やっぱりワールドのラギアと同じ様に接地面が多いと処理が多くて大変なんだろうか。
それではお楽しみください。
“氷海”
極寒地帯の中にぽっかりと浮かぶ氷山。周囲から見れば陸の孤島のような状態だが、モンスター達は逞しく生きている。
当然極寒に耐性のあるモンスターに限られるが、それでも縄張りと定めて暮らすモンスターもいる。
その内の一体として代表格なのはこのモンスターだろう。
「パオオオオオ…」
深い青を基調とした体毛に白い体毛が模様のように混ざり、頭部から背中にかけて赤い体毛がラインのように生えている。
氷の大地を踏み締める度に軽く振動が起こり、その体高は全モンスターの中でも圧倒的なもの。頭部を守る頭角はまるで一つ目の巨人のようにも見える。
そのモンスターの名は“不動の山神”、巨獣ガムートであった。
巨獣は氷山に続く坂道を苦ともせずにのしのしと登っていく。その様子は巨獣の体躯も相まって非常に迫力のある光景となっていた。
目指すのは洞窟。極寒に耐性があると言えども一日中活動していられるわけではなく、休息や睡眠時ぐらいはある程度風が凌げる場所で取りたいものなのだ。
「?」
そして洞窟に入り周囲を見渡すと、妙な物が目に入った。
地面に刺さった小さなそれは、紫色の板のようなものだった。少し警戒しながら巨獣が鼻を使って臭いを嗅ぐと、他のモンスターの臭いが感じられた。
そして更に集中して周囲の臭いを嗅いでみると、同じ臭いが周囲からも感じられた。
その臭いの元を辿ってみると、紫色の板はあちこちに設置してあった。
巨獣はこの板は別のモンスターによる縄張りの主張なのかもしれないと考え、踵を返して洞窟の外に出ようと考えた。
また寒さを凌げる場所を探すのは面倒ではあるが、面倒な輩に絡まれるのはもっと面倒だ。
そう考えて一歩を踏み出すと―
バシュッ!!
「パオオッ!?」
―何かが放たれる音が聞こえたかと思うと、巨獣の足に軽く痛みが走った。何事かと思い周囲を見渡そうとすると―
バシュシュシュッ!!
「ッ!?」
―更に複数の攻撃が別々の角度から巨獣に襲い掛かって来た。幸い威力自体は大したものではない為、巨獣にとっては大した痛手にはならなかった。
だが、“攻撃”が、“別々の角度”から来ることはおかしい。敵の姿が見えないというのも不気味である。
先程から臭いで索敵しているのだが、どこかに隠れているような気配もない。巨獣が周囲を見渡して警戒していると―
ピシ…パキッ…!
「?」
―僅かに氷にヒビが入る音が聞こえた。巨獣が訝しんで地面を見詰めていると―
ピシィ…!バリィン!!
「パオオッ!?」
―一気に氷を突き破り、地面から何かが飛び出して来た。
“それ”は人間で言う所のアッパーカットの要領で巨獣の頭部を撃ち抜いた。
巨獣はその攻撃の威力にそのまま背後に倒れ込む―
「パオオオオオ!!」
「ガアアアアア!?」
―鼻を使って襲撃者の身体を捉えると、そのまま地面に強く叩き付けた。
叩き付けられた襲撃者は地面をのた打ち回りながらも体勢を立て直し、巨獣から距離を取った。
その姿は寒冷地に生きるモンスターとしては少々浮いている見た目だった。
青と紫色が混じった寒色系の甲殻に覆われ、とぐろを巻くその姿は蛇のようだ。背中と尻尾からは地面に刺さっていた板のような甲殻が確認できる。
このモンスターは絞蛇竜と呼ばれるモンスターの亜種―
「シュルルルルル…」
水蛇竜は別れた舌をチロチロと出して巨獣を見詰める。
この辺りは水蛇竜の縄張りである為、水蛇竜の目的は縄張りに侵入した巨獣の排撃と見られる。
蛇らしく狡猾な水蛇竜には圧倒的な巨体を持つ巨獣を倒す算段もあるようだった。
「パオオオオオ…!」
巨獣も鼻を吹き荒らして水蛇竜に威嚇する。
巨獣自身は逃走することに対して忌避感はないが、機動力に乏しい巨獣が小回りの利く水蛇竜から逃げるのは難しいだろう。
どうにか叩き潰して水蛇竜が追跡できない状態まで追い込まなければならない。
そして巨獣は大地を鼻息を荒くし、水蛇竜は身体を震わせ―
「パオオオオオォォォォォ!!!」
「ガアアアアアァァァァァ!!!」
―洞窟内を咆哮が震わせた。
―NowLoading―
「シャアアアアア!!」
水蛇竜は身体をくねらせ、巨獣の目を欺きながら尻尾から甲殻を撒き散らす。
距離の取り方も巨獣の攻撃がギリギリ届くかどうかと言った間合いであり、水蛇竜の知能の高さが伺える。
「パオオオオオ!!」
だが動きを追えないからと言って巨獣が大人しくしている筈もなく、猛りながら鼻から冷気を噴射し、それを薙ぎ払うことで甲殻を砕いていく。
