電源つけ直したら直ってたのは良いけどネットに繋がらなくなってた…
それではお楽しみください。
“大社跡”
基本的に穏やかな気候であることが多いこの地は異様な雰囲気に包まれていた。
どこまでも澄み渡る蒼空は灰色の分厚い雲に覆われ、肌を撫でる心地よい風は木々をも揺るがす大風になっていた。
そんな異常気象に見舞われていて住まうモンスター達も落ち着いていられる筈もない。
「「グオオオオ!!」」
「ギャァ!ギャァ!」
あまりの大風に大地は抉られ、それに触発されてモンスター達も縄張りを放り出して逃げ出して行く。そこには強大な大型モンスターである火竜の番の姿も見られた。
こんな異常事態を作り出せるモンスターは一種類しかいない。
自然の猛威の化身である、古龍しか―
―その現象を引き起こしている当事者達は大社跡の遥か上空で睨み合っていた。
どちらも並の大型古龍を凌駕する程の体躯を持ち、その周りには彼ら以外は近付くことすら出来ないであろう風の渦が巻いている。
「キュオオオ…!」
相対している龍の片割れは全身を青い甲殻に包まれ、全体的に骨格もオーソドックスな古龍と比べるとやや異質であり、見た目だけで言えば深海魚に近い印象を受ける。
背中と前足には胎嚢のようなものがあり、そこに風を溜め込んで浮遊しているようだった。
“飛行する”というよりも“浮遊している”と言った方が正しく、頭部を地面側に向けていることと言い、それなりの種が確認されている古龍の中でも異質感が強いと言える。
しかし見た目が異質だからといって侮ってはならない。
この古龍はこのカムラの里に住まう者達にとっては仇敵とも言える相手。
大量のモンスターを混乱させ、未曾有の大災害である“百竜夜行”を引き起こした元凶―
「クオオオオ…!」
そんな風神龍と相対している古龍もまた、全身に風を纏っている。
こちらも骨格としては海竜種に近く、空を“泳いでいる”と言える。
目を引くのは全身に羽衣のような飛膜を持っており、頭部に戴く黄金の角、長い髭も合わせて風神龍とは正反対で東洋の神龍を思わせる風貌だった。
この古龍もまた、過去にその能力の影響により、国一つをあっさりと葬り去った実績のある古龍―
二匹は雲が渦巻く中、相手をしっかりと見据えて威嚇する。
こうなった経緯としては偶々なのだが、嵐龍側が軽い威嚇ついでに攻撃を仕掛けた為こうして睨み合うこととなった。
嵐龍は古龍の中だと縄張り意識がそれなりに強い方であり、自身の縄張りへの侵入者に対しては容赦なく攻撃を加える。
風神龍も大抵の相手は歯牙にもかけないが、今回は自身と同格以上の相手な上、移動している理由が理由故に退く訳にも行かない。
そうなれば当然戦うしかない。
「グオオオオォォォォ!!!」
「クオオオオォォォォン!!!」
二匹が咆哮すると同時に、開戦を告げるように風が強くなった。
「キュオオオオ!!」
風神龍は吼えると同時に風の塊をブレスとして放つ。
言葉にすれば単純だが、凄まじいエネルギーを強引に圧縮した状態である為、まともに食らえば身体が弾け飛びかねない。
「クオオオオ―」
だが簡単に食らう嵐龍ではない。
口内に水を収束させると―
「―オオッ!!」
―水圧カッターの要領でブレスを放った。
水圧ブレスは風神龍のブレスとぶつかり、威力が減衰しつつも貫くと、そのまま風神龍に向かって行く。
「キュオオ―オオ!!」
風神龍は身体を捻って一瞬力を溜めると、力を解放すると同時に複数の竜巻を周囲に生み出し、ブレスを打ち消した。
「クオオオオ…」
その様子を見た嵐龍は目を細めつつ唸る。
出会った時から何となく感じ取ってはいたが、風神龍の司る力は自身とよく似ている。
単純なやり方では千日手になる可能性が高い。
故にどこかで高威力の一撃を叩き込まなくてはならない。
「オオン…!!」
「!」
そして嵐龍はその手段を持っている。
唸りつつ身体を捻ると、風が渦巻き、嵐龍に向かって引き寄せられて行く。
風神龍も相手が操る力が自身に近いものだと察し、行動を起こす。
「キュオオオオン…!!」
自身の影響下にある風を操作して圧縮し、複数の風の砲弾を作り出す。
これを見るに、影響力という点ではあちらが上手のようだが、力の行使における操作性、精密性という点ではこちらが上回っているようだ。
流石に嵐龍の支配下にある風の操作などは出来ないが、操作可能な範囲は十分引けを取らない。力押しで分が悪い以上、手数と多彩さで翻弄するしかない。
「「━━━━━」」
そして一瞬、二匹が動きを止めたかと思うと―
