そろそろモノブロス君も参戦しても良いんじゃないですかね…?
それではお楽しみ下さい。
“旧砂漠”
常に砂塵が巻き上がる過酷な大地。生息出来る生物すら限られるこの環境にも、過酷故に鍛え上げられた者達が強く生きている。特に砂漠地帯の強者と言われてほとんどの者が思い浮かべるのはこのモンスターだろう。
「ブオオ…!」
鼻息を荒くしながら砂漠を我が物顔で闊歩するのはスタンダードな飛竜種の骨格に、尻尾は両槌のような形になっていて、頭部には立派な二本の角を携えている。
このモンスターを砂漠の代表格として挙げる者も多い、“砂漠の暴君”として名を馳せているモンスターは―
「!、オオ…!」
角竜は周囲を見渡していると、好物のサボテンを見付け、近寄るとムシャムシャと貪り始めた。凶暴さで知られている角竜だが、食性は意外にもサボテンを主食としていることからも分かる通り草食である。
肉食でないのにも関わらずここまで凶暴性が高いことに疑問を抱く者もいるが、何も不自然なことではない。角竜にとっての主食であるサボテンは数が少ない貴重な食糧であり、当然食糧が無くなるのは角竜にとって死活問題である以上、縄張りを守ろうとするのも当然と言える。
砂漠地帯の主である角竜の縄張りに踏み込もうとする生物は少ないとはいえ、いない訳では無い。同種である角竜は勿論、乾燥地帯を縄張りとする轟竜や泥翁竜など、角竜に匹敵する実力を持ったモンスターならば、多少のリスクは承知で縄張りに踏み込んでもおかしくはない。
―まさに今のように。
ズズ…!、ズズズ…!
「!?」
突然地面から振動を感じ取り、角竜はサボテンを貪るのを止めて周囲を警戒する。角竜も地面に潜って狩りを行うことがある為、振動には敏感だ。そして感覚を集中させると、振動は角竜から少し離れた場所、角竜の左後ろの辺りで止まった。
「!、ブオオ!」
角竜は相手が何をするつもりなのか悟り、即座にその場を移動する。すると―
「ブオオオオ!!」
―先程まで角竜がいた場所を目掛けて、凄まじい勢いで何が突っ込んで来た。そのモンスターは角竜と非常に酷似した容姿をしていたが、尻尾や頭部の襟巻から鋭い棘が生えており、体色が濃い茶色をしているという違いがあった。だが、最も角竜と違うのは、捻れた双角ではなく、真紅の一本角が生えているということだった。
このモンスターは角竜の近縁種とされ、ハンター達の間でも特別扱いされているモンスター―
「ブオオ…!」
一角竜は角竜に向かって低い唸り声で威嚇する。その体躯は角竜以上の大きさであり、相応の威圧感を放っている。一角竜は角竜とは違い、あまり姿を見せない珍しい飛竜だ。角竜と同じで縄張りへの侵入者に容赦がないのは同じだが、ハンター達にとって一角竜の存在というのは大きい。何せハンター業の始まりに深い関係を持つ飛竜なのだ。
その昔、まだハンター業が存在しなかった頃、一角竜が暴れ回り人々を困らせていた。しかし一人の竜人族が立ち上がり、二振りの片手剣と簡素な防具を纏ったその身体一つで一角竜の討伐に向かい、七日間の死闘の末に一角竜を討ち取って見せたのだ。それがハンター業の始まりであり、今でもその伝説を倣って、一角竜を一人で討ち取ることが「英雄の証明」になるとされており、一角竜の狩猟に向かう際は共に同行出来るのはオトモのみとされている。
当然単純な凄さでは古龍を討伐や撃退をした方が上なのだが、そんな機会は滅多に無いことと、それでも一角竜を討ち取ることで得られる名声は凄まじい為、英雄になろうと一角竜の狩猟に赴くハンターは少なくない。
しかし一角竜も一筋縄で勝てるような相手ではない。角竜の近縁種だからと角竜の狩猟経験のあるハンターはこぞって高を括って一角竜に挑んだが、一角竜はそのほとんどを返り討ちにした。
角竜としても同格以上の相手であり、厳しい戦いを強いられることは間違いないだろう。
「ブオオ…!」
しかしその程度で引き下がるようなら“暴君”という異名は冠していない。かの恐暴竜にすら挑み掛かる縄張り意識の強さは伊達ではない。何処の誰が相手であろうと、この地の主は自分なのだ。ならば余所者は叩き出さねばならない。
「オオオ…!」
そしてそれは一角竜も同じ。先客がいるなら追い出せば良い。とても単純な話だ。別の地で妥協するなど論外だ。一角竜は自分のやりたいことを我慢するつもりはない。
そして二匹は上半身を天に掲げ―
「「ブオオオオォォォォ!!!」」
―砂塵を巻き上げる程の咆哮を響かせた。
「「ブオオオオン!!」」
二匹は共に吼え、先手必勝と言わんばかりに突撃する。近縁種ということと、搦め手や小細工を弄するタイプではない為、攻撃手段も自然と限られて来る。そして角竜の代名詞と言える攻撃手段は―
ドオォォ!!
