ARC-Vをいい感じにするためにオリ主を奮闘させてみた   作:偽馬鹿

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デュエルの流れがあっているか若干不安である。


愛されるひーろー

「―――――というわけで、本日をもって林先生はご退職なされます」

「……え?」

「ええー!?」

 

驚愕の声。

それはそうだ。

マツリカはスクールの先生をやめる気はないと常々語っていたからだ。

 

それが急に退職である。

驚かない方が無理だろう。

 

わいのわいの。

クラスのみんなが騒ぎ出す。

 

 

 

「……」

 

そんな中、ひとりだけ無言でマツリカをじっと見ている少女の姿があった。

青みがかった顎先程度まである髪に、やけに光って見える赤黒い瞳。

胸元は貧しく、身長は高め。

異性にもてるタイプには見えず、どちらかと言えば同性から人気を得られるタイプに見える。

 

少女の名は千代桐ハツミ。

恋する乙女な14歳である。

 

 

 

「先生」

「なんだ?」

 

マツリカの最後の授業。

それが終わった直後の話である。

 

ハツミはマツリカの進む先を陣取り、行き先を塞いだ。

鬼気迫る様子に、マツリカも動きを止める。

 

「デュエルしよう」

「……ん?」

「僕が勝ったら先生、続けてもらうよ」

 

チャキ、とデュエルディスクを構えるハツミ。

マツリカからしたら唐突過ぎてよく分からない展開だ。

 

「俺が勝ったら?」

 

とはいえこれも授業の一環だろう。

そう思ったマツリカはそれに応じる。

デュエルディスクを構え、デッキをセットした。

 

「僕のファーストキスとか、どう?」

 

軽く微笑みながら言う。

周囲のクラスメイトからは黄色い歓声。

マツリカ的には「マセガキ……」といった気持ち。

 

「10年早い」

「じゃあ予約するよ。10年後」

「……覚えていたらな」

 

更に黄色い歓声。

ちょっとげんなりするマツリカであった。

 

 

 

「「デュエル」」

 

ソリッドビジョンが展開される。

アクションマジックカードが周囲に散らばる。

 

「僕が先行?」

「お好きにどうぞ」

「ありがと、先生」

 

たったったっと走りながら、ハツミはデュエルを始める。

彼女は陸上部で活躍していたりする。

 

「僕のターン。

 僕は【エクソシスター・ステラ】を召喚し、効果を発動。

 【エクソシスター・エリス】を特殊召喚する。

 その後、追加効果でライフを800回復」

 

すらすらと詰まることなく効果を宣言していくハツミ。

運動しながら効果を読み上げるのはアクションデュエルでは必要な技能だろう。

マツリカはできないが。

 

「【エクソシスター・ステラ】と【エクソシスター・エリス】でエクシーズ召喚!

 【エクソシスター・カスピテル】!

 更にオーバーレイユニットをひとつ取り除いて効果を発動。

 デッキから【エクソシスター・ソフィア】を手札に加える」

 

攻撃表示で【エクソシスター・カスピテル】を特殊召喚したハツミは、そのままターンを終了する。

手札のカードは通常魔法か。

そう判断したマツリカはゆっくりと歩き始めた。

 

「俺のターン、ドロー。

 俺は手札から【Uk-P.U.N.K.娑楽斎】を召喚。

 ライフを600支払い効果を発動。

 手札フィールドから決められた融合素材を墓地に送り、融合召喚する。

 【Uk-P.U.N.K.カープ・ライジング】を融合召喚。

 そのままリリースして効果を発動。

 デッキからレベル8以外のP.U.N.K.モンスターを2体特殊召喚する。

 【Ga-P.U.N.K.ワゴン】と【No-P.U.N.K.セアミン】を特殊召喚。

 ライフを600支払い【Ga-P.U.N.K.ワゴン】の効果を発動。

 デッキからP.U.N.K.魔法カードを手札に加える。

 【P.U.N.K.JAMエクストリーム・セッション】を手札に加えてそのまま発動。

 更にライフを600支払い【No-P.U.N.K.セアミン】の効果。

 デッキから【No-P.U.N.K.オーガ・ナンバー】を手札に加える。

 【P.U.N.K.JAMエクストリーム・セッション】の効果で1枚ドローする。

 そして【Ga-P.U.N.K.ワゴン】をリリースし、【No-P.U.N.K.オーガ・ナンバー】の効果で自身を特殊召喚。

 レベル3【No-P.U.N.K.セアミン】とレベル8【No-P.U.N.K.オーガ・ナンバー】でシンクロ召喚する。

 【Uk-P.U.N.K.アメイジング・ドラゴン】。

 シンクロ召喚の効果により、自分のフィールド・墓地のサイキック族・レベル3モンスターの種類の数まで、相手フィールドのカードを対象として発動できる。

 そのカードを持ち主の手札に戻す」

「おっと」

 

手札には【No-P.U.N.K.ディア・ノート】がある。

これを特殊召喚して2体で攻撃して決着。

そう考えていたが、ハツミは何やら余裕そうだ。

 

 

「なるほど、アクションマジックか」

「当たり。

 アクションマジック【ミラージュ・ヒット】発動。

 対象をとる効果を無効にする」

 

タイミングよく適切なカードを引くものだ。

そう思いながら、不発に終わった効果を処理していく。

 

「では、更にこちらのターンを続けさせてもらおう」

「げ、まだ続くの?」

「こちらにも事情があるからな。割と本気だ」

 

マツリカはアクションマジックの方へと歩いて向かいながら、更に展開をする。

 

