アンジュ・ヴィエルジュ ~新たな可能性~   作:ゼロ・ツー

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執筆に時間が掛かって遅れてしまいました。

不定期とはいえ、もう少し早く仕上げられると思っていましたが、意外と忙しくて進みませんでした。

具体的には、授業とか、バイトとか、アンジュの大会とか。

とりあえずお楽しみください。


零弐VSキリト 前篇

ついにこの時が来た。

おそらく、学末試験のブルーミングバトル以来、本気で戦うことになるであろう機会が。

ブルーミングバトル専用会場『コロシアム』控室。

そこで俺、美海、ソフィーナ、アウロラ、セニアは最後の作戦会議を終えた。

対戦相手はキリトのチーム。

即席で作ったとはいえ、公開されている互いのチーム情報から、そのチームメンバーは琉花、ウェンディ、ルビー、テルルと実力の高いメンバーが出そろってきた。

しかも、午前中のリンク率適性試験では、誰もがキリトとのリンク率が高かった。

侮れない。

 

「なに緊張してるのよ、らしくないわね」

 

「別に緊張しているわけじゃないさ。ただな……」

 

「ただ、何よ?」

 

「ただ、キリトのセンスが問題なんだよ」

 

「キリトくんのセンス?そんなにスゴイの?」

 

美海が?を出しながら首を傾げていた。

 

「美海がバカなのは今に始まった事じゃないが……」

 

「今、さらっとバカにしなかった!」

 

「美海の頭が残念なのは今に始まった事じゃないでしょ。それより、キリトのセンスってどういうことよ?」

 

「ソフィーナちゃんもひどい!」

 

美海が何か喚いているが、今は気にしない。

 

「キリトの、あいつのリンクのセンスは相当だ。おそらく、俺たちの持っている隠し玉のいくつかはできるくらいにはな」

 

「そんな!ありえないわよ!さすがにあの隠し玉は昨日今日リンクが出来るようになった奴にできる芸当じゃないわ!」

 

「そこが問題だって言ったんだ。奴のセンスからして、たぶん即席でも組める可能性を考慮しなきゃいけない」

 

「そんなに凄かったんですか?」

 

「データ上はそこまでではないのですが」

 

「確信はない。ただ、感じただけだ。だけど、俺の勘はよく当たるからよ」

 

そう、俺の勘は人一倍鋭い。

それはここにいるメンバーは知っている。

その実績もだ。

 

「ま、今回はさすがにないだろうから、このままで行こう」

 

「そうだね。私たちを導いてね。レイジくん」

 

「いつもみたいに期待しているわよ。レイジ」

 

「何時も通りよろしくお願いします。レイジさん」

 

「よろしくお願いします。マスター」

 

「あぁ、そうだな。さ、何時も通り勝ちに行くぜ!」

 

そう言って俺たちは、控室を出た。

が、出た直後で、驚くような光景が目に入ってきた。

 

『さぁ、いよいよ対戦チームがコロシアムに入場してまいりました!』

 

「何でこんなに人が集まってんだぁ!?」

 

会場となっているコロシアムの観客席はほぼ満席。

さらには、普通のブルームングバトルではありえない司会と解説がいた。

丁度反対の入り口からキリトたちも現れ、コロシアムの現状に驚いていた。

 

「おぉ、すげぇ!これだけ集まるってことは、相当期待されてるんだな、オレ!」

 

いや、一人例外(バカ)がいるようだ。

まぁ、このままではブルーミングバトルが始まるわけでもないので、フィールドの中央に向かった。

 

『いやぁ、楽しみですね。今回の対戦は学園初のエヌドラ対エヌドラ。何所が見所ですかねぇ?解説の教頭先生』

 

『そうですねぇ。高等部一年最強の名を持つ零弐チームと期待の新入生のキリトチーム。やはりここは、キリトチームが零弐チームにどれだけ喰いつけるかですねぇ』

 

「「「って、何であんたがそこにいるんだよ(のよ)(の)!?」」」

 

解説席にいた人物に俺、ソフィーナ、琉花が思わずツッコミを入れた。

その人物は教頭で、イベントごとがあればその都度姿を見せるか、自分でイベントを起こす。

まさかと思ったが、今回も絡んでくるとは思わなかった。

教頭に付き合わされて散々な目にあったからな。

 

「そろそろ始めるのだけど……いいかしら?」

 

「あれはいいのかよ!?」

 

「今に始まった事じゃないでしょう」

 

