アンジュ・ヴィエルジュ ~新たな可能性~   作:ゼロ・ツー

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キリトくんのお仲間探し その3

ルビーが仲間になった次の日。

この日もまた、カフェテラスにいったん集まって話し合いをしていた。

無論、甘味を取りながら。

既に見慣れてきて、キリトの摂る甘味の量に何かを諦めたウェンディ。

何故か知らないが、すでにその量に順応したルビーだった。

 

「……後一人か」

 

「後一人だね」

 

「後一人って言うけど、三人じゃだめなの?」

 

「普通の相手ならそうしてるけど、相手がレイジなのが問題なんだよ」

 

「って、琉花が言うから……って!何食ってんだよ!?」

 

「別にいいでしょ。これだけあるんだから、ケチケチしない」

 

まさか、オレに気づかれずにパフェを口にしているとは、こいつやるな。

 

「でも、本当に後一人どうしよう。レイジさんが相手だとやっぱり……」

 

「だろうな。あいつ、強いからな」

 

「「「……」」」

 

「な、なんだよ?」

 

「いや、まさかキリトくんがそんな素直なこと言うなんて」

 

「思っていませんでした」

 

「むしろよくわかったわね」

 

「なんだよ!これでもオレ強いんだぞ!」

 

忘れられているかもしれないけど、オレは一応黒の世界では名の知れた実力のある剣士だったんだぞ。

 

「まぁ、レイジは相当強いのは知れていることだしね」

 

「確かにね。でないと学年一位なんてならないよ」

 

「そうですね」

 

おそらく琉花たちがいっているのは、αドライバーとしてのレイジの実力だろう。

確かに、頭がいい上に様々な状況に臨機応変に対応するし、いろいろな策をいくつも用意しているらしい。

だけど、オレの感じるものはあいつ自身の強さである。

サシで戦えば、たぶん互角か向こうの方が強い。

それほどの強さを感じる。

だけど、オレも負けるつもりはない。

 

「でだ、最後の一人なんだが……」

 

「一応、心当たりがないわけじゃないわよ」

 

「マジで!?」

 

「マジよ。案内してあげようか?」

 

「頼む!」

 

ルビーの案内の元、その心当たりの人物のところに向かった。

 

「なんだろう。すごくデジャブな感じがする」

 

琉花さんよ、それは勘違いだ……たぶん。

 

 

 

 

 

 

 

 

ルビーに案内された先は、学園にあるブルーミングバトルの練習用地下フィールドの一角。

放課後という事もあり、練習に来ている生徒も数多くいた。

 

「で、その心当たりの人物は何所にいるんだ?」

 

「ほら、あそこにいるでしょ」

 

ルビーの指差した方を見てみると、何故かものすごい速度でラッシュを加えて模擬戦の相手と思われるプログレス四人とαドライバーを吹っ飛ばした人物がいた。

 

「まだなのです。まだダメなのです!テルルが姉だと証明するには、まだ力が足りないのです!」

 

なんかものすごいことを言っている奴がいた。

なんかものすごいことをやらかしている奴がいた。

え?なにあれ?何で一人で人チームと闘ってんの?

しかもただ勝つんじゃなくて、全員吹っ飛ばしてるんだけど。

 

「えぇっと……なにあれ?」

 

「テルル。正確には、コードΣ52テルル」

 

「そう言うこと聞いているんじゃないんだけど!?」

 

確かに戦力にはなりそうだけど、何か違くない!?

 

「む。何か強そうな人の気配が……。テルルが姉であると証明するために、勝負させてもらうのです!」

 

「あ、なんか突っ込んできたよ」

 

げ、マジだ。

どうしよう!?

 

「快く死になさい」

 

「ふざけんな!認められるか!」

 

「勝負なのです!」

 

口論している間に、目の前まで来ていた。

そしてそこからのラッシュラッシュラッシュ。

そしてこちらも躱す躱す躱す。

 

「へぇ、あのラッシュを避けるなんて、やるわね」

 

「うん。確かにね」

 

「そ、そんなこと言っている場合じゃないですよぉ。き、キリトさん、お手伝いします!」

 

「あ、ウェンディはやらないほうが――」

 

「はぁぁ、えぇぇい!」

 

ウェンディの掛け声とともに、杖が振り下ろされた。

なにが起きるのか少し期待していたのに、何も起きなかった。

と思った瞬間に、背後で爆発が起きた。

その勢いに押されて、テルルと言う人物の方に押されるような形になった。

そして、それがいけなかった。

 

「うぉぉ!?ブゥッ!」

 

テルルと言う人物のラッシュが止んでいたわけもなく、そのままその拳に顔面が直撃。

爆発の威力が高かったからか、そのままの勢いで殴られた。

普通殴られれば後ろに跳ぶものなのに、爆発の勢いが勝っていたせいか、前に押し出され、殴られたことで頭が後ろに押されて体が回転するようになった。

そのまま後頭部を床に強打。

勢いのついたまま前方に飛ばされて後頭部を擦り、脳天を打ち、盛大に回転しながら壁に叩きつけられた。

ここに来てから最高ダメージを受けた気がする。

 

