ちなみに今更ですが、リクエスト争いは古いものから順に書いていきます。最近リクエストされた方は申し訳ありませんが気長にお待ち下さい。
それではお楽しみください。
“古塔”
常に薄霧が発生し、神秘的な雰囲気に包まれているこの場所は、希少な生物がよく確認されることで有名である。
金火竜と銀火竜の番に、全身を棘の付いた甲殻に覆われたよく眠っているが、怒らせると手に負えない程暴れる棘茶竜、濃い霧が出ている月夜に確認される月迅竜、発火する泡を生み出し、幻想的な風景を作り出す薄紫色の焔狐竜、挙げ句の果てには古龍など、強大な力を持ったモンスターが集う地である。
ちなみにこれは真実か定かではないが、
話が逸れてしまったが、まとめるととにかくこの地に住まう生物は希少な上に強いのだ。
そしてこの飛竜も、古塔における強者の内の一匹である。
血が塗られたような真っ赤な甲殻、大地を軽く抉ることが出来るだろうと一目で分かる発達した前足、凄まじく巨大な身体、これらの要素を含み、霧に塗れた大地を闊歩するのは轟竜の中でも特に希少な“大轟竜・ティガレックス希少種”である。
「グルルル…」
危険度、戦闘力共に古龍に並び得るとされる大轟竜だが、その顔色は浮かない。
その理由は最近、あまりにも余所者が多過ぎる為だ。
少し前までは大轟竜に立ち打ち出来るのは棘茶竜と月迅竜だけだったが、月迅竜は活動時間が重ならず、ほとんど合う機会がなかった為、実質的なライバルは棘茶竜だけだった。
その棘茶竜は寝ていることの方が多い為、縄張りもそう広くはなく、大轟竜は多くの縄張りを我が物としていた。
しかし先日焔狐竜と激突し、引き分けてからは大轟竜の縄張りの一部に居座るようになった。
当然追い出してやろうとしたが、泡を活かした機動力で中々捕まらない上、あまり好戦的でない棘茶竜とウマがあったのか、互いに争うこともせずに共存に近い関係を築き上げている。
下手に手を出せば連携しかねない関係の為、流石の大轟竜も手を出せずにいる。
更に最近は金火竜と銀火竜の番までもが定住し始めた為、古塔の力関係は拮抗―否、火竜の番が力関係では一歩リードする形となった。
そんな感じであった為、大轟竜は最近肩身の狭い思いを抱えたまま過ごしていた。
「グルルル…」
大轟竜は憂鬱な思いを抱えながらも、食事を取ろうと立ち上がろうとしたその時―
「ガオオオオ!!」
「!?」
―咆哮と共に、凄まじい勢いの炎が霧を吹き飛ばし、大轟竜に襲い掛かった。
しかし大轟竜は驚きながらも素早くその場から跳躍することで躱して見せた。
「オオオ…!」
「!」
頭上からの唸り声に大轟竜が顔を上げると、そこには口から炎を滾らせた炎王龍が殺意の籠もった視線を大轟竜に向けていた。
「グルルル…!」
戦う気であることを悟った大轟竜も顎を開閉させて威嚇する。
最近は幅を利かせることが出来なくなっていたが、古龍が相手でも恐れず戦う程の凶暴性や戦闘力は衰えていない。
今の塔の環境において、大轟竜は誰に対しても手が出せないが、他のモンスターも大轟竜に手を出せていない。
それは他のモンスターも大轟竜に手を出せばただでは済まないと理解しているからだ。
古龍にも勝負が成立する程の強者達に実力を認められている時点で、大轟竜もまた十分に強者なのだ、炎王龍相手に恐れることもない。
「ガルルル…!」
大轟竜の戦意を感じ取った炎王龍は、その姿勢が気に食わなかったのか、唸り声をより凶悪にした。
―勘の良い者ならば、いくら古龍の中で凶暴とされている炎王龍でも、ここまで苛立っているのはおかしいと気付くことが出来るだろうが、生憎大轟竜はそれに気付くことはなかった。
「スウウ―――」
「オオオ―――」
怒りに満ちた二匹は息を吸うと―
「ガアアアアァァァァ!!!」
「ガオオオオォォォォ!!!」
―赤の怒りが古塔に響き渡った。
「ガオオオオッ!!」
大轟竜は巨大な前足を振り上げると、地面を抉って空中の炎王龍に向かって大岩を飛ばした。
大轟竜は巨体も相まって複雑な飛行は得意ではない。無闇矢鱈に飛びかかった所でその隙を炎王龍に突かれることぐらい分かっている。ならば少しでも隙の少ない攻撃を選択するのは当然と言える。
「オオオッ!!」
しかし炎王龍は素早い機動で岩を躱すと、翼をはためかせて粉塵をばら撒く。
「ガアアアアッ!!」
大轟竜は粉塵なんぞ知ったことかと言わんばかりに炎王龍に向かって突撃する。
「―――ッ!!」
大轟竜の様子を見た炎王龍はが牙を打ち鳴らすと―
ドドドドドンッ!!