解説席を指さしながら審判の環先生に抗議したら、あっさり切り捨てられた。

まぁ、あの教頭がこんなことするのは今に始まった事じゃないのは確かだ。

 

「それでは、零弐チーム対キリトチームのブルーミングバトルを始めます。審判は私、安堂環が勤めます。両チーム、位置について」

 

指示に従って、俺とキリトのチームは審判である環先生を挟んで並んだ。

目の前にはキリトがいて、やる気に満ちているのがわかる。

 

「やっとこの時が来たな。キリト」

 

「あぁ、この三日間が待ち遠しかったぜ」

 

「お話はあとでね、簡単にルール確認をするわよ。ルールは通常のブルーミングバトルと同様で、αドライバーがフィールドの展開、または戦闘継続が不可能になった時点で終了とするわ。今回からちょっとした特例があるけど、通常のバトルと変わりはないわ」

 

今回からの特例とは、事前に聞いていたあれのことだろう。

まぁ、素人が相手ならそんな事態にはならなかっただろうが、キリトが相手だとわからない。

準備だけはしておこう思いながら、自身の左手に触れた。

 

「両チーム、位置についてください」

 

それぞれフィールドの両サイドに決められたαドライバー用の場所に立ち、プログレスたちも自身のαドライバーのいるフィールド側の位置に着いた。

環先生が位置に着いたのを確認して、合図を出した。

 

「それでは、ブルーミングバトル、始め!」

 

「「αフィールド、展開(セット・アップ)!」」

 

開始と同時にフィールドが展開され、バトルが始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「悪いが、先手はもら―――」

 

「ソフィーナ、エクシード・リンク!」

 

先手を取ろうとしたキリトだったが、それよりも先にレイジが動いた。

 

「悪いけど、私たちは負けるつもりなんて、……一切ないわよ!」

 

ソフィーナの魔術による炎が、キリトたちに向かって行った。

しかも、リンクをしたことで威力が格段に上がっていた。

 

「させないよ。キリトくん!」

 

「オーライ、エクシード・リンク!」

 

が、それが届く直前で大量の水が炎を飲み込むようにして消し去った。

 

「なッ!?」

 

「甘いよ。前の時のあたしたちだと思わないことだね」

 

「だよなぁ。まぁ、こっちとしても全力出せるっていうのは有難いがな」

 

「それはこっちの台詞だぜ、レイジ」

 

そう言ったキリトは、徐にメガネを外してポケットに入れた。

 

「悪いがこっから先は、おまえの敗北への一方通行だ!」

 

「やれるもんなら、やってみろ!ド素人!」

 

レイジが感じたのは、キリトと初めて会った際のキレた状態。

キリトが感じたのは、今まであってきた様々な強敵。

それぞれがそれよりも強い気迫を感じていた。

それに合わせて、プログレスたちも緊張が走っていた。

 

「(とは言っても、さすがレイジ。いきなりリンクを使うなんてな。ただ、あまり強いリンクじゃなさそうだし……。ってことは、奥の手を隠しているな。しかも、普通のリンクを超えるくらいの)」

 

「(とは言ったものの、さすがキリトだな。昨日初めてリンクを成功させたっていうのに、あそこまで速くリンクさせるなんてな)」

 

さすがは両者ともに黒の世界随一の剣士に青蘭学園トップクラスである。

ほんの少しのやり取りだけで相手のことを大まかに推測した。

 

「アウロラ!」

 

「ルビー!」

 

「「エクシード・リンク!」」

 

「「はい(わかったわ)!」」

 

両者が推測からすぐに思考を切り替えて、行動を起こした。

それに応えるようにして、アウロラもルビーも動いた。

紅い炎と赤い炎が巻き起こり、ぶつかり合った。

 

「今だ、美海!突っ込め!」

 

「うん!わかったよ!」

 

事前に決めていた作戦で、アウロラの作った炎は渦のようになっていて、中心からキリトたちの方に空洞が伸びていた。

その中を美海が自身の異能(エクシード)風の支配者(ドミニオン・エア)』で風を纏いながら突進していった。

 

「ッ!テルル!」

 

「任せるのです!」

 

キリトもすぐさま迎撃に出た。

強大なジェネレーターを積んだテルルの出力は、近接挌闘ならばこのフィールドにいるプログレスたちの中ではトップである。

剣を突き出した美海と拳を突き出したテルルがぶつかり合った。

 

「せいッ!」

 

