こんな縄張り争い見たい…見たくない?   作:サクラン

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最初はやっぱり王道を行くモンスターということでこの二匹で。

サブタイトルはクエスト名をイメージして書いていきます

ぜひお楽しみください!


孤島の王者達

青い空、白い雲、その下に広がるは広い海原と緑豊かな森。

 この島は孤島と呼ばれる場所。その島の北東側、だだっ広い海の側で今とある一匹の生き物が体を丸めてのんびりと昼寝をしていた。状況だけ見ると、見た者によっては危険だと言うだろう。自然界において、自身の巣などの安全な領域外で睡眠など、自殺行為にも等しいことだ。

 

 

 だが、その生き物の側には誰も居ない。それは何故か、理由は単純、その生き物の体長が20メートルを超えるものであり、何よりその生き物が強かったからだ。

 

 

体長だけではない。日の光を受けて蒼く輝き、背中から伸びた突起のような甲殻。頭部から伸びる冠を思わせるような角。それは漁師の間では恐れられている生き物だ。この広大な海において代表格とも取れる“大海の王”の異名を冠する怪物(モンスター)

 

 

“海竜”

“ラギアクルス”

 

 

間違いなく彼は海の王の異名を冠するに相応しい強さを持っている。当然彼以上の怪物も存在するが…だとしても、そこいらの生き物が敵うような生半可な強さではなかった。ならば彼はこの島において敵無しなのか?と思う者もいるだろうが、そうではない。この島では彼の竜と対等の強さを持つ生き物が存在する。

 

 

その時、海竜の身体に影が射した。

 

 

海竜は本能でその存在を感じ取ったのか、その身体を起こし、周囲を見回す。

 

 

 

 

 

すると突然、火球が海竜に向かって飛んできた。

 

 

 

 

 

仮に人に直撃すれば、例外を除けばまず助からないであろう一撃。人より身体能力の高いモンスターであっても、その一撃に対応出来るものはそう多く無いだろう。だが海竜はその一撃に対抗出来る力を持っていた。海竜は少し身を引くと首から上を弦を引くように仰け反る。その口から光が漏れるのが見えた瞬間、

 

 

蒼い雷球が放たれた。

 

 

火球と雷球が激突し、凄まじい炸裂音が辺りに響き、スパークのような閃光が発生する。そして閃光が晴れると、海竜から10メートル程上に火球を放った張本人がいた。その竜は身体を覆い隠せる程の翼を持ち、赤い甲殻が全身を覆っていた。そう、この竜こそ、この島において、唯一海竜に対抗し得る怪物。“火竜”の名を冠し、この世界で最も知られている竜の代表格

 

 

“火竜”

“リオレウス”

 

 

そう、この二匹は互いにこの辺りの領域において、主とも言えるモンスターだ。活動域こそ海竜が海、火竜が空とあまり被るところではなかったが…陸は二匹共利用する場所であった為、今回はこうしてかち合ってしまったのだ。

 

 

「グルルル…」

 

 

「グオオオ!」

 

 

とはいえ、引き下がって譲るという選択肢は彼らの中には無い。激突自体は今回が初めてではなかったし、そうでなかったとしても彼らは自らの実力に自身を持っている。それにいい加減、海竜も火竜も互いに苛立ちを覚えていた。互いの行動が互いを牽制していた為、いつも行動する時に相手の存在を警戒しなければならかったのだ。だが、そんな心労も今日で終わらせる。目の前の鬱陶しい敵さえ倒せば、自分達の脅威と言える存在はいなくなる。晴れて自分の縄張りだと、自信を持って誇示出来る。だからこそ―

 

 

 

 

 

「グルルオオオオオオオ!!!!!」

 

 

「グオオオオオオオオオ!!!!!」

 

 

 

 

 

―吼える。自らの縄張りと、空の、海の王としての強さと矜持を賭けて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「グオオオオ!」

 

 

先手を打ったのは火竜だった。咆哮と共に口から火球を打ち出す。海竜はそれを見ると身体をくねらせ、凄まじいスピードで海に向かって突進して、火球を避けた。火竜はそれを見ると、今度は複数の火球を海竜の進路上に打ち出した。

 

 

「…!」

 

 

海竜は自身の身体を四肢で踏ん張るようにしてブレーキを掛けた。するといきなり、海竜が蹴り飛ばされた。

 

 

「グルァン!?」

 

