それではお楽しみください。
“シュレイド地方”
かつての時代において、世界に君臨した大国が存在していた地方。だが何らかの要因によって王国は消え去り、今は東西に分かれて王国は存続している。
東シュレイドは険しい山岳に囲まれた盆地に位置する上にかなり北に位置しているため、冬が非常に長く厳しい。都市の内部はレベルの高い防寒設備が整っているが、それでも訪れる場合はホットドリンクの常備を推薦される程の寒冷地域である。都市の中央部にはモンスター監視用と考えられる巨大な物見の塔がある。
他にも街の名物としてモンスターを利用したソリに乗って交易を行うキャラバンが有名だ。
西シュレイドは東シュレイドとは逆に温暖な気候であるが、その分モンスターの襲来も多く、バリスタや大砲が都市に配備され、城塞都市と言った様相になっている。
この二つの都市の間に旧王国跡地があるのだが、この場所は戦争を防ぐ為に中立地帯として定められており、その影響で現在東西間での交流はほぼ0である。
だが、東西間での交流がないのは、中立地帯という事だけでなく、ある噂も関連している。
いつの間にか何処からともなく呟かれていた、不気味な噂だ。
だが、それを裏付けるような話もいくつかある。シュレイド地方の中にもモンスターの領域は広がっているのだが、何故かどのモンスターも旧王国には近付かない―自然の具現化たる古龍であっても、それは例外でなく、旧王国の真上に位置する空域には決して近付かず、近くまで来たとしても踵を返して去って行く。
他にもハンターが何人も調査しに派遣されたものの、ほとんどが帰還することはなく、僅かに帰還できた者達も遅かれ早かれ失踪したという。不気味な唸り声や震動を感じたという噂もあり、気味の悪い雰囲気を放っていることから、旧シュレイド王国は世界一危険かつ恐ろしいホラースポットとして名を馳せている。
シュレイド地方には、古くから存在していることもあって多くの伝承、御伽噺もある。だがその内いくつかは子どもが唄うとは思えない程に恐ろしいものもある。中にはそれが王国の滅亡と関係しているのではないかと噂する者もいるが、真相は定かではない。
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“旧シュレイド王国、城下町付近”
朱く染まる空に、不吉な黒雲。生命の気配が一切感じられず、かつて栄えた都市だけが残り、終末の雰囲気が漂うこの場所が、旧シュレイド王国だ。
人類の領域から切り離されたのは、何も王国の中心だった城だけでなく、平民の生活の支えであった城下町も同じ。民家の形だけは残っているものの、それ以外は全て無くなっていた。
その城下町の直ぐ側を歩む、巨大な影が一つ。
「オオオオオ…!」
50メートルを越える体躯に、真紅の重厚感を感じる甲殻、頭部から生えた聳え立つような一本角。近くで見ると小山のようにも思えるそのモンスターは、超大型モンスターという枠組みの開祖とも言える存在―
老山龍は黒ずんだ城下町を背後にして、跡地から離れるようにして歩んでいた。老山龍が一歩歩を進める度に小規模の揺れが起こる。
時の流れが進み、老山龍を上回る、あるいは同程度の体躯を持ちながら天災級の能力を行使する古龍が確認されてきたものの、老山龍自身を軽視してはいけない。過去には老山龍の進行逸らすために建設された巨大柵を呆気なく破壊し、進路上の村を跡形もなく消え去ったという被害すらある。
“動く霊峰”、“歩く天災”と称される程の影響力は伊達でもなんでもなく、大地を進めば地震を起こし、全力で吼えれば山を崩壊させる。特殊な力こそなかれど、自然の具現化たる古龍なのだ。甘く見るなど愚の骨頂にも程がある。
「グルルルルル…!」
その巨体も相まって、天敵など存在しないようにも思える老山龍。幻獣のように相性の悪い相手がいるわけでもなく、単純に大き過ぎる為ほとんどのモンスターは手が出せないだろう。
だが、老山龍の様子が少しおかしい。
しきりに辺りを見回し、警戒を通り越して怯えているようにも見える仕草だ。
少し話は逸れてしまうが、こんな逸話がある。老山龍が街に接近して来た為、ハンターを動員し撃退作戦を決行。結果として撃退に成功したものの、その場にいたハンターや戦闘の様子を見ていた人間、竜人族の報告によると撃退した老山龍の様子が明らかにおかしかったのだと言う。
「まるでその場にいない“何か”に怯え、それから逃げるように去って行った」
老山龍が地上に現れて進行する理由は未だに解明されていない。最も有力とされている説は老山龍は普段地中にて休眠しており、活動周期が非常に長い為に休眠中している老山龍の縄張り上に人間が文明を築き、結果として老山龍は人間の街に進行しているだけであり、目的は“縄張りの巡回”なのではないかとされている。
だが、まことしやかに囁かれているもう一つの説は―
―老山龍を脅かす程の力を持つ“何か”が存在し、老山龍はその存在から逃げる為に結果として進行しているのではないかという説である。
だが、ここでこの説を成立させるには“老山龍を足蹴にできる程の存在”がいるということになる。地上で確認されている古龍、古龍級生物を含めても老山龍を一蹴できる程のモンスターはおらず、ただの与太話、なんなら怯えているように見えたのも撃退中の威嚇をそう見間違えただけだろうというのが世間一般的には常識である。
だが、どれも所詮は人間の視点から見た憶測でしかない。老山龍が何を目的に進行しているのか、この先分かることもあるかもしれない。
ゴゴゴゴゴ…!!
