メインモンスター同士の争いも折り返しかぁ…
お待ちかねの古龍同士の争いまで頑張って走り抜けたい!
それではお楽しみください!
虫の羽音や、鳥の鳴き声、そういった生命を感じさせる音がほとんど聞こえず、耳に入るのは身を突くような風の音のみ。周りには色鮮やかな植物なども見られず、一面の白だけが目に入るこの地の名は“雪山”。
ここでは寒さによって、防寒性能があるモンスターでなければ生息することが出来ず、生息出来たとしても、そもそも動植物の数が他の土地より少ない為、日々過酷な生存競争が行われている。
そしてその生存競争はやはり草食種のモンスターが狙われやすい。他の土地より肉食の竜が少ない為、多少は生き延びやすいのかと聞かれると、全くそんなことはない。だからこそ、この厳しい世界を生き延びる為に知恵を働かせて工夫しているのだ。―今の彼らのように。
雪山の中腹辺りで、とある草食種の一団が群れていた。そのモンスターは茶色く毛深い体毛に覆われ、あまりの毛深さに目がどこにあるのか分からず、辛うじて確認出来るのは、象のように伸びた鼻と、その下から見える口元だけだ。
そのモンスターの名はポポ。寒冷地の村では労働力としても飼育されている草食種のモンスターだ。またその肉がかなりの美味であり、寒冷地では貴重なボリュームのある獲物であることから肉食のモンスターに狙われることも多い。
そんなポポの群れの中に二匹の目立つモンスターがいた。
一匹は体長四、五メートルのポポよりも小さくその体毛はポポとは違い雪のように真っ白な体毛をしていた。
これだけでも目を惹くが、更に気になるのはポポの群れの横にいるもう一匹の方だろう。
象のような見た目だが、全身を濃い青の体毛に覆われ、背中には赤の体毛が線のように生えており、4本の足は堅牢な甲殻を纏っている。頭部には巨大な巨人の一つ目にも見える堅牢な甲殻から偉大にも思える牙と、長い鼻が伸びており、鼻の先には棘が生えている。これだけでも、十分象とは見た目以外かけ離れているが、最も凄まじいのはその大きさ。全長自体は大型の飛竜と同程度なのだが、全高が大型飛竜の比ではない。10メートル以上はある高さだ。その体格から感じる風格から“不動の山神”とも呼ばれ、とある地方では斬竜や泡狐竜とも並んで“四天王”の一角に数えられる牙獣―
―そう、巨獣がポポの群れに付き添っているのだ。
巨獣とポポは似た見た目をしているが、流石にポポを気遣って保護しているという訳ではない。
ならば何故付き添っているのか―それは自身の子供を保護して貰っているからだ。
そう、ポポの群れの中にいる白い体毛が生えた小さなモンスターは、巨獣の子供なのだ。
巨獣は強大なモンスターであり、その分厚い体毛と体格は大抵のモンスターからの攻撃は歯牙にもかけない。―が未熟な幼体の頃はそうも行かず、天敵とも言えるモンスターも存在する。
それに巨獣は巣を築いたり、群れで子育てを行う生態ではなく、子供と共に放浪しながら、母親単独で子育てを行うのだ。いくら強大な力を持つ巨獣とはいえ、一匹で外敵から子供を守るには限界がある。子供もその白い体毛を活かして雪に擬態することで身を守るが、それも確実とは言えない。
そこで巨獣は子供をポポの群れに入れて貰い、その子供を守る為に結果として、ポポも巨獣の保護を受けることができ、強大な捕食者達から身を守ることが出来るのだ。
それはあくまでも利害の一致による協力体制であり、情による情けなどではないのだが…この巨獣は子供を匿って貰っているこのポポの群れに対して身内に向ける愛情に近しい感情を抱いていた。
このポポの群れにも子供がいるのだが、巨獣の子供と頻繁に仲良く遊んでいるし、互いに毛繕いをしている事もある。
何なら巨獣自身も、どうしても鼻が届かない背後の毛繕いを時折大人のポポ達にして貰ったりしている。―故にこの巨獣にとっての家族は自身の子供だけでなく、ポポの群れも含まれるようになっていた。
―その時だ。
「!、パオオ!」
「!」
巨獣が急にポポや子供に対して警戒を呼び掛けるようにして声を上げる。巨獣は目や耳が特別良い訳ではないが、臭いを嗅ぎ分ける嗅覚が発達している為、普通に歩いている時も警戒は欠かしていないのだ。そしてこの臭いは―
