ここまで長かった。
まさかここまでかかるとは思わなかった。
執筆の手が遅くなったのは自覚しているが、まさかここまでとは。
まぁ、これからも不定期になると思いますが。
原因は就活に卒研にバイトにアンジュに……って感じです。
とりあえず、気楽に見ていってください。
新たな転入生
まだ残る春独特の肌寒さと暖かさの入り混じった朝方。
日課となったランニングで軽く汗をかいていた。
このランニングを初めてどれぐらいたっただろうか?
青蘭島に来るよりも前から随分と長く続けている。
走り終えて家に戻ると、朝食と思われるいい匂いが漂ってきた。
「あ、おかえり、お兄ちゃん」
「おぉ、千尋。ただいま」
出迎えてくれたのはちょうど朝食を作り終えた妹だった。
蒼薙千尋。
とある事情で俺が引き取られた家の娘で、従妹であり、義妹でもある。
しかも成績優秀、家事万能、才色兼備と
正直家事については俺のプログレスたちにも見習ってほしい。
「お兄ちゃん。朝ごはん、出汁巻き卵とスクランブルエッグ、どっちがよかった?」
「そうだな……、千尋の作るのはうまいからいいけど、どっちかって言ったら出汁巻き卵かな」
「ふふふ、残念。今日はスクランブルエッグでした。もうすぐ朝ごはんできるから、汗流してきちゃいなよ」
「そうか。了解、汗流したらすぐに戻ってくるわ」
スクランブルエッグってことは今日は珍しく洋食のようだ。基本的に朝食は和食だから珍しい。
軽く汗を流してからすぐに戻り、二人で朝食を食べ始めた。
「そういえば、今年もあれの時期だっけ。私は委員会に入ってるからいいけど、お兄ちゃんはどうするの?」
「あ~、もうあの時期か。この間のことですっかり忘れてた。どうすかな?」
この間というのはもちろんキリトとのブルーミングバトルである。
そっちに気を取られすぎて、ほかのことをほとんど考えていなかった。
「まぁ、今年も逃げっかな。バイトもあるし、クラス委員長になったし」
「そうなんだ。お兄ちゃんがよければ、委員会に入ってほしかったな。そうすれば一緒に仕事できたかもしれないのに」
「とはいっても、中等部と高等部だと同じ委員会でも一緒になることはほとんどないだろ」
「それでもだよ。ほんと、お兄ちゃんは勘が鋭いのか鈍いのかわからないよね」
「それ、どういう意味だよ?」
「そのまんまの意味だよ。えへへ」
そんなことを話しながら朝食を食べ、それからすぐに学園に行く準備をした。
「そういえば、今日は委員会があるから帰るのが少し遅くなるかもしれないんだけど……」
「わかってるよ。飯は俺がなんとしとくよ」
「うん、お願いね。それじゃあ、お兄ちゃん。お弁当持った?ハンカチは?お財布とケータイもちゃんと持ってる?」
「あぁ、持ってるよ。千尋も、弁当持って、ハンカチ持ったか?携帯と財布は肌身離さず持ってるか?」
「うん、大丈夫。持ったよ」
「そんじゃ、行くか」
「うん」
「「行ってきます!」」
毎朝、二人で家を出るときの恒例行事、二人そろっての忘れ物確認をしてから家を出る。
青蘭島に来てしばらくしてから続けている習慣の一つである。
そして二人で一緒に挨拶をして家を出た。
家を出てから学園に向かうために、島を巡回するモノレールの駅に来た。
いつもより遅めに出てきたからか、ホームにいる人の数は少ない。
その中に、見知った顔が眠そうに小さくあくびをしているのを見つけた。
「よぉ、ソフィーナ。また工房に籠ってたのか?」
「あら、レイジじゃない。そうよ、昨日も遅くまで報告書を書いていたのよ」
「ソフィーナさん、おはようございます」