「あわわわ。キリトさん!ごめんなさい!」

 

「はぁ、言わんこっちゃない」

 

「ま、大丈夫でしょ。あれぐらい」

 

す、少しは心配してほしい。

そう心で思いながら目の前が真っ暗になった。

黒の剣士 シズト・キリサキことキリト 再び死亡

 

 

 

 

 

 

 

 

「って、また勝手に殺すな!」

 

「あ、復活した」

 

「だけど前よりは時間が掛かっているけどね」

 

「復活しただけでもいいじゃないですかぁ」

 

「お前ら、オレのこと心配してくれているんじゃないの!?」

 

「「ソンナコトナイヨォ」」

 

琉花とルビーが明らかに棒読み口調でそう言ってきた。

オレって、何なんだろう?

 

「で、テルルは何所に行った?」

 

「相変わらず、あっちで変わらず戦っているわよ」

 

再びルビーの指差す方ではテルルが猛威を振るっていた。

周りの生徒たちも近寄りがたい様子である。

 

「どうするの?このまま諦めるの?」

 

「いや、それは性に合わねぇな」

 

「でも、さっき負けたじゃない」

 

「いや、むしろあれは仕方ないだろう!」

 

「ご、ごめんなさぁい!」

 

まぁ、とりあえずテルルを諦めるとなると、他を探さなくてはいけなくなる。

当てがない今、明日の対戦までに見つけるのは相当苦労するだろう。

しかもそれは見つからないという可能性が高い状況である。

つまりそれは、オレの甘味を摂る時間が激減することを意味する。

 

「そんなことはさせねぇ!絶対にあいつを仲間に引き入れてやる!」

 

「うん。何かすごくいいこと言っているはずなのに、その中身は激しくどうでもいい理由な気がするよ」

 

そこは突っ込んでほしくなかった。

 

「ま、それがキリトくんだしね」

 

「そんじゃ、リベンジと行きますか!」

 

「え?あんたが戦うの?」

 

「え?違うの?」

 

正直、そういう流れかと思っていた。

するとなぜか琉花とルビーに呆れられた。

 

「あんた、明日ブルーミングバトルやるって言っていたけど、実際のところリンクできるの?」

 

「そりゃできるさ!……たぶん」

 

「たぶんじゃまずいと思うんですけど……」

 

「一応授業で基礎はやったけど実戦ではまだまだな感じだったからねぇ」

 

確かに、レイジにリンクのやり方は教わったが、結局まともに成功はできなかった。

一応、腕は悪くないが、何分集中力やらなんやらが足りないという事らしい。

 

「なら、ここでもう一回復習しておく?」

 

「レイジに勝つには、それも必要なんだよな?」

 

「そりゃね。出来るの前提じゃないと話にならないわよ」

 

「なら、やってやるよ!」

 

これも甘味のため!そしてついでに打倒レイジのため!

 

「また変なこと考えているみたいだけど、まぁいいや」

 

あの~、琉花さん。最近オレの心を読むこと多くないですか?

 

「そんなことはないよ。ま、とりあえず復習からだね」

 

「流された。しかも地味に心読まれて!」

 

「まずはリンクについてから復習し直そうか?」

 

「……はい。そうですね」

 

水鉄砲を構えながら笑みを浮かべてそんなことを言われたら、逆らえない。

これは仕方のないことだ。

 

「まずはリンクの復習として、リンクはどういった行為かは覚えている?」

 

「リンクは確か……プログレスのエクシードをαドライバーが強化するんだったっけ」

 

「そう。正確にはプログレスとαドライバーでしか確認されていない脳波をシンクロさせることで、エクシードの真価を発揮させるものなんだけどね」

 

「つまりは、プログレスが必殺技を出したりするときに使うもののことをリンクっていうのよ」

 

「ほ、他にも、必殺技だけじゃなくて、常時リンクしていることで能力が強化されたりするんですぅ」

 

琉花の説明にルビーとウェンディが補足を加えてきた。

因みに、常時リンクしている方法はレイジがよく取る方法らしい。

なるほど。レイジが言っていたのはこのことだったのか。

正直、あまり聞いていなかったからよくわからなかったが、今ならなんとなくわかった。

 

「それじゃ、今度は実際にリンクしてみようか」

 

「じゃあ、相手は……」

 

「初見で慣れているあたしでいいよ」

 

そう言って琉花がオレの前に立った。

 

「目を閉じて集中して。それから、感じてみて。あたしたちが持っている、それぞれの特徴を持っている異能(エクシード)を」

 

琉花の指示に従って、目を閉じる。

そして神経を集中してみると、何かを感じられるようになった。

ここまでは前回もできた。

だが、前回よりも強く感じることが出来るようになった。

おそらくウェンディとルビーを仲間にしたことが関係しているだろう……たぶん。

 