「きゃあ!?」

 

が、ぶつかった直後。

テルルは剣を掴みとり、反対の拳で攻撃した。

 

「グアァ!」

 

αフィールドによって、美海が受けたダメージがレイジの身体にフィードバックした。

だがそこはブルーミングバトル慣れしているレイジ。

その程度で倒れるようなことはない。

 

「み……うみッ!!」

 

「やぁ!」

 

「くぅ!」

 

美海は手の平に風の塊を作りだし、弾丸の如くそれをテルルに投げぶつけた。

それにより、テルルは後ろに飛ばされた。

 

「ガアァ!」

 

キリトも初めてαフィールドのフィードバックを受けたが、さすがに戦い慣れしているだけあり、それほどのダメージにはならなかった。

が、そうでもないことがある。

αフィールドのフィードバックは、プログレスが受けるダメージをαドライバーが受けるために遮断能力を持っている。

しかし美海は、その遮断能力を超えていたため、わずかだがテルルにダメージが入った。

とは言っても、先ほどの攻撃では微々たるもので、テルルはそれほどのダメージではなかった。

 

「セニア!テルルに追撃をかけろ!」

 

「了解です。マスター」

 

セニアはブルーミングバトル用にDr.ミハイルに造られたアンドロイド。

その実力は高く、レイジと一緒に闘ってからもその実力は上がってきている。

ビット兵器を空中に十、二十と展開し、一斉に掃射した。

 

「や、やらせません!」

 

とは言っても、さすがに簡単にやらせるわけもなく、セニアの攻撃をウェンディが防ぎにかかった。

 

「黒き旋風よ!」

 

ウェンディは基本的に魔法の成功率は低い。だいたい五回に一回程度である。

ただ、その一回を引き当てなくてもその規模や威力は相当高い。

が、失敗すれば自分たちにまで被害を及ぼすことも多い。

 

「ッ!?」

 

「や、やった!成功です」

 

ウェンディの起こした風は魔力を帯びており、セニアのビットから掃射されたビームを巻き上げた。

と思ったら、成功していたと思っていた筈の魔法は結局失敗だったのか、ビームは両者の上空に降り注ぐ形となった。

 

「ウェンディ!」

 

「ご、ゴメンなさ~い!」

 

降り注いで来ようとしているビームはまるで流星群の様だった。

 

「ッち、ソフィーナ!」

 

「なにかしら?」

 

「デカいのブチかますぞ。それで防ぐしかない。さすがにあの数はやばい」

 

「了解よ。それが最善ね」

 

レイジはすぐに意識を集中させた。

それを見たキリトも、迎撃に入った。

 

「琉花!」

 

「なに?」

 

「おまえもやれるだろ?」

 

「……もちろん!」

 

「じゃあ、行くぜ!」

 

キリトも意識を集中させた。

 

「「エクシード・リンク!」」

 

「っん」

 

「はっぁあ」

 

先ほどの即席の不完全なリンクとは違い、完全なリンク。

それに伴い、今までよりも強力な何かを周囲に感じさせていた。

ソフィーナの。

琉花の。

二人の強化された異能は、頭上のビームの流星群を防ぐべく放たれた。

 

炎狼の牙(ブレイズ・ファング)!」

 

水流弾(バレット・フロー)!」

 

放たれたそれらは狼の形をした炎が喰いちぎらんとばかりに、弾丸のような濁流が飲み込まんとばかりに、ビームの流星群に向かって行った。

衝突と同時に大爆発が起き、空中の黒煙が黒い雲のようになった。

 

「ッな!?」

 

しかしまたどうして、ビームの流星群はほとんど消えることなく降り注いできた。

 

「あれ、ほとんど減ってないよ!」

 

「ちょ!セニア、どんだけ撃ったのよ!」

 

「……いっぱいです」

 

小動物を思わせるように小さく首を傾げる。

 

「この、お馬鹿ぁぁぁ!!」

 

「おいおいおいおい!」

 

「はわわわわ」

 

「テルルが全部落としてやります!」

 

「無理よ。やめておきなさいって」

 

「あらあら」

 

「はぁ」

 

刹那。

ビームの流星群がフィールド全体に降り注いだ。

 




誤字脱字がございましたら、ご報告お願いします。

感想も、気楽にどうぞ。

参戦キャラ、タグ等の意見もお待ちしています。

短編的なものも考えているので、そちらで書いてほしいものがありましたら、一緒にどうぞ書いてください。
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