―大タル爆弾Gを連続で炸裂させたような轟音と共に大轟竜が爆発の中に消える。炎王龍からすれば数ある攻撃の一つで人類の叡智による攻撃をあっさりと上回って見せるのは流石自然の猛威の化身たる古龍と言えるだろう。
「オオオ―――」
更に炎王龍は容赦なく口内に炎を集中させる。
先程の爆発で大半のモンスターなら消し飛ぶものだが、炎王龍は死体すら残さないと言った様子で微塵の容赦も感じられない。
だが、それは―
―大轟竜が並のモンスターであったらの話だが。
「ガアアアア!!」
「!?」
爆煙も収まっていない中から、咆哮と共に大轟竜が炎王龍に向かって飛びかかって来た。
何とか生き残っているならまだしも、まさかここまで早く突っ込んで来ると思っていなかった炎王龍は当然反応が送れる。
「ガウウウウ!!」
「グオオオオ!?」
その隙を逃さなかった大轟竜は、炎王龍に噛み付くと同時に体重を掛けて炎王龍を地面に叩き落した。
大轟竜は体表から血を流しながらも、ダメージを感じさせない様子で炎王龍に噛み付き続ける。
「オオオッ!!」
「ガアアアア!?」
しかしただではやられない炎王龍は、目の前の大轟竜の腹部に向かって集中させた炎を火炎放射のようにブレスとして放ち、大轟竜を引き剥がした。
「ガアアア…!」
吹き飛ばされたは大轟竜即座に体勢を立て直したが、爆発とブレスのダメージ自体はあるのか、前足と頭部付近の血流が加速し、赤く染まっている。
…炎王龍の爆発とブレスをまともに食らって頭に来る程度で済んでいる時点で十分おかしいが、これは大轟竜の巨体から成る防御力と、爆破に対する高い耐性の賜物である。
「ガルルル…!」
様子の変わった大轟竜を視界に収めつつ、炎王龍は対抗策を考える。炎も爆破も効かない訳ではないが、少々効きが悪く、肉弾戦で対抗しようにも体格で上回るあちらの方が有利だろう。
おおよその立ち位置としては同格だろうが、相性が悪い相手。炎王龍にとっては大轟竜はそういった手合いの相手だった。
それならば―
「ガオオオオォォォォ!!!」
「!」
―それらを捻じ伏せる程の超火力で叩き潰す。
炎王龍は更なる量の粉塵を纏うと同時に、咆哮を上げた。
炎王龍の至った答えは脳筋極まりない結論だが、事実こうするしか対抗策がないのだ。
逃げることが出来たのならそうしても良かったが、今回は逃げることも出来ない。
「ガオオオオ!!」
「!、ガアアアア!!」
炎王龍が粉塵を巻き上げながら突進すると、大轟竜もそれに対抗するかのように炎王龍に向かって行く。
もう次の瞬間にはぶつかる、その距離になった時―
「スウウ―――」
「オオッ!」
―大轟竜は大きく身体を引き、炎王龍は後ろに羽ばたくと同時に粉塵を巻き上げた。
次の瞬間―
「―――ッ!!」
ドドドドドン!!
