こんな縄張り争い見たい…見たくない?   作:ヤクブト

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皆さんアンケートのご協力ありがとうございます!見たいと物による派が多かったので、新しく更新しました!お手数ですが、ご協力よろしくお願いいたします!

初のVS超大型モンスターの争い!

手探りしながらの投稿なのでちょっとグダりそうですが、精一杯頑張って書きます!

それではお楽しみください!


地母神の宮殿を焼く戦火

40年前に発見された“新大陸”。この地は老齢の古龍が死に場所として選ぶ為、現大陸よりもエネルギーに満ち溢れた地だ。そのエネルギーが収束するのは“龍結晶の地”だが、そこに至るまでには地脈を通る必要がある為、エネルギーの往来が激しい新大陸の地脈は広さ、大きさ共に膨大なものとなっている。

 

 

そのせいか地脈に干渉することが出来る古龍も新大陸には多い。―この地もまた、地脈に干渉することが出来る古龍の影響を受けた地だ。見た目は巨大な洞窟のようだが、ただの洞窟とは決定的に違うのは、()()()()()()()()()()()という点だ。これは偶然という訳ではなく、この地を縄張りとする古龍の能力が関係している。

 

 

その古龍は黄金で出来た洞窟内を眺めながら闊歩している。その身体はかなりの大きさであり、40mを越える大きさだ。周囲と比べても更に輝く黄金を全身に纏い、雷狼龍のような四足歩行なのだろうが、胴体から尻尾にかけて纏った黄金によって、後ろ足がほとんど確認出来ない。頭部からは羊のような捩れた角を持ち、どことなく顔も羊に似ている。この黄金郷を縄張りとする古龍の名は―

 

 

“爛輝龍”

“マム・タロト”

 

 

「グオオオ…」

 

 

爛輝龍は黄金に溢れた周囲を見て、満足そうに唸る。この地が黄金郷となったのは、爛輝龍の能力に引っ張られたというだけではなく、爛輝龍が()()()()引き寄せたのだ。爛輝龍は古龍の例に漏れず知性も高いが、爛輝龍が他の古龍と違う点は、()()()()()()()()()()ということだ。古龍に限らず、モンスターにとって美的感覚というものはほとんどなく、見た目よりも実用性を優先するのが普通であり、せいぜい獲物の質や味の良し悪しを選り好む位だ。爛輝龍のように、雌へのアピールでないにも関わらず、自身の見た目を飾るモンスターは爛輝龍位しかいない。

 

 

爛輝龍は自身で黄金郷を作り上げ、日々を悠々と暮らしていた。随分地脈が活性化していたので久しぶりに出てみたが、実際は侵入者などではなく、外でドンパチやっているだけだった。自身のこの黄金郷を荒らすならともかく、外で勝手にやる程度なら報復する理由もない。そうして爛輝龍は縄張りの巡回を終え、深部に戻ろうとした時―

 

 

 

 

 

「!」

 

 

 

 

 

 

―深部に何かが入り込んだのを確認した。しかも気配の大きさからして、おそらく古龍だ。爛輝龍はその存在を感じ取り、即座に移動を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黄金郷―最深部。そこはとても広い空間であり、爛輝龍が横たわっても十分なスペースが出来るような場所だった。そしてそこには黄金郷の雰囲気に合わない異様な龍がいた。

 

 

その体長は爛輝龍と同等だが、爛輝龍と違うのは体高も巨大であったことだ。その龍は黒い甲殻に覆われ、骨格は黒蝕竜と同じ四本の足に翼と前足両方の役割を兼ね備えた翼脚を持っている。身体の甲殻はまるで所々爛れているかのようにささくれ、黒い液体を垂れ流している。頭部からは赤い目だけが覗き、とても不気味だった。その巨体も相まって、まるで煤にまみれた城が動き出したようだった。その古龍の名は―

 

 

“巨戟龍”

“ゴグマジオス”

 

 

「ゴグオオオ…」

 

 

巨戟龍は周りの見回しながら唸る。巨戟龍は若い頃に地脈を通って新大陸に渡り、活動しては眠りに就くというサイクルを長いスパンで繰り返していた。本来なら今でもまだ眠っている筈だが、地脈が活性化したことにより、眠りから覚めたのだ。

 

 

「ゴオオオ…」

 

 

久しぶりの活動に、巨戟龍は二度寝をするのも何だと思い、このきらびやかな土地を探索するついでに餌を探そうと動き始めてここまで来た。そして物珍しそうに周りを見回していると―

 

 

 

 

 

ドッゴオオオ!!