「キュオオオオォォォォン!!」
「クオオオオォォォォン!!」
―風神龍は風の砲弾を一気に射出し、嵐龍は凄まじい勢いで旋回しながら、巨大な竜巻を生み出した。
風の砲弾と竜巻は衝突した瞬間、その際に砲弾が弾けたことによって凄まじい衝撃波が発生し、竜巻と相殺し合う。
「キュオオオオ…!!」
相殺の衝撃によってまだ前もまともに視認出来ない中、風神龍は口内に風と龍属性の力を収束させる。
とにかく少しでも優位に立つ為に、こちらが常に先手を奪い続ける。
そうして少し衝撃が収まった頃―
「━━━━━ッ!!」
「!!」
―風神龍がブレスを放つと同時に、反対側からも高水圧ブレスが放たれ、互いのブレスが衝突する。
「!」
少しの間押し合いになったが、少し経つと嵐龍のブレスに押され始めた。
太さから見ると風神龍のブレスの方が威力がありそうに見えるが、嵐龍は一点集中させているが故にそう見えているだけであって実際は互角―否、嵐龍の方が有利だ。
「ッ!!」
「!」
そう判断した風神龍の選択は速かった。
即座に口を閉じてブレスを中断し、僅かに後方に下がると、サマーソルトの要領で尻尾を振るい、ブレスを打ち消しつつ風の衝撃波を飛ばした。
「!、クオオオオ!!」
「!」
だがある程度距離が開いていたのもあり、嵐龍は余裕を持って躱すことが出来た。
嵐龍はそのまま風神龍の周囲を旋回し、複数の竜巻を生み出す。
風神龍が気付いていたように、嵐龍もまた、単純な影響力ならば自身の方が上であることには気付いていた。
風神龍も操作の精密性を活かして上手く立ち回っていたが、裏を返せばそれは力押しではこちらに敵わない事へのそれも誤魔化しに過ぎない。
それならば対処不可能なレベルの攻撃で強引に押し潰すのが最適だ。無理に相手の土俵に乗ってやる必要はない。
「キュオオオオ!!」
「!」
風神龍は吼えると自身の周りに竜巻を生み出して風の壁を作り出す。
だがその出力は嵐龍の生み出した竜巻には劣る。苦し紛れの抵抗だろう。嵐龍がそう思っていると―
ゴオオオオォォォォ…!!
「!?」
―何と嵐龍の竜巻とぶつかったかと思うと、見る見る間に竜巻が空に上って行く。
そうしている内に竜巻は分解され、嵐龍の竜巻が僅かに残ったものの、風神龍にダメージを与えるには規模が小さく、甲殻に阻まれて無力化されてしまった。
この結果には嵐龍も驚く。
出力では絶対に自身の方が上だったのだ。何かしらの方法で防ぐことは考慮していたものの、それならば嵐龍はその隙を突くつもりだった。
今まで自身の絶対的な力で全てをねじ伏せて来た嵐龍にとって、弱い力が強い力を受け止めることなどなかったのだ。
「キュオオオオ…!」
だが、風神龍としても相手が嵐龍だったからこそ使えた手だった。
風神龍は、嵐龍の生み出した竜巻の
真っ向勝負では勝てないと理解したが故に、嵐龍の竜巻の気流の向きを理解し、その流れに逆らわないように、しかし気流の向かう先は空に上るようにして相殺した。
莫大な力を止めるにはその力と同等以上の力が必要だが、逸らす、あるいは無力化するだけなら流れに逆らわず、僅かな力を加えるだけで良い。
人間で例えるならば、相手が放った拳を受け止めるならこちらも同じレベルの力で受け止めなければならないが、逸らすのならば、拳あるいは腕に手を添えて僅かな力を加えるだけで良い。そうすれば相手の拳はあらぬ方向へ向かって行く。
だがあくまで受け止めるよりは簡単だと言うだけで、逸らす、無力化することも並大抵の技術では出来ない。
例えば先程の人間の例でも、やり方は分かっていても相手の拳の速度を見切る程の身体能力がなければ成立しない。
それと同じように、嵐龍の竜巻を無力化するにしても風速、ぶつけるタイミングが噛み合ってなければ十分受け止められる程までに威力が減衰せず、ダメージを食らうことになってしまう。
風についての理解が深く、かつ精密性の高さを持ち合わせている風神龍だからこそ可能とした技術だった。
「クオオオオ…!」
嵐龍としてはもどかしいことこの上ない。
確実に勝っているのは自分なのに、相手には飄々と躱される。
今までほとんどの戦いが蹂躙で終わったのもあってストレスが溜まっていた。
だが、それと同時に風神龍の強さも認めていた。
出力では劣っているにも関わらず、工夫と精密性で自身と渡り合っている。
ここまで粘られては、流石に認めざるを得ないだろう。
―全力を出して撃滅すべき、“敵”だと。
「グオオオオォォォォン!!!」
「!!」
