それではお楽しみください。
“森丘”
のどかな陽光の下、多くのハンターの出発点となるフィールド。駆け出しのハンターが訪れるフィールドという事もあり、出現するモンスターも危険度が低いものが多い。
当然火竜や電竜と言った一級の危険度を誇るモンスターも棲み着く事があるので油断ならないが、フィールドを散策する上での危険はほとんどない。
「グモォ〜」
故に、草食種のモンスターも温厚なアプトノス等が生息している。森丘は気候も安定しており、食糧となる草にも困らないので、アプトノス達にとっては理想となる生息場所なのだ。
最近は近くのシュレイド王国跡地で起こった
しかし、戻って来たとて所詮は草食種。自然界における食物連鎖の中では最下位に位置するモンスターだ。まだまだ危険も多く潜んでいる。
「!」
集団で川の水を飲み、草を食んでいたアプトノスの内の何匹かが何かに気付いて顔を上げる。周囲を警戒するように見渡すが、特に何もいない。そのまま放置するかと思ったが―
「グモオオ〜!!」
「「「!」」」
―突然身体を持ち挙げて吼えた。急な出来事に他の個体も驚いたかのように顔を上げる。
そして皆食事を止めて一斉に駆け出す。気が触れたのではと思えるような光景だが、自然界に生きる一員である以上、無駄な事をする余裕はない。草食種であるなら尚更だ。
アプトノスに限らず、草食種という種は自分を脅かす事ができる存在に対して非常に敏感だ。理由は当然、自分達が弱く他の捕食者から見れば格好の獲物である事ぐらい理解しているからだ。
故に草食種は気配を察知する事に長けており、隣接するエリアに大型モンスターが現れた際には警戒するように周囲を見渡す。ハンターの間ではこの習性を利用してモンスターの動向を追ったり、一般人は草食種が警戒するような仕草をした際には速やかにその場を立ち去るようにする。
つまり何が言いたいのかと言うと、アプトノスが大急ぎでその場を立ち去るという事は―
―大型モンスター、あるいはアプトノスを脅かすモンスターが既にエリアにいるという事である。
「ギャウ!ギャウ!」
近くの背の高い茂みから飛び出して来たのは青を基調として黒のストライプ模様の細身な鳥竜種、ランポスだった。
茂みの中で襲う機会を虎視眈々と狙っていたが、アプトノス達の気付きが早かった事で仕方なく直接追う方向に切り替えた。機動力では上を取っているが、仕留め切るのは難しいだろう。ランポスは機動力には優れているが、反面攻撃の威力は乏しい。当然人間が食らえば重傷を負うだろうが、体躯の優れたアプトノスを仕留めるには少し心許ない。
だが、その辺りもランポス自身が何よりも自覚している為、ちゃんと対策は打ってある。
「ギャウオオオ!」
「ギャウ!」
「ギャウアアア!」
一際目立つ咆哮と共に複数の影が飛び出して来た。その内の先頭に立つ一匹は他の個体よりも二回り程体躯が大きく、頭部の赤いトサカと爪も凶悪に巨大化している。
このモンスターはドスランポス。ランポス達を束ねる群れの長である。ランポスを含めた鳥竜種は群れで行動し、機動力と数に物を言わせて獲物を仕留めるのが基本だ。
「ギャウ!ギャウ!」
「「「――!」」」
ドスランポスが号令のように声を上げると、ランポス達は囲い込むかのように陣形を作り出した。
鳥竜種の実力は長を含めた群れだとしても、大型の飛竜種には遠く及ばない。だが彼らも自分達では敵わない強者に抗う、あるいはやり過ごして生き残る術を模索し、日々を過ごしている。
彼らの小回りの利く機動力は、他のモンスターには中々見られない強みだ。それらが細やかな連携をするとなれば、大型飛竜でも手間取る事は間違いない。
なお、古龍や古龍級生物が相手の場合は当然蹂躙されて終わりである。いくら数を揃えようと蟻が象に勝てる事など無いように、鳥竜種程度で勝てるわけもないのである。
話が逸れてしまったが、彼らの連携は鈍足なアプトノスからすれば十分な脅威だ。特に子どもがいる場合には守るように連れ添わなければならない為、どうしても逃げ切るのは難しい。
「グモオオー!!」
アプトノス達もドスランポスの姿をハッキリと確認した為、仲間に危険を伝えながら猛進する。
「グモオオー…!」
だがやはり子どもが大人の全速力について行くのは難しい。子どもは必死に足を動かすが、段々と速度が落ちていく。
「! モオオ〜!!」
子どもが追いつかれそうになっている姿を確認した個体は、何匹か仲間を連れて子どもを庇うようにして殿に立つ。
「「ギャウ!ギャウ!」」
