争いは無いしぶっちゃけ無くても良い話かもしれないけど雰囲気って大事だと思うので。興味のある方はご覧くださいませ。
それではお楽しみください!
“???”
どんな生物も寄り付かない海。そこでは時折おかしな現象が起きていた。冷たい筈の海水が溶岩のように煮立ったり、逆に凍結してしまったかのように海水の動きが止まったり。他にも不自然な発光や渦潮の発生、奇怪な現象が後を立たない。いくつかの現象は海上にまで及んでおり、噂に聡い者は「あの辺りの海域は呪われている」と言う程だ。そしてこう呼ぶ者も現れた。神の住まう地―“神域”と。
そんな神の住まう地と謳われる地には、様々な説が提唱されている。「偶々異常気象が多い場所なだけだ」と言う者もいれば、「海底火山が近くにあることからそれによるものではないか」と言う者もいる。現状最も支持されているのは海底火山の説だが、どこからかこんな噂も出回った―「全て古龍が引き起こしている」
だが、いくら超自然的な力を操る古龍と言えども、ここまでの数の現象を引き起こせる古龍など確認されていない。「深海に住まう」、「相反する属性を操る」など、個々に区切れば可能になる古龍はいるが、これらの条件を全て満たすことの出来る古龍など確認されていない。
あくまで
この世界はまだまだ謎に包まれている。分からないことなど多すぎるが、その上でこう言っておこう。
後日、異常気象が確認されていた海域で、凄まじい海底火山の噴火が確認された。
“導きの地・深奥部”
複数の環境が入り交じりながらも、生命の気配に満ち溢れた導きの地の深奥は、生物どころか、植物の一本すら存在しない不毛の大地だ。だが、そんな環境にもたった一つの例外が存在していた。
「……」
その生物は40メートルを越える巨体であり、全身を堅牢な赤の甲殻と鱗に覆われている。4本の足で大地を踏みしめ、背中からは支配者のような威圧感を感じさせる一対の翼が生えており、頭部からは王冠のように捻れた角が生えていた。その姿は見る者に“王”と思わせるような風格だった。
「オオン…!」
生物が唸り声を上げると同時に力を入れて大地を踏みしめると、大地に光の筋が現れ、それが生物に向かって流れ込んで行く。ある程度光をその身体に吸収すると―
「……!」
―生物の瞳の色が変わる。人間で無い以上表情の変化は乏しいが…その変わり方はまるで驚いているかのようだった。
「グルル…!」
そして生物は、満足そうな声を上げる。生物はこの頃退屈していたのだ。導きの地は自身の箱庭であり、自身の望む環境に変えようと思えばいつでも変えられるが、今それを行う訳には行かないし、何よりつまらない。
箱庭に導かれた生物達は、自然界全体で見れば間違いなく強いが、この生物から見れば皆等しく矮小だ。今箱庭に住まう者達のトップでも、自身に勝つことは出来ない。
別に敵がいないというのは悪いことではないのだが、それでも生きる上での刺激がないというのはやはり面白くない。
この生物は地脈の流れを感じ取ることが出来、この力で自身の箱庭である導きの地の状態の管理、あるいは干渉を行っているのだ。正確に分かるのは導きの地のみだが、大雑把に感じ取るだけなら新大陸全体も、そして自身に匹敵する程の大きな気配ならば新大陸の外まで感じ取ることが出来る。
そして新大陸の外から感じていた気配は少なかったが、それでもゼロではなかった。業腹だが、自身を上回りかねない程の気配が一つと、もう一つは不自然に地脈の流れが途切れている場所が一つ。前者は単純にその強大さ故に、後者は地脈の流れが一切感じられないという点からだ。自身が住まうような不毛の大地であっても、どんなにか細くとも地脈は流れているものだ。それが感じられないということは、まず自然に出来たものではない。確実に何かの力が干渉している。そしてそれを可能にする程の影響力を持つ生物が、並大抵の実力である筈がない。少なくとも自身に肉薄する程の力はある筈だ。
そして生物が満足そうにした理由は―大きな気配の方が動き出した。わざとやっているのか抑えられないのかは分からないが、気配も消さずに真っ直ぐに新大陸を―否、この地に向かって来ている。おそらくは自身と、新たな王の揺り篭の撃滅が目的だろう。
だが、負けるとは微塵も考えていない。王としての自負がある生物にとっては―死闘であってもそれは座興となる。
何故ならこの生物はまさに―
創造を繰り返す王と、合切を破壊する神が相対する時は近い。
はい、完全に導入のお話でした。
これも本編に入れようかなと思ったんですけど、流石に多くなりそうだなと思ったので止めました。
次回で一先ずこの短編の区切りとします。最後までお付き合いください!
それでは次回をお楽しみに!
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今回の司会ちゃん