「―――ッ!!」
―頭部の角を活かした突進である。凄まじい轟音と共に激突した二匹はジリジリと睨み合うが―
「オオオ…!」
「グ…オオ…!」
―少しずつ角竜の方が押され始めた。粘ってはいるのだが、やはり体格差は覆し難いのか、一角竜が止まることはない。このままでは跳ね飛ばされてしまう、そう考えた角竜は―
「ッオオ!!」
「!?」
―自ら角をズラし、一角竜の突進を受け流した。しかし完全に無傷という訳ではなく、頭部の甲殻の一部に罅が入っている。
「ブオオオオ!!」
しかし角竜は頭部の傷に構わず尻尾を振り上げると、一角竜の胴体に振り下ろした。
「オオン!?」
勢いをつけたままだった為、頭部には当たらなかったものの、背中の甲殻に直撃し、一角竜はダメージを受けた。その拍子に一瞬転倒しかけたが、一角竜は即座に受け身をとって体勢を立て直した。
「オオ―!?」
「―――!!」
だがその時には眼前に角竜の角が迫っていた。悲鳴を上げる間もなく一角竜は跳ね飛ばされ、地面を派手に転がった。
「オオ…!」
だが角竜は不満と驚きが混ざったような声を上げる。角竜としては今の一撃で一角竜の身体を貫くつもりだったが、実際の手応えとしては貫いたものの非常に浅い。戦闘不能には程遠い傷をだろう。
しかし大きなダメージを与えたことに違いはない。真正面からの力比べの分が悪い以上、連続攻撃で少しでも体力を奪うしかない。
「オオ…!」
「!」
一角竜の声が聞こえた方を向くと、まさに立ち上がる瞬間だった。
「オオッ!!」
角竜は一角竜へ攻撃するべく、砂煙を巻き上げて突進する。反撃する間は与えない。
しかしその時―
「ブオオオオォォォォ!!!」
「!?」
―一角竜が身体を掲げて凄まじい声量で天に向かって吠えた。爆音に反応してしまう角竜は多少驚いたものの、硬直も一瞬に即座に一角竜を貫こうと狙う。
しかし今の一角竜の前にはその一瞬の硬直ですら致命的だった。
「ブオオオオ!!」
「!?」
一角竜は至近距離まで近付いて来ていた角竜の頭部をかち上げるように振り抜き、強引に角竜の突進を停止させる。あまりの速さに角竜は視界が急に変わったように見えて混乱してしまう。そして当然一角竜はその隙を逃さない。
「ブオオン!!」
「オオオ!?」
真紅の一本角が、角竜の胴体を貫いた。更に一角竜は、角がより深く食い込むようにして、角竜を投げ飛ばした。
「オ…オオ…!」
角竜は呻きながらどうにか立ち上がったが、角竜の尻尾による一撃とは違い、比較的柔らかい身体の下側に攻撃を食らってしまった為、完全に貫かれてしまった。重要な内臓は運良く避けたものの、身体が貫かれてしまった為、血が流れ出ている。戦い続けることは可能だが、ただでさえ真正面からのぶつかり合いは分が悪く、更に自分の受けたダメージは相手よりも大きい。おまけにダメ押しと言わんばかりに相手は興奮していて苛烈な攻撃を仕掛けて来る。
諦める、逃げる理由はあっても戦う理由は自身のプライドぐらいしかない。しかも戦うことを選べば恐らくもう生きるか死ぬの二択しかない。
「オオ…!」
流石の角竜もこの状況で徹底抗戦を選ぶ程馬鹿ではない。自身のプライドを優先して死ぬなど馬鹿馬鹿しいにも程がある。隙を見て逃げることを決めた。
「ブオオオオ!!」
だが、それも簡単なことではない。目の前の怒れる一角竜の猛攻をどうにか凌ぎ切り、かつ逃げ切らなければならない。単純に飛行能力があるだけならば素早く地面に潜るだけで良いのだが、一角竜に限っては最初の奇襲から分かるように、同じ潜行能力がある以上、下手に潜っても追われて終わりだ。どうにかして一角竜を足止めしなければならない訳だが…
「ッ…!」
既に重傷の身体でそれは難しい。策を立てようにも角竜は小細工や飛び道具どころか何かしらの属性すら扱えないので、結局自身の身体を頼りにしなければならないのだ。故に―
「オオ!!」
「!、オオ!!」
―角竜は地面を掘って姿を消した。一角竜は後から追うように地面に潜りながらも訝しむ。あの手傷で自分から逃げられる訳がないのだ。これは慢心でもなんでもない純然たる事実。まさか一か八かの賭けに出たのかと考えていると―
「―――!!」
「!」
角竜が地表に上っているのを感じた。距離としては本当に数百メートル、逃げるにしても短過ぎる距離だ。一体どういうつもりなのか、尚更困惑していると―
ズズズズ…!
