ぶっちゃけ一番意外な対戦カードかもしれない…
スピード感の表現って難しいなぁ…(遠い目)
それではお楽しみください!
太陽が沈み、美しい満月が空に浮かぶ夜、月の光によって大地がぼんやりと照らされていた。森林に溢れ、豊かな自然の息吹きが感じられるが、いくつか人が住んでいたと思われる廃屋が密集している場所もある。
それもその筈、この辺りの土地は少し前まで大勢の竜が大群で押し寄せる“百竜夜行”と呼ばれる災禍に見舞われていたのだ。百竜夜行は数百年前からずっと続き、大昔にはここは人間の生活圏として利用されていたようだが、百竜夜行の影響によって、土地を放棄せざるをえなかったのだ。そして自然の一部となり、“大社跡”という名を付けられて、現在は狩猟場として認知されている。
そして現在はとあるハンターにより百竜夜行を引き起こしていた原因は判明し、その元凶も討伐され、百竜夜行は鎮静化されつつあるとはいえ、影響は残っているのか、大社跡には度々強大な力を持ったモンスターが来襲し、既存のモンスターと激突するという事態が起こっていた。だが当然、外来種に既存種が追い出されるという訳ではない。既存種もまた、舐めてはならない強者がいくらか存在する。―今山の方から流れ出る滝の麓で、眠っているモンスターもその強者の内の一匹だ。
―身体は白い鱗に覆われ、骨格は海竜種に属するものだが、狐のような頭部と背中には美しい錦色のヒレを持ち、尻尾は紫色の美しい毛に覆われながらも、確かな強靭さを感じる。周囲にはその海竜が発生させたのであろう、泡が舞っている。思わず強大な海竜であることを忘れ、見惚れてしまう程幻想的な姿をしたその海竜はとある地方では斬竜や電竜と共に“四天王”として数えられる一角―
泡狐竜は周りに泡が舞っている中、その中心地ですやすやと眠っていた。泡狐竜の眠っている場所は巣とは言えない程だだっ広い場所であり、急襲や縄張りへの侵入者が現れたらどうするのか―と思う者もいるだろう。が、そこで重要な役割を持っているのが、その泡なのだ。
泡狐竜の周りをふわふわと舞い、地上からかなり広い範囲まで浮いているその泡は、泡狐竜の身体から分泌される体液と地面が擦り合わさることによって発生したものだ。この泡は何も意味もなく浮いている訳ではない。泡狐竜のヒレは、泡の状態を知覚するレーダーの役割を果たしており、泡が割れると、ヒレから感じ取ることが出来るのだ。
「…!」
突然、泡狐竜がむくりと起き上がる。泡狐竜の泡は普通の泡に比べて、かなり強靭に出来ている故に、自然に割れてしまうにしても、かなりの時間浮いていることが出来るのだ。つまり、近い場所を浮いている泡が一気に複数個割れた時、それが意味することは―
「ピィィィン!!」
―泡が一気に割れる程速く動くことが出来る、強者が近付いているということだ。
「コォォォン!!」
空中から急襲してきた何者かの攻撃を泡狐竜は優雅な動きで回避し、急襲してきたモンスターをその目で捉える。
―金色の鱗に覆われ、迅竜に近い翼を地面に接地させるような骨格をしているが、迅竜と違うのは、接地している翼が前足のように発達している訳ではなく、飽くまで翼としての機能に留まっているということだ。ただその代わりなのか、後ろ足が物を掴めるような強靭な形に発達している。二股に別れた槍のような尻尾と、頭部からは後方に反った形に伸びた角を持つ、空中での戦闘能力は火竜と対等以上とされている天上において最大の実力者、その名もー
「ピィィィン!!」
千刃竜が泡狐竜に向かって吼える。どうやらここら一帯を縄張りとしている泡狐竜を打ち倒し、それを奪うつもりのようだ―正直面倒だな、と泡狐竜は思った。
なぜなら泡狐竜の気質は基本的に温厚で、縄張りに迷い込んだモンスターに対しては、威嚇と泡で多少翻弄し、脅かして逃げ帰るようならそのまま見逃す。凶暴性も低い為に、戦闘に対して高いプライドがある訳ではない。―だが今回の相手は多少脅かした程度で帰ってくれるような敵ではないようだ。
だからといってあっさりと縄張りを明け渡す気はないし、死ぬのはごめんだ。それにこの場所はかなりのお気に入りなのだ。故に面倒ではあるが、相手をするしかない―そう覚悟を決めた。
泡狐竜は尻尾を振り撒いて地面に泡を設置し、千刃竜は己の鱗を逆立たせー
「コォォォォォォォォォン!!!」
「ギシャァァァァァァァァ!!!」
―互いの咆哮が夜の大社跡に響き渡り、泡沫の芸者と千刃の健脚の戦いが始まった。