「感じることは出来てるみたいだね。でも、前はリンクできなかった。たぶんそれはイメージが出来ていないんだと思う」

 

「イメージ?」

 

「そう。リンクは同調すること。繋がること。解釈は人それぞれなんだけど、そこから必要になるのは、イメージすること」

 

なるほど。レイジが前に足りないって言っていたのはこのことか。

 

「因みに、レイジがリンクするときのイメージは波紋だって言っていたよ。みんなの波紋を感じて、その波に合わせるんだって」

 

ふ~ん。波紋ね。

ある意味あいつらしいと思う。

 

「復習はこれで終わり。後は、キリトくん次第だよ」

 

それなら、オレは電気……いや、電波が合うだろう。

感じろ。感じるんだ。

神経を集中させていくと、確かに感じることが出来た。

部屋全体に広がる電波。

その中に感じる、琉花、ウェンディ、ルビーの電波。

そして、琉花の電波と波長を少しずつ合わせて行った。

 

「そうだよ。今はゆっくりでいいよ。一度リンクすれば後はすぐに出来るんだから」

 

拳を顔の前に構えるようにすると、その拳が熱くなり、力を貯めているように感じると同時に、琉花との繋がりを感じていけた。

その繋がりが完全となった。

 

「エクシード・リンク!」

 

そして、お決まりの台詞と同時に琉花と完全にリンクをすることが出来た。

 

「すごい。やっぱりあたしの考えは間違っていなかったみたいだね」

 

琉花を中心に風が巻き起こった。

 

「ふ~ん。なかなかなものね」

 

「す、すごいです」

 

ウェンディとルビーもオレと琉花のリンクに驚いていたようだった。

ルビーはそれほどだったが。

 

「これなら、やれる!やい、テルル!さっきの借り、返させてもらうぜ!」

 

「む、いいのですよ。また任せてやるのです!」

 

その言葉と一緒に、テルルが突撃をかましてきた。

 

「αフィールド、展開(セットアップ)!」

 

そして俺も、その言葉と一緒にダイヤ型の半透明なフィールドが形成された。

 

「一気に決めるよ!キリトくん」

 

「任せろ!エクシード・リンク!」

 

「無駄なのです!そんなことをしても、テルルには勝てないのです!」

 

振りかぶられた拳が、琉花に向かってとんできた。

が、琉花はそれをいとも容易く避けてみせた。

 

「無駄なんてことはないよ。これがプログレスとαドライバーの本来の力なんだからね!」

 

刹那、琉花の構えた銃が火、否水を噴いた。

その攻撃によって、テルルは正面からまともに受け、フィールドの外まで飛ばされた。

もともと一人だけで形成したαフィールドはそこまで広くない。

と、レイジが言っていた。

吹き飛んだテルルに近寄っていっても、起き上がる気配を見せなかった。

すぐ近くで見たら、どうやら泣いているようだった。

 

「負け、たのです。これじゃあ、テルルが、姉だと証明できないのです」

 

「別に強いだけが、姉ってことはないわよ」

 

「そんなことはないのです!強くなくちゃいけないのです!」

 

ルビーの言葉にテルルは反発した。

確かにそういう考え方もあるか。

オレの甘味のように。

 

「いや、それは違うよ」

 

「バカな!?またオレの考えが読まれただと!?」

 

「口に出てただけですけど……」

 

そんな、オレの甘味衝動はついに口に出すくらいにまでなってしまったのか!

 

「そんなバカなこと考えているより、やることがあるんでしょ」

 

そういえばそうだった。

今回はテルルを仲間にするためにここに来たんだった。

 

「なぁ、テルルよ。強さを証明したいんだったら、オレのチームに入らないか?」

 

「何故、それで強さを証明できるのです?」

 

「実は、明日レイジとブルーミングバトルをやるんだけどよ。後一人メンバーが欲しいんだ。それによ、レイジのチームはオレたちの学年だと一位だって言うじゃん。それに勝てば、おまえの強さも証明できるんじゃないか?」

 

その言葉に、テルルは何故かキョトンとしたが、すぐに気合の入った顔になった。

 

「……いいのです。いいのです!それでこそ、テルルが姉だと証明できる絶好のチャンスなのです!」

 

「それじゃ、オレのチームに入ってくれるかな?」

 

「いいとも!なのです」

 

こうして、オレのチームの最後の一人が決定した。

これで明日は、レイジをぶっ倒す。

 

「そうと決まったら、さっそくみんなで特訓なのです!」

 

「そこまでは求めてねぇよ!」

 

まぁ、先の思いやられるチームとなったが。

 




誤字脱字がございましたら、ご報告お願いします。

感想も、気楽にどうぞ。

参戦キャラ、タグ等の意見もお待ちしています。

次はついに、零弐対キリトの話です。
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