Blue Archive Daughter is the Devil   作:クラウディ

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戦闘シーン……なのか?





Mission5:Encounter with trouble

「ふぅ……けぷっ……美味しかったぁ……」

 

ご馳走になったスイーツ店を後にした俺は大きく息を吐いて感想をのべる。

うん、めちゃくちゃ美味かった。前世での1人焼肉に勝るほどの美味さだったと言えるレベルですごかった。

流石に1人焼肉とは幸せのベクトルが違うかもしれないけど、あれはマジで天国を感じる美味さだと言える。

調子にのって10杯は食べたはずで、お腹も結構膨れていた。

 

そして押し寄せてくるのは……

 

「……やってしまった……」

 

とてつもない後悔であった。

 

スイーツ店での滞在時間はおおよそ1時間。

最初の1杯ようにすぐ食べるわけではなく、いかにストサンが美味いのかを確かめるようにじっくりと味わって食べていたからなのか相当時間がかかっていた。

その結果が1時間の消費である。

 

もったいない……めちゃくちゃもったいないことをした……。

1時間あればここの地理なんかを把握して、図書館なども見つけて使えただろうに……それをストサンを食べたいという欲に負けた結果、ほぼ無駄にしてしまったのだ。

 

「……ま、まぁ、美味しいもの食べられたし、このブラックカードもなんかスゴいってことが分かったから問題なし!」

 

だが、それなりの収穫があった。

まずは会計で使ったブラックカード。最初の店員さんの反応から、これは別の用途で使うのではないかと思ったが、普通に決済できたためこのカードはクレジットカードだということが判明。

そして、あそこのストサンはそれなりに値段が高く、そんなのを10杯も食べてしまったがカードの残高が足りないなんてことはなかった。

たぶん、店員さんが驚いていたのは、このカードのランク(おそらくめっちゃランクが高い)とか、そんなのを俺みたいな少女どころか幼女が持ってることに驚いたのだろう。

 

……"アイツ"が置いてってくれたのかな……。

なんだかんだ言って、原作の方でもネロを助けてくれるであろう孤児院の前に置いていったくらいだし。

まぁ、それはそれとして一発ぶん殴るのは変わらないけどな。

 

あとはストサンがとても美味しいことがわかった。暇が出来たら今度もあそこに行こう。

 

「さてと、散策の続きだ!」

 

お腹は一杯。やる気も十分。その勢いのままに俺は駆け出した。

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

「ふふっ、あの子、まだ初等部みたいなのに元気そうね」

 

「せんばぁい……あの子の見てたら余計に口の中甘ったるくなったんですけどぉ……」

 

「あらあら。無理に食べなくても良いのよ?」

 

「うぅ、もったいない気がしないでもないし、これは自分で頼んだもんですから。最後まできっちりと責任を持ちます……」

 

「ふふっ、真面目ね"エマ"ちゃん」

 

「そうですかねぇ……モグモグ……ん? "アイコ"先輩、あの子の後ろをついていってる奴ら、怪しくないですかね?」

 

「あら? ヘルメットを被ってるわね? それにここではあまり見ない制服……」

 

「あ、あの子路地裏に入っていったっすね。ヘルメットの奴らもその後を……うん、明らかにヤバいっすね」

 

「そうねぇ~、一人じゃ危ないわ~」

 

「モグモグ……ふぅ、行きますか」

 

「えぇ、()()()()()()()出動します」

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

「おぉ、外国っぽい路地裏だ」

 

興味の赴くまま歩き出した俺は、人通りの少ない路地裏を歩いていた。

ここに関しても日本の路地裏とは様相が違っており、雰囲気も変わっている。

探し物をしていることもあって、気分はシャーロック・ホームズだ。

 

「それにしても人通りが少ないな~。トリニティとはいえ、こんなところじゃちょっと危なそう……」

 

流石に路地裏にまで来るというのは相当の物好きしかいないのか、この場所には俺以外人の姿が見当たらない。

それに、自分の足音が周りに反響するようで、少し怖くなってくる。

 

