こんな縄張り争い見たい…見たくない?   作:サクラン

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UA数4000件突破ありがとうございます!

ネタが思い付かなくなってきた…超大型同士の戦いとか書きたいけど、どうにも文章で表現するのが難しい…

という訳で、今回はリベンジ戦です!

ロマンある漢の戦いです!

それではお楽しみください!


修羅の道を行く者達

“溶岩洞”

 

 

大地が脈動するこの地は、数多くのモンスター達が訪れる地だ。金獅子や爆鱗竜の古龍級生物だけでなく、炎王龍や爵銀龍などの古龍すら訪れる程にエネルギーに溢れている。それ程モンスターを惹き付けるだけに、生存競争もまた苛烈だ。

 

 

事実少し前にも、強大な二匹のモンスター、砕竜と怨虎竜が激突した。古龍級程の強さを持ってはいなかったものの、その一歩手前に迫る程の強さを持っていた。その二匹の勝負は互いに手傷を負って引き分けたのだが、その後に起こったことが溶岩洞全体を激震させた。

 

 

争いの後、砕竜は溶岩洞の深奥に姿を消したのだが、怨虎竜が狂ったように暴れ回り、溶岩洞の全モンスターを惨殺、あるいは追い出して怨嗟の声を響かせながらどこかへ行ってしまったのだ。

 

 

そしてしばらくすると追い出されたモンスターや新たに訪れたモンスター達が溶岩洞を賑わせ、変わらぬ日常を送っていた。

 

 

 

 

 

だが数日前、またもや溶岩洞全体に波乱を呼ぶ事態が起こった。―何と姿を消していた砕竜が、様子を変えて戻ってきたのだ。

 

 

大きさが変わった訳ではないが、身体を覆う甲殻の色が変わっている。黒曜石のような青い甲殻がエメラルドのような緑色の甲殻になっており、以前は頭部と腕位にしか確認出来なかった粘菌が、背中や足にも確認出来る程に広まっている。頭部と腕の粘菌は更に濃くなっている。

 

 

この粘菌が砕竜の追い求めた“強さ”だ。この砕竜が纏っている粘菌は、通常の砕竜が纏っている粘菌よりも爆発力が高い為、幼少期から粘菌の爆発によって鍛えられた砕竜の甲殻であっても耐えられるか危うい程の威力を誇り、下手をすると死にかねないのだ。だが、この砕竜は死の淵を彷徨いながらも賭けに勝利し、この特別な粘菌との共生に成功したのだ。

 

 

特別な粘菌との共生の過程で、爆発によって更に鍛えられた砕竜の甲殻はとんでもない硬さを誇り、何より粘菌から生み出される爆発力とそれと合わさって放たれる砕竜の拳は、古龍の甲殻すら突き穿つ威力だ。

 

 

まさにこの砕竜の戦闘力は古龍級生物に匹敵するものであり、危険度も戦闘力も別格とされていることから、ギルドからも通常の砕竜とは区別され、特殊個体として扱われている。あらゆる障害を凄まじい爆発と共に打ち砕くその砕竜の名は―

 

 

“猛り爆ぜる”ブラキディオス

 

 

実際、この砕竜は溶岩洞に戻るや否や、この辺りを牛耳っていた轟竜の亜種である黒轟竜をあっさりと打ち倒し、追い出して見せた。そして溶岩洞に居を構えて生活を送っている。

 

 

「グルルル…」

 

 

砕竜は喉を鳴らして空を見上げる。自分は強くなる為に力を求めてここまで来た。数日前に黒轟竜を打ち倒した時には充実感に溢れていた。もし力を手にする前の自分だと苦戦は避けられず、負ける可能性もあっただろう。だが、今の自分の力ならば、大した苦戦もなく追い出すことが出来た。強敵を打ち倒すと、自身の力を自覚することが出来る。今やこの地で自身に歯向かう者はおらず、快適な毎日を過ごすことが出来ていた。

 

 