「ピィィィン!!」
千刃竜が鳥のような甲高い声を上げ、泡狐竜に向かって上空から急降下しながら蹴りを仕掛ける。
―そう、千刃竜の基本的な攻撃は蹴りだ。それだけなら火竜と同じだが、千刃竜の脚には毒は分泌されていない。それどころか千刃竜は何の属性も状態異常も使用しない。迅竜と同じように己の肉体を主な武器とするのだ。それを聞くと、火竜に見劣りしているように思えるが、それでも千刃竜が火竜と互角以上に戦えるのは、火竜以上の脚力と空戦能力を誇るからだ。だが―
「コォォォン!!」
―機動力に長けているのは千刃竜だけではない。
泡狐竜は千刃竜の動きを見切ると、泡を撒きながら凄まじいスピードで地面を駆け、千刃竜の蹴りを回避する。
その動きを見た千刃竜はすぐさま次の攻撃を仕掛けようとして―
「ピィィィン!?」
―全く踏ん張りの効かない地面に驚き、思わず動きを止めてしまう。
「コォォォン!!」
そしてその隙を見た泡狐竜は尻尾を振り上げ、巨大な泡を千刃竜に向かって飛ばす。―が、
「ピィィィ…!キィン!」
身体の鱗を逆立たせたかと思うと、なんとその逆立たせた鱗を泡狐竜に向かって飛ばしてきたのだ。
「?!」
泡狐竜は驚きながらも、泡を割ってこちらに飛んで来た鱗を回避し、そのままの勢いで千刃竜に向かって行き、尻尾を叩き付けようとするが、千刃竜は滞空してそれを回避し、先程のように突っ込んで脚を取られるのは不味いと思い、鱗を逆立たせ、泡狐竜に向かって飛ばそうとするが―
「コオオ…!ォォォン!」
「ピィィィ?!」
―泡狐竜がこちらに顔を向けて、高圧の水流ブレスを放ってきたのだ。
細い見た目とはいえ、いやだからこそ凄まじい威力を誇るそのブレスは滞空していた千刃竜を叩き落とすには十分な威力をしていた。
「コォォォン!」
そして墜落した千刃竜を追撃しようと泡狐竜が跳躍して来たが、何とか体勢を立て直した千刃竜は、その攻撃から逃れることに成功する。
そして鱗を逆立たせながら再び空へ飛び立つと同時に、泡狐竜の脚に向かってその鱗を飛ばした。そしてその鱗は泡狐竜の脚に直撃すると同時に―
「コォァァァ!?」
―破裂し、泡狐竜の身体に傷を付けると同時に足元の泡を吹き飛ばした為に体勢を崩したのだ。
―そう、泡狐竜は先程、千刃竜の鱗を回避した為に、千刃竜の鱗が標的に直撃すると同時に破裂し、標的に複雑な傷を与えるという性質を知らなかったのだ。
この性質が“千刃竜”という異名に繋がっていることは間違いないだろう。
だが、“千刃竜”という異名を知らず、手傷を負ってしまった泡狐竜を責めることはできないだろう。というより、異名を知っていたとしても予想しろというのが無理な話だ。鋭い鱗を飛ばし、武器として扱って来るだけならばまだしも、まさかそれが破裂し、複雑な傷を負わせるとは誰も思わないだろう。いくら世界広しと言えども、破裂する鱗を持つモンスターなど、千刃竜を含めても片手で数えられる程しかいない。
「コォォォン!!」
泡狐竜が傷を負いながらも体勢を立て直し、千刃竜に向かって威嚇する、怒りに呼応しているのか、錦色のヒレが更に濃く、鮮やかな色に変わる。
そして泡狐竜の姿を見た千刃竜は、泡狐竜の本気を感じ取り、自身の身体の全ての鱗を逆立たせ、そして―
「コォォォォォォン!!!」
「ギシャァァァァァ!!!」
―互いに全力で吼え、戦いを更に加速させて行った。
「コォン!」
泡狐竜は吼えるとその場でグルグルと身体で渦を描くようにして大量の泡を発生させる。―が、それを黙って見ている千刃竜ではない。
「ピィィィ…!キィン!」
与えられるダメージは蹴りが一番効果的だが、それでは最初のように着地時にバランスを崩して反撃を貰ってしまう可能性がある。それでは本末転倒な為、空中から鱗を飛ばして牽制する。
「コォン!!!」
泡狐竜は鱗を見ると即座に地面を滑って回避するが、その速さは最初の比ではない。その上、大量の泡が泡狐竜の通った軌跡を示すように残っていた。そして―
「コオオオ!」
「!?」
―なんと泡で滑って移動しながら空中にいる千刃竜に向かって水流ブレスは放つという暴挙に出る。
凄まじい力業だが、これならある程度相手を追尾し、回避を強要させることが出来る為、反撃の心配も低くなる、賢い自身の強みの使い方だった。
千刃竜は優れた飛行能力でブレスを回避するが、反撃も出来ない。だが、何か手を打たねば状況も変わらない。だが、真正面から蹴りを使えば反撃を食らう可能性が高い。ならば―
