さっそくオリカが登場します。
「「デュエル!!」」
遊石と対戦相手である男の左手には、デュエルディスクと初期手札5枚。
デュエルディスクにはプレイヤーの初期ライフを表示する場所があり、そこには4000と表示されている。
先攻は遊石である。
「先攻1ターン目のみ、ドローフェイズにドローを行わない。俺はモンスターをセットし、カードを1枚伏せてターンエンド」
「俺のターン、ドロー! 俺は『ハウンド・ドラゴン』を召喚!」
男がディスクの表面にカードを置くと、ディスクが置かれたカードのデータを認識して、二人のプレイヤーのあいだにハウンド・ドラゴンを3D表現する。
「ハウンドか……」
遊石は持ち合わせの知識を使って相手のデッキを予測する。
男の召喚したモンスター『ハウンド・ドラゴン』は効果を持たない通常モンスターであり、このカードを投入するデッキとなるとある程度絞ることができる。
(候補の筆頭は『サイバー・ダーク』か。低レベルモンスター主体デッキも考えられなくはないが……)
「『ハウンド・ドラゴン』でセットモンスターに攻撃!」
男の攻撃宣言と同時に『ハウンド・ドラゴン』が動きだし、遊石の前に表示されていた裏側守備表示モンスターをその牙でもって噛み砕いた。
カードが破壊されるモーションが描かれる寸前、天使の姿が一瞬映った。
「お前が攻撃したのは『シャインエンジェル』だ。守備力800のこのモンスターは、攻撃力1700の『ハウンド・ドラゴン』に破壊される。そして、『シャインエンジェル』が戦闘で破壊され墓地に送られたので、効果が発動。デッキから、攻撃力1500以下の光属性モンスターを1体、攻撃表示で特殊召喚できる。俺は『青き眼の乙女』を選択する」
遊石はデッキをディスクから取り外すと、その中から1枚のカードを取り出しディスクの表面に置く。
「『青き眼の乙女』ってことは……テメェのデッキはブルーアイズだな?」
「まぁな。というより、さも難問を言い当てたかのように言うようなことじゃないぞ?」
「チッ! メインフェイズ2、俺は手札から魔法カード『テラ・フォーミング』を発動だ。デッキからフィールド魔法を1枚手札に加える。加えるのは『ブラック・ガーデン』。そして、今手札に加えた『ブラック・ガーデン』を発動!」
男がディスクのフィールド魔法を収納するところにカードを入れると、フィールドを覆い尽くす黒薔薇が現れ、若干禍々しい気配を漂わせる。
「『ブラック・ガーデン』は、このカードの効果以外の方法でモンスターが召喚・特殊召喚に成功した時、そのモンスターの攻撃力を半分にする。さらに、そのモンスターのコントローラーから見て相手のフィールド上に『ローズ・トークン』1体を攻撃表示で特殊召喚する」
「……面倒な」
遊石はそう漏らすと、改めてフィールドを見渡す。
このフィールド魔法がある限り、互いに召喚、および特殊召喚したモンスターの攻撃力が半減してしまう。
攻撃力の低下は、相手に与えるダメージの減少を意味する。
さらに、守備力には影響しないため、相手に守備表示で粘られるとデュエルが遅々として進まないという事態も招きかねない。
「なかなか嫌らしいだろ? 俺はカードを2枚伏せてターンエンド」
「俺のターンだ。ドロー。……これを引いたか。俺は手札から魔法カード、『竜の
「そうやって墓地にブルーアイズを溜め込んで、乙女の効果や魔法カードで引っ張ってこようって算段だろうが、そうそう上手くいくかねぇ?」
フィールド魔法を張って余裕が出たのか、男が遊石を煽りにかかるが、遊石は淡々とターンを進める。
「俺は装備魔法『ワンダー・ワンド』を、『青き眼の乙女』を対象に発動する。このカードは魔法使い族モンスターにのみ装備可能。装備モンスターの攻撃力を500ポイントアップさせる……が、重要なのはそこじゃない。カード効果の対象になったことで、『青き眼の乙女』の効果が発動できる! カード効果の対象になった時、自分の手札・デッキ・墓地から『青眼の白龍』を1体特殊召喚する! 俺はデッキに残る最後のブルーアイズを……」
「おおっと、待ちな! 確かにそのコンボならブルーアイズを特殊召喚できるだろうが、それは『ワンダー・ワンド』の発動に対して俺がチェーンしない場合の話だ。テメェが装備魔法を発動した瞬間、カード発動の権利は俺に移るよな? リバースカード、オープン! 速攻魔法『サイクロン』を『ワンダー・ワンド』に対して発動!!」