「千尋もいたのね。こうやって顔を合わせるのも久しぶりな気がするわね」
「そうですね。学校始まってからは顔を合わせてなかったですしね」
「てかソフィーナ、寝不足は肌に悪いってよく言うぞ」
「しょうがないでしょ。こう見えても私は多忙なの。次期魔女王で天才、崩壊調査の一員なのよ」
「それ自分でいうことか」
「そんなソフィーナさんより成績が上なお兄ちゃんもある意味すごいけどね……」
まぁ、確かにそうだな。
前年度の学年末試験、筆記だと俺一位でソフィーナ二位だったし。
そしてなんだかんだアウロラとセニアも上位入りしてた。
美海?聞くな。聞くだけ無駄だ。
「それでも、お前が倒れちゃ本末転倒だろ」
「……それもそうね。適度な休息は必要ね」
俺の言葉にわずかに頬を赤くし、そっぽを向きながらそう答えてきた。
その様子を千尋は微笑ましく見て、俺は苦笑した。
そんなこんなしているうちにモノレールが到着した。
ちなみに俺たちが乗ろうとしている時間は、始業に間に合う程度であり、これを逃したら最後モノレールでは間に合わない。そう、モノレールでは。走ればワンチャンあるだろうが、地獄を見るだろうな。
「それじゃ、さっそく気分転換に週末の土曜日にでも、前に行ったカフェに行きましょ。今だけの限定メニューが出たらしいわ」
「ちょっと待て、まさか俺が払うわけじゃないよな?」
「あら、違うの?よかったら千尋も来ないかしら?お兄さんのおごりよ」
「いいんですか!?ぜひ!!」
「おい、お前ら!いつ結託した!」
放課後の予定を話しながら乗り込むと、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
声の元はエスカレーターからだ。
見えた姿は案の定、美海だった。
「ま、待って~!!乗りま~す!!」
まるで飛び込むかのようにしてきた美海。
しかし現実は残酷である。
目の前で扉が閉まろうとするのだから。
そりゃそうだ、青蘭島のモノレールは無人、時間通りに動くため、止めようにも止められない。
扉の閉まる音とともに、美海の姿が見えなくなる。
なんだろう。嫌な予感がする。
扉が完全に締まる直前、ガキンッ!という音が聞こえた。
扉も完全には閉まっておらず隙間があった。
扉に挟まっていたのは美海が
そのレイピアの僅かに上の位置に、俺の片足があった。
あと数瞬遅かったら足を貫いていた。そんな位置である。
異物を挟んだ扉は一度開き、その後に再度閉まった。
美海はその隙に車内に飛び込んできた。
「ま、間に合った~」
「……ねぇ、美海。あなた、いったい何をしているのかしら?」
「あ、ソフィーナちゃんにレイジくん、おはよう!千尋ちゃんも久しぶり!」
「お、お久しぶりです、美海さん」
「……なぁ、美海。お前俺に何か言うことないか?」
「えぇ~。あ、そうだ。レイジくん、なんで扉押さえてくれなかったの?そうすればちゃんと乗れたのに!」
「美海、とりあえず一発もらってくれ」
その言葉と同時に、美海の頭から鈍い音が鳴った。
音源はもちろん俺の拳骨である。
「いったーい!ひ、ひどいよレイジくん!」
「ひどいのは誰だ!危うく朝から血飛沫が舞うところだったんだぞ!!」
「大体、あなたはいったい何考えているの!?あんな方法でモノレール止める馬鹿がどこにいるの!?ここにいたわね!!」
「え?え?え、え~と……」
「大体お前は毎回毎回……」
「大体あなたは毎回毎回……」
この後、車内でも関係なく正座する美海を俺とソフィーナが説教し続けた。
その間千尋は周りに謝ったり、おろおろしたりしていた。
とりあえず、駆け込み乗車はだめだぞ!!