「……さ、流石にここはトリニティの中心部に近いし、不良達も悪さはできないはず……」

 

自分の中で安全だと思おうとしても、あることに気がついて言葉が尻すぼみになってしまう。

トリニティでお嬢様と言える生徒がいるのは、その総本山の「トリニティ総合学園」に通う一部の生徒だけだ。

昔ながらのしきたりを重んじるトリニティとはいえ、全員が全員お嬢様って訳ではなく、俗な感性の生徒も多く在籍する。

そんなトリニティの中でも不良となっている生徒もいるようだ。

 

そして、トリニティの中以外の不良がトリニティ生徒を監禁して、身代金を要求するケースもあるらしい。

 

ゲームの中でのブルアカで普通に起きていたことであり、ネットで調べたところ今俺がいるこの世界でも変わりはないらしい。

 

そう思うと、途端に怖くなってきた。

不良よりヤバい"アイツ"をぶん殴ると決めたものの、それでも怖いものは怖い。

特に、ここでは暴力どころか銃を使ってくるのだ。

 

「……や、やっぱり帰るか……」

 

背筋をサーッと流れる冷や汗を感じながら、俺は踵を返して路地裏を離れようとする。

誰にも目を合わせないように下を向いて足早に去ろうとした。

 

だが、

 

「おっとっと、どこへ行こうとしてるんだお嬢ちゃん?」

「ヒッ……!」

 

悪意を感じさせる声色で、俺の腕をつかんだ誰かがいた。

すぐさま腕を振り払おうとするも自身よりも強い力で引っ張られ、体勢を崩し、固い地面へと倒れ込む。

倒れ込んだ際の痛みはあまり感じなかったが、今の自分はそれ以上の焦りと恐怖を覚えていた。

 

(なんでこんなところまで不良が!? いくらなんでもヤバすぎだろここ!)

「あー、強く引っ張りすぎて済まんな嬢ちゃん。でも、あんな物を見せびらかしてるなら狙ってくれって言っているようなも――」

「ッ!?」

 

不良の一人がなにかを話している間にすぐさま立ち上がって逃げようとするも、身体のすぐそばスレスレに弾丸が命中した。

発砲音がしなかった……まさか、消音器付き……!?

しかも、あんなにギリギリを狙って撃つとかコイツ手慣れすぎだろ!?

 

「おいおい、逃げようとしないでくれよお嬢ちゃん。抵抗しなければなにも怖いことはしねぇって」

「そうそう。アタイらにちょっとお金を恵んでくれるだけで良いんだって」

「ま、あんたを人質にすればもっと金を搾り取れそうだけどな」

 

俺の腕を引っ張ったそいつ以外にも、建物の陰から同じヘルメットを被った不良の仲間が何人も出てくる。

しかも、全員背が高い。明らかに高等部とかの連中だ。

 

「ッ!」

「だーかーらー、抵抗すんな!」

「痛……っ!」

 

バックの中に入れていたブルーローズを取り出そうとするも、不良の一人が腕を踏みつけて止めてきた。

込められている力はかなり強く、折れてしまうかもしれないと感じるレベル。

俺もキヴォトスの生徒とはいえ、まだ身体は初等部にふさわしい未発達さだ。

 

「いっ、つぅ……」

「おいおい、あんまり痛めつけてやんなよ。あくまで人質として捕まえるんだからな」

「そう言われましても姉御、ここ最近は良い感じの獲物すら捕まえられなかったからアタイらめちゃくちゃ腹空かせてるんですぜ? それなのに、このガキンチョはあんな美味そうなものをそれはそれは嬉しそうに食べてたんですからっ!」

「ひぎゅっ……!」

 

腕にかかる力がさらに強くなる。

ミシミシと音が聞こえてきそうなほどだ。

あまりの理不尽さに泣いてしまいそうだった。

 

「チッ! おい、足を退けてやれ」

「えー、コイツはどうせ人質だから生きてりゃ良い――」

 

「もう一度言う。足を退けてやれ」

 

「っ……分かりましたよ……」

「っ! ハァッ、ハァッ……!」

 