「!」
すると突然、王国全体が揺れ始め、老山龍はその巨体を震わせて周囲を見渡す。揺れは収まることがなく、むしろどんどん大きくなっていき、遂には脆い民家は倒壊し始めた。土煙が上がる中、その向こうに巨大な影が現れる。
「ッ!! グオオオオォォォォ!!!」
老山龍はその影を見るや否や全力で吼え、周囲の空気を震わせる。咆哮の風圧で土煙が晴れ、その向こうに現れた影の正体が明らかになる。
「グルルルルル…!」
全身を黒い甲殻に覆われ、下半身から伸びる長い尻尾、身体を覆うことができるのではないかと思える程の巨大な翼、頭部から戴く四本の角。総じてまさに“ドラゴン”と感じる見た目をした巨龍は老山龍を見て舌なめずりをする。人間も行うことがあるなんてことのない行動だが、そのドラゴンがすると得体の知れない恐怖を感じる。
「…ッ!! オオオオオ!!」
ドラゴンの威圧感に老山龍は一瞬後ずさってしまったが何とか堪え、猛りながら猛進する。ハンターが見たことのある“歩行”ではなく、外敵を排除する為のれっきとした“攻撃”。当然その威力は凄まじい。
「オオオオオ―」
「!」
突撃してくる老山龍を見てもドラゴンは特に動揺することもなく、空へ飛び立つ。老山龍は飛び立ったドラゴンを目で見て追う。ひょっとして偶々現れただけで戦うつもりはなかったのかとも思ったが―
「ゴオオオオオ…!」
「!」
―そんな考えは次の瞬間に吹き飛ぶ。ドラゴンは空中でこっちを向き、大きく息を吸い込む。その口内から漏れ出る炎を見ると、とても大人しい結果に終わるとは思えない。
老山龍はなんとかして逃れようと、その場の地面を掘り始めるが―もう遅い。
「――――――――――ッ!!」
―ドラゴンから凄まじい規模の劫火が放たれ、あっという間に老山龍を飲み込む。それだけに飽き足らず城下町を丸々炎で覆い尽くし、その背後の城すら燃やし尽くす。
おおよそ一個体の生物が生み出すと思えない程の炎だ。これ程の火力は炎王龍や炎妃龍ですら出せない。というか炎に限らずどの属性に広げても不可能だ。
「オオオオオ…!」
そして数十秒間劫火を放ち続けたドラゴンは地上に降り立つ。そこに広がっているのはまさに焦土と言う他なかった。形だけは残っていた城下町も、そこにいた筈の老山龍も、かなり後方に在った筈の城すらも、無くなっていた。この日を以って、シュレイド王国を証明する存在は消え去ってしまった。
在るのは佇む存在のみ。生物でありながら、破壊という行動に特化し過ぎているように思えるような存在。今も昔も、その在り方は変わらない。抗いようのない―“現象”を示す名前。その者は―
「グオアアアアアァァァァァ!!!」
この日、伝説は蘇った。
最終回みたいな感じになってしまった…文字数は少ないけどめっちゃ編集疲れた。
雰囲気ぶった斬りますがしばらくボレアスはお預けです。
評価、感想もよろしければお願い致します。
それでは次回をお楽しみに。
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