子どもに今にも飛び掛かろうとしていた複数のランポスは立ち塞がったアプトノスに対して「退け!!」とでも言いたげに威嚇する。
「グモオオ〜〜!!」
だがアプトノス達も当然退くつもりはなく、恐れるどころか逆に威嚇し返す。
「グウウ…ギャウッ!!」
そしてランポスが姿勢を低くしたかと思うと、吼えると同時にアプトノスに向かって飛び掛かる。小型モンスターとは言え、自身の体重と足の爪を活かした飛び掛かりは十分に脅威だ。特に今は複数の戦いである為、一度抑え込まれれば命を落とす事になるだろう。
「グモオオ〜ッ!!」
「ギャウッ!?」
しかしアプトノスも負けてはいない。唯一の武器である尻尾を振り回し、ランポスを吹き飛ばした。機動力で劣るアプトノスだが、その体躯は上手く活かせば立派な武器となる。
「ギャウア!!」
「ギャオオ!!」
「グモオオ〜!!」
しかし相手は複数、しかも連携こそが真価を発揮する相手だ。簡単に勝てる筈もない。一匹が返り討ちにあったのを確認すると、他の個体が間髪入れずに飛び掛かってきた。
アプトノス達も互いの前後左右をカバーするように集まり、必死に尻尾を振るって応戦する。その連携は草食種のわりにはかなりのものだった。だが―
「ギャウウ!!」
「グモオオ〜!?」
―やはり機動力と数の差は覆し難い。遂にアプトノスの隙を突いたランポスがアプトノスに噛み付き、押し倒した。
「ギャウアア!!」
「ギャウ!ギャウ!」
「グモ〜…!」
それをきっかけに連携を崩されたアプトノス達はあっという間に窮地に追い込まれる。どうにか押し返そうとするが、一匹が戦闘不能になった影響は大きく、一匹、また一匹と地面に抑え込まれて行く。
「ギュルルル…」
しかもこのタイミングでドスランポスも追いついて来た。ドスランポスは特に焦る様子もなく辺りを見渡す。
「モ…オオ…」
既に決着は着いているも同然だった。トドメこそ刺されていないものの、ほとんどのアプトノスが地面に倒れ伏せていた。
「ギュオオオ…!」
ドスランポスは辛うじて息のあるアプトノスにトドメを刺すべく牙を剥く。もう抑え込まれている以上大して時間は掛からないだろう。できれば逃げた他の個体も捕獲したかったが、これだけの数がいれば十分だろう。
アプトノスも健闘したが、もう勝ち目はないだろう。悲しきかな、これが捕食者と被捕食者の越えられない壁というものなのだ。
―
ドドドドド…!!
「?」
微かな揺れを感じ取ったランポスの何匹かが顔を上げる。最初は気の所為かと思えるような小さな揺れだったが、徐々に近付いて来る上にもはや地震と思える程に揺れは大きくなっていった。
そして震源と思わしき方向に顔を向けると―
―大量のアプトノスがこちらに向かって走って来ていた。
アプトノスに限らず草食種のモンスターは横のつながりを非常に大切にする。それは生き残る為だけでなく、温厚な性格故に仲間意識が強いのだ。
そしてそんなモンスターを怒らせた時の暴れ様もまた尋常ではない。小型モンスターであっても身体能力は人間と比べ物にもならない。怒りによる身体能力の向上もまた、想像を絶するものだ。
「ギュルルル…!」
ドスランポスは向かって来る大群を忌々しげに睨みながらも考える。今までは個の強さを自分が補い、数を部下によって完成させていた。
だが今は相手の数が多過ぎる。目測でも軽くこちらの3、4倍はいる。勝ち目がない…わけではないだろうが、相応の犠牲を払う事になるだろう。食糧確保の為とは言え、割に合わない。
「ギャウ!ギャウ!」
「「「!」」」
ドスランポスが声を上げると、周りのランポス達も同調するように顔を上げ、一斉に反対方向に向けて駆け出した。手負いの獲物を逃すのは惜しいが、ここで数を減らしてしまう方がマズい。簒奪者の集いは口惜しく思いながらも、その場を後にした。
「グモオオ〜!」
そして傷付いた同胞の元に駆け付けたアプトノスは半分に分かれ、半分は傷付いた個体に手を貸しつつ、もう半分は周囲の警戒にあたっていた。
被害こそ出てしまったものの、犠牲はゼロ。これは間違いなく大きな成果だろう。脅威を排除する事は叶わないが、生き残る事はできた。これからも辛く苦しい事があるだろうが、強く生きて行くのだろう。例えそれが、どれだけ取るに足らないものだとしても。
やべー、本当に書けなくなってる…せめてクオリティはなんとかしないと…
評価、感想もよろしければお願い致します。
それでは次回をお楽しみに。
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