こんな縄張り争い見たい…見たくない?   作:サクラン

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UA7000件突破ありがとうございます!

もっと色んな組み合わせの争い書きたいなぁ…大辞典や設定を良く見直さなければ…

それではお楽しみください。


剣は拳よりも強し?

~導きの地・溶岩地帯~

 

 

 溶岩が流れていたり、吹雪が発生していたりする場所に住まう生物は、過酷な環境である分、強大になりやすい。これは多種多様の環境が入り乱れる導きの地においても例外ではない。

 

 

 主である紅蓮滾る爆鱗竜を筆頭に、油断出来ない強者が数多く存在する。その為か我の強い者が多く、モンスターの入れ替わりや衝突が他の地帯よりも多い。だがそんな過酷な環境で死闘を制し、生き延びて行けば自然と強くなる。他の地帯よりも住むモンスターが手強く、平均値が高いのが今の溶岩地帯の特徴だ。

 

 

 特に今は少し前に未曾有の事態である超災害級の古龍同士の激突ということが起こり、環境が荒れている。大半のモンスターは戻っているのだが、訪れた側の古龍の天災の影響が未だに残っており、主も含めた全モンスターが緊張状態に陥っていた。そのせいか地帯の中、あるいは跨いでの争いも起こっており、主同士の小競り合いでさえ今の導きの地では珍しい事態ではない。それに巻き込まれることを恐れた一部の弱いモンスターはまだ戻ってきていない。

 

 

 天候の影響を受けない溶岩地帯も例外ではない。地脈が凄まじく活性化している為、溶岩地帯もあちこちで環境そのものが脈動し、それに触発されたモンスター達が争い合っている。

 

 

 今まさに睨み合っている二匹が、その代表格とも言えるだろう。

 

 

「グルルル…!」

 

 

「ギュルルル…!」

 

 

 巨大な大剣のような尻尾を携えた斬竜と、前足が腕のように発達した砕竜だ。彼らは爆鱗竜に次ぐと言って良い程の古株兼実力者であり、古龍に勝てるとは言えずとも、食い下がる程まで上り詰めた者達だ。種の限界は越えられていないが、古株なだけあって経験値は相当積んでいる。

 

 

 二匹は今まで何度も激突しており、その勝負のほとんどが引き分けている。─今日こそは決着を着ける─その覚悟で二匹共相対している。

 

 

 そうして二匹の獣竜は相対し─

 

 

 

 

 

「ガアアアアァァァァン!!!」

 

 

「ガギャアアアアァァァァン!!!」

 

 

 

 

 

─剣闘竜の決闘が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ガアアアア!!」

 

 

 咆哮が終わるや否や、砕竜が腕を振り上げて斬竜に迫る。慈悲を微塵も感じさせない本気で仕止めに行く動きだった。

 

 

 実際斬竜は尻尾が主な武器である為、得意な戦闘距離は至近距離よりは少し距離を取った間合いが良い為、即座に距離を詰める砕竜の動きは間違っていない。

 

 

 

 

 

─だが、この地で生きる以上、多少の弱点位は対策している。

 

 

 

 

 

「ガアアアン!!」

 

 

 斬竜は砕竜との拳の間に尻尾を割り込ませ、尻尾の腹で砕竜の拳を受け流した。そこから返す刀の要領で砕竜の頭を切り落とそうと尻尾を振り上げる。

 

 

「グオオオ!!」

 

 

 砕竜はその攻撃を横に跳ぶことで躱し、更に拳を叩き込もうとする。

 

 

「─────!!」

 

 

 斬竜は砕竜の攻撃を阻止するべく、切り上げた尻尾をそのまま振り下ろした。今度は砕竜も攻撃途中である為、躱すことは出来ないし、この地で斬竜と共に鍛え上げられた尻尾は砕竜の黒曜石の甲殻ですら受け止めることは出来ない。食らえば大幅に斬竜の有利となる。

 

 

 追い詰められた砕竜は─

 

 

 

 

 

「ガギャアアア!!」

 

 

「グオオオン!?」

 

 

 

 

 

