原初メルゼナ君強すぎんでしょ…カーナ相手を完封はビビる。
いつかこの作品でも争わせたいですね(デスゲームの主催者みたいなこと言ってんな)
それではお楽しみください。
“溶岩洞”
この地で息絶えた神龍のエネルギーに惹かれて訪れるモンスターは多い。
火山地帯としては珍しく水源もあり、比較的生態系での地位が低いモンスターも住み着いている。
だが内陸部、溶岩が流れ出ている辺りは強大なモンスターが鎬を削り合っている激戦区だ。
火竜、溶翁竜、妃蜘蛛…時には古龍やそれに匹敵するモンスターまで居座る為、一種のモンスターがこの地を牛耳っていることは中々ない。
そして今もまた、溶岩洞は賑わっている。
少し前まで猛り爆ぜる砕竜一強の状態だったが、今はとある牙獣が訪れたことにより、主の座を争い合っている。
「ヴォルルル…」
その牙獣は力強さを感じさせる四肢で歩行し、10メートルもない体躯だが、感じられる威圧感は古龍に勝るとも劣らない。
捻れた一対の角が頭部から生えているのは金獅子…なのだが少々様子がおかしい。
金獅子がその異名通りの金色の体毛に変化するのは、興奮状態に突入し気光エネルギーが活性化して初めて至るものであり、外敵に襲われていない今は黒色の体毛の筈である。
にも関わらず、今の金獅子は興奮状態で至る筈の金色の体毛になっている。
しかもよく見ると尻尾が千切られたかのように不自然に短くなっている。明らかに不自然な状態だ。
だがその金獅子の姿も確かに記録されている。
ただでさえ危険な金獅子の特殊個体―
そう、この金獅子は名前の通り、常に怒り状態の個体なのである。
そしてまた危険度と戦闘力も、通常の金獅子とは一線を画す。
新大陸でまとめられた記録の中だと、かの滅尽龍の特殊個体を相手にし、互角に渡り合うという衝撃的な記録が残されているのだ。
通常の金獅子だと怒り状態に至って初めて渡り合えるのだが、特殊個体は通常状態で渡り合えていることから、古龍級生物の枠組みを越えた、“超古龍級生物”といえるものなのではないかとも言われている。
事実この地を牛耳っていた砕竜を相手に金獅子は一歩も引かず、痛手を与えた。だが砕竜も相応に渡り合い、互いに痛手を負って引き分けたのだ。
現在は互いの縄張りを定め、基本的には不干渉としている。
だが二匹共古龍または古龍級生物でなければ立ち打ち出来ない相手である為、二匹の縄張り内には他の生物が存在しない。
この二匹の縄張り内に踏み込めるのは、実力が分からない哀れな弱者か―
―知ってなお恐れない、相応の強者だけである。
「グルオオオオォォォォ!!」
「!?」
怨嗟を感じさせる凄まじい咆哮と共に、何かが金獅子に向かって突っ込んで来たが、金獅子は素早い身のこなしで躱した。
そうして捉えた襲撃者の姿は、雷狼竜と同じように四肢で地面を捉え、屈強さを感じさせる巨大な体躯。
前足はまるで刀のように異常発達しており、尻尾は三叉槍のような形になっている。
全身に傷跡が目立ち、頭部に至っては隻眼となり、角も歪んでいる。
奇しくもその牙竜は以前砕竜とも激突した“怨嗟響くマガイマガド”だった。
「ゴルルル…!」
怨虎竜は金獅子にも臆さず威嚇する。
以前訪れた個体は死闘の果てに砕竜が討ち倒した為、別の個体のようだが、この怨虎竜は縄張りの拡大に躍起になっている為、その途中で激突してもおかしくはない。
「ヴォアアアアァァァァ!!!」
そしてそんな相手の都合など金獅子が知る筈もなく、その怒りのままに撃滅せんと言わんばかりに咆哮した。
「ヴォオオオ!!」