仕組みは分からないが、最初の攻撃と言い今もばら撒いている事と言い、何か水蛇竜にとって都合が良いのは間違いない。
小細工を弄してくるのなら、その細工ごと叩き潰せば良い。それが巨獣のやり方である。
そして周囲の甲殻を全て砕き、巨獣が向き直ると正面に水蛇竜はいなかった。巨獣がどこから襲い掛かって来るのかと身構えていると―
「ガアアアアア!!」
「パオオオオオ!!」
―巨獣の側面から水蛇竜が飛び出し、そのまま巨獣の胴体に噛み付く。
水蛇竜の牙には麻痺毒が含まれており、小さな身体の生物であれば噛み付かれた時点で動けなくなるが、巨獣はその規格外の体躯故に麻痺毒が簡単には回らない。
「シュルルルルル…!!」
「パ…オオオオオ…!」
だからこそ、更に追撃として巨獣の身体を絞め上げる。
真正面からの力比べでは水蛇竜は巨獣に敵わないが、単純な体長なら水蛇竜が上回っている。
格下に使うような全身を絞め上げての圧殺はできないが、首を絞めれば当然酸欠に陥る。
水蛇竜は自身の身体を巨獣の首に巻き付け、そのまま絞めたのだ。
巨獣はパワーこそ凄まじいが、身体の小回りは全く利かない。
真正面からの力比べやぶつかり合いにはめっぽう強いが、特異な戦法を扱ったり、搦め手を使うタイプには回避という選択肢が取れない以上食らってしまうのだ。
当然今の絞めも巨獣の体躯故にとてつもない硬さが帰ってきているが、力めばその分体力の消耗も早まり、酸素も足りなくなっていく。
このまま耐えることができれば自分の勝ちだと、水蛇竜は確信していた。
だが、水蛇竜は知らない。
巨獣が“不動の山神”の異名を冠している意味を。
「パオオオオオ…!!」
「!?」
巨獣は水蛇竜に首を絞められながらも鼻を伸ばし、巻き付いている水蛇竜の身体を捉える。
水蛇竜は巨獣のパワーに目を見開く。少しの反撃もできないよう鼻も自身の身体で抑えつけていたのだが、強引に押し退けて来た。
このままではまずいと、水蛇竜は更に絞め付ける力を強めるが、巨獣はものともせずに水蛇竜の身体を強く抑える。
思わずその力の強さに水蛇竜が拘束を弱めてしまうと―
「パオオオオオォォォォォ!!」
ズドォン!!
「ガッ…!?」
―それを察知した巨獣が水蛇竜を引き剥がし、そのまま地面に叩き付けた。
水蛇竜がその威力にのたうち回っていると―
「━━━━━━━━━━ッ!!」
「ガアアアアア!?」
―そのまま轢き潰すようにして水蛇竜に突進し、吹き飛ばした。
そう、巨獣が“不動の山神”という異名を冠しているのも、全モンスターの中でも特に低い機動力でありながら各フィールドの主に引けを取らない危険度とされているのも―
―単純に、その巨体による攻撃力と防御力が他のモンスターとは一線を画しているからである。
攻撃力は巨獣が暴れることで雪崩が警戒される程であり、防御力は轟竜の爪牙をものともしない数少ないモンスターとされている。
そんな巨獣を打ち倒そうとするなら多少の小細工を弄した所で真正面から粉砕されるだけであり、巨獣を倒せるとしたら巨獣の防御力を強引に突破できる攻撃力を持つモンスターでなければ難しい。
「パオオオオオ…!!」
首の調子を確かめるように巨獣は頭を振り、水蛇竜を睨み付ける。防御力が高いと言えども折られれば死に至る首に何発も攻撃を食らえば流石の巨獣もダメージを負う。
だからこそ、できることなら水蛇竜には撤退を選んで欲しいのだが…
「シュルルルルル…!」
「!」
水蛇竜は容易く起き上がり、巨獣から距離を取って睨み付ける。
背中や身体の甲殻が所々ヒビ割れていることからダメージがあるのは間違いない。
だが、怒りと殺意に満ちた瞳は撤退するモンスターのそれではない。巨獣は警戒しつつも水蛇竜が撤退を選ばないことに疑問を抱く。
自分以上に大きなダメージを負った水蛇竜は先程と同じ様な力は出せない筈だし、骨格を見ても突進をしたとしても自分にダメージを与えられそうにない。正直分の悪い選択だと思ったが、その程度のことを狡猾な水蛇竜が理解していない筈もない。
一体何を考えているのか…そう思っていると―
「シュルルルルル…!!」
「!」
―水蛇竜は身体をくねらせ地面に潜って行った。そのまま姿を消し、巨獣はまた奇襲を仕掛けて来るのかと身体を強張らせるが、しばらく何も起こらず、危険な気配もしなかった。
やはり勝つ可能性が低いと察して逃げたかと巨獣は考え、また別の洞窟を探そうと外に足を向ける。
パキ…パラパラ…
「!」
巨獣が歩いていると、洞窟の天井から氷の破片がパラパラと落ちて来た。水蛇竜が地面に潜ったこともあって少し脆くなっているだけだろうと、巨獣は気にせず進もうとするが―
パキッ…ピシィ…!