風神龍に対する驕りを完全に消し去り、全力を以て相対すべきだと判断した嵐龍は、全力で吼え、自身の力を最大限高める。
すると周囲の天候もそれに呼応するように、大雨と共に雷鳴が轟き、風も更に強くなった。
嵐龍の本気を感じ取った風神龍は、嵐龍の司る力が自身と似て非なるものだと察する。
事実その感覚は当たっており、嵐龍の本質的な力は、異名通り“嵐を司る力”である。
つまり今までの竜巻はその力の一端に過ぎず、それを風を操る力だと勘違いしていただけなのである。
そしてこれで嵐龍が風に対する理解が浅かったのに説明も付く。
嵐龍の風は“嵐の際に起こる暴風や竜巻”であって、“風そのもの”を操っていた訳では無い。
つまり暴風や竜巻による力押ししか知らなかったのではなく、力押ししか出来なかったのだ。
数多くある天候の中でも特に危険度が高い嵐を司っている時点でそれが齎す影響力は当然強い。
そしてそんな危険な力を全開にした上で本気で戦うとなれば、風神龍は更に厳しい戦いを強いられることになる。
だが、逃げる訳にも行かない。自分達の楽園を創り出す為にはこんな所で負ける訳には行かないのだ。
全ては未来の為に―
「グオオオオォォォォン!!!」
―風神龍も覚悟を決め、体内に在る風の力と龍属性を活性化させ、全力で吼えた。
「グオオオオン!!」
「!」
本気を出した風神龍に対しても嵐龍は臆することなく、尻尾を薙ぎ払って衝撃波を飛ばす。
しかもその衝撃波には雷を纏わせている。やはり嵐を司っているだけあり、この程度は容易いようだ。
「キュオオオオ…!!」
だが、風神龍もやられるばかりではない。
複雑な軌道で飛んで来る衝撃波の軌道を見切って躱すと、お返しの龍属性と風を複合させたブレスを放つ。
「グオオオオ…!!」
向かって来るブレスを見た嵐龍は、その場で激しく旋回すると、巨大な渦を思わせる竜巻を生み出し、ブレスとぶつけて相殺した。
竜巻を横に生み出すという自然現象に喧嘩を売っているような所業だが、あくまで精密な操作が不可能というだけであって、その現象をどう生み出すかは嵐龍次第だ。
自身の力に振り回されず、むしろ好きなように振り回すことが出来るからこそ、古龍は古龍足り得るのだ。
「キュオオオオ!!」
そしてそれは出力で劣るといえど風神龍も同じ。
自身の周りに風を圧縮した砲弾を作り出すと、それを一気に風で加速させた上で嵐龍に向かって射出する。
「グオオオオ!!」
嵐龍は今度は素早く動いて砲弾を躱しながら竜巻を作り出して牽制しつつ、高水圧ブレスを放った。
「キュオオオオ!!」
風神龍は竜巻を縫うようにして躱し、ブレスに対してはこちらもブレス放ちつつ突進することでダメージを最小限に抑え、更にそのまま嵐龍に向かって行くことで攻撃も兼ねる。
「グオオオオ!!」
だが嵐龍は突進を躱す動きはせず、むしろ望む所だと言わんばかりに同じように突進する。
「「!!」」
二匹の超大型古龍がぶつかった衝撃は凄まじいものであり、周りの雲が一瞬で消し飛んだ。
しばしの拮抗の後―
「ッオオオオ!!」
「キュオオオオ!?」
―やはり体格差は覆し難いらしく、力負けした風神龍が弾き飛ばされた。
「グオオオオ!!」
「!、キュオオオオ!!」
そして嵐龍が雷撃で風神龍に追撃し、風神龍がそれを躱して竜巻を生み出しつつブレスを放つ。
そうして始まるのは互いの連撃の応酬。
暴風が吹き荒れ、竜巻があちこちで激突し、雷鳴と龍属性の光が弾ける。
「キュオオオオ…!」
「グオオオオ…!」
しばらくぶつかり合った後、二匹は距離を取って睨み合う。
二匹の身体には細かい傷が刻まれていたが、量も大きさも風神龍の方が上だ。
やはりグダグダと長引かせては不利にしかならない。そう判断した風神龍の動きは速かった。
「キュオオオオン…!!」
「!!」
風神龍は咆哮を上げながら天に昇り、周囲の風も風神龍に連れられるようにして渦を描く。
そんな行動を見て察せない程、嵐龍は馬鹿ではない。次の一撃で終わらせるつもりだということぐらい分かる。
そしてそう来るのならばそれに応えるのが嵐龍だ。
「グオオオオ…!!」
嵐龍は自身を浮遊させる為に纏っていた気流を消して地面に這いつくばり、全ての力を雷と竜巻に集中させる。
「「━━━━━━━━━━」」
地上と空中。それも雲に阻まれて互いの姿など見えていない筈だが、確かに互いを捉えて睨み合う。
風神龍の作り出した竜巻はどんどん強さを増し、嵐龍の周りには強過ぎる風と雷光が瞬いている。
そして互いの力が最大まで高まると―
「「━━━━━━━━━━!!」」
ズドオオオオォォォォン!!
