ARC-Vをいい感じにするためにオリ主を奮闘させてみた 作:偽馬鹿
赤馬零児。
レオ・コーポレイションの社長だ。
そしてマツリカの最上位の上司に当たる。
さて、そんな相手にアポを取る方法がマツリカにあるかというと、ないのだが。
『え、ないんですか!?』
「ない」
早朝、マツリカはデュエルスクールに向かっていた。
だがしかし、彼には根本的な解決方法がなかった。
『じゃあどこに向かっているんですか!?』
「デュエルスクールだ」
『どうして!?』
「休暇をとる」
『なるほど!』
ぽん、と手を鳴らすセアミン。
納得している場合ではない。
「そしてその間に事態を解決する」
『なるほどなるほど!
でー……何年くらい取れるんですか?』
「2週間」
『無理ですよぉ!?』
無理っぽかった。
仕方ない。
マツリカは急遽行く先を変更することにした。
『今度はどこへ……?』
「レオ・コーポレイション本社だ」
マツリカは自動ドアをくぐり、本社の中へと侵入する。
赤馬零児に会うのだ。
『約束とか……ないんですよね?』
「ああ。
それどころか不法侵入だ」
『ええっ!?』
セアミンの顔が驚きに染まる。
それはそうだ。
つい先程まで安定がーとか言っていた男が、急に不法侵入を行ったのだ。
驚きもする。
「どうせ平穏な人生は終わりだろう。
そうなれば、さっさと波乱の時間を終わらせるに限る」
『あ、一応信じてくれたんですね』
「まあな」
廊下を歩きながら、マツリカは喋る。
先程からブザーが鳴っているので、本当に不法侵入のようである。
「後はまあ、一応の解決法もある」
『……?』
まあそれはそれとして、マツリカは捕まったのだけど。
『あのー! 捕まってるんですけどー!?』
「だろうな」
『だろうなってどういうことですかー!?』
その場でわたわたしているセアミンを無視しつつ、全身をがんじがらめにされたマツリカはぼうっとしていた。
ここまでは想定内。
ここからが本番なのだ。
「……侵入者か」
「ああ、俺だ」
「……?」
赤馬零児が、侵入者の顔を見るために現れるか。
賭けとしてはクソみたいな確率であったが、それに勝った。
そして更に、セアミンの方を見て首を傾げている赤馬零児を見て、マツリカは勝利を確信した。
いやまあ捕まっているんだけど。
「2人きりで……いや、そこの金髪も加えて話がしたい」
「……」
「
「……ああ」
その台詞に何かを感じ取ったのか、赤馬零児が他の人間を下がらせた。
セアミンは驚いてひっくり返りそうになっていた。
『なんでですか?!』
「お前と話がしたいそうだ」
拘束も解除されて自由になったマツリカが、セアミンを前に押し出す。
セアミンは急に押された結果、べちんと倒れた。
そしてがばりと起き上がり、叫んだ。
『ええっ!? だってあたしはご主人以外には……』
「……やはり、
『……見えてます!』
驚きに染まる赤馬零児とセアミンの顔。
セアミンに至ってはマツリカの胸倉をつかんで振り回している。
いたいいたい。
「古い文献には存在が示唆されていたが……本物を見ることになるとはな」
『て、照れますね……!』
じっとセアミンのことを見る赤馬零児。
セアミンは顔を赤くして頭を掻いている。
「……そして、林マツリカ」
「はい」
「これが不法侵入を行った理由か」
「はい」
自分の名前を知られていることには驚かない。
何せ超絶敏腕社長だ。
部下の名前を憶えていることくらいわけないだろう。
それが例え木っ端のそれであっても。
それはともかく。
林が早くて助かると、マツリカは事の次第を話す。
このままでは世界が滅ぶ云々である。
一通り話すと、一瞬赤馬零児が黙り込み、突然言った。
「では貴方にもこれからの作戦に協力してもらおう」
「……ん?」
―――――
赤馬零児が考えた作戦とは、マツリカが考えていたよりも単純なものだった。
デュエル大会を開いてその中で優秀な人材を選出し、他の次元へと向かわせる。
この際、赤馬零児本人も出動する。
となると、当然であるがこの世界の有力なデュエリストが減り、この世界が侵略される恐れがある。
勿論、ある程度の戦力であれば問題はない。
だがそれ以上の戦力が投入されてしまえば、侵略を抑えることはできないだろう。
そうならないための戦力を、マツリカに集めて欲しいというのだ。
勿論給与は弾むとか。
そしてある程度の権限も与えられた。
レオ・コーポレイションの傘下であれば、極一部を除いて引き抜きも行えるという強力な権限であった。
「そうだな……チーム名を"シールド"とする。励んでくれ」
社長室での会話である。
拘束を解かれたマツリカはそこに連れてこられ、そのまま会議となった。
「……やけに扱いがいいな。カードの精霊はそれだけ重要なのか?」
「ああ」
赤馬零児は断言する。
「カードの精霊は戦況を左右する重要な存在だと、私は考えている」
「ほう」
「オカルトじみていると言われてしまうかもしれないが、そもそも他の次元への跳躍もオカルトのそれと言っていいだろう?」
そう言いながら、ちらりとセアミンの方を見る。
セアミンはびくりと跳ね上がり、こそこそとマツリカの背中へと隠れる。
「私は嫌われてしまったようだが……カードの精霊は使い手を導くとも言われている。
その力に振り回されないよう、心がけて欲しい」
「了解した」
『りょ、了解しました!』
ビシッと敬礼をするセアミン。
マツリカは苦笑し、セアミンを外へと送り出す。
「そうだ」
「ん?」
そしてマツリカも外に出ようとしたところで、赤馬零児が声をかけてきた。
何かあるのか。
そう思って振り返ると、マツリカの手に1枚のカードが飛び込んできた。
「もし困ったことがあれば使うといい」
「……助かる」
「なに、今から私たちは仲間なのだ。気遣いくらい見せるさ」
思ったよりも気さくな人物のようだ。
そう思ったマツリカは、カードを持っていない方の手を振り、感謝の気持ちを伝えた。
『……何かあったんです?』
「いや、何も」
特に何か言うことはない。
セアミンが気にする必要はない。
そういう意味を込めてセアミンの頭を撫でる。
『わふっ……』
それだけで、セアミンはご機嫌になる。
主人からの初めてのスキンシップである。
何とも言えない嬉しさがあるらしい。
「さて……」
マツリカは渡されたカードに視線を落とす。
そのカードは―――――