 

海竜がブレーキを掛けている間に火竜は急襲を狙っていたのだ。だが海竜もその一撃程度では倒れない。即座に体勢を立て直し、火竜に向き合った。

 

 

「グルルル…!」

 

 

火竜が低い声で唸るのを、海竜はその瞳で睨む。状況はこちらが不利だ。先程食らってしまったダメージもそうだが、地上戦だと海竜は細かい動きのコントロールが出来ず、おまけに火竜は空が飛べる為、手が出しづらいのだ。遠距離攻撃は雷球をブレスで放つことぐらいだ。それは火竜も同じだが、火竜は先程のように、空中からの急襲と即離脱を行うことが出来るのだ。だからこそ最初に自身のホームグラウンドである海に向かったのだが…火竜も自身が優勢なことぐらい分かっている為、簡単には向かわせてくれそうにない。

 

 

「グオオオ!」

 

 

「!」

 

 

火竜が再び吼え、空中へ飛び立つ。そして口から炎を滾らせ、海竜に向かって放つ。海竜はそれを見ると、今度は回避を選択せず、身体を縮こませ―

 

 

 

 

 

「……グルアアアア!」

 

 

 

 

 

―咆哮と共に、背中の突起のような甲殻から凄まじい電気を発生させ、火球を打ち消す。そして黒に近い色だった背中の突起は身体の甲殻に似た蒼色になっていた。だが他の甲殻とは少し違い、漏電するようにバチ…バチ…と電気を放っていた。

 

 

「グオオオ!」

 

 

だがその姿を見ても火竜は動じない。即座にまた火球を放ち、今度は海竜の側面を旋回するように火球を複数放つ。海竜は海中だとその巨体に見合わない動きとスピードだ。突進をしてから即座に反転して追撃を仕掛けることが出来るし、放電の威力も他に類を見ないものだ。海中においては彼は無類の強さを誇る。だが…

 

 

 

 

 

「グルァン!?」

 

 

 

 

 

地上だと細かい動きが出来ず、海中ならば有利に働く筈のその巨体も、地上だと動きの鈍い的にしかならない。何とか水に濡れた身体や雷球を放ち、火球を迎撃するが…火竜も絶え間無く火球を放つ為、相殺しきれない。そして海竜は単体の攻撃では駄目だと考えたのか、先程の電撃の構えを取る。そして―

 

 

 

 

 

「グルアアアア!」

 

 

 

 

 

―電撃を放ち、火球を全て相殺する。しかし凄まじい電気と火球がぶつかった為、また凄まじい閃光と炸裂音が発生した為、海竜は一時的に目を瞑ってしまう。…それを狙っていた竜がいた。

 

 

「グオオオオ!」

 

 

「グルァン!?」

 

 

火竜が凄まじい勢いで海竜に急襲し、足の爪で海竜を蹴り飛ばす。

 

 

そう、火竜はこの時を狙っていたのだ。

 

 

火球でもダメージにはなるが、身体の濡れた海竜にはどうしても決定打になりづらい。だが、急襲を仕掛けたところで放電のカウンターを食らっては意味がない。だからこそ、執拗に火球を放ち続け、放電を使った直後のタイミングで急襲を掛けた。そして先程の火球と雷球の激突で凄まじい光と音が発生するのは分かっていた。

 

 

海竜がそれを分かっていて目を瞑ったとしても関係ない。何せ細かい動きが出来ないのだ。足を止めた時点で、海竜の運命は決まっていた。

 

 

「グル…オオオ…!」

 

 

「!、グオオオオ!」

 

 

しかし海竜にはまだ動ける力が残っていたのか、海に向かって這って行く。が、悪足掻きだ。火竜の足の爪には毒が分泌されている。大型の竜からしてみれば、命を奪う程の毒にはなり得ないが…体力を奪い、動きを鈍らせるには充分だ。火球のダメージもあるのか、突進にすらなっていない。火球で仕止めようとも思ったが、火球では命を奪うには足りないだろう。そして海に逃げられては元も子も無い。反撃を受けたとしても、あの様子ではこちらが大きな傷を負うようなことは出来ない。確実に仕止める為にも、ここは足の毒爪でもう一撃叩き込むのが良いだろう。火竜はそう思い空へ飛び立ち、まずは動きを止めさせる為に火球を放つ。

 

 

「グルァン!?」

 

 