「うぅ、朝から災難だよ」
「むしろ災難なのは俺だろ」
学園についてから中等部である千尋と別れ、自分たちのクラスに来た俺たち。
さすがにあのまま説教を続けても遅刻するだけなので早めに切り上げてやった。
「でも美海ちゃん、さすがにこれはまずいよ」
「うぅ、風紀委員長、今度は何言ってくるんだろう?」
沙織が見ていたのは青蘭学園のブログ。
内容はもちろんさっきのモノレールの出来事。
学外でのエクシードの無断使用が禁止されているこの島では、それを行った人には風紀委員会からありが~たいお話が待っている。
ちなみに美海は入学時から時々使用しては呼ばれている。
そのついでに俺も一緒に。完全なとばっちりだ。
「まぁ、美海ちゃん、元気出して。放課後一緒にクレープでも食べに行きましょう」
「うん。そうだね、そうしよう」
僅かに元気を取り戻した美海。
そのタイミングで予鈴が鳴った。
直後になってキリトが来た。
「よぉ、キリト。またギリギリか」
「よ、よぉ、レイジ」
「なんだキリト、しっかり糖分取ってねぇのか?」
もはやキリトの動力源が当分なことに疑問を持っていない。
慣れって恐ろしい。
「いや、オレも取ろうとしたさ。……だが、あんなところで、あんな奴に会わなければ!!」
「あんな奴?誰だよそれ?」
「それは……」
「はーい、ホームルーム始めるわよ」
キリトが何かを言いかけたタイミングでタマちゃん先生こと担任の環先生が来た。
「それじゃ、連絡事項の前に、転入生の紹介をするわよ」
「唐突だな」
「本当はもうちょっと早く入る予定だったんだけど、いろいろごたごたがあったんで今日になったのよ」
「先生!転入生は男の子と女の子どっちですか?」
「男の子よ」
つまりはαドライバーか。
まぁ当然か。人数二人しかいなかったしな、俺たちのクラス。
「それじゃ、二人とも入ってきて」
「「「「「(二人もいるんかい!!)」」」」」
クラスの心が一つになった瞬間である。
「失礼する」
「失礼します」
片方はどこかで見たことのあるよう少年。
もう片方は白衣を着ていることから科学者を思わせるような少年だった。
「二人とも、自己紹介してね」
「ふ、我にそのようなことをさせるとは……まぁ、よかろう。諸君、心して聞くがよい!我が真名は『ムスペルヘイム・ライトニングシューター=サクリフェイス・キラー』。古の焔の巨人の中でも異端の雷の射手であり、生贄とされた抹殺の使徒だ!死にたくなければ近づかないことだな。この魔弓は、刹那の間に汝らを射抜くのだからな」
「ゲェッハァァァァァッ!!」
「キリトが死んだ!!」
「え?えぇ~と、こ、この人でなし!!」
「いや、美海。あなたのってんじゃないわよ」
どこからか取り出した弓を持ちながら自己紹介をしたムスペルなんとか。
それを聞いたキリトが突然吐血した。
クソ、思わずネタに走ってしまった。
「というわけで、彼は赤の世界出身のムラサキくんよ」
「ち、違うわ!確かに我が名はムラサキ。だが、真名は『ムスペル……』」
「はい、次は彼の番よ」
「聞けよ!!」
あぁ、なんとなくわかった。かっこよく見せようとしただけで、頭文字取ればよかったのね。
それとあれだ、完全にキリトの黒歴史抉ってら。
そうだな、奴はキリトと同じ厨二持ちだな。
これでこいつが遅れた理由もわかった。
問題はもう一人だな。
場合によっては俺の負担が増える。
「えぇ、僕はカインといいます。一応白の世界SWEの科学者ですが、専門は武器開発です。これからよろしくお願いします」
よかった。よかった、まともなやつで。
これなら俺の負担が減る。
さすがに変なの二人相手はきつい。
「それじゃ、みんな二人と仲良くしてね。それで連絡事項なんだけど……」
それから俺は後悔することになる。このとき、きっちり話を聞いていればよかったと。
そういえば、やっとアンジュのアニメが7月にやりますね。
しゃあ!この勢いで書いてやるぜぇ!
って感じでモチベが維持できたらいいと思っている。
とりあえずいつも通り、誤字脱字がございましたら、ご報告お願いします。
感想も、気楽にどうぞ。
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