砕竜はそんな毎日に、どこか退屈を感じていた。別に嫌という訳ではないし、四六時中死闘を行いたいと思う程戦闘狂という訳ではないが、更なる強敵を待ち望んでいることは事実だった。何せ砕竜の最終的な強さの目標は、古龍の打ち倒すことなのだ。砕竜は幼い頃に親が爆炎を纏う炎王龍に倒されるところを目撃した。その際に感じた古龍の力はまさに別次元のものだった。あの存在を倒せば、自身の強さは確固たるものとなる。黒轟竜も強敵ではあったが、古龍に及ぶ程の強さではなかった。

 

 

だが古龍を相手にするとなると、今の強さでも間違いなく苦戦する。相手によっては厳しい戦いを強いられるのも事実だろうが、勝てる可能性も十分ある筈だ。砕竜がこの地を訪れたのは、強さを手にするのもそうだが、古龍に遭遇しやすいと思ったからだ。だがやはり滅多に現れるものではないのか、今の所古龍の気配は感じない。まあ焦っても仕方ないと、ゆっくりと待つことに決めた砕竜は、ねぐらに戻ろうと洞窟に足を向けた。

 

 

 

 

 

―その時だ。

 

 

 

 

 

「ゴルルアアアァァァ!!」

 

 

「!?」

 

 

 

 

 

身が震えるような怨念を感じる咆哮が響き渡った。砕竜もあまりに濃い殺気に思わず後ろを振り向くと―

 

 

 

 

 

「ゴルオオオオ!!」

 

 

ズドオォォォン!!

 

 

「グオオオオ!?」

 

 

 

 

 

―凄まじい勢いで何かが砕竜に突っ込み、大爆発を引き起こし、砕竜を吹き飛ばした。

 

 

「オオオオ!!」

 

 

しかし砕竜も一枚岩ではなく、即座に体勢を立て直し、襲撃者の姿を捉えて威嚇する。

 

 

「!!」

 

 

「ゴルルル…!」

 

 

威嚇仕返して来るその姿は、砕竜にとって見覚えのある姿だった。黒と紫を基調とした甲殻に覆われ、身体から不気味な桃色の鬼火を噴出し、雷狼竜と同じように四足で地を捉えるその姿はこの溶岩洞で死闘を繰り広げた怨虎竜そのものだ。

 

 

だが、砕竜と同じように姿が変わっている。特徴的な前足の腕刃が以前は前足より少し長い位の大きさだったが、背中に届く程の長さになっている。何より異常なのは頭部だ。立派な鎧兜のようだった角は片側が完全に折れており、歪にゆがんでいる。その瞳からは砕竜に対する殺気と怨念がひしひしと感じられる。

 

 

この怨虎竜は、角が折られたことで雌に見向きもされなくなったことで自暴自棄になり、縄張りの拡大だけを目的に戦いに明け暮れた怨虎竜だ。どれだけ傷付こうとも気にする必要もない為、あらゆる相手に向かって行った―それこそ古龍が相手だろうと。そして膨大な数の強敵との戦いで怨虎竜は強大化し、皮肉にも古龍に匹敵する戦闘力を得るに至った。怨念に取り憑かれた怨虎竜の名は―

 

 

“怨嗟響く”マガイマガド

 

 

「ゴルルル…!」

 

 

怨虎竜は砕竜に向かって唸る。全ては砕竜に角を折られたせいなのだ。自身の運命を滅茶苦茶にした砕竜は絶対に許さない。どうやら強大化しているようだが、そんなことは関係ない。ズタズタに惨殺してやると、怨虎竜は復讐心を燃やす。

 

 

人に例えると、童○を拗らせすぎた悲しい存在だが、今の怨虎竜の戦闘力はそんな悠長なことは言えない。通常の怨虎竜は飛行するモンスターに対して優位が取れる為、その能力を活かして何とか古龍に食い下がれる程度だったが、この怨虎竜は全てが古龍に匹敵する程にまで至っている。少し前に城塞高地を訪れた時は、爵銀龍と争い、引き分けたのだ。身体能力の高さで知られる爵銀龍と引き分けることが出来た時点で、怨虎竜の戦闘力の高さが伺える。今の怨虎竜を相手にするには、古龍あるいは古龍級生物でなければ手に余る相手だった。