姉御と呼ばれた不良の言葉に、俺の腕を踏みつけていた不良が足を退ける。

俺は解放された腕を押さえて蹲っていたが、こめかみに固いナニカ――「拳銃」が押し付けられた。

 

「もう一度言うぞお嬢ちゃん。アタイらの目的はお嬢ちゃんの持ってるブラックカードだ。それさえ渡してくれればこれ以上はなにもしない。だから黙って渡しな」

「ひぐっ、うぅっ……」

 

低い声と銃口を突きつけられた恐怖のあまり泣きそうになる。

なんで、こんな目に自分が会わなきゃいけないんだ、と。

でも、一つだけ言えることはある。

 

「わ、渡さない……!」

「……状況分かってんのかお嬢ちゃん?」

 

俺の拒否の言葉に不良の声が一段と低くなる。

今すぐにでも渡して解放されたいけれど、それでも負けたらいけないんだ。

 

「わ、分かってる……! アンタ達は不良で、俺から金を奪い取ろうとしている……おとなしく渡せばアンタの命令で人質にはしないはず……!」

「よく分かってんじゃねぇか。ならとっとと――」

「でもっ! 俺はここで負けたくない! 俺にはまだやらなきゃいけないことがあるんだ!」

「――へぇ……」

 

そうだ。俺はここで止まるわけには行かない。俺の願いのためにも、この子のためにも……!

俺の決死の言葉に、リーダー格の不良が面白いと言わんばかりの声を出した。

 

「んじゃ、その威勢がどこまで続くかな?」

「っ……!」

 

突きつけていた拳銃の引き金に指を掛け、弾丸が放たれる――!

 

――ダーンッ!!

 

――轟音が響いた。

弾丸が放たれたのだろう。

だが、その音は突きつけられている拳銃からではなかった。

 

「ガッ!?」

 

地面に倒れていたことで見上げていたはずの不良の一人が大きく弾き飛ばされる。

その際、ヘルメットは大きくひしゃげていた。

 

「え……」

「チッ! 無駄話をしすぎたか!」

「この音って、まさか正義実現委員会の――グハッ!?」

 

俺が驚いている間にも不良達が次々と弾き飛ばされていく。

リーダー格はやはり熟練度が違うのか、どこかから放たれている弾丸を回避していた。

いや、なんで弾丸回避できるの?

 

「お前らズラかるぞ!」

「へ、へい! お前ら逃げる――ぐほっ!?」

「逃がさないわよ!」

 

リーダー格の指示に、すぐさま逃げようとした不良達だが、横合いから砲弾のように飛んできた誰かに突き飛ばされ壁にめり込む。

人が壁にめり込むってどんな速さで突き飛ばされたの?

 

状況が一気に変わっていくせいで俺の頭はフリーズ寸前だった。

 

しかし、俺がフリーズしている間にも状況は進んでいく。

 

不良の手下はあっという間に鎮圧され、残るはリーダー格だけだった。

 

「またあなたなのね! 今度こそお縄につきなさい!」

「ハッ! そう言われて本当になるやつがいるか? アタイは自由が良いんでな!」

 

透明なシールドを持って助けに来てくれた人は盾を突き出しながら突撃し、それを受け流すように回避する不良の戦いは思っていた以上に苛烈。

人を壁にめり込ませるほどの速度で突撃して来たかと思えば、不良はそれを跳躍して容易く回避し、無防備になった背中へと引き金を引く。

だがシールドを持ってる人は突進の勢いを無理矢理ねじ曲げ、即座に後方へと構え弾丸を全て防いだ。

 

「チッ! 弾切れか!」

「チャンス! ハァッ!」

「チッ!」

 

そして弾丸を全て防ぎきった人は、弾切れを起こし一瞬の隙ができた不良に向かってこれまた突撃した。

その左手に持ってる銃は飾りなのかと言いたくなるほどに突撃を繰り返す人の攻撃を食らって叩き落とされた不良だが、すぐさま受け身をとり地面を転がりながら体勢を整えた。

 

「…………」

 