─砕竜は斬竜の尻尾が振り下ろされるよりも速く懐に潜り込み、両拳を胴体に叩き込んだ。砕竜の剛腕を食らった斬竜は、その威力に地面に倒れ込んでしまう─

 

 

 

 

 

「グ…オオオ!!」

 

 

「ガアアアン!?」

 

 

 

 

 

─のを堪えて尻尾を振り下ろし、砕竜の背中を叩き切った。

 

 

 中途半端な状態でかつ、砕竜の拳を食らった直後だった為、力も入りきっていなかったが、それでも威力は絶大であり、砕竜の甲殻を砕き、背中に大きな傷痕が出来た。

 

 

「ギュ…ウウウ…!」

 

 

 ここまで猪突猛進の勢いで攻撃してきた砕竜だったが、これ程大きなダメージを負えば流石に後退を選ばざるを得ない。至近距離での戦闘こそが砕竜の得意とする射程であり、斬竜のやりづらい距離であった為、出来れば離れたくなかったのだが…

 

 

「グ…オオオ…!」

 

 

 だが簡単に攻められないのは斬竜も同じだ。拳が叩き込まれた胴体には痛々しい爆発の痕が残っている。拳と爆発で二重のダメージを貰ってしまったが、これはチャンスだ。何故ならこの距離は─

 

 

 

 

 

─斬竜の間合いなのだから。

 

 

 

 

 

 

「ガアアアン!!」

 

 

 斬竜は尻尾を薙ぎ払い、炎を纏った斬擊を砕竜に向かって飛ばす。溶岩地帯である為かその尻尾はすぐに赤熱化し、異名の通り“灼熱の刃”と化した。

 

 

「オオオ…!」

 

 

 手負いとはいえ、砕竜からしても躱せない攻撃ではない。砕竜は横に跳ぶことで攻撃を回避した。それでもなお斬擊は勢いを失うことなく岩盤を切り裂き、大きな痕を残した。

 

 

「…!」

 

 

 分かってはいたことだが、その切れ味の鋭さを再確認した砕竜は警戒を強め、斬竜に向き直る。

 

 

「ガアアア!!」

 

 

 斬竜はいつの間にか喉元を赤く染めており、身を引いたかと思うと、溶岩のブレスを砕竜に向かって放った。

 

 

「グ…ウウウ…!」

 

 

 咄嗟のことであり回避は出来なかったが、砕竜はタイミングを合わせて拳を振るうことでブレスを防御したが、爆発によって少ないがダメージを負ってしまう。

 

 

「─────!!」

 

 

 それによって出来た隙を斬竜は見逃さない。砕竜の動きが止まった瞬間に大きく跳躍し、砕竜を一刀両断せんと言わんばかりに狙う。

 

 

「…!」

 

 

 砕竜は顔を上げ、躱すことが難しいことを悟る。例え躱せたとしても結局後が続かない。斬竜のペースのままだ。自身が勝つにはまずこちらの優位に引きずり込まねばならない。

 

 

 ならば─

 

 

 

 

 

「─────ッ!!」

 

 

「グオオオン!?」

 

 

 

 

 

─カウンターを決めれば良い。

 

 

 砕竜は紙一重で斬竜の尻尾叩き付けを躱し、斬竜の出来た隙に渾身の右ストレートを叩き込んだ。そのままもう一撃入れようと─

 

 

 

 

 

「…ッアアアア!!」

 

 

「ギュオオオ!?」

 

 

 

 

 

─する前に斬竜が尻尾を横に振り抜き、砕竜を吹き飛ばした。砕竜の胴体の側面には背中と同じように大きな傷痕が刻まれ、斬竜の胴体にも抉られたような傷痕が出来た。

 

 

「オオオ…」

 

 

「ウウウ…」

 

 

 互いに戦闘開始から攻撃を受けた回数自体は少ないが、攻撃の破壊力は凄まじく高い為、かなりの体力を削られていた。このままダラダラ続けていても埒が明かない。実力はほぼ拮抗している上、最早これだけの傷を負ったとなるとさっさと決着を着けるのが賢明だろう。

 

 

─故に、本気を出すタイミングも同じだった。

 

 

 

 

 

「グオオオ…!」

 