―雪山にはない乾いたような臭いと、こびりついたような血の臭いだ―そう思った次の瞬間、
「ガァァァァァァァ!!」
「ッ!オオ!」
「ブオオ~!」
上空から巨大な何かが巨獣に向かって強襲を仕掛けて来た。そしてその何かは執拗に巨獣に対して噛み付いて来る。巨獣がその相手をしている間にポポ達は逃走を開始する。下手に心配して近くに残ってしまうと巨獣が戦いづらくなってしまうのだ。巨獣が心置きなく戦えるようにする為にも、急いで離脱しなければならない。
変わらず巨獣は襲撃者から噛み付かれ続けているが、巨獣は怯むどころか襲撃者の身体を鼻で捉えると―
「パオオ!!」
「ガァァ!?」
―思い切り大地に叩き付け、自身の身体から引き剥がした。だが相手も一枚岩ではないらしく、即座に体勢を整える。
―そして巨獣は襲撃者の姿を捉える。
全身黄色と青色の虎目模様の甲殻に覆われ、四肢を地面に着け、翼と前足が一体化している迅竜と同じ骨格、俗に言うワイバーン骨格になっている。その顔は見た者の大半が恐怖を覚えるような、万人が“恐竜”という言葉を聞いて思い浮かべるような凶悪な顔つきをしていた。そのモンスターは“絶対強者”とも呼ばれるモンスター―
「ガァァァ!!」
「パオオオ!!」
轟竜は顎を開閉しながら威嚇し、巨獣も鼻息を荒くして威嚇する。轟竜の凶暴性は見た目に見合ったものであり、巨獣もまた、身内以外には容赦なく、一度怒らせて暴れさせれば手に負えない程凶暴だ。
だが、それ以前に両者の間には因縁が存在する。何せ巨獣が幼体の頃に天敵と言える存在は他でもない轟竜なのだ。轟竜は本来、砂漠や火山などの高温地帯を主な生息地としており、雪山のような寒冷地への耐性は高くないのだ。ならば何故わざわざ生息地でない雪山を訪れるのか―
―それはポポを狙って来ているからだ。前述した通りポポの肉はとても美味であり、ティガレックスもポポの美味さを理解し、それを味わう為に多少の無理をしてでも雪山に訪れるのだ。そしてその時に、幼体の巨獣は轟竜に狙われることが多い。その狙われた時に巨獣の幼体は轟竜にトラウマを憶え、そのトラウマが強ければ強い程、成体になった時に轟竜に対する攻撃性が高くなるのだ。
そしてこの巨獣も幼体の頃に轟竜に襲われたことがある。その時に憶えたトラウマは勿論、我が子とポポの群れを守らねばならない、その意志を固めた巨獣からはとてつもない威圧感を感じる。
だがそのプレッシャーを肌で感じながらも、轟竜も退くつもりはない。あの味を求めて、こんな所まで来たのだ。多少手強い相手と出会ったからといって、折角見つけた獲物を逃すつもりはない。
そう意志と覚悟を固め、互いに因縁を持つ二匹はにらみ合いー
「パオオオオオオオオオン!!!」
「ガアアアアアアアアアア!!!」
―雪山に轟く咆哮を開戦の合図とした。
「ガァァ!」
轟竜が凄まじい勢いで巨獣に向かって突進する。ただの突進と侮るなかれ、轟竜の突進の速度は時速50キロを超えるのだ。
人間は勿論、モンスターであろうとも、直線距離の速度で轟竜に勝てる者は少ない。そしてそれは巨獣も例外ではない。というより、巨獣はその巨体故にほとんどのモンスターに速度で敵わないのだ。―速度のみに限った話だが
「パオオ!」
「ガァァ!?」
巨獣は向かって来た轟竜を鼻を振り上げて思い切り振り下ろし、轟竜の突進を強引に止めた。巨獣は確かに速度だけ見れば大型モンスターの中でもかなり遅い方だ。
だがその巨体故の脂肪の分厚さ、そして毛深い体毛によって生まれる防御力、体格を活かした質量攻撃は雪が降り積もった地面を砕き割る程の威力なのだ。
どんな者であろうとも、生半可な攻撃には動じず、叩き潰すからこそ巨獣は“不動の山神”の名を冠しているのだ。実際寒冷地に生息するモンスターで純粋な攻撃力で巨獣に敵うモンスターは、古龍と古龍級生物を除けば存在しないだろう。
―だが、轟竜もまた、この程度でダウンするようでは“絶対強者”は名乗れない。
「ガァァ!」
「パオオ!?」
轟竜は巨獣の鼻を強引に突破し、巨獣の頭部を覆っている堅牢な甲殻に噛み付くと同時に爪を立てて引っ掻き二本の後ろ足で身体を支える。巨獣の頭部の甲殻はかなり硬く、轟竜の顎を以てしても簡単に砕くことは出来ないが、確実に罅を入れていく。