金獅子は右半身を後ろに引くと、そのままラリアットの要領で怨虎竜に飛び掛かった。
「ゴルオオオオ!!」
対する怨虎竜もそれに応じるようにして腕刃を振り上げて金獅子に飛び掛かる。
ドゴォ!!という凄まじい激突音と共に互いの前足が重なり合った。
一瞬拮抗し、打ち勝ったのは―
「ゴルアアアア!!」
「ヴォオオオ!?」
―怨虎竜が鬼火の炸裂の分だけ勝り、金獅子を吹き飛ばした。
体格に見合わぬパワーで有名な金獅子だが、優れた体格と鬼火のブーストがかかる怨虎竜相手は流石に部が悪い。
「グルオオオオ!!」
怨虎竜は吹き飛ばされた金獅子に追撃を仕掛けようと駆け出す。
相手を殺す為に殺す怨虎竜に慈悲は存在しない。このまま完封するつもりだった。
事実、大抵のモンスターならばこのまま何も出来ずに終わりだろう。
だが―
―その考えは金獅子相手には些か甘かった。
「ヴォオッ!」
「!?」
何と金獅子は空中で身体を捻って体勢を立て直したのだ。
そしてそのまま地面に腕を突っ込むと―
「ヴォアアアア!!」
「グオオオオ!?」
―気光エネルギーを解放し、地面に流し込んで炸裂させることで突っ込んで来ていた怨虎竜を迎撃した。
金獅子の特殊個体はパワーや凶暴性が向上しているのはもちろんだが、常に金獅子化している影響なのか、気光エネルギーの扱いにも長けている。
理性などあってないようなものだが、本能でそれを理解していた。
「ヴォオオオオ!!」
「グオオオオ!?」
そして当然予期せぬ攻撃を食らって隙の出来た怨虎竜を金獅子は逃さない。
渾身の拳を叩き込んで怨虎竜を吹き飛ばした。
「ヴォオオオオ!」
そして立場が逆転し、今度は金獅子が怨虎竜を追い掛ける形になった。
だが、怨虎竜もただで殺られるつもりはなかった。
「グルオオオオ!!」
「ヴォオオ…!」
ボンッ!という鬼火が炸裂する音と共に怨虎竜が金獅子に向かって突っ込み、金獅子は後退しながらも何とか受け止めて見せた。
「ゴルオオオ…!」
「…ッ!」
体格差を活かし、怨虎竜がジリジリと金獅子を押して行く。
このままでは力負けする―傍から見てもそれがはっきりと分かった時―
「ヴォルルル…!」
「!」
―組み合っている金獅子が唸り、金色の体毛が電気の走るような音と共に更に強い光を発し、鬣となった。
構わず怨虎竜は押し切ろうとするが―
「!?」
―フワッとした浮遊感が怨虎竜を襲い、視界が反転した。
何が起こっているのか理解する前に―
「ヴォアアアアァァァァ!!」
「グ…オオ…!」
―凄まじい金獅子の咆哮と共に、思い切り地面に叩き付けられた。
怨虎竜としては何が起こったのか分からなかったが、金獅子あえて力を抜くことで怨虎竜の力を利用し、ジャーマンスープレックスを行ったのだ。
滅茶苦茶なカウンターだが、怒髪天に至った金獅子の身体能力はそれを可能としたのだ。
「ゴルルル…!」
だが、怒りが頂点に達したのは金獅子だけではない。
怨虎竜もまた、先程の大ダメージによって堪忍袋の緒が切れたのだ。
「ゴルアアアアァァァァ!!!」
底無しの怨嗟を感じさせる咆哮と共に鬼火を炸裂させ、姿を変える。
主に背中から噴出していた鬼火は
「ヴォオオッ!!」
「ゴアアアッ!!」
だが互いに姿が変わった程度で気後れするような性質ではない。
金獅子は拳を、怨虎竜は尻尾を振るって迎撃する。
しかし怨虎竜が尻尾を振るった位置は明らかに金獅子に届かない距離だ。
「!?」
金獅子はその行動に悪寒を感じ、咄嗟に空中で身を捩る。
すると―
ズバン!!