目の前で繰り広げられる超人バトルに呆然とする俺。

「こ、これがキヴォトスか……!」そんなことを思いながら、俺はその戦いに見入っていた。

 

「あー、大丈夫っすかおチビちゃん? 怪我とか無いっすか?」

「……へ? あ、わ、あ、あなたは誰、ですか?」

「んー、結構有名だと思ってたんすけど、まさか知られてないとは……ま、それは置いといて、自分の名前は"エマ"っす。所属は『正義実現委員会』っす。よろしくお願いしますわ」

「正義実げ……!?」

 

じっと戦いを見つめていると、後ろから近づいてきた人――「エマ」さんに声をかけられた。

俺みたいな白い制服ではなく、真っ黒な制服を着ていて、彼女が言う通りに「正義実現委員会」の所属だということが分かる。

そんな彼女は銃――おそらく「AMR(対物ライフル)」を肩に担ぎながら、二人の戦いを観戦していた。

 

「いやぁ~それにしてもおチビちゃんは不幸っすね。あんにゃろうに絡まれるなんて」

「そ、そんな危ない人なんですか……?」

「そうっすね。あいつ、このトリニティの中心部まで忍び込んだ挙げ句、幼気な学生を狙って問題を起こし、うちの委員長とタイマン張れてるレベルでヤベー強さしてますから」

「え゛、あのシールド持ってる人委員長さんなんですか!?」

「そうっすよ? ま、パッと見だと脳筋の突撃女にしか見えないっすからそう思われても仕方ないっすね~」

 

あの人委員長なの!?

バトルスタイルが未来の救護騎士団団長レベルなんですけど!?

 

今日で何度目か分からないキヴォトスの常識との違いに混乱する俺。

それほどまでに今日のことは衝撃的だったのだ。

 

「ハァッ、ハァッ……しぶといな"アイコ"……」

「それはあなたもよ……」

 

消耗の多い不良に対し、今だ余力を残している委員長――「アイコ」さん。

このままなら、不良は取り押さえられるだろう。

 

「ま、今日は面白いもんが見れた。金のことも気にならないレベルでな」

「それなら捕まってくれると助かるのだけれど!」

 

不良がなにかを良いながら懐に手を伸ばし、その隙にアイコさんがまた突撃する。

しかし、

 

「ま、アタイはここらで逃げさせてもらうんでな」

「ッ!? スモーク!」

「はいよっと!」

「わわっ!?」

 

不良が懐から取り出した物から発せられたバシュッという音と共に、不良の姿が煙に包まれて見えなくなった。

それに驚いている間に、エマさんが俺を片腕でつかみ引き寄せてくれる。

この隙に俺が誘拐される可能性があったからだろう。

 

やがて煙が晴れると、そこから不良の姿は消えていた。

周囲を警戒していたアイコさんだったが、ある程度周囲を見回すと力を抜いて呟いた。

 

「……逃げられたわね……」

 

リーダー格の不良には逃げられてしまったようだ。

その事に悔しがっているアイコさんだったが、振り返ると俺達の方に歩いてくる。

そして俺の前まで来ると、しゃがんで目線を合わせながら俺の頭を撫でてくれた。

 

「大丈夫かしら? 怪我はない? よく頑張ったわね」

「あ……」

 

そこで、俺は緊張が解けた。

身体に力が入らない。目元に涙が溜まってきて、それは決壊する。

 

「うぅっ、ひぐっ、こ、怖かったぁ………」

「よしよし、小さいのによく頑張ったわね」

 

俺はしばらくの間、アイコさんに抱きついて泣き続けるのであった。







・リーダー格の不良
ネロをおもしれー奴認定したヤベー奴
持ち武器はハンドガン「フリーダム」

・エマ
トリニティ総合学園2年生で正義実現委員会の副委員長
やろうと思えば凸砂ができるらしい
アイコのストッパー
持ち武器はアンチマテリアルライフル「ボーダーライン」

・アイコ
トリニティ総合学園3年生で正義実現委員会の委員長
トラブルを見つけたらとりあえず盾持って突撃する
持ち武器はサブマシンガン「ヴァンガード」


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