 

 斬竜の炎のような甲殻が、斬竜の怒りに呼応するように更に赤く染まる。

 

 

 

 

 

「グルルル…!」

 

 

 砕竜の身体からは普段視認出来ない程微量の粘菌でさえ活性化し、頭部から背中にかけて粘菌の明るい色に染まる。

 

 

 

 

 

 心から発する怒りを文字通りその身に宿した二匹は─

 

 

 

 

 

「ガアアアアァァァァン!!!」

 

 

「ガギャアアアァァァン!!!」

 

 

 

 

 

─その怒りのままに相手を打ち倒すべく、全力で吼えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アアアアン!!」

 

 

 斬竜は傷付いた身体に響くのも厭わず、即座に尻尾を振り下ろす。今まで何度も砕竜とは戦ったが、やはり攻め続けるのが一番の正解だと判断した。砕竜の攻撃力と速さの前に、守りに回るのは悪手だ。砕竜の攻撃力の前で守りに回れるとしたら─それこそ古龍位しか考えられない。

 

 

 しかし質が悪いのは─

 

 

 

 

 

「オオオオ!!」

 

 

 

 

 

─あくまで()()()()()()というだけで、それをしたからといって()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 砕竜はそれを証明するかのように、斬竜の尻尾を躱し、距離を詰めて行く。砕竜としても中距離で立ち回られるのは鬱陶しいが、それでも距離を詰めればどうとでもなる─

 

 

 

 

 

─と考えられる程、この斬竜は弱くない。

 

 

 

 

 

「グオオオン!!」

 

 

 斬竜は尻尾を自身の横まで持ってきて、まるで()()()()()()()()()()、向かってきた砕竜に対して鋭い突きを放った。

 

 

「───!」

 

 

 砕竜は横に跳ぶことで攻撃を回避する。続けて腕を振り上げるが─

 

 

 

 

 

「オオオン!!」

 

 

「!グウウウ…!」

 

 

 

 

 

 斬竜は即座に尻尾による突きを再度繰り出し、砕竜の攻撃を許さない。何とか砕竜も躱すが、斬竜の連擊の前に回避を強要される。

 

 

 その斬竜の動きは、知る者が見れば斬竜の亜種である硫斬竜の動きと瓜二つであることに気付くだろう。これは斬竜が硫斬竜の戦闘を見たという訳ではなく、斬竜が砕竜やその他の強者と戦闘を繰り返し、己の弱点を克服するにはどうすれば良いか?ということを考えた末に生み出された戦闘スタイルだ。事実、この体勢は一撃の威力こそ低くなるものの、攻撃の際に発生する隙は少なくなり、次の攻撃にも繋げやすい。

 

 

 最初に砕竜が一気に決めに掛かったのは近距離戦闘においても斬竜はまともに殺り合えば面倒なことこの上ないからだ。

 

 

「グオオオ!!」

 

 

 斬竜は吼え、凄まじい連擊を砕竜に向かって放ち続ける。その動きは荒々しいが、同時に研ぎ澄まされていることが良く分かる動きだった。

 

 

「…!」

 

 

 砕竜は連擊を躱しながら思考する。如何にして斬竜を打ち倒すか。カウンターはもう難しい。今まで散々使って来たし、先程通用したのもこちらのペースに持ち込んでいたからだ。今の状態で使っても苦し紛れの足掻きにしかならない。

 

 

 ならば─

 

 

 

 

 

「ウウウッ!」

 

 

「!?」

 

 

 

 

 

─砕竜が後方に飛び退き、斬竜の間合いから離れる。斬竜は驚いたが、すぐに砕竜が何をするのかを理解し、急いで攻撃を仕掛けようとするが─もう遅い。

 

 

 

 

 

「ギュオオオ!!」

 

 

 砕竜は粘菌が活性化した頭角を地面に突き刺す。明らかに斬竜に爆発が届く距離ではないが、砕竜が突き刺した頭角を前方の斬竜に向かって振り抜いた瞬間─

 

 

 

 

 

ドドドドン!!