―金獅子の背後の岩壁に、深い斬撃の痕が刻まれた。
そう、怨虎竜は限界まで圧縮した鬼火を尻尾に集中させ、それを攻撃に応用したのだ。
そうして限界まで圧縮された鬼火は簡単には消散せず、十分な攻撃手段となったのだ。
そして振るえば斬撃が飛ぶ以上、中〜遠距離にいたとしても今の怨虎竜相手にはむしろ不利にしかならない。
「ゴルオオオオ!!」
「!、ヴォオオ!」
怨虎竜自身もそれが分かっているのか、更に尻尾を振るって複数の斬撃を飛ばして金獅子を牽制する。
だが金獅子も素早く地を駆け、時には岩壁も利用して怨虎竜の斬撃を躱す。
古龍級生物として同じ立場の恐暴竜、爆鱗竜と比較されることの多い金獅子だが、他の二匹と比べて金獅子の優れている点はパワーもそうだが、一番は小回りの効く機動力だろう。
そして今はその強みが最も活かされている瞬間だった。
「ゴルルル…!」
中々攻撃が当たらず、紙一重で躱し続ける金獅子に怨虎竜は苛立つ。
だが、このままでは埒が明かないのも事実。もう一押し、金獅子を追い詰める為の手札が必要だ。
そしてそれは金獅子も同じ。
中〜遠距離の攻撃手段を持っていない訳では無いが、かなり隙が大きく、今の怨虎竜相手には使えない。
怨虎竜の苛烈な攻撃でも突破出来る程の火力が必要だ。
必要なものは単純だが、実現させるには難しい。
だが二匹には、それらを実現させることが出来る。
しかしそこまで行ってしまえば、もう後には退けない戦い、つまりどちらかが死ぬまで戦い続けることになるだろう。
「ヴォルルル…!」
「ゴルルル…!」
だが怒りと怨嗟に支配された二匹にとって、そんなことは関係ない。
目の前の敵を殺す為ならばどんな手段も厭わない。
最早命にすら頓着しない以上、勝つか殺すしかないのだ。
「ヴォオオッ!」
そして金獅子は一際大きく跳躍し、両腕に気光エネルギーを集中させ―
「ゴルルル…!」
怨虎竜は尻尾のみに集中させていた鬼火を腕刃にも流し込み、更に圧縮すると―
「ヴォアアアアァァァァ!!!」
「ゴルオオオオォォォォ!!!」
―金獅子の腕は雷光のような光を放ちながら赤く染まり、怨虎竜は今までの鬼火の爆発とは違って赤黒い爆発を引き起こし、尻尾だけでなく腕刃にも鬼火を滾らせていた。
「ヴォアアアア!!」
「グルオオオオ!!」
金獅子は跳躍して飛び上がった空中で身体を丸め、そのままの勢いで怨虎竜に向かって突っ込んで行ったが、怨虎竜は鬼火の炸裂で瞬間的に加速しつつ、返す刀で腕刃を振るって鬼怨斬を放った。
大地すら大きく斬り裂く鬼火の斬撃。
堅牢な甲殻を持っていない金獅子はこれをまともに食らうわけには行かない。確実に回避する筈。
怨虎竜は鬼怨斬を回避した瞬間を狙って、尻尾による突きで追撃するつもりだった。
確かに金獅子は強いが、中〜遠距離の攻撃手段が乏しいことは、これまでの戦い方を見ていれば分かる。
そして今も体当たりなどの肉弾戦をメインに戦っていることから多少姿を変えてもその問題点は変わっていないということだ。
回避しても不利、食らうのは論外。
そんな攻撃に対して金獅子が選んだのは―
「ヴォアアアア!!」
ガギィン!!
「!?」
―何と回避する素振りも見せずに突っ込み、気光を纏いつつ思い切り腕を振るって鬼怨斬を打ち消したのだ。
怨虎竜としては驚く他ない。この攻撃は今まで回避されたことや、食らって死ななかった相手もいたが、まともに食らってノーダメージの相手は初めてだった。
だが、これは金獅子の状態としては当然と言える。
この気光エネルギーを腕に集中させた状態は“闘気硬化状態”と呼ばれているが、この状態の腕の硬さは尋常ではない。
いかなる最高級の武器から放たれる斬撃や弾丸だろうと尽く弾いてしまうのだ。
そしてまた、その状態の腕から放たれる攻撃もまた並大抵の威力ではない。
「ヴォオオオオ!!」
「グオオオオ!?」
単純な右ストレート。
金獅子が放ったのはそれだけだが、硬化して威力の上がった金獅子のそれは先程までの比ではない。
殴り飛ばされた怨虎竜は数十メートル以上を跳ね、途中で怨虎竜が体勢を立て直したが、更に十メートル程後退して止まった。
「グ…オオ…!」
流石の怨虎竜も今の攻撃は効いた。
並大抵の攻撃では止まらないとは分かっていたが、まさか鬼怨斬を無力化するとは思わなかった。
「グルルル…!」
しかし怨虎竜も止まる気はない。
やられっぱなしで終わらせる気はさらさらないし、生きている以上はまだ戦える。
真っ向勝負の分が悪いなら、別の角度から自分の得意分野で勝負すれば良い。
「ヴォオオオオ!!」
「グオッ!」
凄まじい勢いで金獅子が殴り掛かって来たが、怨虎竜は鬼火のガスを撒きながら加速して回避する。
そのまま金獅子の周囲を駆けながらガスを撒き続ける。
「ヴォオオオオ!!」
しかし攻撃を仕掛けてくることもなく周囲を駆けるだけの怨虎竜を見て金獅子が大人しくする訳もなく、タイミングを見計らって気光ブレスを放とうと構える。
だが、周囲のガスが明るい色に変化していくと―
ドドドドドン!!
