「「デュエル!!」」
得体の知れない闇が場を支配する中、遊石とローブの人物とのデュエルが始まった。
先攻は遊石に決まった。
『マスター、今日に限ってそんなデッキですか……』
(ああ。一歩間違って手札事故でも起こそうものなら、即負けだったな)
『でも安心しろライナ。このマスターの手札なら、即死ってことは無いはずだ』
『それは分かるよダルくん。でも……』
(まぁ、もしアイツの言うとおり、負けたらどうにかなっちまうってんなら、ライナの心配も分からなくはない。だけど、今は余計なことは考えず、勝つことだけに集中しようじゃないか)
『僕はマスターを信じる。だから、ライナもマスターを信じろ』
『……うん、分かった』
遊石は雑念を振り払い、デュエルに集中する。
「俺のターン。俺は『バグマンX』を攻撃表示で召喚。カードを3枚伏せて、ターンエンド」
「私のターンだ、ドロー。私は手札の『ダーク・グレファー』の効果を発動。このカードは手札からレベル5以上の闇属性モンスター1体を捨てて、手札から特殊召喚する事ができる。私は手札の『D-HERO ダッシュガイ』を捨て、ダーク・グレファーを攻撃表示で特殊召喚」
(闇属性モンスターが主体のデッキか……? マズイな。墓地にモンスターをゾロゾロ置かれると奴のペースでデュエルが進むことになる)
遊戯王の世界で、属性ごとにデッキを分けた場合、主流となりやすいのは光属性デッキと闇属性デッキである。
闇属性デッキに関して言えば、墓地で効果を発動したり、墓地にモンスターが多く存在する時に特殊召喚できるモンスターが多いため、基本的には墓地にどんどんモンスターを置くことになる。
一見するとディスアドバンテージのようだが、実は多大なアドバンテージとなるのである。
「さらに、フィールドのダーク・グレファーの効果を発動。1ターンに1度、手札から闇属性モンスター1体を捨てる事で、自分のデッキから闇属性モンスター1体を墓地へ送る。私は手札の『ネクロ・ガードナー』を捨て、デッキから『ゾンビキャリア』を墓地へ送る」
その様子を見ていたダルクが呟く。
『アイツ、どんどん有用なモンスターを墓地へ置いてるな』
(そうみたいだな。これで今、アイツの墓地には闇属性モンスターが3体か。そう都合よく、『ダーク・アームド・ドラゴン』なんて手札に無いだろうが……)
世間ではこれを、フラグという。
「これで私の墓地には、闇属性モンスターが3体。よって、手札の『ダーク・アームド・ドラゴン』を攻撃表示で特殊召喚!」
(あるのかよ!?)
ダーク・アームド・ドラゴンは通常召喚できず、自分の墓地の闇属性モンスターが3体の場合のみ特殊召喚できるモンスターである。
ピッタリ3体でないと特殊召喚できないため、通常は出すために多少なりとも工夫を要するモンスターであるが、このように上手くいけばすぐさま呼び出せる恐ろしいモンスターだ。
(ダーク・アームド・ドラゴンには、メインフェイズ時に自分の墓地の闇属性モンスター1体をゲームから除外する事で、フィールド上のカード1枚を選択して破壊する効果がある。だけど、今アイツの墓地にある3体のモンスターは、いずれも墓地にあって欲しいカードばかり……となると、今すぐ効果を使ってくることは恐らくない)
それでも、ダーク・アームド・ドラゴンの攻撃力2800は脅威である。
遊石の場のバグマンXの攻撃力は0であり、遊石への攻撃は実質上のダイレクトアタックとなる。
「バトルフェイズに入る。私はダーク・グレファーでバグマンXを攻撃!」
「させるか! リバースカード、オープン!! 罠カード『聖なるバリアーミラーフォース』発動!!」
「ミラーフォースか……」
「相手モンスターの攻撃宣言時に発動し、相手フィールド上の攻撃表示モンスターを全て破壊する!!」
「これで、私のモンスターは全滅したことになる。私はメインフェイズ2へ移行。ミラーフォースで攻撃は防がれ、フィールドにモンスターはいなくなった。が、これで私の墓地の闇属性モンスターは5体となった。私は手札の『ダーク・クリエイター』を守備表示で特殊召喚!」
「ダーク・クリエイターまで手札にあったのか……」
「そして、カードを1枚伏せてターンエンド」
せっかく相手の場をがら空きにした遊石であったが、すぐさま守備力3000のモンスターで壁を作られてしまった。
しかもダーク・クリエイターには1ターンに1度、自分の墓地の闇属性モンスター1体をゲームから除外する事で、自分の墓地の闇属性モンスター1体を選択して特殊召喚する効果がある。
「俺のターン、ドロー! 俺は『バグマンZ』を攻撃表示で召喚! このカードが召喚に成功した時、自分フィールド上に「バグマンX」が表側表示で存在する場合、デッキから「バグマンY」1体を特殊召喚する事ができる! 俺はデッキからバグマンYを守備表示で特殊召喚!」
「モンスターを3体並べたか……そいつらのレベルは3だ。ランク3のエクシーズモンスターでも呼び出すつもりか?」
「普通のデッキならそうするだろうな。だが、今日の俺のデッキは一味違う。今からそれを見せてやるよ。手札から魔法カード、『
「なにっ!? モンスターを3体リリースするだと!?」
「現れろ破壊神!! 『オベリスクの
遊石のフィールドに現れたのは、破壊を司る神。
ソリッドビジョンとは思えないほどの圧倒的な威圧感が周囲に放たれる。
「ば、馬鹿な、オベリスクの巨神兵だと……」
「オベリスクの召喚は無効化されず、このカードの召喚成功時には魔法・罠・効果モンスターの効果は発動できない。お前の伏せカードが何であろうと、このタイミングでは発動できない。さぁバトルフェイズだ。オベリスクの巨神兵でダーク・クリエイターへ攻撃!!」
