ARC-Vをいい感じにするためにオリ主を奮闘させてみた   作:偽馬鹿

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遊戯王世界でのカードの値段がわからぬ……高いことしかわからぬ……。


ひーろーの買い物

「そういえば先生」

「先生はやめたよ」

「じゃあマツリカ」

「呼び捨てか」

 

ぺしりとハツミの頭を小突き、その後でオレンジジュースを差し出す。

オレンジジュースはハツミの好物である。

マツリカが覚えていた理由は特にない。

ただ生徒の好物1つくらいは覚えておこうという方針からだ。

 

そしてそんな気遣いに心を撃たれたのがハツミであった。

誰も知らないような、細かな好み。

それを知ってくれていることの嬉しさ。

それにドハマリして恋に落ちたのだった。

 

 

 

「ねえ先生」

「だから先生はやめたと」

「先生、お腹空いた」

「そのまま通す気か」

 

全体重を椅子に預けてぐでーんとするハツミ。

その様子はこの家に始めてきたとは思わせないほどリラックスしていた。

 

マツリカはひとつ溜息を吐き、台所へと消える。

そして、戻って来たその手には彼お手製のクッキーがあった。

 

「……手作り?」

「手作りだ」

「わあ……!」

 

喜びの笑みを浮かべるハツミ。

何が嬉しいのか皆目見当がつかないマツリカであった。

 

 

 

宣言通り、土曜日の朝からマツリカの家へとやって来たハツミ。

気合いの入った服装で、上から下まで勝負服であった。

まあマツリカはそんなことに気付かないのだが。

 

『ご主人ご主人』

「今は駄目だ」

「?」

 

セアミンはそんな超鈍感なマツリカに助言をしようと話しかけるが、独り言をしているように見られたくないマツリカはそれを遮断する。

その様子を不思議そうな目で見るハツミ。

妙な空間が構築されていた。

 

にこにこと微笑みながらクッキーを食べるハツミを見ながら、マツリカは思案する。

ハツミのデュエルの腕は、彼の担当していたクラスの中で随一だ。

エクソシスターのカードの集まり具合も、学生としては中々。

マルファやリタニアを所持していないのは、単純に入手が難しいからだろう。

高いし。

 

今日までの様子から、自分に付きまとうであろうハツミをスルーしていては良からぬことに巻き込まれかねない。

何せ異世界からの侵入者と戦うのだ。

デュエルに負けたらカードにされるという可能性もないわけではない。

 

ならばどうするか。

マツリカは暫くクッキーを齧りながら考えた。

しかし結局上手くハツミを引き離す方法が思いつかなかった。

 

「ハツミ」

「ん? どうしたの先生?」

「これからカードを買いに行くぞ」

「え?」

 

ならば、今からこの少女を強くすればいい。

幸いエクソシスターは組んだことがある。

どんなカードが今のハツミのデッキに必要なのか大体理解している。

 

ハツミはマツリカの提案を受けて疑問符を浮かべていたが、その意味を理解したところで喜びの表情を浮かべた。

 

「デート!」

 

そう、彼女的にはデートのお誘いである。

理由とかそういったことは考えない。

とにかくデートだ。

これに乗らないわけにはいかない。

 

「違うが?」

「どこに行くの?」

 

マツリカの否定の言葉は届かない。

仕方なく、マツリカはそのまま上着を着込んで、ハツミを連れてカードショップへと繰り出すのだった。

 

 

 

―――――

 

 

 

 

 

「おお……マルファだ……」

 

数時間後、ハツミの手には金銭的に購入できなかったエクソシスターのカードが収まっていた。

勿論購入したのはマツリカである。

そこそこの金額だったが、必要経費だと割り切った。

 

「大事に使えよ」

「うん……先生からのプレゼントだしね」

 

何か別のところに重点が置かれている気がする。

マツリカはそう思ったが、あえてスルー。

次のお店へとターゲットを移した。

 

「次に行くぞ」

「あ、あそこはエクシーズモンスター専用ショップ!」

「ミカエリスとマニフィカ、持ってなかったな」

「ほ、本当に買ってくれるの?」

 

頷き、ショップの中へと入る。

ハツミ的には先生とのデート、欲しかったカード、先生からのプレゼントで頭の中がパンクしそうであった。

嬉しいを通り越してちょっと怖いくらいだ。

 

「これとこれを3枚ずつください」

「!?」

 

そして驚愕。

彼女の今のお小遣いに換算すると数年分のそれがぽんと買われた。

そしてそのまま彼女の手に収まったのだ。

最早訳が分からない。

 

「せ、先生は何したいの……?」

 

ここまでされると怖い。

ハツミもちょっと危機感を覚えた。

いやまあ別に何をされても問題ないんだけどね!?

謎の言い訳を内心で叫ぶ。

 

「強くなってもらわないとならなくなった」

「……?」

「……特に理由はない」

 

そう言って、マツリカはさっさと外へ出る。

遅れて、とことことハツミがついていく。

後でお金を取られたりしたらどうしよう。

そんなことを思いながら、ハツミはマツリカについていくのだった。

 

 

 

 

 

―――――

 

 

 

 

 

「もう夕方だ」

「そ、そうだね!」

 

どこか様子がおかしいハツミの言動を不思議に思いながら、マツリカはハツミの家の前に立っていた。

 

「今日は帰りなさい」

「そうだね!」

 

ガチガチに固まっているハツミは、カクカクと回転して家の中へと入っていった。

 

「どうしたんだ……?」

『金銭感覚がぶっ壊れてしまいましたね……』

 

うんうんと頷くセアミン。

マツリカはよく分からない様子で、そのまま歩き始める。

帰宅である。

 

『これであの子が破産したらご主人のせいですよー』

「どうしてそうなる」

 

マツリカはセアミンの言った台詞を理解できずに聞き返すが、返事はない。

拗ねてしまったのか、と思ったが様子がおかしい。

その顔は緊張で引き締まっていたのだ。

 

マツリカが今いる場所は高級住宅街。

周囲には人がいない。

そう、()()()()()()()

夕方に差し掛かり、子供が家に帰り始める時刻。

それなのに、だ。

 

 

 

『何か来ますよ……!』

「だろうな」

 

この世界でこのようなことが起こせるのはデュエリスト関係者に違いない。

マツリカはデュエルディスクを構えてデッキをセットした。

 

すると。

背後から何か物音がする。

 

「……誰だ」

 

振り返り、声をかける。

その先には黒い影。

デュエルディスクだけがくっきりと見える。

そして、そのデュエルディスクには既にデッキがセットされていた。

 

「―――――」

「デュエルか。いいぞ」

 

声は聞こえなかった。

しかし、その黒い何かがデュエルを求めていることは分かった。

ならば応えるしかない。

 

 

 

「デュエル!」

 

 

 

 

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