「ヴォオオオオ!?」
―連鎖的に爆発し、凄まじい威力となった。
金獅子はガスからある程度距離を取っていた為、ダメージは少なかったものの、凄まじい爆発で視界を遮られてしまう。
「グルオオオオ!!」
ズドォン!!
「ヴォオオ…!?」
そしてその僅かな横着を狙って鬼火を纏った突きで金獅子を吹き飛ばした。
闘気硬化状態の強化と引き換えに両腕以外の防御力が犠牲となっている今の状態ではかなりの大ダメージとなった。
「ッ…!、ヴォオオオオ!!」
「グルオオオオ!!」
それでも金獅子は口から血を吐きながらも体勢を立て直し、硬化した両腕で怨虎竜に向かって殴り掛かる。
怨虎竜もそれに応じるようにして吼え、金獅子を迎え撃った。
硬化した剛腕と鬼火を纏った腕刃、昂ぶる光線と怨嗟の尾槍から放たれる波動が幾度となく交差する。
互いに一歩も引かず、おびただしい量の血を流しながらも殴り、突き、激突を繰り返す。
「ヴォオオ…オオ…」
「ゴル…オオ…」
息も絶え絶えとなり、それでも決着の一撃を叩き込もうと―
―その時、両者の足元から赤い
ドゴォン!!
「ヴォオオ!?」
「グオオオ!?」
そしてその粘菌は凄まじい威力の爆発を引き起こし、二匹を吹き飛ばした。
二匹が何事かと辺りを見回すと―
「グルルルル…!」
―全身をエメラルド質の甲殻に覆われ、心なしか頭角と左腕の形が変形し、纏わり付いている粘菌も少ない砕竜の特殊個体だった。
恐らく騒ぎを聞き付けて来たのだろう。単純に煩わしかったのか、漁夫の利を狙ってやって来たのかは分からないが、現在進行系で死闘を経たばかりの二匹では分が悪い。
通常の砕竜を上回る体躯に裏付けされた体力、臨界点に達した粘菌の爆発の火力、それによって鍛え上げられた防御力は尋常なものではない。
まず勝てない。殺り合った所で死ぬのがオチである。
どんな力を持った生物であっても死ぬのはゴメンだ。逃げの手を考えるだろう。
―
「ヴォアアアア!!」
「グルオオオオ!!」
しかし金獅子と怨虎竜は逃げるどころか雄叫びを上げて砕竜に向かって行く。
そう、極限を越えた怒りと底無しの怨嗟に支配された二匹にとっては、自分の命などもう知ったことではないのだ。
最早理屈ではなく本能で物事を考える為、砕竜に向かって行ったのも単純に“邪魔して来たから殺す”ぐらいの感覚であり、互いの考えが一致した上での
「ヴォオオオオ!!」
「グルオオオオ!!」
「グオオオオ!!」
そしてあくまで偶然の共闘である為、互いの攻撃の余波など全く考えておらず、自爆上等の攻撃がほとんどであり、お互いを巻き込みまくっている。
だがその遠慮の無さが逆に効果的なのか、砕竜は二匹の苛烈な攻撃にやや攻めあぐねている。
しかし砕竜も一筋縄ではいかない。
「ガギャアアアアァァァン!!!」
怒りに呼応して全身の粘菌が赤く染まる。
これによって傷を負っている二匹にとってはもう砕竜の攻撃は一発も貰う訳には行かなくなった。
「ヴォアアアアァァァァ!!!」
「グルオオオオォォォォン!!!」
だがそれに恐れをなす二匹ではない。
凄まじい咆哮を上げて、硬化した剛腕を、鬼火を纏った腕刃と尻尾を振り上げて、砕竜に向かって行く。
―決着は、数秒後に起こった大爆発の中に委ねられた。
ひっさしぶりにこんなに書いたなー。
毎回この量と投稿速度を両立出来れば良いんですけどね…
モンスターによって多少モチベも違うので…
はい、言い訳ですね。もっと頑張ります。
評価、感想もよろしければお願い致します。
それでは次回をお楽しみに。
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