 

 

「グ…オオオ…!」

 

 

 

 

 

─地面が連鎖的に爆発した。斬竜は何とか尻尾を盾にして防いだが、その爆発力に思わず怯んでしまう。

 

 

「ギィオオオ!!」

 

 

「グアアン!?」

 

 

 そして砕竜はその隙を逃さず斬竜の尻尾に拳を叩き込んだ。斬竜の尻尾は折れることはなかったが、拳が叩き込まれた箇所は大きく凹んで歪んでしまっている。

 

 

「グルルル…!」

 

 

 その事実に顔を怒りの表情に変え、斬竜は確実にその拳を真っ二つにしてやろうと尻尾を口で咥えて火花を散らせる。

 

 

「ギュオオオ…!」

 

 

 砕竜も望む所だと言わんばかりに腕を舐め回し、粘菌を活性化させて斬竜の動きを見極める。

 

 

 そうして二匹の集中力が極限まで高まった瞬間─

 

 

 

 

 

 ポトリ

 

 

「「!?」」

 

 

 

 

 

─小さな“何か”が二匹の間に落ちてきた。それを見た二匹は顔色を変える。

 

 

「…!」

 

 

 砕竜が斬竜に構わず目を離し、周囲を見渡していると、空の一点に目が止まる。

 

 

「…!グルルル…!」

 

 

 斬竜はそんな砕竜の様子を見て悟る─()()()()()()

 

 

 

 

 

シュウウウ…ドン!!!

 

 

「「!!」」

 

 

 

 

 

 二匹の間に落ちてきた“何か”が砕竜をも上回る火力で爆発すると同時に、同じものが空から雨あられのように降ってくる。

 

 

 そしてその中心には一匹の飛竜がいた。

 

 

 

 

 

「オオオオン!!」

 

 

ズドォン!!!

 

 

 

 

 

 凄まじい大爆発と共に、周囲が爆煙に包まれる。斬竜と砕竜もかなり距離を取っていたにも関わらず巻き込まれた。

 

 

「オオオ…!」

 

 

 そして爆心地で飛竜はゆっくりと顔を上げる。青白い爆鱗を胴体に携えるその姿は爆鱗竜の特殊個体の特徴であり、この地にいる爆鱗竜の特殊個体は溶岩地帯の主である一匹しかいない。

 

 

 この爆鱗竜もまた、今の荒れた環境に触発されたのもそうだが、元々争いが発生しているとすぐにちょっかいをかけたがる性格なのだ。字面だけ見ると迷惑坊主だが、それを古龍すら消し飛ばして見せる爆鱗竜が行うと洒落にならない。現に爆鱗竜が戦った後の周囲の環境はまさに焼け野原となっている。何一つ導きの地に良い影響を与えないが、その強さ故に討伐も難しいという厄介極まりない存在だ。

 

 

「オオオ…!」

 

 

「ウウウ…!」

 

 

「!」

 

 

 その地帯において実力者として斬竜や砕竜が幅を利かせていたのも事実であり、二匹共立ち上がって見せた。

 

 

 だがその姿はとても生きているとは思えない。二匹共全身の甲殻は歪み、血を大量に流している。爆鱗竜を睨み付けてはいるが、とても戦闘可能な状況ではない。

 

 

 故に二匹共即座にどうするかを決めた。

 

 

 

 

 

─この場から離脱する。

 

 

 

 

 

 凶暴なことや強者としての自負もある二匹だが、それ以上に自然界で生きて行く上での判断力位兼ね備えている。この導きの地で生きて行くなら尚更だ。

 

 

 だが、爆鱗竜がそれを簡単に許す筈がない。

 

 

 

 

 

「オオオン!!」

 

 

「「!」」

 

 

 

 

 

 爆鱗竜は身体を持ち上げ、青白い爆鱗をばらまく。

 

 

 

 

 

 刹那の後、辺りは爆発に包まれた。

 

 

 研ぎ澄ました剣と、全てを打ち砕く拳が、古をも爆砕する鱗に通用するのかは、誰も知り得ないことだった。




後半投げやり気味になって申し訳ないです…

せめてもっと投稿頻度を上げたい…

精進します…

次は渾沌の方を投稿します。

それでは次回をお楽しみに。

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