巨獣は今度は突進で轢き倒すことで轟竜を引き剥がそうとするが、それと同時に轟竜が噛み付くのを止め、巨獣の頭部を前足で挟み込み、力を入れる。巨獣はそれを少し不審に思ったものの、―この程度の力では自身の頭部は砕けない―そう思い、構わず轢き倒そうとした瞬間―
「ガアアアアアアアアア!!!」
―轟竜の口から凄まじい咆哮と共に衝撃波が放たれた。
「パオオ!?」
流石の巨獣も至近距離で大音量と衝撃波をもろに受け、そのダメージに思わず少し下がってしまう。
そう、この凄まじい咆哮こそが“轟竜”という異名で呼ばれる所以なのだ。角竜が放つ耳をつんざくような声量による咆哮とは少し違い、轟竜は体内に“大鳴き袋”と呼ばれる器官があり、そこから思い切り叫ぶと同時に衝撃波を発生させているのだ。
そして巨獣が怯んだ隙を轟竜は見逃さない。バックステップで一旦巨獣から距離を取ると、今度は突進で真正面から挑まず、四肢に力を入れると―
「ガァァ!!」
「パオオ?!」
―思い切り跳躍し、巨獣の背中に飛び付き、今度は背中に牙を突き立てる。巨獣もどうにか引き剥がそうと鼻を伸ばし、暴れるが、巨獣は頭部のやや後ろまでしか鼻が届かない為に轟竜を上手く捉えられず、尻尾や後ろ足なら掴める範囲なのだが、滅茶苦茶に暴れている為、中々捕まえられない。万事休すかと思われたが―
「パオオオ!!」
「ガァァ!?」
―何と巨獣は自身の上半身を持ち上げ、二足のみで立って見せたのだ。
そして当然、巨獣に捉えられないよう巨獣の身体の後方に体重をかけていた轟竜は踏ん張りきれずに巨獣の上からずり落ちてしまうが、下が雪である故に大したダメージではない。すぐに体勢を立て直し、巨獣に視線を向けると―
「ガァァ!?」
―次の瞬間には吹き飛ばされていた。巨獣の方を見ると、尻餅をついたような姿勢になっている。
そう、巨獣は轟竜を振り落とした後、上げた前足を自身の身体の懐に引き寄せるように思い切り下ろしたのだ。そしてそれと同時に尻餅をつくように尻を思い切り突き出し、俗に言うヒップアタックを轟竜に行ったのだ。字面だけ見るとギャグのようだが、巨獣の体格で行うと洒落にならない威力になるのは吹き飛ばされた轟竜が証明済みだ。
「ガルルル…!」
ふらつきながらも立ち上がった轟竜の腕の血管が浮き上がったように赤く染まり、瞳も同じように赤く染まっている。轟竜の怒りが頂点に達した証拠だ。
「バオオ…!」
そして巨獣も、見た目こそ変わらないものの、鼻息を更に荒くし、いい加減立ち退かない苛立ちを感じながら轟竜に向き直る。
共に怒髪天に至った二匹は―
「バオオオオオオオオン!!!」
「ガアアアアアアアアア!!!」
―互いに譲れないものの為に、怒りの咆哮を上げる。
―数時間後
「ゼェ…ゼェ…、ガァァ!」
戦いは泥仕合だった。轟竜は流血こそ少ないものの、あちこちの甲殻が罅割れていたり、凹んでおり、顔や前足は巨獣が鼻から放った冷気のブレスにより、霜が付いたように半ば白く凍ったような状態だった。対する巨獣は―
「バオオオオオオン!!!」
―咆哮を上げて突進し、暴れまわっていた。轟竜と違って無傷という訳ではない。頭部を覆う甲殻は罅割れているし、青い体毛のいくつかの場所からは深い血の赤によって染まっている。それでも巨獣は受けたダメージを力に変えているのではないかと思えるぐらいに止まらなかった。轟竜には巨獣が何の為に戦っているのか理解出来なかった訳ではないが、ここまでダメージを負ってこれだけ暴れられるのは分からなかった。
だが巨獣からすればこんな傷は屁でもなかった。痛いのは嫌だが、それ以上に自身の大切な家族が奪われるのはもっと嫌だった。自分が負ければ、子供もポポの群れも全員殺される。それを考えれば、絶対に負ける訳には行かなかった。母として―
「バオオオオオオン!!!」
「ガァァ!?」
―それは当然の想いだった。
「バオオン!」
「ハァ…!、ガァァ…!」
轟竜が巨獣に吹き飛ばされ、またダメージを負った轟竜は考える。まだ瀕死という程ではないが、生息地へ帰る為の体力を考えると、これ以上の戦闘は避けたいが、まだ巨獣は倒れそうに無いし、だからといってやり過ごせそうにない。いくら勿体ないと言っても、食事一回の為に命まで賭けるのはリスクが高過ぎる―そう考えを纏めた轟竜は―