「墓地に送られた【No-P.U.N.K.セアミン】の効果で【Uk-P.U.N.K.アメイジング・ドラゴン】の攻撃力を600上げる。

 手札の【No-P.U.N.K.ディア・ノート】の効果を使う。

 P.U.N.K.モンスターを見せて【No-P.U.N.K.ディア・ノート】かそちらかを特殊召喚し、もう片方を墓地へ送る。

 見せるのは【Jo-P.U.N.K.Mme.スパイダー】で、こちらを墓地に送る。

 更に【緊急テレポート】を発動し、デッキから【Jo-P.U.N.K.Mme.スパイダー】を特殊召喚。

 レベル3の【Jo-P.U.N.K.Mme.スパイダー】とレベル5の【No-P.U.N.K.ディア・ノート】でシンクロ召喚。

 レベル8【P.U.N.K.JAMドラゴン・ドライブ】。

 ライフを600支払って効果を使用し、【No-P.U.N.K.セアミン】を手札に加える。

 【P.U.N.K.JAMエクストリーム・セッション】の効果で1枚ドローする」

「手札が減らないなぁ」

 

ライフは減っているが。

内心で呟きながら、マツリカはアクションマジックへと辿り着く。

 

「更に、【No-P.U.N.K.ディア・ノート】が墓地に送られたので、墓地から【No-P.U.N.K.オーガ・ナンバー】を特殊召喚する」

「わあ」

 

攻撃力3600、2700、2500。

【エクソシスター・カスピテル】はいるものの、このままでは突破されておしまいである。

ハツミは即座に駆け出して、アクションマジックを拾う。

 

「アクションマジック【光の守り刀】!

 相手モンスター1体の攻撃を無効にできる!」

 

即座に発動。

狙うのは【Uk-P.U.N.K.アメイジング・ドラゴン】だろう。

しかし、マツリカも黙って喰らうわけにはいかない。

うっかりすればそのまま負けてしまうライフなのだ。

ここで押し切るつもりだった。

 

「アクションマジック【スタンピングアロー】。

 魔法、罠の発動を無効にして再度セットさせる」

「あー……」

 

やられた、とでも言いたげな表情を浮かべるハツミ。

内心で危なかった、と呟いて、マツリカはそのまま攻撃を宣言する。

 

「全員で攻撃すれば決着だが……なにかあるか?」

「ないでーす」

 

両手を上げて降参するハツミ。

アクションマジックでの反撃失敗。

自分フィールドには発動できる魔法、罠はない。

敗北である。

 

 

 

「あーこれでファーストキス奪われちゃった」

「10年先、覚えていたらな」

「ちぇー」

 

ソリッドビジョンを解除して、デュエルも終了。

周囲に集まっていた野次馬もいなくなっていく。

 

「……」

「……」

 

向かい合う2人は無言。

特に何も言うことのないマツリカと、何を言うべきか分からないハツミ。

内心は両者全然違うのだった。

 

 

 

「……先生は」

「ん?」

 

暫くして、ハツミが声を出した。

それを待っていたかのように、マツリカは視線を向ける。

 

「先生は、先生のままだと思ってた」

「どういう意味だ?」

「ずっと先生やってるんだなって」

 

何となく、思ったことを口にするハツミ。

どうにも考えがまとまらない様子だった。

 

マツリカはそんなハツミを見て、話を待つことにした。

生徒の悩みを受け止めるのも先生の役割である。

そんな当たり前だがちょっとずれた思考で、マツリカはじっと待っていた。

 

「ずっと勉強を見てくれるんだと思ってた」

「そうか」

「ずっと一緒にいてくれるんだと思ってた」

「そうか」

「卒業したら結婚してくれるんだと思ってた」

「そうか……?」

 

最後のそれはまあありえないこと。

そう思うマツリカであったが、ハツミ的には割と本気だった。

 

「えー」

「10年早い」

「10年たったらもう24だよ」

「まだ24だろう」

「……もしかしてそれくらいが好み?」

「はっ倒すぞ」

「ははっ」

 

ハツミは笑って、すぐにマツリカに背を向けた。

涙は見せない主義だった。

まあ、彼女は人前で泣いた記憶なんてなかったのだけど。

 

 

 

「……」

「……ねえ先生」

「なんだ」

「先生の家の住所ってここで合ってる?」

「……は?」

 

涙を流しながら、しかしそれでも笑いながらハツミはマツリカの家の住所を指し示した。

どこで調べたのかはわからない。

だが、それは間違いなくマツリカの家の住所だった。

 

「当たりか。流石新聞部、正確な情報どうも」

「あそこまだ動いてたのか」

「うん。昨日までね」

 

そう言って、ささっとハツミは廊下を走る。

廊下を走るなと言おうとしたマツリカだったが、その前にハツミが喋り出す。

 

「明日、先生の家に遊びに行く」

「おい」

「明日は土曜日でしょ?」

「……」

「いいよね?」

「よくない」

「えー」

 

廊下の端っこでケタケタ笑いながら、ハツミは回る。

くるくるくるくる回って。

そのまま転がり落ちた。

 

「!?」

 

とっさに駆け寄るマツリカだったが、ハツミはそれでもケタケタ笑っていた。

転がった先は芝生の上で、怪我などはなかったようである。

それに一安心したが、マツリカはため息をつきながらハツミへと近寄る。

 

「心配かけるな」

 

そう言うと、ハツミは笑うのをやめてきょとんとした。

 

「心配してくれたの?」

「当然だ」

「そっか……ふふ」

 

すると、またしてもハツミは笑う。

ころころと、からからと笑う。

 

「じゃあ先生。また明日」

「……………ああ」

 

長い葛藤の末、マツリカはハツミを迎える準備をすることにした。

凄い勢いで走っていくハツミを見ながら、最初にどこを片付けようかと悩むのだった。

 

 

 

 

 

 

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