 

 

「グルルル…!」

 

 

だが、そんな怨虎竜相手でも砕竜は恐れない。怨虎竜の事情など知ったことではないが、強くなってリベンジしに来たというのならば望むところだし、強くなったのはこちらも同じだ。以前の決着を付ける意味合いも込めて、まさに古龍との戦いの肩慣らしには丁度良い相手だ。

 

 

 

 

 

そうして強くなった両者は相手を睨み付け―

 

 

 

 

 

「ゴルルオオオオォォォォ!!!」

 

 

「ガギャアアアァァァン!!!」

 

 

 

 

 

―開戦を意味する咆哮を上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゴルルオオ!!」

 

 

怨虎竜は今回は砕竜から距離を取らず、即座に槍のような尻尾で貫きにかかった。以前は砕竜との接近戦を嫌ったから中距離で立ち回ったのであり、古龍とすら真正面からやりあえるようになった時点で、接近戦を忌避することもなくなった。

 

 

「ガギャアア!!」

 

 

だが、接近戦をしてくれるならば砕竜にとってはそれこそ望むところだ。拳を振り上げ、怨虎竜を叩き潰さんと言わんばかりに殴りかかる。拳と尻尾が交差し、互いを吹き飛ばすと思われたが―

 

 

 

 

 

「ゴルルアア!!」

 

 

「ガギオオ!?」

 

 

 

 

 

―吹き飛んだのは砕竜の方だった。怨虎竜は砕竜の拳が交差する瞬間、尻尾で拳を受け流すように突き出したのだ。そして拳を受け流した直後に、無防備を晒した砕竜の顔面を前足で殴り飛ばした。尻尾に粘菌が付着したのにも構わず、更に追撃を仕掛けようと吹き飛んだ砕竜に飛び掛かる。

 

 

「ガギャアア!!」

 

 

「ゴグオオ!?」

 

 

だが砕竜は尻尾を思い切り振るい、怨虎竜を殴り飛ばし、それと同時に怨虎竜の尻尾に付着した粘菌が爆発を起こした。砕竜の主な武器は、前足による打撃が上げられがちだが、鋭く角張った尻尾も振るえば立派な鈍器となる。

 

 

砕竜は体勢を立て直し、お礼参りに怨虎竜に追撃を仕掛けようとするが―

 

 

 

 

 

「ゴルルオアア!!」

 

 

「!?」

 

 

 

 

 

―何と怨虎竜は空中で鬼火を炸裂させ、強引に砕竜に向かって突進して来た。砕竜もそんな方法で来るとは思わず、驚きのあまり一瞬足を止めてしまう。怨虎竜は鬼火を一気に噴出させ―

 

 

 

 

 

ズドオオォォォン!!

 

 

 

「ガギャアアア!?」

 

 

 

 

―砕竜と激突すると同時に鬼火によって大爆発を引き起こし、砕竜は吹き飛ばされた。怨虎竜は地面に着地し、即座に砕竜に追撃を仕掛けようと、尻尾をクルクルと回転させて、鬼火を纏った突きで、砕竜に更なるダメージを与えようと画策する。あの攻撃を食らってダメージを負っていないのはあり得ない。この隙に畳み掛ける。そう思い、尻尾を突きだそうとした瞬間―

 

 

 

 

 

「ガギャアアア!!」

 

 

ボゴォン!!

