今回も争いって訳じゃないですが、世界観は守られてます。
それではお楽しみください。
“導きの地”
超災害級古龍の激突から数ヶ月が経とうとしているが、未だに落ち着くことはない。主達が激突、入れ替わりを繰り返し、力の弱いモンスターは戻って来ていない。
古龍までもが小競り合いを繰り返している影響で天候すら安定していない。いつからか度重なる地鳴り、森林火災に見舞われて太陽が顔を見せることすら珍しくなった。
更には何のモンスターかも分からない唸り声すら聞こえるようになり、調査団の導きの地の探索は全面禁止とされていた。
てっきり古龍、あるいは主が荒れている影響でこうなっているのだろうと調査団は予想していたが、ある日観測隊から信じられない報告が入った。
“導きの地のモンスターが、全て姿を消している”と。
あり得ない。そう言う他ない事態だが、焦りや困惑よりも先に来た感情は“驚愕”と“恐怖”だった。
初めての事態なら、困惑したに違いない。だが、調査団は導きの地のモンスターが消え失せる事態に遭遇したことがあるのだ。
創造を繰り返す者と、合切を破壊する者。その者達が激突する少し前と今の事態は全く同じ状態なのだ。
あれと同じ、そうでなくとも限りなく近い脅威が新大陸に訪れようとしている。下手をすれば人類存亡の危機だが、今の調査団にはそれを阻止するだけの力がない。できるのは、これがただの異常気象で終わることを願うばかりである。
しかし情報は集めておきたい為、導きの地及び幽境の谷には常に観測隊を派遣し随時報告を怠らないようにした。分からないことばかりだが、少し観測隊から気になる報告があった。
今の導きの地には誰もいない筈だが、火災が収まる様子はなく、空は灰によって覆われている。それだけならまだしも、雨が降っているにも関わらず、火が収まる様子はないのだそうだ。断続的な地鳴り、唸り声も続いており、非常に不気味な雰囲気となっているようだ。
しかも報告によれば、その地鳴りや唸り声は動いているように思えるらしく、その“元”と思わしき存在は幽境の谷に向かっているとのこと。
それと同時期、新、旧大陸問わず文献を漁っていた生態研究所の所長が興味深い文献を見つけた。
それは亡国の国交書であり、末期の王国について書き記されていたようだ。その文献によって記されていたのは―
―既に滅んだ王国こと、シュレイド王国に関する記述だった。
“幽境の谷”
常世から切り離されたような不毛の大地。凄まじい激突があったことは焼け焦げた地面から察することができる。
「グルルルル…!」
その最深部に座するのは赤龍、ムフェト・ジーヴァである。煌黒龍との激突以来、傷の回復の為に谷の最深部にて沈黙していたのだ。
子孫を残す為にせっせと準備していた繭も戦闘は余波に巻き込まれてしまった為、全ておじゃんになってしまった。
だが、赤龍が今苛立っているのはその所為ではない。
繭が焼き払われたことに対する怒りはあるのだが、極端な話それはどうとでもなる。また作り直せば良いだけの話だ。
今赤龍にとって問題なのは“何か”が近づいて来ていること。
その気配はとても大きく、分かるだけでも煌黒龍と同等、最悪それ以上なのだが、不気味なのはそれだけ大きいにも関わらず、位置がハッキリと掴めないことだ。
人間で例えると、大きな足音はするのに姿が見えない。大きな物が見えているのに霧がかって全貌が分からないような不気味さと言った所だ。
龍脈を通じて気配を感じ取っているにも関わらず、位置が掴めないというのはおかしい。ここ最近は地鳴りが幽境の谷まで届いている為、赤龍としては不機嫌極まりない。
ゴゴゴゴゴ…!!
「!」
そしてまた今日も地鳴りが谷を襲った―のだが今日は特別大きい。これは気配の元と相見えることになるかもしれないと、赤龍は気を引き締めた。
その間にも揺れは収まらず、戦いの影響で脆くなっていた岩盤が崩れ落ちる。落下してくる岩盤を気に留めず、赤龍は警戒を強める。
そして―
ドゴオン!!