「…ガァァ!」
「!、…パオオ…」
―翼を広げて撤退を選び、それを見届けた巨獣は追撃は行わずその場に膝を付く。タフネスと意地で誤魔化していたとはいえ、大きい傷を負っていることに変わりはない。
そんな巨獣の元へ―
「パオオ!」
「ブオオ~!」
―巻き込まれないよう避難していた巨獣の子供とポポの群れが心配そうに駆け寄ってきた。巨獣は膝を付きながらも、安心させるように鼻で頭を優しく撫でてやる。そして―
「プオオ!」
「!」
―巨獣の子供が声を上げてまだ短い鼻を伸ばして巨獣に向けて何かを差し出す。それは傷の治りを早くする効果がある薬草だった。ポポの群れを見ると彼らも同じ薬草を全員が所持していた。
それを見て巨獣は思うーやはり守って良かったと。異種族でありながら、固く結ばれた彼女らの絆は、誰にも否定することは出来ない、確かなものだった。
頑張るお母さんは強いよって話。
怒り状態の攻防はどうしようかと思ったけど、二匹共あまり変わり映えしないと思ったのでカットしました。5000字いったので許して…
今回割と明確に勝敗が決した感じあるけど、寒冷地出身の中だと最高峰の防御力+攻撃力、更にママバフがあるガムちゃん相手に、多少の寒さデバフ入るティガちゃんは流石に分が悪いかなぁって。
まあそれでもだいぶ健闘したし、実質ムチムチの人妻(!?)のヒップアタックっていうご褒美(!!??)もらえたから許してティガちゃん。
評価、感想もよろしければお願いします!
それでは次回もお楽しみに!
メインモンスター+αでコイツが好き
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リオレウス
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イャンガルルガ
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クシャルダオラ
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エスピナス
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ティガレックス
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ナルガクルガ
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ラギアクルス
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ジンオウガ
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ブラキディオス
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ゴア・マガラ
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セルレギオス
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四天王
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双璧
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ネルギガンテ
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イヴェルカーナ
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マガイマガド
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メル・ゼナ
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今回の司会ちゃん