 

 

「ゴルルオオ!?」

 

 

 

 

 

―砕竜が凄まじい勢いで跳躍し、怨虎竜に両拳を叩き付けた。粘菌の爆破と砕竜の拳による二重の破壊を受けた怨虎竜は吹き飛んだが、即座に体勢を立て直した。

 

 

砕竜の身体を見ると細かい傷は付いているが、まだまだ血を流している箇所は少ない。臨海に達した粘菌の爆破に晒され続けた砕竜の甲殻は、強くなった怨虎竜の攻撃を受けても問題ない程に頑強になっていた。怨虎竜は感じる―このままでは危ういと。元より自身と引き分けた相手だ。出し惜しみする方が間違っていたのかもしれない。そう決心した怨虎竜は自身の体内で発生する鬼火を圧縮し始める。

 

 

「!、ガギャアア!!」

 

 

その様子を見た砕竜は、好機と見て怨虎竜に殴りかかる。しかし拳が怨虎竜に到達する前に―

 

 

 

 

 

「━━━━━━━━━ッ!!!」

 

 

ドンッ!!

 

 

「ガギャアアア!?」

 

 

 

 

 

―赤黒い鬼火が炸裂し、砕竜を吹き飛ばした。そして怨虎竜の様子も少し変わっていた。背中を中心に全身から噴き出していた鬼火が異常発達した腕刃と尻尾のみから噴き出している。

 

 

そう、これがこの怨虎竜の全力、鬼火を自身が武器として扱う二部位のみに集中させた、“二極鬼火状態”だ。

 

 

「ガギャアアア!!」

 

 

砕竜は様子の変化した怨虎竜を警戒しながらも殴りかかる。どの道自分は接近しなければダメージは与えづらいのだ。多少のダメージは覚悟して相手に傷を付ける方が良いと考え、砕竜は怨虎竜に向かって行く。

 

 

「ゴルルオオオ…!!」

 

 

砕竜が向かって来るにも関わらず、怨虎竜は回避するような動きを見せず、身体を低くして腕刃の鬼火の出力を更に高める。そして―

 

 

 

 

 

「━━━━━ッ!!」

 

 

ズドンッ!!

 

 

「ガギオオ!?」

 

 

 

 

 

―一瞬で前足を振り抜いて飛び上がったかと思うと、砕竜が吹き飛ばされていた。地面を見ると、巨大な斬撃の跡が刻まれていた。

 

 

怨虎竜は、強敵と戦い続けて来た中で、とある発見をした。一点に力を集中させると破壊力が増すのと同じように、鬼火もまた一点に集中させた上で圧縮すると、攻撃を飛ばすことが出来るのだ。

 

 

先程の攻撃もその性質を利用して、異常発達した腕刃のリーチを活かすと共に、鬼火の斬撃を飛ばしたのだ。

 

 

「グ…!オオオ…!」

 

 

砕竜が呻きながら立ち上がる。頭部から左前足にかけて、鋭い斬撃の痕が刻まれている。先程の攻撃の威力は砕竜から見ても予想外のものだった。今の自身の甲殻は冗談抜きに生半可な攻撃では傷すら付けられない。これは確固たる事実だ。ましてや自身の進撃を押し返せる程のダメージを与えられる攻撃など、更に少なくなるだろう。だが、怨虎竜は自身の防御力を突破して見せた。普通なら、警戒をより強めて撤退も視野に入れる場面だが、砕竜は―

 

 

 

 

 

―むしろ胸の高鳴りを感じていた。

 

 

 

 

 

「グルオオオ!!」

 

 

怨虎竜は尻尾から赤黒い鬼火を滾らせ、砕竜に向かって突きだそうとする。砕竜にとっては、対応が難しい中距離からの攻撃だ。だが今の砕竜ならば、対処することが可能だ。

 

 

「ガギャアア!!」

 

 

砕竜は腕を地面に突き刺し、怨虎竜に向かって振り抜く。すると怨虎竜に向かって地面から爆発寸前の粘菌が発生し、怨虎竜の鬼火を纏った突きと相殺し合い、大爆発を引き起こした。

 

 

当然爆発によって煙幕が発生し、その隙を互いに黙って見ている筈もない。

 

 

「ガギャアア!!」

 

 

砕竜は凄まじい脚力で怨虎竜との距離を最短で詰め、怨虎竜に向かって拳を叩き込もうとする。だが―

 

 

 

 

 

―単純な機動力ならば怨虎竜の方が速い。

 

 

 

 

 

「ゴルルアアア!!」

 

 

ズドッ!!