 

 

「グオオオォォォ!!」

 

 

「!?」

 

 

 

 

 

―天井を突き破り、何かが落ちて来た。巨戟龍は突然の出来事に驚きながら振り向くと、そこには黄金を纏った爛輝龍がいた。爛輝龍はこちらを見て、黒い液体にまみれた巨戟龍とその周りを見た瞬間―

 

 

 

 

 

「グオオオ!!」

 

 

「ゴオオオン!?」

 

 

 

 

 

―吼えながら溶岩のようなブレスを巨戟龍に向かって放ち、当然回避の準備などしていなかった巨戟龍はそれをもろに食らってしまう。しかも巨戟龍の体表から出ている液体は重油、つまり引火性が高い為、高温である爛輝龍のブレスは弱点になり得るものだった。

 

 

「ゴオオオ…!」

 

 

だが、結果としては体表の液体を燃やしただけで終わり、すぐに火は消えた。巨戟龍の甲殻は巨体に見合った硬さを誇り、溶岩に近い温度の爛輝龍のブレスであろうとも簡単に燃やすことは出来なかった。

 

 

そして初対面でいきなり攻撃されれば巨戟龍も黙ってはいられない。決して好戦的という訳ではないが、必要とあれば戦闘も辞さない。

 

 

「グオオオ…!」

 

 

そして爛輝龍も頭に来ていた。折角美しくきらびやかにした自身の宮殿を、よく分からない余所者に汚されたとなれば、美意識の高い爛輝龍としては絶対に許すことは出来ない。

 

 

そして古龍の中でも一線を画した戦闘力を持つ二匹が睨み合い―

 

 

 

 

 

「グオオオオォォォォン!!!」

 

 

「ゴグオオオオォォォォ!!!」

 

 

 

 

 

―黄金の地母神と、戦災を振り撒く巨戟が激突した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゴグオオオ!!」

 

 

意外にも、先手を取ったのは巨戟龍だった。翼脚を振り上げ、爛輝龍に向かって振り下ろす。攻撃自体は黒蝕竜や天廻龍も行うものだが、彼らの数倍の体格を誇る巨戟龍が行うそれは、彼らのものとは比べ物にならない威力を誇る。その攻撃に対する爛輝龍の対応は―

 

 

 

 

 

「グオオオ!!」

 

 

 

 

 

爛輝龍は周りの壁にブレスを放つ。当然、巨戟龍には当たらずそのまま巨戟龍の翼脚が直撃する、と思われたが―

 

 

 

 

 

「ゴグオオオ!?」

 

 

 

 

 

―突然巨戟龍の真上から溶岩が降り注ぐ。一個ならばともかく、流石に雨あられのように溶岩が降り注げば、巨戟龍も攻撃を中断せざるを得ない。

 

 

地面とは言うが、周りの壁も黄金―つまり金属である。そして爛輝龍の古龍としての力は―金属類を引き付けることである。爛輝龍はその能力を活用し、自身の身体に黄金を纏い、縄張りを黄金に染め上げた。

 

 

爛輝龍は壁に含まれた黄金を溶かし、巨戟龍に雨のように降り注がせたのだ。

 

 

「ゴ…!オオオ…!」

 

 

「!」

 

 

だが、巨戟龍もたった一度の攻撃でやられる程甘くはない。口内に力を集中させる。明らかにとんでもない威力の攻撃であることが分かる。

 

 

当然、爛輝龍もそれを見て黙っている筈がない。

 

 

「グオオオ…!」

 

 

爛輝龍も口内に力を溜め、顔を地面に向ける。そして―

 

 

 

 

 

「━━━━━━━━━━!!」

 

 

 

 

 

―先に爛輝龍がブレスを放射状に放ち、地面を溶かしながら巨戟龍に迫る。

 

