後投稿時間についてですが、総合的には変わらないなと思ったので、やっぱり今まで通りで行きます。
浪漫って良いよね。
それではお楽しみください!
曇った空の下で霧にまみれ、静まり返った古いこの地は“古塔”希少な生物達が巣くう雰囲気のある場所だ。生物の数は少ないが、塔の麓には草食種のモンスターがいる為、肉食のモンスターも食料に困るという訳ではない。
だがこの地に住まうモンスターの数は非常に少ない。なぜならこの地に元から住み着いているモンスターが非常に強いからだ。その証拠として、塔の中腹辺りからは草食種のモンスターが姿を見せなくなる。警戒心が強い草食種が姿を消す程強大なモンスターが、この地にいるのだ。そして今この地における縄張りの主と言えるモンスターは二匹いる。
一匹は圧倒的な体格で、あらゆるものを粉砕する突進と咆哮を放つ轟竜の希少種である大轟竜。
そして二匹目は―
「Zzzz…zzzz…」
―塔のど真ん中で身体を丸めて眠っていた。無防備極まりない状態だが、そのモンスターに手を出す者はいない。あの大轟竜ですら手を出さないと聞けば、そのモンスターの強さが嫌でも分かるだろう。
二本の足に一対の翼、全身を鋭利な棘の付いた甲殻に覆われ、何より堂々と眠るその姿は棘竜そのものだ。だがその甲殻や棘は炙ったように茶色に染まっている。その甲殻が示すのは普通の棘竜ではないということ。その棘竜は―
亜種になっても図太さは変わらないようで、棘茶竜は相変わらず眠っていた。だが前述した通り、その状態の棘茶竜に手を出す者はいない。それは当然、眠っている場所が棘茶竜の縄張りだからだ。棘茶竜は大轟竜よりも後にこの地を訪れ、当時この地を支配していた大轟竜と激突して引き分け、大轟竜の縄張りの一部を奪い取った。棘茶竜はあまり活動的ではない為、あまり広範囲を縄張りとせず、自身が生活する上で困らない程度を縄張りとしていた。時折不定期に訪れる古龍も、少し場所を変えて寝ていればやり過ごすことが出来る。そうした穏便なやり方で、棘茶竜はゆるゆると安寧を享受していたのだ。
―だがそれが続く保証はどこにもない。
「ガウアアアア!!」
「グオ!?」
突然棘茶竜が強襲を受け吹き飛ばされる。が、堅牢な甲殻に守られ大したダメージは受けていない。だがそんな甲殻に守られた棘茶竜は並の攻撃では眠りから覚めない。そんな棘茶竜が一撃貰っただけで起きるということは、僅かとはいえ棘茶竜の防御力を突破出来る程の強者ということだ。
「ガウアア!」
深紅の甲殻に覆われ、尻尾や一対の翼からは体毛を生やしている。そして四本の足で地面を捉えるその骨格は古龍の証だ。頭部からは立派な鬣を生やした、炎妃龍と対になるような姿をしたその古龍は―
炎王龍は何を感じたのか、既に気が立っている。炎王龍は古龍の中だと凶暴なことで有名ではあるが、ここまで気が立っている個体は中々いない。ひょっとすると炎妃龍を探しに来たのかもしれない。古龍の中だと目撃例が多い炎王龍と違い、番となる炎妃龍は限られた場所かつ目撃例も少ない。それで何かしらの力を感じて数少ない目撃例があった古塔を訪れた可能性がある。
「ガウウ…!」
炎王龍はこの地を縄張りにするつもりなのか、あるいは憂さ晴らしの為に戦うのか、とにかく棘茶竜を倒すつもりのようだ。
「グウウ…」
棘茶竜は面倒臭そうに唸る。この炎王龍相手には諦めるまで耐え忍ぶという戦法がおそらく使えない。しかも戦ったとして楽に勝てる相手ではない。まず追い出せたとしてもこちらも傷を負っているだろうし、その隙を狙って大轟竜が仕掛けて来るかもしれない。考えれば考える程面倒だが、退くという選択肢は浮かんで来なかった。ここ以上に適した棲みかはないのだ。外敵も強いが滅多なことではこちらに手は出して来ず、虫なんかも生息している為、食事には困らない。常に静かなことで睡眠も邪魔されることもない。一部を譲るだけならばまだしも、退くなど絶対にごめんだ。それに―
―戦ったとして傷はともかく負けるとは思っていない。
「グオオオオォォォォン!!!」
「ガウアアアアァァァァ!!!」
モンスターの中でも屈指の火力を誇る二匹が激突した。
「グオオ…!」
棘茶竜が身体を低くして構えると、人間で言うところのタックルを放つ。単純な物理攻撃だが、鋭利な棘に覆われた棘茶竜がそれを放てば、古龍でも侮ることが出来ない一撃となる。
「ガオオ!!」
炎王龍もその一撃の危険性を感じ取ったのか、真正面から受け止めることなく滞空することで回避し、口内に火炎を滾らせ―
「ガウアア!!」
―放射状に業火を放った。形自体は火竜の放つそれと同じだが、火力は比べ物にならない。棘茶竜は成す術なく食らってしまうかと思われたが―
「グアアアン!!」
―Uターンして炎王龍の方に向き直ると、口から毒々しい火球を放つ。その火球と炎王龍の業火が触れると―
ドッゴオオオオン!!
