動きを封じる効果を持つ技の方がよく通るじゃろう。そして、こ奴らに込められている覇気は、そなたが最初に込めた分だけで有限……ならば!」

 

 同じ弓から、今度は炎の力を込めたハートの矢を連射し、倒れた『切神』を打ち据える。

 覇気の防御をがりがりと削り取っていき、しまいには防ぎきれなくなった『切神』は本来の紙の性質を取り戻してしまい、あっという間に燃え尽きた。

 

 その弓をもう1体の『切神』とスゥに向けるハンコック。

 スゥは『切神』を盾にする形で突貫し、その体が止められ、燃え尽きる前に可能な限り距離を詰めた。同時進行で『虜の射手』を撃ち落としておくのも忘れない。

 

 そして、『切神』が消滅した瞬間に間合いに入り、覇気を込めた刃を振るい、しかしハンコックも覇気を込めた蹴りでその一撃を迎え撃つ。

 一瞬の拮抗の後、微妙に角度が違ったがゆえか、スゥの剣とハンコックの足は同時に上に打ち上げられ、しかし勢いそのままにハンコックは飛び上がり、もう片方の足を振るう。

 

 その一撃は、スゥの剣の横腹に吸い込まれるように命中し……

 

 

 ―――バキィン!!

 

 

「っ!?」

 

 その刃を、真っ二つに蹴り折った。

 

 そのまま飛び込んで炎をまとった足を振るうハンコックだが、スゥはその瞬間、手元に紙を束ねた剣を出現させてそれを受け止め、すぐさま距離を取る。

 ハンコックが着地する瞬間に『紙剃吹雪』を放って襲い掛からせ、ハンコックをけん制するが、その全てが炎で一瞬で燃え尽きる。

 

 距離が開き、極限の攻防に間が空く。

 

 スゥは手に残った、半分以下の長さになってしまった剣を見つめ、ため息をつきつつそれを手放して投げ捨てた。

 もう片方の手に持っていた紙の剣は、さすがに紙ということで熱には耐えられなかったのか、発火こそしていないが焦げている。もう1回か2回使えば燃えてしまうだろう。

 

「武器がなくなったな、スゥ……どうする? もうそろそろ降参してもよいのではないか?」

 

 そう問いかけるハンコック。

 戦いを見ていた3人の見届け人も、もうこれで決着だろうと、口には出さないが思っていた。

 

 状況はスゥに圧倒的に不利だ。

 炎を使い、能力でいくらでも武器を生み出せるハンコックに対し、スゥは耐火性の高い武器だった剣が折られ、丸腰状態。

 もちろん、能力で生み出せないことはないが、それらはすべて紙製。熱に弱く、覇気で強化しても、今のようにダメージが貫通して焦げて燃えてしまうだろう。

 

 この状況下から逆転するのは至難。そう、3人とも思っていた。

 むしろ、炎熱という圧倒的な弱点を突いてくる相手に対し、地力や『覇気』があったとはいえ、ここまでよく戦ったと言ってもいいのではないかとも。

 

「いやあ、参ったな……まさかこんなことになるとはね。別に名のある名刀とかじゃないにしても、それなりに品質いい奴だったんだけど……」

 

 まあでも、と続けるスゥ。

 

「降参はしないよ、続けよう」

 

「……本気か、というような問いはあえてせぬよ、無粋じゃろうしな。じゃが……武器がないからと言って、手心を加えるような真似はせんぞ? それもわかっておろうな?」

 

「もちろん。けど私も……」

 

 言いながらスゥは、その手に持った紙の剣を逆手に持ち直すと、切っ先を地面に向けて……何を考えたのか、落としてしまった。

 その切っ先が地面に触れ、突き刺さるか倒れるか……と思ったハンコック達だったが、その予想に反し、剣はまるで水の中に落としたかのように、すとん、と沈み込んだ。

 

「…………?」

 

 鋭すぎて突き刺さった? いや違う、それにしては落ち方がおかしかった。

 刺さった瞬間に減速したりすることすらなく、音すらほとんどしなかった。本当に地面に『沈んだ』というような落ち方だった。

 

「こっからは……全力で行く」

 

 不審に思うハンコックの目の前で……異変が起こる。

 スゥの足元の地面が、ぱらぱらとめくれ上がって『紙』になっていく。

 土も、砂も、石も……全てが薄い『紙』になって舞い上がり、スゥの周囲の空間を埋め尽くしていく。

 

「いやまあ、今まで本気出してなかったとか、舐めてたとかいうわけじゃないんだけどね?」

 

 唐突に始まったその、わけがわからない光景に、ハンコックはもちろん、見ている3人も絶句して眺めていることしかできなかった。

 しかし、ニョン婆とハンコックは、その光景が何を意味しているのかを知っていた。

 

「これは、まさか……『覚醒』……!?」

 

「スゥ、そなたすでにその領域にまで……!」

 

 舞い上がる無数の紙。

 それらはまるで竜巻に巻き上げられたかのように、大挙して空に向かって飛んでいく。

 

 何本も、何十本もその『紙の竜巻』が形作られているその光景は、まるで桜並木のように圧巻で……しかし、恐ろしくもある光景だった。

 何せ、スゥの能力通りであれば……あの無数の紙、1枚1枚が刃になるのだ。

 