 

「ッ!!」

 

 

当然ブレスを放つ為に直立姿勢で動けない巨戟龍は、溶岩の波をもろに食らってしまう。だが―

 

 

 

 

 

「ゴオオオ…!」

 

 

「!?」

 

 

 

 

 

―巨戟龍は身体の体液にブレスが引火し、炎に包まれながらも、姿勢を崩さず、力を溜め続けた。爛輝龍はこの攻撃ならば巨戟龍を止められると思っていた為、回避の準備などしていない。

 

 

「オオオ…!」

 

 

―そして、巨戟龍の力が溜め終わる。

 

 

 

 

 

「オオ━━━━━━━━!!」

 

 

 

 

 

ドッゴオオオオオオン!!!

 

 

 

 

 

極大の熱線が爛輝龍に直撃し、大爆発を引き起こした。その破壊力は凄まじく、古龍の中でもトップクラスのものだ。過去に巨戟龍についての目撃情報や報告はほとんどないが、それは出現場所で巨戟龍が破壊の限りを尽くし、結果的に目撃者がいなくなる程にまで滅んだ為、と言われる程なのだ。爛輝龍であっても、ダメージは避けられない。

 

 

「グ…オオオ…!」

 

 

爆煙が晴れ、爛輝龍の姿が顕になる。その姿は酷い有り様だった。身体に纏った黄金は所々が吹き飛び、そうでなくとも熱で溶解していた。誰がどう見ても、その姿を美しいとは言わないだろう。

 

 

 

 

 

―だが、そのことが爛輝龍の怒りを頂点まで押し上げる。

 

 

 

 

 

ドンッ!!

 

 

「!?」

 

 

 

 

 

爛輝龍の身体に残っていた黄金が吹き飛び、真の姿が顕になる。その身体はしなやかであり、以前より一回り程小さくなったように見える。だが、その瞳から感じる殺気と怒りは先程までの比ではない。

 

 

 

 

 

「グオオオオォォォォン!!!」

 

 

「!!」

 

 

 

 

爛輝龍は怒り荒ぶりながら地面や壁にブレスを放ち、一瞬で周囲を地獄の様相に変える。それとは別に周囲の温度が一気に上がり、激しく輝き始める。これは爛輝龍の能力の影響だ。爛輝龍の能力は金属類を引き付けることともう一つ、熱を操る力だ。ブレスが溶岩のようになっているのも能力の影響であり、爛輝龍の能力によって作られたこの地も爛輝龍の怒りに呼応して能力が活性化したのだ。

 

 

「ゴグオオオ!?」

 

 

そして当然熱に弱い体液を纏う巨戟龍は、溶けた溶岩と周囲の高温による熱によって体液が燃え上がり苦しむ。

 

 

「グオオオオ!!」

 

 

その様子を見た爛輝龍は、身体を支えている翼脚目掛けて突進する。

 

 

ドゴン!!

 

 

「ゴオオオン!?」

 

 

凄まじい衝突音と共に、巨戟龍のバランスが崩れ、地面に倒れ込む。例え身に纏った黄金がなくなっても、爛輝龍の身体は巨体と呼ぶに相応しいものだ。それが凄まじい速度で突進して来れば、巨戟龍の翼脚を揺らがすこと位は出来る。

 

 

ズズン…!という振動と共に、巨戟龍の巨体が地面に倒れ込む。

 

 

「グオオオオ!!」

 

 

そして爛輝龍は倒れ込んだ巨戟龍の身体目掛けて、放射状にブレスを放つ。

 

 

「ゴグオオオ!!」

 

 

先程とは違い、全身を燃やされた巨戟龍は吼えながら悶える。爛輝龍はこのまま焼き殺してやると追撃を仕掛けようとすると―

 

 

 

 

 

「ゴグオオオオォォォォ!!!」

 

 

 

 

 

燃やされながも、巨戟龍が咆哮を上げる。爛輝龍は驚きながらも、追撃を仕掛けようブレスを放つと―

 

 

 

 

 

「ゴオオオ!!」

 

 

「!?」

 

 

 

 

 

―飛んだ。

 

 