竜巻のようなサイクロンのエフェクトが出現して、青き眼の乙女に装備されそうになっていた杖を粉々に砕いた。
「いくら『ブラック・ガーデン』があるとはいえ、そう簡単にブルーアイズを呼び出される訳にはいかねぇからな。さて兄ちゃん、次の手は何だ?」
「……俺はカードを1枚伏せて、ターンエンド」
「俺のターンだ、ドロー! 魔法カード『おろかな埋葬』を発動する! デッキからモンスター1体を墓地へ送る。俺はデッキの『ハウンド・ドラゴン』を墓地へ。そして、『サイバー・ダーク・キール』を攻撃表示で召喚!」
男のフィールドに、黒色で蛇とも竜ともつかない機械が出現する。
「キールの効果発動! 召喚に成功した時、墓地のレベル3以下のドラゴン族モンスター1体を装備カード扱いとしてこのカードに装備する。このカードの攻撃力は、装備したモンスターの攻撃力分アップする! さらに、モンスターが召喚されたことで、『ブラック・ガーデン』の効果が発動! キールの攻撃力が半分になり、さらにお前のフィールド上にローズ・トークン1体を攻撃表示で特殊召喚する」
「チェーンはない」
「ならこのまま処理だ。逆順処理で、まずキールの攻撃力800が半分の400になり、お前のフィールド上にトークンを攻撃表示で特殊召喚。その後、キールの効果で墓地の『ハウンド・ドラゴン』をキールに装備!」
サイバー・ダーク・キールの両腕に抱かれるように、ハウンド・ドラゴンが装備される。
「キールの攻撃力は、400に『ハウンド・ドラゴン』の1700をプラスした、2100となる。このままバトルフェイズに移行! キールでローズ・トークンに攻撃!」
「何も発動しない。そのまま攻撃を受ける」
「ならダメージ処理だ。ローズ・トークンの攻撃力は800だから、2100-800で1300の戦闘ダメージ。さらに、キールが戦闘でモンスターを破壊した時、相手に300ポイントのダメージを与える。合計、1600のダメージを受けてもらおうか!」
遊石のディスクの残りライフを表す数値が減り、残りが2400となった。
「まだハウンド・ドラゴンの攻撃が残っているが、乙女に攻撃しても攻撃を無効にされて、ブルーアイズを特殊召喚されるからな。俺はこのままターンエンドだ。ま、ブルーアイズ自慢の攻撃力も、この状況だと意味ねぇよなぁ?」
「つけ上がるな。俺のターン、ドロー! リバースカード、オープン! 速攻魔法『銀龍の咆哮』!!」
「なっ、墓地のドラゴン族通常モンスターを特殊召喚するカードだと!? 正気か!! そんなことしても、ブラック・ガーデンの効果で攻撃力が1500になるだけだぞ!!」
「正気に決まってるだろうが!! 墓地から、『青眼の白龍』を攻撃表示で特殊召喚!!」
宣言と共に彼らの周囲が白く輝き、見る者が言葉を失う程に美しいドラゴンが遊石の前に現れた。
「なら、テメェの正気ってのはおかしくなっちまってるみてぇだな!! モンスターが特殊召喚されたことで、『ブラック・ガーデン』の効果が発動!! 攻撃力が半分に……」
「その効果にチェーンして、手札から速攻魔法、『禁じられた聖槍』を発動!! フィールド上のモンスター1体を選択して発動。ターン終了時まで、そのモンスターの攻撃力は800ポイントダウンし、このカード以外の魔法・罠カードの効果を受けない!!」
「チッ、ここでそんな良いカードを……!」
「チェーンは無しか? 効果処理を開始。聖槍の効果でブルーアイズの攻撃力は2200にダウンするが、魔法・罠への耐性が付いた。そしてガーデンの効果を処理。この時、聖槍の耐性で攻撃力は半分にならず、トークンのみお前のフィールド上に特殊召喚される」
「くそっ……」
「バトルフェイズ、『青眼の白龍』でローズ・トークンに攻撃!! 滅びの
ブルーアイズから放たれたバーストストリームが、ローズ・トークンを粉微塵に吹き飛ばした。
男のライフ4000から2200-800=1400が引かれ、残りが2600となる。
「俺はこのままターンエンド。ターン終了に伴い、聖槍の攻撃力ダウン効果がなくなる。ブルーアイズの攻撃力は3000に戻る!」
フィールド魔法『ブラック・ガーデン』の攻撃力を半分にする効果は、そのモンスターが召喚された時にしか適用されない。
召喚時にその効果を防いだブルーアイズは、以後半分にならず3000を維持できるのである。
「くっ……」
「『ブラック・ガーデン』とサイバー・ダークの連携は、おおよそのモンスターを戦闘破壊できるという点では確かに強みだ。だが、ガーデンの効果をすり抜けて高攻撃力のモンスターを出されると、なかなか苦しいだろ?」
