開始の合図と同時に、それを報せるブザーが鳴った。
「「αフィールド、
レイジと相手のαドライバーを中心にダイヤ型の半透明な何かがフィールドを包んだ。
「一気にたたみかけるわよ!」
相手側のリーダー格の女子が一直線に美海に向かって行った。
そして、振り下ろされた拳は、普通の人間と比べても強力そうだった。
「話は聞いていたけど……。なるほど、肉体強化系のエクシードみたいだね」
「おいおい、大丈夫なのか?」
「別に。むしろ心配なのは相手側だよ。こんなところでボロ負けするんだから」
「あれ、それ確定なの?」
「確定だよ。何せ、相手がレイジ達だからね」
目の前で行われているブルーミングバトルは一層激しくなりそうだった。
「あー、もう、いい加減ちょこまか逃げるのやめなさい!」
「え~、でもこうしろってレイジくんが……」
「美海。無駄口叩くなよ」
「クソ、ちょろちょろと避けやがって。正々堂々闘え!」
「あら?戦ってるじゃない。こうやるのだって戦略の一つよ」
「なんだよ、当たらねぇじゃんか」
「この。この!」
「あらあら」
美海は攻撃をひたすら避け続け、ソフィーナも時折炎を出して反撃しているが、ほとんど牽制程度である。アウロラは、持ち前の天然さから二人を相手に攻撃をひたすら避け続けていた。
というより……
「相手のチーム、統制が出来てないな。肉弾戦しかしてないし」
「そうだね。相手のαドライバーもレイジしか見ていないから、周りの状況が見えていないし」
この中で、唯一戦っていないセニアは、先ほどから何かを待っているかのごとくレイジの近くで待機している。
「まぁ、先に解説をしておくよ。まずブルーミングバトルの勝敗についてだけど、プログレス全員が戦闘不能、またはαドライバーがフィールドを維持できなくなったら終了。特例こそあるけど、基本はそんなところだよ」
「へぇ。……そういえば、よく聞くリンクってのはどんなんだ?」
「あ、それに関しては……」
「ちょっと、こっちにリンクしなさいよ!」
「わ、わかった。エクシード・リンク!」
相手側のαドライバーからリーダー格の女子に何かが繋がり、力を強化しているように見えた。
「見えたみたいだね。あれがリンク。タイミングは好きな時にできるし、回数制限もない。タイミングが命なのは変わらないけどね」
琉花の解説を聞いていると、なかなか興味深かった。
その内、大きく戦況が変わった。
あるタイミングで、レイジが動いたのだ。
その直前に、琉花が話始めた。
「プログレスが受けるダメージは全部αドライバーにフィードバックされる。と言っても、バトルが終われば傷もなくなるけどね」
「うわ、何それ、すごく嫌なんだが」
「だけど仕方がないよ。そういうシステムだからね。っと、レイジ達が動くみたいだね。さっき言った相手がボロ負けする理由を教えてあげるよ」
「ぜひ、頼む」
「去年度の学末試験でのブルーミングバトルの成績なんだけど。彼らはね――」
「セニア、エクシード・リンク!」
「了解です。マスター」
レイジとセニアとの間で何かが繋がった。
それと同時に、別の指示を出していた。
「美海、ソフィーナ、アウロラ、飛ばせ!」
「わかったよ!」
「了解!」
「わかりました」
三人が、相手チームを一か所に集めるように攻撃した。
「キャァ」
「グアァ」
「今だ!セニア」
「了解。……ロックオン、バースト」
いつの間にかセニアの周りには数機のビットとバズーカのような銃を両手に持ち、一斉に発射した。
「――見事に優勝。現段階において、高等部一年の中では最強のチームで、学園全体でも上位に食い込むチームだからだよ」
そして、セニアの攻撃が相手に直撃するや否や、大・爆・発。
勝負が決まったことを報せるブザーが鳴った。
「ブルーミングバトル、終了。勝者、レイジチーム」
周りからは拍手が起きた。
それに対し、レイジ達は手を振って応えていた。
「どう、面白かった?」
「あぁ、最高に面白いね。まさか、こっちでできた友がラスボスとは、腕が鳴るね」
「あ、そっち」
キリトが一種の戦闘狂であることを理解した琉花だった。
デモンストレーションのブルーミングバトルが終わり、キリトと琉花がいるところに戻った。
「すげぇな。あれがブルーミングバトルか……」
「あんなのは簡単だ。てか、今回は全然だしな」
「まぁ、確かにね。あんなに弱いんじゃね」
「あはは……」
俺とソフィーナのそんな言葉に美海は苦笑していた。
すると、すぐ近くから誰かが声を掛けながわ近づいてきた。
「ソッフィーーーナーー!!」
「キャッ!?って、ちょ!?リゼ!?」
「すごかったねぇ、さっきのバトル」
「あんなのでいちいち驚いてるんじゃないわよ。というか、どさくさに紛れて抱き着かないで!」