跳躍したのではなく、もう使えないと思っていた翼を広げて滞空したのだ。炎が小さくなった背中を見ると、黒煙が上がっている。これは巨戟龍の怒りによって体液が蒸発し、それが黒煙となって見えているのだ。そして翼が使えるようになったのも、今まで体液の重さによって飛行出来なかったのが、気体となったことで自重が軽くなり、飛行が可能になったのだ。

 

 

だが、滞空しようと、閉鎖空間であることに変わりはない。再び周囲にブレスを放ち、巨戟龍を地面に落とそうとすると―

 

 

 

 

 

「ゴグオオオ…!」

 

 

「!?」

 

 

 

 

 

―巨戟龍が滞空したまま、口内に力を溜め始める。爛輝龍がまさかと思い、巨戟龍を見上げると―

 

 

 

 

 

「オオ━━━━━━━━!!

 

 

「ッ!オオオ!!」

 

 

 

 

 

―熱線を爛輝龍に向かって放つ。爛輝龍も慌ててブレスを放ち、巨戟龍の熱線を相殺する。大爆発を起こしながらも、何とか凌いだことに爛輝龍が安堵していると―

 

 

 

 

 

「━━━━━━━━━━!!」

 

 

「!?」

 

 

 

 

 

―巨戟龍は再び熱線を放つ。それも爛輝龍を狙ったものではなく、周囲に向かって無差別に放った。あちこちで爆発を引き起こし、好き勝手する巨戟龍に爛輝龍は怒りを覚え、攻撃を止めようと動くが―

 

 

 

 

 

ゴゴゴゴゴ…!

 

 

「「!」」

 

 

 

 

 

―地面が、周囲の全てが揺れていることを感じ、動きを止める。おそらくは、爛輝龍と巨戟龍の怒りによって地脈が活性化し、暴れすぎたせいでこの場が崩れるのだ。

 

 

「グオオオ…!」

 

 

「ゴグオオオ…!」

 

 

互いに相手を睨み付けて唸る。どちらも不完全燃焼感は否めないが、死ぬつもりはない。相手からその意思が伝わった為、爛輝龍と巨戟龍はその場からの離脱を選んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゴオオオ…!」

 

 

巨戟龍はしばらく移動し、落ち着いた場所に着くと、身体を休める。その身体から黒煙は上がっておらず、気持ちも落ち着いたようだ。だが、何度も焼かれたことによって身体はボロボロだった。痛みによって、しばらくは寝づらいことに巨戟龍は憂鬱な気持ちになる。始まりとしては、自身が気紛れに行った探索から始まったのだ。故にこれからは何らかの要因で眠りから覚めたとしても、絶対に探索などしないということを固く誓うのだった。人々に恐れられる巨戟龍は、意外とお眠りさんだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「グオオオ…!」

 

 

爛輝龍は地面を突き破り、比較的地上に近い地点に出てきた。爛輝龍は巨戟龍を仕止められなかったことに苛立ちを感じながらも、自身の身体を見る。纏っていた美しい黄金は全て失い、しなやかな身体も傷だらけだった。己の身体を美しく着飾っていた爛輝龍にとっては、これ以上ない屈辱だった。

 

 

故にまずは傷を癒すと共に、再び黄金を少しずつ集めて行かねばならない。だが、また一から集めて全く同じ纏い方にするのは少しもったいない気もする。折角の機会なので、気分転換に黄金の纏い方を変えてみようかと、爛輝龍はどう纏えばより美しく見えるかを思案する。黄金郷を支配する地母神は、どこまでも女王気質だった。




はい、初の超大型はこの二匹でした。実はマムじゃなくてイカちゃんの予定だったんですけどね…竜ノ墓場以外でのイカちゃんの戦い方があまり映えそうになかったので…

短めになって申し訳ないです…初の超大型同士の争いということでちょっと書き方が難しかったので…

ゴグマは地中で眠ってるらしいし、新大陸にいてもおかしくはないので行けるかなと思ったので出しました。

ちなみに二匹が戦った場所はマム戦の最終エリアをめっちゃ広くした感じだと思ってください。ゴグマが普通に飛べる程度には。

評価、感想もよろしければお願いいたします!

それでは次回をお楽しみに!

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