「…ッ!、ピィィィィッ!」
空中から大きく弧を描くように、地面スレスレを飛びながら、横から蹴りつけるような形で、泡狐竜を強襲した。これならば、泡によってバランスを崩し、反撃を貰う可能性も低い。
「!、コォォン!」
流石の泡狐竜も至近距離まで近付いて来た千刃竜をブレスで追いきることは出来ず、ブレスを中断して泡で滑って強襲を回避する。
「ピィィィィ!」
千刃竜は泡狐竜が回避したのを見ると即座にまた空中へ離脱し、逆立てた鱗を泡狐竜に向かって飛ばす。
「!、コォォン!」
が、機動力の上がった泡狐竜はその鱗も回避して見せた。そして互いに体勢を整え、睨み合う。
「ピィィィィ!」
が、睨み合ったのは一瞬で、千刃竜はまた逆立てた身体から鱗を飛ばした。
「!、コォォン!」
だが、鱗による攻撃は何度も見ていた泡狐竜は今回も危なげなく鱗を回避する―と思われたが
「!?、コォォン!」
なんと泡狐竜が回避した先へ正確に、数枚の鱗が飛んできていたのだ。それもどうにか身体を捻り後方へ飛ぶことで回避したが―
「ピィィィィッ!」
「クォォァァ!?」
―目の前には千刃竜の蹴りが迫っており、それは回避出来ず食らってしまう。
何時千刃竜が鱗を飛ばしたのか、それは最初に鱗を飛ばし、泡狐竜がそれらを回避するために千刃竜から視線を逸らした瞬間、千刃竜は勢いをつけ、尻尾からも鱗を放ったのだ。泡狐竜はこれまで一度も千刃竜が尻尾から鱗を飛ばすのを見ておらず、意表を突かれた。そして千刃竜は泡狐竜が動きを止めた瞬間に、蹴りを叩き込んだのだ。
千刃竜はそのままの勢いで止めを刺そうと、泡狐竜に向かおうとするが―
「!?」
―泡狐竜を蹴りつけた脚が僅かに滑り動きを止めてしまう。そして目の前の泡狐竜から目を逸らしてしまった。
幸いにもすぐに踏ん張りが効くようになり、視線を泡狐竜に戻すが―
「!?」
―目の前に巨大な泡が迫っていた。すぐに避けようと翼をはためかせるが―
「コォォォォォン!!」
「ピィィィィッ!?」
―泡を突き破り、その向こうから現れた泡狐竜の尻尾の叩き付けを食らい、吹き飛ばされてしまう。
何故千刃竜の脚の踏ん張りが一瞬効かなかったのか?それは泡狐竜が先程行っていた渦を描くような動きをしていた時に、泡を発生させるだけでなく、自身の身体に泡を纏わせる行為でもあったからだ。そして千刃竜が泡狐竜を蹴りつけた際、泡狐竜の纏った泡が僅かに脚に付着してしまった為に、一瞬踏ん張りが効かなかったのだ。
互いにまたダメージを負い、また仕切り直しか、そう千刃竜が思い、体勢を立て直した時―
「?」
―泡狐竜が目の前にいない。一体どこに…千刃竜が辺りを見回すと―
―泡狐竜が滝の側の獣道に向かって滑っているところだった。
「ピィィィィ!」
千刃竜が追撃を試みるが、間に合わない。泡狐竜はそのまま獣道の中に姿を消して行った。
少し決着を付けられないことを残念に思う感情もあったが、あのままここから消えてくれるのなら有難い。また現れるようなら今度こそ倒せば良いだけだ。そう千刃竜は泡狐竜に対するリベンジを誓い、ひとまず寝床を探そうとその場を飛び立った。
一方泡狐竜は千刃竜から逃げられたことに安堵していた。そこに悔しさや怒りといった感情は無かった。泡狐竜には逃げることに対する忌避感などは微塵も存在しない。というよりもっと早く切り上げるつもりだったが、予想以上に千刃竜の機動力が高く、逃げようにも逃げられず、多くの手傷を負う羽目になってしまった。とにかく回避に徹して疲労を狙う手もあったが、あれ程の相手だと多少の手傷を負わせた方が良いかと思い、やむを得ず応戦したが…会う度に戦うのはごめんな為、出来ることなら相手にしたくないと泡狐竜は思った。
―後日談にはなるが、千刃竜と泡狐竜はちょくちょく出会い、その度に千刃竜が泡狐竜に争いを仕掛けるのだが、泡狐竜が徹底的に回避に徹し、ほとんど攻撃してこない為、全く決着が付けられない千刃竜は悶々とし、会う度に喧嘩を売られる泡狐竜は、住む場所を変えようと考えてるとか…
スピード感を出そうとするとどうしても文章量が少なくなる…ムムム
後咆哮の表現方法も何気に難しい…
別種のモンスターにもモテるミツネ君でした。
評価、感想もよろしければお願いします!
それでは次回をお楽しみに!
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