「グオオオオォォォォ!!!」
―粉塵爆破と、空気を震わせる咆哮が激突し、爆破は圧倒的な衝撃波によって大轟竜まで届かず、大咆哮は爆破に阻まれて炎王龍まで到達せずに互いに相殺し合う形になった。
「ガオオオオ!!」
「ガアアアア!?」
間を置かずに爆煙の中から飛び出して来た炎王龍は大轟竜を跳ね飛ばした。
大轟竜は咆哮を放った後で一息つかなければならなかった為、その隙を突かれた形だ。
炎王龍は能力に注文されがちだが、身体能力の方も馬鹿には出来ない。滅尽龍や金獅子と比較すると僅かに劣るものの、それでも身体を活かした突進は十分脅威となる。
「ゴオオオオ…!!」
「ガアアアア!!」
更に炎王龍は火炎放射状のブレスを放ち、大轟竜にダメージを与える。
流石の大轟竜も怒りによって防御が疎かになっている所に興奮状態となり更に火力の上がっている炎王龍のブレスは堪える。
「グオオオオ…!」
だが、その苛烈な攻撃は大轟竜に命の危機を抱かせた。
大轟竜は凄まじい火力の炎の中でも構わず身体を大きく引くと―
「グオオオオォォォォ!!!」
―先程の大咆哮を更に上回る程の声量で咆哮を放ち、それによって炎王龍のブレスを消散させた。
「ガルルル…!」
自身の本気のブレスを無力化した大轟竜を見て、炎王龍は警戒心を強める。
大轟竜の身体は更に赤みを増しており、頭部と前足に至っては血管がくっきりと浮き出る程に赤くなっている。誰がどう見ても怒髪天に至ったことが分かる。
だが、ここまで苛立っているということは、確実に手痛いダメージを蓄積させられている。
自身の勝利も近い所にあると、炎王龍は確信していた。
「グオオオオ!!」
「!」
そんな怒りながらも冷静に思考を回していた炎王龍とは対照的に、大轟竜はその怒りを体現するかのように火花を散らしながら突っ込んで行く。
だが、その速度は今までを遥かに凌駕する程の速度だった。古龍である炎王龍が思わず瞑目してしまう程に。
「ガオオオオ!!」
真正面からぶつかるのはまずいと感じた炎王龍は、軽く飛んで迂回しながら大轟竜に向かってブレスを放つ。防御力も更に落ちている以上、倒せなくとも足止めとしては十分過ぎるものだ。
―
「ガアアアア!!」
「オオオオ!?」
ブレスをもろに食らった大轟竜だが、何と悲鳴を上げるどころか怯むようなリアクションすらせずに炎王龍に向かって飛び掛かり、その圧倒的な身体能力によって炎王龍は抑えつけられてしまう。
「ガアアアア!!」
「ッ…オオオオ!!」
炎王龍に対してマウントポジションを奪った大轟竜は、前足で炎王龍を何度も殴り付ける。が、炎王龍もされるがままではなく、頭部から血を流しながらも粉塵をばら撒いて爆破し、大轟竜にダメージを与えていく。
互いに一歩も譲らない互角の削り合いだったが、遂に均衡が崩れる。
「ガ…オオオオ!!」
「ガアアアアッ!」
古龍としてのスタミナの差が出てきたのか、遂に炎王龍の爆破が大轟竜を吹き飛ばした。
「オオ…オオ…」
「ガアアア…」
だが、吹き飛ばされた大轟竜はもちろん、炎王龍でさえ弱点である角にしこたま攻撃を叩き込まれた為、あちこちがボロボロで息も絶え絶えだった。
「ガアアアア…!」
「………」
そんな状態でも大轟竜は戦意を折らず炎王龍を睨み付ける。
大轟竜の様子を見た炎王龍は何かを考えるような表情をした後―
「……ッ!」
「!」
―翼を広げて飛び去って行った。
「ガウウウウ…」
その様子を見届けた大轟竜も追うような真似はせず、疲れたような声を上げると同時にその場にヘタり込んでしまった。
極限の怒りで誤魔化していたが、ギリギリの状態まで追い込まれていたのは事実だ。
「………」
その場に腹這いになって休みながら大轟竜はぼんやりと炎王龍のことを思い出す。
大轟竜は長らく古塔に住み込んでいる為、これまで何度か古龍を見たことがある。同一の種だけでなく何種類か見たことがある為、古龍種の傾向も何となく分かる。
中には好戦的な種もいたが、基本的には他の生物を気にもかけない、高い知能とプライドを感じさせるような立ち振る舞いが古龍種の基本的な振る舞いだ。
そういった点だとあの炎王龍は元から好戦的のようにも思えたが…何だかそれだけではないような気がするのだ。
どこか必死さを感じさせる…そんな気迫だと大轟竜は思った。
思えば最近は棘茶竜が起きていることが多い。何かを警戒していたり、暴れ回っている訳では無いが、無意識の内に何かを感じ取っているのかもしれない。
「ふふふ…」
「……?」
その時大轟竜は何かの声が聞こえたような気がしたが、辺りを見回してもただ霧に塗れた風景があっただけだった。
気の所為だと大轟竜は思い、冷たさが心地よい地面の上でしばらく休むのであった。
タイトルに反して終盤がほのぼの過ぎる()
でもティガのぐでーっとした休憩モーションかわいいよね。
評価、感想もよろしければお願い致します。
それでは次回もお楽しみに。
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