「くっ! 私は墓地のネクロ・ガードナーの効果を発動! 墓地のこのカードをゲームから除外して発動でき、このターン、相手モンスターの攻撃を1度だけ無効にする!」
「当然予想済みだ。俺はメインフェイズ2へ移行し、手札から魔法カード『強欲で貪欲な壺』を発動する。自分の墓地のモンスターが3体以上であり、かつその属性と種族が全て同じ時のみ発動できる。それらのうち2体をデッキに戻してシャッフルし、その後デッキからカードを2枚ドローする。俺の墓地のモンスターは全て闇属性・悪魔族のバグマンたちだ。俺はバグマンXとYをデッキに戻してシャッフル、そして2枚ドロー。カードを1枚伏せてターンエンド」
「私のターン、ドローだ。私もカードを1枚伏せて、ターンエンド」
ローブの人物は1ターン目に手札を全て使い切ってしまったため、1ターンにできることが限られてくる。
遊石の場のオベリスクはカードの効果の対象にならないため、除去に対してある程度の耐性がある。
ミラーフォースや激流葬のように、対象を取らないカードならば受け付けるが、そう都合よく引けるものではない。
「俺のターン、ドロー! 魔法カード、『太陽神の導き』を発動! デッキから『ラーの
「な、ラーまでデッキに入れているのか!? くそっ、リバースカード、オープン! カウンター罠『神の宣告』!! お前の『太陽神の導き』の発動を無効にして破壊する!」
「させるか! カウンター罠発動、『カウンター・カウンター』!! カウンター罠の発動を無効にして破壊する!!」
これにより、遊石の発動した太陽神の導きは効果が適用される。
ローブの人物が太陽神の導きを無効にしようとしたのは、遊石のデッキのコンセプトに気付いたからだ。
そもそも、リリースが3体必要な三幻神をデッキに入れるならば、比較的効果の使いやすく特殊召喚も可能なオベリスクの巨神兵か、オシリスの天空竜を使うのが普通だ。
特殊召喚できないラーを入れるとなると、その目的は限られる。
単にラーを使いたいだけのファンデッキならばそれでよし。
しかし、遊石のデッキの動かし方を見るに、三幻神を手早くフィールドに揃えようとする意識が随所に見て取れる。
「特殊召喚したラーの使徒の効果を発動! このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時に発動でき、手札・デッキから「ラーの使徒」を2体まで特殊召喚する! 俺はデッキから2体のラーの使徒を攻撃表示で特殊召喚!!」
「それでラーの翼神竜を召喚しようということだろうが、甘い! リバースカード、オープン! 罠カード『激流葬』発動!! 三幻神は召喚時には魔法・罠・モンスター効果を使えないが、それ以外のタイミングなら話は別だ。さらに、激流葬は対象を取らない効果だから、神にも有効となる!」
「確かにそうだ……が、そういう成功を確信したセリフは、俺の場に伏せカードが無いときに言うんだな! リバースカード、オープン! カウンター罠、『三幻神の威光』を発動!! 自分フィールド上の「オシリスの天空竜」「オベリスクの巨神兵」「ラーの翼神竜」が効果を受ける魔法・罠・モンスター効果の発動を無効にして破壊する! オベリスクが激流葬の効果を受けようとしているので、これを無効にして破壊!」
激流葬を無効にしたことで、遊石の場の3体のラーの使徒も生き残る。
「残念だったな。3体のラーの使徒をリリースして、手札の『ラーの翼神竜』を攻撃表示で召喚!!」
2体目の神、太陽神ラーの翼神竜。
三幻神の中で唯一特殊召喚できないため、なんとかモンスターを3体揃えなければならない。
効果は召喚時、ライフポイントを100になるように払い、その分攻撃力と守備力がアップする効果がある。
が……
「俺はラーの攻撃力アップの効果を使用しない……というより、そんなことせずとも勝てる。ラーの召喚を防げなかった時点で、お前の負けだ」
「……どうやら、そうみたいだな」
「随分いさぎよいじゃないか。1000ポイントのライフを払い、ラーの効果を発動。フィールド上のモンスター1体を選択して破壊する。俺はお前のダーク・クリエイターを選択、破壊する。……お前も気付いているだろうが、俺は本当はホルアクティを出したかった。が、その前に決着がつくな。オベリスクの巨神兵でプレイヤーにダイレクトアタック!! ゴッド・ハンド・クラッシャー!!」
「ぐあああああああッ!!」
To be continued.
というわけで、小説内でも遊石が言っていたとおり、本当はオシリスも召喚してホルアクティを出すところまでいきたかったのですが、デュエルの構築に難航してしまいました。
いったんは書いたものに展開上のミスが見つかり(しかも序盤)、ほぼ最初から書き直した感じです。
今回のデュエルは正直消化不良なので、いつかもう一度遊石に三幻神デッキで戦わせます。その時こそホルアクティを出してもらいます。
では、今回のオリジナルカードです。
《強欲で貪欲な壺》
魔法カード
自分の墓地にモンスターが3体以上存在し、かつその属性と種族が全て同じ時のみ発動できる。それらのモンスターのうち2体をデッキに戻してシャッフルし、その後デッキからカードを2枚ドローする。
《太陽神の導き》
魔法カード
デッキから「ラーの翼神竜」を手札に加え、デッキから「ラーの使徒」を1体攻撃表示で特殊召喚する。
《三幻神の威光》
カウンター罠
自分フィールド上の「オシリスの天空竜」「オベリスクの巨神兵」「ラーの翼神竜」が効果を受ける魔法・罠・モンスター効果の発動を無効にして破壊する。