―全てを薙ぎ払う龍風と、全てを打ち砕く雷嵐が激突した。
「グオオオオ…!」
「………ッ!」
ある程度風が収まった時、見下しているのは嵐龍だった。
最後の一撃は相応の威力だったものの、やはり単純な出力差は覆し難く、嵐龍に軍配が上がった。
風神龍にもう戦う力は残っておらず、嵐龍は傷は相応に負っているとはいえ、継戦不可能な程ではない。詰みだ。
「キュオオオオ…」
この状況で風神龍の心中に浮かんだのは、死への恐怖ではなく、愛する“対”への謝罪の気持ちだった。
長らく夢見て来た楽園への渇望。それが叶えられないということは対は叶わない夢を、訪れることのない相手を待ち続けることになってしまう。
それがどれ程辛いことかは計り知れない。出来ることならば当然叶えたいが…もうどうにも出来ない。
「グオオオオ…!!」
そして嵐龍が止めのブレスを放つ―
「グオオオオン!!」
「グオオオオン!?」
「!?」
―寸前に、嵐龍とは別の雷が嵐龍を貫き、攻撃を中断させた。
「グオオオオ…!」
混乱する風神龍の前に舞い降りたのは、風神龍と非常に酷似した―しかし甲殻が黄金色で、雷を纏った龍だった。
風神龍に酷似していることからも分かる通り、この古龍こそが風神龍の“対”に当たる存在である。
しかし風神龍は対の存在は分かっていても、その細かい居場所まで分かる訳では無い。ならば何故分かったのか―
―それは至極単純、風神龍が力を酷使した為に、より正確に存在を感じ取ることが出来たからだ。
そして対にとっても自身の種族にとっての楽園を築き上げたい以上、ここで風神龍を殺させる訳には行かない。
「グオオオオ!!」
しかしそんな風神龍側の事情を知らない以上、嵐龍が仕留め損なった獲物を見逃す筈もない。
負傷が響くにも関わらず、対に向かって威嚇する。
「グオオオオ!!」
そして対も、愛する風神龍と未来の為、雷光を迸らせて風神龍と激突する。
どちらが晴天を見ることになるのかは、誰にも分からない。
二話続けて盛り沢山になった…
少し間が空いちゃったからもうちょい早くしたいなぁ…
あ、ちなみに今更ですが、おおよそなモンスターの格付け(傀異克服、歴戦王等の状態は考慮なし)は―
禁忌≧禁忌級古龍>>>超大型古龍>>大型古龍特殊個体、超古龍級生物≧大型古龍、古龍級生物≧希少種>大型モンスター亜種≧大型モンスター
こんな感じです。当然個人的な私見も入っています。≧の場合は十回勝負したら六、七回勝つ、ぐらいのパワーバランスで、>が一つの場合は軽い手傷や一矢報いる可能性はあるが基本的には完勝、二つある場合は(瀕死の状態でもない限り)基本的にはどうあがいても勝てない、ぐらいのバランスです。
当然モンスターごとに細かい位置づけや力関係は変わってきますし、相性もあります。あくまで参考程度に考えて下さい。
評価、感想もよろしければお願い致します。
それでは次回をお楽しみに。
メインモンスター+αでコイツが好き
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リオレウス
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クシャルダオラ
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エスピナス
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ティガレックス
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ナルガクルガ
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ブラキディオス
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今回の司会ちゃん