「まだだぁ!! 俺のターン、ドロー!! 俺はハウンド・ドラゴンを守備表示にして、キールでブルーアイズへ攻撃!!」
「守備表示にしたのは、ミラーフォースを警戒してか。だが、攻撃力2100のキールで3000のブルーアイズに攻撃……」
その時遊石は、男の場に伏せられている1枚のカードに目を向けた。
「それか……!」
「そのとおり!! ダメージ計算前のタイミングで、リバースカードオープン!! 速攻魔法『リミッター解除』!!」
リミッター解除は、発動したターンの終了時まで機械族モンスターの攻撃力を2倍にする、機械族を扱うデッキなら必須と言っていいカードだ。
「これでキールの攻撃力が2倍の4200になり、ブルーアイズを倒せるようになった!!」
「甘い!! 『リミッター解除』にチェーンして、手札の『オネスト』の効果を発動する!!」
「ふざけんな!! オネストだと!?」
「光属性のブルーアイズデッキに、光属性モンスターをサポートするオネストを入れて何が悪い!! オネストを手札から墓地に送ることで、ブルーアイズの攻撃力は攻撃してきたキールの攻撃力、2100ポイント分アップする!!」
効果は逆順で処理される。
オネストの効果でブルーアイズの攻撃力が5100となり、その後、キールの攻撃力が4200となる。
「返り討ちだブルーアイズ!! 滅びのバーストストリーム!!」
成功したかに思われた男の奇策は、遊石が手札に秘めておいたカードで失敗に終わった。
男のライフが900減り、残り1700となった。
「本来ならキールが破壊されるところだが、キールは装備しているモンスターを代わりに破壊して、自身の破壊を免れるんだったな? もっとも、リミッター解除が適用されたモンスターはエンドフェイズ時にすべて破壊されるわけだが」
これで男がエンド宣言すれば、男のフィールドはハウンド・ドラゴンだけとなる。
しかしまだ、男は通常召喚を行っていない。
(壁モンスターを伏せてくるか、それとも……)
遊石は状況を確認する。
自分の場にはブルーアイズと青き眼の乙女がいて、さらに伏せカードが1枚。
これは『強制脱出装置』である。
しかし、オネストを墓地に送ったことで、遊石の手札は0枚になってしまった。
一方男の場には、リミッター解除のデメリットで破壊が確定しているサイバー・ダーク・キールと、守備表示のハウンド・ドラゴンがいるのみ。
男の手札は2枚。
その中にモンスターカードがあれば、セットして終了するのが無難な選択となる。
(その手札が何かで勝負の行方が決まる。さぁ、その2枚のカードをどうする!?)
「……まだ負けた訳じゃねぇ!! 俺は手札の『ブラック・ボンバー』を攻撃表示で召喚!!」
「チューナーモンスター……」
遊石はブラック・ボンバー、そしてその召喚によって自分フィールドに生み出されたローズ・トークンを視界に入れながら呟いた。
「そうだ!! 俺の場のモンスターは破壊されることが確定している。なら、シンクロ召喚に利用する!!」
「させるか!! リバースカード、オープン!! 『強制脱出装置』!!」
「がっ……!?」
「ブラック・ボンバーを手札に戻してもらおうか」
「……俺は、カードを1枚伏せて、ターンエンドだ」
男がエンド宣言をしたことで、リミッター解除の効果を受けたサイバー・ダーク・キールが破壊され、男のモンスターゾーンはハウンド・ドラゴンのみとなった。
しかし、遊石に油断はない。
状況は遊石に有利だが、相手の場には伏せカードがある。
たった1枚だが、その1枚で戦況がひっくり返ることがあるのがこのゲームの怖いところである。
真っ先に警戒すべきは、やはりミラーフォースのような攻撃に反応する罠だ。
次のドローでサイクロンあたりを引ければ良いが、そうそう上手くはいかない。
もし引けなければ、罠カードであることを覚悟して攻撃するか、それをためらって攻撃しないかを選ばなければいけなくなる。
だが、相手の手札にはチューナーである『ブラック・ボンバー』がいることがすでに分かっている。
次のターン、それを召喚されてシンクロ召喚を許せば、また戦況は分からなくなる。
(できればこのターンで終わらせたい。そのための
「ドロー!!」
遊石がカードを引いた瞬間、彼の背筋にゾクッと走るものがあった。
カードを見ずとも分かる。
遊石の原石としての
(きてくれたか……この大事な場面で!!)