―凄まじい炸裂音と共に煙幕が生まれた。
「ガウアア!!」
炎王龍が煙幕で視界が利いていない隙を突こうと粉塵を纏って棘茶竜がいるであろう場所に強襲を仕掛ける。
「グオオン!!」
だがその可能性は棘茶竜も考えていたのか、角を炎王龍に向けて突っ込んで来ていた。双方が激突すると思われたが―
カチッ
ドドドドン!!
「グオオン!?」
―激突する寸前に牙を打ち合わせて、自身の身体に纏った粉塵を爆破して棘茶竜を吹き飛ばした。
「グ…オオ…!」
棘茶竜は呻きながら起き上がる。その身体の甲殻は所々焦げて凹んだり、血を流している箇所がある。いくら堅牢な甲殻を持つ棘茶竜といえども、炎王龍の粉塵爆破の攻撃を食らえば無傷とは行かない。
「グオオ…!」
だがその瞳に秘めた戦意は少しも挫けていない。炎王龍への怒りや自身の縄張りに対する執着が感じ取れる。そして遂にその怒りが頂点に至った。
「グオオオオォォォォン!!!」
怒りが頂点に達した棘茶色は、血流が加速しているのか、身体全体に筋のようなものが迸っており、顔つきもより凶悪になっていた。
「グオオン!!」
そして凄まじい速さで炎王龍に向かって突進する。その一撃の威力は当然怒る前とは比較にならない。原種の時点で鋼龍を投げ飛ばす程のパワーを誇るのだ。それが強大化した亜種が怒った状態のものを食らえばどうなるかなど想像したくもないものだ。
「ガウアア!!」
だが気が立っていても棘茶竜を侮っていない炎王龍はバックステップしつつ滞空すると、空中から火炎放射を放つ。それを見た棘茶竜は足を止めるかと思われたが―
「グオオオオ!!」
「ガウアア!?」
―何と棘茶竜は火炎放射を食らいながらも滞空し、炎王龍に向かってブレスの乱射を叩き込んだ。そのブレスをまともに食らって怯んだ炎王龍に対して―
「グオオン!!」
「ガウオオ!?」
―蹴りを叩き込み、地面に落として見せた。
「ガウ…オオ…!」
地面に落とされた炎王龍は呻く。その身体をよく見てみると、ブレスを受けた箇所の甲殻がまるで強酸でもかけられたように溶けて爛れている。
その理由は棘茶竜のブレスの性質が原種と少し違うからだ。原種は火炎に身体を蝕む毒と麻痺毒の性質を併せ持っていたが、棘茶竜は麻痺毒が無くなった代わりに触れたものを溶かす強酸の性質を持っている。
だが、ただの酸では古龍である炎王龍の甲殻を溶かすことなど出来はしない。故に棘茶竜のブレスが持つ強酸性は相当なものだと分かる。
「グオオオオ!!」
「!」
空中から棘茶竜が炎王龍を狙ってブレスを放つ。炎王龍はこれ以上食らうのは不味いと思ったのか、その場から駆けてブレスを躱す。
「グオオ…!」
着地した棘茶竜を炎王龍は睨み付ける。そして内心で思う―想像以上に強いと。攻撃の苛烈さはもちろん、甲殻の防御力も相当なものだ。元から炎に対して耐性もあるのだろうが、それを抜きにしても炎王龍の業火に耐えることが出来るのは元の防御力が高いお陰だろう。
炎王龍はどうするべきか考える。まだ戦うことは出来る為、撤退はしない。しかしどう戦うかは考えねばならない。まずあの防御力の高さが最大の問題だ。攻撃の苛烈さも相当だが、それはまだ対応出来る。それを考慮すると、戦う方法はおおよそ二択に限られる。その方法の中で、棘茶竜の甲殻を突破するにはということを考えると、自然と一択に絞られる。それはつまり―
―高火力の攻撃で甲殻の防御力を強引に突破する。
「ガウアアアアァァァァ!!!」
炎王龍は全力で吼え、自身の身体に纏う粉塵を最大まで引き上げる。そう、これが炎王龍が棘茶竜に勝つ為に選んだものだ。炎では棘茶竜の甲殻を突破することは難しい。勿論体力を削ることは出来るだろうが、炙って甲殻を溶かすには時間が掛かり過ぎるだろうし、棘茶竜の猛攻を止めることがしづらいと思ったのだ。
力を全力で開放した炎王龍のその姿からは、熱気と共に凄まじい威圧感を感じる。単純にモンスターが怒っただけでは感じられない圧迫感だ。これは正に自然の猛威を自らの物としている古龍にしか出せないものだ。
「グオオオオ!!」
だがその威圧感を真正面から受けても棘茶竜は止まらない。どんな相手であろうと自分を怒らせた以上は絶対に無事には帰さない。そんな執念をひしひしと感じることが出来る。
「ガウウ…!」
炎王龍は棘茶竜の突進に対して翼をはためかせて粉塵をばらまく。そして棘茶竜の突進を食らうかというタイミングで―