 

 

「ガギ…オオ…!?」

 

 

怨虎竜の鬼火を纏った突きが、砕竜の甲殻を貫いた。更に鬼火の爆破が砕竜を追撃する。いくら頑強な甲殻であろうとも、体内で爆発が発生すれば、砕竜であってもダメージは避けられない。

 

 

「オオ…!」

 

 

砕竜がダメージの大きさに地面に膝を付く。怨虎竜はその様子を見て、確実に止めを刺そうと腕刃に鬼火を集中する。その瞳に慈悲は欠片も存在しない。殺気と怨念だけが宿っている。このままでは砕竜の命運は尽きてしまうだろう。

 

 

「グ…!ウウ…!」

 

 

砕竜は全ての動きがやけにゆっくりに見えた。怨虎竜が腕刃をこちらに向けているのが見える。このままでは自分は無様に敗けて死ぬ。ここまで上り詰めたというのに。こんな所で終わるのか?―否、そんなこと―

 

 

 

 

 

―もったいないに決まっている。

 

 

 

 

 

「ガギャアアア!!」

 

 

「ゴルルルオオ!?」

 

 

砕竜は貫かれた箇所から血を流しながらも拳を振り抜き、怨虎竜を殴り飛ばした。

 

 

「ゴルルル…!」

 

 

爆発と共に吹き飛んだ怨虎竜は、即座に体勢を立て直した。殴られた爆破痕も残っているものの、まだまだ戦うことが出来そうだ。臨海に達した粘菌の爆破にさえ怯まず向かって来る。

 

 

砕竜はやはりこの怨虎竜が自らへの試練だと感じた。間違いなく自身の全力をぶつけるに相応しい相手だ。この相手を越えることが出来れば―古龍にも勝てる筈だ。故に砕竜は、全力を出すと同時に、場を整えることを決める。この場なら、溶岩も流れているし十分出来そうだ。

 

 

怨虎竜は砕竜に苛立ちを感じていた。臨海に達した粘菌の鬱陶しさやパワーも以前よりも上がっている。いい加減に決着を付けねばならない。この砕竜を倒さねば、いつまでも強さの先に行けぬような気がするのだ。

 

 

「グルルル…!」

 

 

「!」

 

 

砕竜が突然唸りながら腕を振り上げる。明らかに怨虎竜を狙っていない動きだ。怨虎竜もその様子には疑問を抱く、認めるには業腹だが、砕竜は強いし頭も切れる。無駄なことをするような馬鹿ではなかった筈だが…

 

 

そして砕竜が地面に腕を叩き付けると―

 

 

 

 

 

ドゴン!!

 

 

「!?」

 

 

 

 

 

―凄まじい振動と共に、粘菌が地面に付着する。怨虎竜が驚いたのも束の間、砕竜は更に拳を振り上げると―

 

 

 

 

 

ドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴ!!

 

 

 

 

 

―拳を連続で地面に叩き付ける。その度に粘菌が地面に付着し続ける。最後に大きく拳を振り上げると―

 

 

 

 

 

ドッゴオオオオオン!!

 

 

「ガギャアアアァァァン!!!」

 

 

 

 

 

―地面を殴り付け、渾身の咆哮を上げる。それを経た砕竜の様子は大きく変わっていた。身体を覆っていた粘菌は全て消え、黒くなった甲殻は相当な熱を持っているのか、蒸気を上げている。

 

 

そして周囲の環境も大きく変わっていた。溶岩があちこちから溢れ、岩盤の形が変わってこのエリアからの逃げ道が塞がれていた。何より違うのは―

 

 

 

 

 

「ゴルルル…!?」

 

 

 

 

 

―地面に付着した粘菌が消えていない。エリアのあちこちに付着した粘菌は真っ赤に染まり、今にも爆発しそうな熱量を発しているにも関わらず、爆発していない。

 

 

それはつまり、砕竜が粘菌さえ操っていることを意味する。砕竜は進化した粘菌との共生を試みる中で、粘菌をより深く知り、操ることすら可能にしたのだ。

 

 