遊石は人差し指と中指でそのカードを持つと、男に対して不敵な笑みを見せた。
「な、何笑ってやがる……?」
「そりゃ笑うだろ。圧倒的な切り札がくれば」
「き、切り札だと?」
「そうさ。俺は手札の、『
「な、なんだ!? そのカードは!?」
「そ、それは!?」
聞いたことのないカード名に素っ頓狂な声を出す男。
そして、今まで黙ってデュエルの行方を見守っていた少女が驚きの声をあげた。
「このカードは自分フィールド上のすべてのカードと、手札・デッキ・エクストラデッキ・墓地のモンスターカードをすべてゲームから除外して特殊召喚できる。現れろ、『原石眼の切札竜』!!」
遊石が高らかに宣言し、カードをディスクに置いた。
ディスクがカードを認識し、3D描写が始まる……のだが、二人のあいだには何も現れない。
「……? な、何も出現しないぞ? 故障か?」
「いや、違う。ジェムストーンアイズは自分の姿を持たない。代わりに、召喚の為に命を捧げた仲間の力を借り受けることができる」
「どういう意味だ?」
「このカードは1ターンに1度、このカードの効果で除外したモンスター1体を選択してこのカードに装備できる。そして、このカードの攻撃力・守備力は装備したモンスターと同じ値となり、装備したモンスターの効果を得る」
「はぁ!? そんなのって……」
「俺はエクストラデッキから除外した『
除外された『超銀河眼の時空龍』のカードを魔法・罠ゾーンに入れると、空間に黄金に輝くネオ・ギャラクシーアイズ・タキオン・ドラゴンが出現した。
正確には、ネオ・ギャラクシーアイズ・タキオン・ドラゴンの姿となったジェムストーンアイズ・ジョーカードラゴンが。
「こ、こんなことが……」
「これがジェムストーンアイズだ。さて、お前の場にはジェムストーンアイズを特殊召喚した時に現れたローズ・トークンがいる。ネオ・ギャラクシーアイズ・タキオン・ドラゴンの攻撃力4500を受け継いだ今、攻撃さえ通れば俺の勝ち。だが……」
遊石はチラリと男の伏せカードを見やる。
「それ、おおかた攻撃宣言時に使える罠なんだろ? ミラーフォースくらいならまだしも、まかり間違って『
「ま、待てよ。ネオ・ギャラクシーアイズ・タキオン・ドラゴンは確か、エクシーズ素材が無いと効果が使えないんじゃ……」
「その通りだ。そこで、良いことを教えてやろう。装備カードにエクシーズモンスターを選択した場合、そのモンスターをエクシーズ召喚するために必要なエクシーズ素材の枚数分、除外したモンスターを選択しこのカードのエクシーズ素材にできるんだよ」
「……」
男は絶句した。
それはそうだろう。
本来、ネオ・ギャラクシーアイズ・タキオン・ドラゴンはレベル9のモンスターを3体用いてエクシーズ召喚する必要がある。
実際のところ、そんなことをするプレイヤーはまずいないので、
しかし、遊石のジェムストーンアイズ・ジョーカードラゴンは、それらの手段を一切省いている。
おまけに、エクシーズ召喚でもないのにエクシーズ素材を使えるとなればもう、声も出ないのは当然と言えよう。
「俺は除外した『
「……」
「本来、この
「う、うわああああああッ!!」
効果で伏せカードを発動できなかったため、この攻撃で男のライフは0となり、デュエルは遊石の勝利で終了した。
To be continued.
ということで、初デュエルでした。
オリカだから効果がぶっ飛んでるのもしょうがない(適当)
それにしても、記念すべき最初のデュエルの相手のデッキがサイバー・ダークだなんて見栄えのない……おまけにブラック・ガーデンなんて使ったから、処理がめんどくさすぎて……
あんなに遊戯王wiki見たの久しぶりです。