火球を食らった海竜は動きを止め、大きく怯む。その隙を逃さない火竜は今こそ海竜を仕止めようと、海竜に向かって急降下する。海竜は怯んで身体を丸めたまま唸っている。それを見た火竜は確信する、己の勝利を。

 

 

―だが火竜は知らない

 

 

―自身が知恵を働かせて勝利の為の戦略を考えていたのと同じように、海竜もまた、この命の危機を脱する為の戦略を考えていたことを。

 

 

―海竜は知らなかった

 

 

―火竜の足の爪に毒が分泌されているということを。

 

 

そう、彼らは互いに知らなかったのだ。これまでは小競り合いに近い戦いしか起こらなかった為に、互いに持っている手札や実力の底を知ることがなかった。だからこそ、海竜は火竜の足の爪に毒があることなんて知らなかった。その読み違いで、想定以上のダメージを負ってしまったが…その毒の効力が多少の体力を削り、動きを鈍らせる程度の毒だったのが不幸中の幸いだった。これが更に強力な毒だったなら命が無かったかもしれない。だが火竜にとっても知らないことがあった。それは、海竜の行っていた電撃を放つ行為、それを―

 

 

 

 

 

―電気を溜め込む行為ではなく、放つ行為だと勘違いしてしまったことだ。

 

 

 

 

 

そしてその結果は今この瞬間に表れる。身体を丸めていた海竜が、突然身体を起こす。それに驚いた火竜が急降下を止める間も無く―

 

 

 

 

 

「グルルオオオオオオオオオオオ!!!!」

 

 

「グアアアアアアアアアン!?」

 

 

 

 

 

海竜の背を中心に、これまで行った電撃の比ではない凄まじい電撃を放ち、火竜が吹き飛ばされる。

 

 

そう、実は海竜が二度行った電撃は電気を放出するものだと火竜は思っていたが…実際はその逆、電気を溜め込む行為だったのだ。

 

 

これが火竜の知らなかった海竜の底であり、致命的な読み違いだった。火竜も海竜が電撃を放ってから、背中の突起が蒼く輝いていたのは分かっていたが、彼はそれを電気を溜め込んでいると思わず、電撃を放ったことによる副次的なものだと思っていたのだ。そして毒によって海竜の動きが鈍っていたことも、火竜に「自身に大きな傷を与えられる反撃が出来る筈が無い」という考えを助長させてしまったのだ。そして火竜の甲殻は堅牢ではあるが、雷に特別強い訳ではない。

 

 

「グオオオオ!!」

 

 

火竜が怒りに燃え、ダメージに悶えながらも身体を起こすと、既に海竜は海に飛び込むところであり、追撃は間に合いそうになかった。

 

 

「グルルル…!」

 

 

憤りながらも、火竜は追撃しようとは思わなかった。傷こそ負ったが自身はまだ戦えるし、向こうはこちらよりダメージが大きいとはいえ、確実に勝てるとは言い切れないし、何より海中での機動力は海竜の方が上だ。火球では仕止めきれないだろうし、毒爪での攻撃は海面に近付かねばならない。突っ込んだ時にそのまま海に引きずりこまれてはそれこそ終わりだ。それを理解していた火竜は仕止めきれないことをもどかしく思いながらも、火竜はその場を飛び立ち、巣に帰ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海竜は水底をゆっくりと泳ぎながら火竜が追撃して来ないことに少し安堵していた。毒を食らい、電撃を放った後の疲労感もあり、今の状態で大放電を食らった火竜を追撃しても、業腹ではあるが負ける可能性の方が高かった。だからこそ、まずは休まねばならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

両者共に考えていたことの違いこそあったが、抱く思いは同じだった。

 

 

「次は負けない」

 

 

自身の矜持と縄張りの為に、空の王と海の王はそう誓った。孤島の王者の戦いは、これからも続いて行くだろう。




と、言うことで看板モンスと原点回帰のトライの対決でした。

ぶっちゃけ戦闘描写めっちゃ難しかった…(有利なフィールドが互いに違うので)

しばらくはメインモンスターの対決になると思います。

個人的に面白そうなマッチングや、古龍メインモンスター同士の争いは後に回そうと思っているので、楽しみにしている方には申し訳ありませんが、気長に待っていただけると幸いです。

評価、感想もよろしければお願いします!

それでは次回もよろしければお楽しみください!

メインモンスター+αでコイツが好き

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