―明らかに先程よりも大きくヒビが入る音が聞こえ、巨獣は思わず天井を見上げる。
すると地面の方からヒビが天井の方まで入っているのが見えた。しかもそのヒビは天井にどんどん広がっているようだった。
巨獣がまずいと感じて洞窟の外まで駆け出そうとするが―
ピシィ…バキィ…!バゴォ!!
―天井にヒビが広がって一気に崩落し、巨獣の身体は崩落の中に消えた。
―NowLoading―
完全に洞窟が崩壊し、外から見ると砕けた氷塊が小山のように積もっていた。深々と雪が降り、僅かに凍える風が吹く中、崩壊した洞窟から少し離れた地面にヒビが入る。どんどんヒビが大きくなっていくと―
「シュルルルルル…」
―そのヒビから出てきたのは水蛇竜だった。
今の自身の身体では巨獣を倒すことができないと思った水蛇竜は、地面に潜って周囲の地盤を緩くして崩落させることで巨獣を圧殺しようと考えた。
巨獣を圧殺するとなると、並の質量攻撃では中途半端に終わってしまう為、いっその事全て崩壊させたわけだが、いくら巨獣と言えども洞窟そのものの崩壊に巻き込まれて無事であるとは考え辛い。全く動きがないのを見るに絶命した可能性が高いが…
ガラ…
「!」
水蛇竜がじっと見詰めていると、崩壊した破片の内の一つが音を立てて落ちる。水蛇竜はすぐに構えるが、特に何も起こらない。
気の所為だったか…と、水蛇竜が安心した時―
ガラ…パラパラ…ゴゴゴゴゴ!!
「パオオオオオォォォォォ!!!」
―巨獣が咆哮を上げながら氷塊の山を突き破って来た。
その巨体は傷だらけで所々血が滲んでいる箇所もあるが、巨獣の瞳からは怒りと殺意が感じられ、その巨体も相まって凄まじい威圧感を放っていた。
「…ッ!」
そんな巨獣を見た水蛇竜の判断は早かった。身体をくねらせ、地面に潜って逃走する。
あの崩壊に巻き込まれて生きていられるのなら、もう自分のできる範囲では倒せない。これ以上殺り合えば間違いなく命を落としかねない為、水蛇竜は撤退を選んだのだった。
「パオオオオオ…!」
逃走した水蛇竜を見て、巨獣は忌々しげに鼻を鳴らす。
足の速さでは間違いなく劣っているし、地面を強引に鼻で引っ剥がすこともできるが、それができるのも自分の正面から少しの範囲程度しかできない為、水蛇竜を引っ張り出すのは無理だろう。
相手の都合で喧嘩を売られたにも関わらず、勝手に逃げたのは良かったと言えば良かったが、何だか後味が悪い。
「…オオオオオ」
だがあまり気に留めていても仕方ないと巨獣は気持ちを切り替え、最初の目的であって風を凌げる場所を目指して歩を進める。
余談だが、戦いのストレスと疲労によって巨獣の食事量が増えた所為なのか、氷海で確認される数少ない植物が一切確認されない時期があったらしい。
この二匹が同じエリアにいたらめっちゃ狭そう(小並感)
評価、感想もよろしければお願い致します。
それでは次回をお楽しみに。
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