現れたのは、ソフィーナの友達と称するリゼリッタだった。
「……誰?」
「あいつはリゼリッタ。おまえと同じ黒出身で、ソフィーナの友達らしい」
一様顔見知りだけどなとキリトに説明したわいいが、ソフィーナに抱き着いたリゼリッタのスキンシップが少しずつ過激になっている気がした。
「ひゃッ!?ちょ、どこまさぐってるのよ!」
「フッフッフ、ここか?ここがえぇのか?」
完全に変態親父と化していた。
そして五分もしたころには
「はぁ、はぁ、はぁ」
「ふー。すっきりした」
「なにですっきりしてんだよ!」
顔を赤くし、肩で息をしながら床に突っ伏すソフィーナ。
額の汗を払う様な仕草をしながら、どこかすっきりした顔をしたリゼリッタ。
それに思わず俺がツッコミを入れた。
「そういえば、何しに来たの?」
「あ、忘れてた」
「忘れるなよ」
美海の質問で本来の目的がソフィーナではないのはわかったが、本来の目的自体を忘れるほどソフィーナを弄りたかったみたいである。
「いやー、噂のキリトくんを見に来たんだけど……誰?」
「それならそこに……って、琉花、あいつどこ行った?」
「彼ならあそこにいるよ。ほら」
琉花が指さした方を見ると、膝を抱えながら座り込んで、明らかに落ち込んでいますといったオーラを放っているキリトがいた。
「……なんでこうなるかなぁ。オレにだって若かりし頃の過ちっているのがあるだろ。それをみんなでよってたかってキリトキリトって言ってさ。挙句、オレの噂にまで名前じゃなくてキリトって呼ばれるようになってさ。なんでこうなるかなぁ。オレだって……」
ぶつぶつとそんなことを言っているキリトに、みんなが苦笑したり、呆れたりしていた。
「ほら、あなたたち。授業中なの忘れていないでしょうね?」
「忘れてませんよ」
「なら、蒼薙くんはキリサキくんにレクチャーしてあげてね」
「わかりましたよ。はぁ、めんどくせぇ」
そう言いつつも、キリトのところに向かった。
近づいて気づいたが、こいつは一体過去にどれだけのことをやらかしたらここまでなるんだと思うほどに落ち込んでいた。
「しゃーなしか」
そう呟いてキリトの近くで屈んだ俺は、キリトに聞こえる程度の声であることを言った。
そのあることとは
「お、何故かあんなところに串団子が百本もある」
「どこじゃあ!!甘味はどこじゃあ!!」
甘味があると言うだけ。
それだけでこの通り、何時ものキリトに戻った。
それ以上な気もするがな。
「レイジ!どこだ?甘味はどこだ!」
「ここにあると思うか?」
「ま、まさか!?オレ、騙されたのか?」
「むしろあれでよく気づかなかったな?」
キリトが今度は膝から崩れ落ちた。
そこまで落ち込むことか?
「まぁ、キリトくん。今我慢すれば放課後に甘味めぐりに行けるんだからね」
「それもそうだよな!」
「うぉ!?復活はや」
琉花の一言で、キリトが瞬時に復活した。
とりあえず、キリトが復活したので、ブルーミングバトルのレクチャーをしながら、いろいろなことを教えて行った。
いや、いくら優等生呼ばわりされていてもできないこともあるから。
まぁ、そこは仕方がない。
かと言って、まさか高等部一学年第一位のチームだからって、先生たちすら助言してこないのはどうかと思った。
その日の放課後。
事件は起きた。
「さて、HR始めるわね。と言っても、連絡事項はないんだけれども、決めてもらわなきゃいけない事があるのよね」
クラス全員が何のことかわからずざわめいた。
そんな中、環先生は不敵な笑みを浮かべながら零弐とキリトの方を見た。
「決めてもらうのは簡単よ。クラス委員長を決めてもらうだけだから」
クラスの大半の人があぁ、なるほどと納得した。
「それで、このクラスはαドライバーが二人しかいないから、どうせならその二人のどっちかにやってもらおうと思うのだけど?どっちかやりたい?」
「「キリト(零弐)がいいと思います!」」
二人して、勢いよく立ち上がり、それぞれを指さした。
そしてそのまま、何故か睨み合いに入った。
「キリトくんよぉ。君は黒の世界の女王に依頼されるほどの実力者だろ?なら、クラス委員長位できるだろ?」
「何を言っているんだい?レイジくんはオレよりも長くここにいる上、優等生で学年第一位のチームのαドライバーだろ?なら、零弐の方が適任だろ?」
バチバチと火花が飛びかい、零弐の前の席にいる美海が冷汗を掻きながら慌てふためいていた。
「しょうがないわね。あなたたち、ブルーミングバトルで決着をつけなさい」
「「……はいぃ!?」」
こうして何故か、キリトの初めてのブルーミングバトルの相手は零弐となった。
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