「ガウウウ…!」

 

 

「!、ゴルルル…!」

 

 

砕竜が挑発するように唸る。怨虎竜はその意味を理解して唸り返す。わざわざ環境を変え、逃げ道を塞いだ意味、砕竜は怨虎竜に逃げるなと伝えたのだ。嘗められたものだ。自分を同格相手に逃げるような腰抜けだとでも思っているのか?誘っているなら上等だ。骨も残らない程に粉砕してやると、怨虎竜は赤黒い鬼火を纏う。この鬼火はあまり頻繁に扱えない、下手をすれば自身の身体が傷付いてしまうものだが、関係ない。今の砕竜を倒すには、その位の覚悟は必要だ。

 

 

「ゴルルル…!アアア!!」

 

 

「ガウウウ…!」

 

 

怨虎竜は真っ直ぐ砕竜に向かって駆け出し、砕竜は怨虎竜を見据えてどっしりと待ち構える。そして―

 

 

 

 

 

「ゴルルアアアァァァ!!!」

 

 

「ガギィィィィィィン!!!」

 

 

 

 

 

―砕竜が咆哮し、粘菌を一斉に爆破させ、拳と頭角を怨虎竜に向かって突き出すと同時に、怨虎竜は鬼火を爆発させ、エリアは大爆発で包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ガ…、ウウウ…」

 

 

砕竜は全身から血を流しながらも、何とか立ち上がる。だが、身体は決して生きているとは信じられない程の傷を負っていた。怨虎竜に傷つけられた左前足と頭角は傷の上に爆発を食らい、とても見てられない有り様になっている。下手をするともう使えないかもしれない。そして怨虎竜は―

 

 

 

 

 

「ゴ…、ウウウ…」

 

 

もう立ち上がれないようだ。角は完全に吹き飛び、頭部も一部が砕け、血を流している。もう勝負は決した。砕竜が怨虎竜に止めを差す為に近付き、怨虎竜を見詰める。

 

 

「ゴ…、ルルル…!」

 

 

「…」

 

 

怨虎竜は頭角と左前足が爛れている砕竜を見て、嘲笑とも思えるような笑みを浮かべる。砕竜はそんな怨虎竜の様子を見届けると―

 

 

 

 

 

「━━━ッ!!」

 

 

ドゴン!!

 

 

 

 

 

怨虎竜の頭を殴り潰し、その命を断った。砕竜は宿敵との勝負に勝った。だが、先程の怨虎竜の表情が頭から離れない。あの怨虎竜は自身に角を折られたことで自身の子孫を残せないことを嘆き、怨嗟に狂ってしまった。

 

 

砕竜は子孫を残すことにそこまで執着がある訳ではないし、別に頭角や腕が傷付いているからと言って、雌に見限られる訳でもない。だが、砕竜は強敵と戦い、勝利することが好きだ。あの怨虎竜は、それに気付いていたのかもしれない。その上で、あの怨虎竜は戦いに支障が出る傷を砕竜に遺した。決して消えぬ怨嗟の証を―

 

 

 

 

 

―だが砕竜はそんなことを思いながらも、現実を悲観することも、怨虎竜を恨むような情けない真似はしない。むしろ強くなった自分をここまで追い詰めた怨虎竜を讃える。

 

 

この傷を負ったのは、自身が弱かったからであり、怨虎竜がそれだけの強者であった証だ。傷を負ったのなら、その上で勝つ方法を考えれば良い。怨虎竜が砕竜の無様な敗北を望んでいるのなら、それを更なる力で捩じ伏せれば良い。幼少の頃より、砕竜の考え方は変わっていない。怨嗟の傷を背負いながらも、砕竜は修羅の道を望んで突き進んで行くだろう。




はい、リベンジ戦でした。

マガマガ君のファンの方は申し訳ありません…出来る限り強い所は見せたから許して…一応どっちが勝ってもおかしくない位のバランスのつもりで書きました。

いやマジでほんまに強いよなぁこの二匹…

評価、感想もよろしければお願いします!

それでは次回をお楽しみに!

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