「!?」
―一際大きな揺れと共に赤龍の背後の岩盤が崩れ、その中に巨大なシルエットが動いた。
赤龍はいつの間にか背後を取られていたことに内心驚きつつも、距離を取って臨戦態勢を取る。
「グオオオオ…!」
そして土煙の中から、巨大な影が姿を現す。
口元からは炎を滾らせ、ヒビ割れたその瞳はあらゆる生物を萎縮させる。身体を覆える程の翼は絶対的な力を感じさせ、尻尾は細いながらもあらゆる武器を弾きそうな程の堅牢さが伝わる。黒い甲殻に覆われ、四本の角を頭部に戴くその姿はまるで御伽噺から抜け出た“ドラゴン”のようだった。
「グルルルル…!」
「!」
そのドラゴンは四足歩行から上半身を持ち上げ、後ろ足のみで立ち上がると赤龍を見下ろす。
赤龍はまるで見下されるような気分になるが、その苛立ちのままに戦いを仕掛けることはできなかった。何故ならそのドラゴンの威圧感に一瞬恐怖を感じてしまったから。
赤龍は間違いなくこの世界において最強格の古龍である。
生物としての完成形とも言える程の力に、その力から繰り出される攻撃は調査団を撤退まで追い込み、“神をも恐れさせる最強の古龍”と謳われる煌黒龍と互角に渡り合う程だ。その力から付けらた異名が“古龍の王”であり、その名に恥じない自負と実力がある。
その赤龍が一瞬でも恐怖を感じる程の存在。それだけでこのドラゴンがどれ程の力を持っているか、想像したくもない程のものであることは間違いないだろう。
「……………」
にも関わらず、目の前のドラゴンは何もせず赤龍を見詰めるだけである。滅びという言葉が具現化したような気配だと言うのに、何もしないというのは気味が悪い。
赤龍はどうするべきか迷う。このまま放置するのは流石に無理だが、実力行使での戦闘も煌黒龍とのダメージを引き摺っている為勝つ可能性が低いだろう。
ここに来たということはこのドラゴンも何か目的がある筈だが―
「グオオッ!!」
「ッ!? オオン!!」
ドッゴオオン!!
―無造作に、息をするようにドラゴンが口から火球を放った。赤龍もその速さに驚きながらも即座に光線を放って反撃する。
互いに小技程度の攻撃だったにも関わらず、大爆発を引き起こし、谷全体を揺るがした。
「……………!」
「……………」
攻撃は相殺された為、互いに無傷だった。が、赤龍はドラゴンの放った火球の破壊力に驚愕する。
見た目としては火竜の放つそれと大差ないが、内に秘められた火力が段違いだ。
赤龍は確信した。今ここでこのドラゴンを敵に回せば勝てない。全快なら勝負できるだろうが、消耗したこの状態ではまず無理だ。というより、勝つイメージが湧かない。
勝てる可能性はある。ある筈なのだが、このドラゴンが纏う得体の知れない気配が無いかのように錯覚させる。
「グオアアアアァァァァ!!!」
「!!」
その時、急にドラゴンが全身を使って吼える。
谷全体を震わせるその咆哮に、赤龍は遂に後に退けなくなったかと身構えるが―
「…!!」
「!」
―ドラゴンを翼をはためかせ、谷の最深部から一気に地上に向かって飛翔する。
谷底には、呆然とした赤龍だけが取り残された。結局あのドラゴンの目的は分からなかったままだ。赤龍を目的に来ていたのは間違いないと見て良いだろうが…
「グオン…」
赤龍はそこまで考えた所で思考を停止させた。恐らくもう考えるだけ無駄だ。煌黒龍との戦闘中に感じた気配、あれは恐らくあのドラゴンのものだ。
相対して確信したが、あれは根本的に赤龍や煌黒龍とも違う。形は生物なのだが、それ以外が何も分からない。何を考えているのかも。
もしあのドラゴンが特定の何かに牙を剥けば、間違いなくこの世界は滅亡する。赤龍はそう思った。
「グオオオオ…!」
その矛先が自身に向いた時には、叩き潰すまでだが。
赤の始まりと黒の終わりの邂逅は、ここに終結した。
得体の知れなさを表現するのって難しいね。言葉が使えないからなおさら。
最近マジでやること、やりたいことが多過ぎるんだよねー。時間が足りねえ!!
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