「気をつけてねハンコック。この力、私ちょっとまだ上手く使えないから……加減、利かないんだ」

 

 そして、次の瞬間、

 

 

「“紙剃吹雪”―――」

 

 

 

「―――“千本桜景厳(せんぼんざくらかげよし)”」

 

 

 

 ハンコックの視界を、無数の紙が覆いつくした。

 

 

 ☆☆☆

 

 

 次にハンコックが見たのは、雲一つない青空だった。

 

 背中の、布越しに感じるどこかざらついた感触から、自分が砂浜に仰向けに倒れている……というよりは、寝かされて手当をされている状態なのだと悟った。

 体の各部に感じる痛みや、漂ってくる薬の匂い、包帯やガーゼで覆われているような感触が、見る前からそれを物語っている。

 

(……まだ、勝てなかったか)

 

 まさしくスゥの『切り札』とも呼ぶべき力を前にして、それにわずかばかり抵抗して見せたのが最後の記憶だった。

 勝負の結果がどうだったのかなどは、想像するまでもない。

 

「お、ハンコック起きた」

 

「! 姉さま!」

 

「ご無事ですか、よかった……」

 

 少しばかり体が痛いのをこらえて起き上がると、すぐそばに妹2人とニョン婆、そしてスゥがいたのがわかった。

 スゥの方もけがはしているようだが、あちこちに包帯を巻かれた自分に比べれば――もっとも、ハンコックの方もそれほどひどい傷はないようだが――その肌はきれいなものだった。

 

「やれやれ、もうそろそろ勝ち星を拾うくらいはできると思ったのじゃがな……」

 

「いやいや、すごく強くなってて……というかなんか属性まで増えててびっくりしたよ、ほんとに。まさか炎使ってくるとは思わなかったもん」

 

「負けは負けじゃ。これではまだまだ、お主を率いて海賊をやる器とは言えんか」

 

 少しだけ悔しそうにしながら、しかし一方で、全力を出して戦ったがゆえの清々しさのようなものを感じながら、ハンコックはそう言って笑った。

 そしてその笑顔の裏で彼女が、一層修行に打ち込んで力を磨き上げて行こうという決意を新たにしていたのは、言うまでもないことかもしれない。

 

 もちろん、彼女の最大の理解者の一人であり、親友であり、好敵手でもあると自負しているスゥもまた、何も言わずにそれを悟っていた。

 

 

 ☆☆☆

 

 

 その翌日。

 『女ヶ島』の城に戻ってきたハンコックは、その宝物庫にスゥを呼び出していた。

 

 スゥはこの島の滞在中、ハンコックの親友ということで城への滞在が許可されているが、部屋でくつろいで疲れを取っていたところに呼び出された形だ。

 

 宝物庫の中には、略奪品や、先祖伝来の九蛇族の秘宝などが入れられて管理されている。

 ハンコックは管理担当の者を呼び出し、用件を伝えてあるものを取りに行かせた。

 

 そしてしばらくして、その管理担当の女性が持ってきたのは……1本の剣だった。

 

「え、コレくれるの? 私に?」

 

「うむ。戦いの中で折れてしまったからの、その代わりにでも使ってくれ。略奪品の中に混じってたものじゃから、遠慮などせんでいいぞ」

 

「それはありがたいけど……なんかコレ、結構な名刀の気配するんだけど? 刃もすごくきれいだし……」

 

「ああ、一応そうらしいぞ。おい、説明を」

 

「はい。スゥ様、その剣ですが……名は『浮雲』。刃の部分にうっすらと浮かんでいる雲のような紋が特徴的な剣で……『位列』こそありませんが、名刀ですよ」

 

 へー、と感心しつつそれを手に取り、鞘から抜いて眺めるスゥ。

 ハンコックも一緒に覗き込むように見ると、確かに刃の部分にそのような模様が入っているのが見えた。

 

 確かに、今までスゥが使っていたものよりも数段よさそうな逸品だった。

 

 遠慮なく受け取ることにし、スゥはあらためてハンコックに礼を言う。

 

「それでスゥ、もうしばらくここにいるとのことじゃったが……その後どうするのかは決まっておるのか?」

 

「ううん、特には。また『4つの海』の旅に戻ることにするよ。もうしばらく気ままにフラフラするつもり」

 

「そうか。ならば……そなたが『偉大なる航路』に本格的に戻ってくるまでに、もっと実力をつけておかねばならんな」

 

 負けてもなお、めげる様子など全く見せず、むしろさらにやる気になっているとわかる親友の様子に、スゥも自然と笑顔になっていた。

 

「あっはっは、そりゃ怖いなー、ますます油断できなくなりそう。私も強くならないとね……『覚醒』技、まだまだ全然使いこなせてないからさ」

 

「お互い、やるべきことが多いの」

 

 自他に厳しく、海賊として見せる面も常に凛々しく美しいハンコックや、作品はともかく本人の表社会への露出はほとんどないスゥ。

 そんな2人が仲良く、力を抜いた様子で笑い合う姿は、他ではまず見られないもの。

 

 それぞれ何かと普段気苦労も多いであろう2人の楽しそうな姿を知るものは、ハンコックの姉妹やニョン婆といった仲のいい面々や、ごく一部の侍女達などを除けば、まだ誰もいない。

 

 

 

 

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