「ガウアア!!」
「グオオ!?」
―棘茶竜を前足で殴り付け、突進の軌道を僅かに逸らすと同時に粉塵を撒きながら棘茶竜の側面に移動した。
棘茶色の突進に限らず、真正面からパワーのあるものを止めようと思うと、最低でも止める相手に近いパワーを持ってなければ対抗することは出来ない。だが対抗するのでは無く逸らすなら、上手く相手の側面を捉えて僅かなパワーを加えるだけで良いのだ。
「グオオ!!」
だが僅かなパワー程度で棘茶竜が止まる筈もない。再び炎王龍に狙いを定め、突撃しようとするが―
「ガウオオオオ!!」
「グオオオオン!?」
―炎王龍がばらまいた粉塵を集約させ、凄まじい大爆発を引き起こした。その一撃は大タル爆弾を数十個一気に起爆してもなお届かない程の爆発だった。流石の棘茶竜であってももう起き上がることは難しい―そう炎王龍が一瞬思った時だった。
「グオオオオン!!」
「!?」
爆炎の向こうから血を流した棘茶竜が吼えながら突っ込んで来た。その姿はあちこちの甲殻が凹み、棘がへし折れ、中には甲殻そのものが吹き飛んでいるものもあったが、棘茶竜は止まらない。
「グオオオオ!!」
棘茶竜は滞空し、空から爆撃のようにブレスを乱射する。
「ガウアアアア!!」
炎王龍はそのブレスに対して、粉塵をばら撒き、爆破で相殺しながら滞空し、同じようにブレスで対抗する。いくつものブレスと爆発が炸裂するその様子は、見る者によっては魅了される光景だった。
「グオオオオン!!」
「ガウアアアア!!」
そして遂にダメージの差が響いたか、炎王龍が棘茶竜に追い付き、爆発を引き起こしながら取っ組み合いに発展する。その最中に―
「グオオオオ…!」
「!!」
棘茶竜が爆発に構わず炎王龍と組み合ったまま口内に力を溜める。それを見た炎王龍は察する―ここで確実に自身を倒すつもりだと。
「ガオオオオ…!」
それを見た炎王龍も同じように力を溜める。おそらく今の棘茶竜はどんな攻撃を受けても止まることはない。それにブレスということは強酸をぶちまけるということだ。全力でなければ相殺しきれない。
そして双方の力が最大まで高まり―
ドオオオオオン!!!
―凄まじい大爆発が古塔の空に炸裂した。
「ガ…!オオ…!」
炎王龍は地面に墜落したものの、何とか生きていた。身体のほとんどが焼け焦げ、あるいは溶けており、ある程度は相殺出来たとはいえ、毒も食らってしまっており、動きづらくもあった。
「グオオ…」
「!」
その時棘茶竜が起き上がった。甲殻のほとんどが歪んでおり、今も口から血を吐き出している。仕留めることも出来るだろうが…
「オオ…!」
「!!」
炎王龍は退散を選んだ。おそらく棘茶竜を仕留めて縄張りを奪うことは出来るだろうが、その後に何が起きるか分からない。あの棘茶竜以外にも、二つ程強い気配を感じていた。棘茶竜を仕留めた後にあれ程の強者を相手にするのは流石に分が悪い。あの地には炎妃龍はいなかったようだし、別の地で探そうと炎王龍は新天地に向かうのだった。
「グオオン…」
残った棘茶竜は溜め息を吐いた。本当に撤退を選んでくれて助かった。あのままこちらを殺す気で来ていたら、こちらの分が悪かっただろう。だが、撤退を選んだ理由は何となく分かる。おそらく大轟竜の気配に気付いていたのだろう。炎王龍と言えども、あれ程の死闘の後に大轟竜の相手をするのは厳しいと判断したのだろう。事実その通りだ。
そして棘茶竜も他人事ではない。これからやって来るであろう大轟竜の対策を考えねばならない。折角凌ぎきったというのに、棘茶竜は憂鬱な気分で身体を休めるのだった。
因みに結果として、大轟竜は棘茶竜を狙って襲撃に来なかった。理由は棘茶竜は疲労で気付かなかったが、大轟竜も縄張りに侵入したとあるモンスターと死闘を繰り広げ、棘茶竜を襲撃するだけの体力が残っていなかったのだ。そして近い内に棘茶竜は大轟竜の相手のモンスターと、良き隣人に近い関係を築き上げ、仲良く共存することになる。
一撃技ってやっぱりカッコいいよねって話。
ゲームでガンスを使ってる自分は浪漫大好きなんでね。スピード感出そうと考えて文字数結構ギリギリだったけど…
評価、感想もよろしくお願いします!
それでは次回をお楽しみに!
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