「!?」
―身体が更に下に引っ張られるのを感じた。その感覚で一角竜は角竜が何故あんな所で飛び出したのかを理解する。角竜は流砂に栓をしている部分を破壊する為に飛び出したのだ。恐らくこのまま流砂で生き埋めに、それが出来なくとも最低限足止めするつもりなのだろう。
「―――!!」
だがそうは行かない。一角竜は凄まじい力で流砂に抗いながら掘り進み、地表まで到達する。
「ブオオオオ!!」
そして吠え猛りながら周囲を確認し、角竜の姿が捉えようとすると―
「ブオオオオォォォォ!!!」
「…ッ!?」
―凄まじい咆哮が響くと共に、衝撃によって砂塵が巻き上がり、一角竜の視界を塞ぐ。怒りによって爆音が効かなくなっている一角竜と言えども、突然の咆哮とそれによって視界が効かなくなったとなれば混乱するのは当然だ。
つまり今の一角竜は、ほぼ完全に無防備の状態にある。
「ブオオオオ!!」
「オオッ!?」
そしてその隙を狙った角竜の奇襲によって一角竜は貫かれ、かち上げられると共に地面を転がった。
「オオ…!」
そして一角竜が完全に転倒しているのを確認した角竜は、地面を掘り、潜行して完全に姿を晦ました。
「オオオオ!!」
ダメージによって更に怒った一角竜が吼えながら砂塵の晴れた周囲を見渡すも、当然角竜の姿はなく流砂がサアサアと流れ続けているだけだった。
「……」
ズキズキと痛む傷口を一角竜は無視しつつ、角竜の姿を思い出す。見ただけで自分と近い生物であることは分かったが、故にあんな知略を用いて来るとは思わなかった。一角竜は自分の強さには相応の自身を持っていたし、事実今までは大抵の相手を力押しで倒せていたが故に、知略を用いて倒すという選択肢がなかったのだ。
だが、今回の角竜のように知略を用いれば劣勢の状態でも引き分けまで持ち込めることが分かった。手傷を負い、決着を着けられなかったのは不服だが、次の戦いへ活かせることが見つかったのは収穫だろう。
次は決着を着ける為に、一角竜は身体を休めるのだった。
「ブオオ…」
地面を掘り進んで自身の巣まで辿り着いた角竜は、一角竜が追って来ていないことに心底安堵しながら身体を落ち着ける。咄嗟の閃きと機転でどうにか引き分けまで持ち込んだが、あのまま真正面からぶつかっていれば間違いなく敗色濃厚だっただろう。貫かれた箇所の傷も間違いなく残ることになるが、角竜もこのままで終わらせるつもりはない。いつか必ず決着を着けて、真の主の証明を刻む。心の中で燃え盛る意志を抑えて、今は傷の治療に専念することにした。
真の角竜の決着は、そう遠くない内に着けられるだろう。
5000字いかなかったし、よく考えなくてもこのタイトル何だよ…これが記念すべき30話とはたまげたなぁ
折角リクエストを頂いたのに申し訳ありません…両方突進メインだからどうしても盛り上がりに欠ける…
次はもっと頑張ります。
評価、感想もよろしければお願い致します。
それでは次回をお楽しみに。
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