これからも精進して参りますので暇な時などにご一読下さいませ。
それではお楽しみ下さい。
“遺群嶺”
天高く聳え立つ古代の遺跡。最も高い頂点に至っては雲すらも届かない程の山嶺。
頂上まで住処としているモンスターは流石に数が絞られるが、中層部〜下層部にかけては何処からやって来るのか大型モンスターだけでなく小型モンスターまで棲み着いている。モンスター達の逞しさを実感する中、中層部では一個の群れが食事を取っていた。
「フゴフゴ…!」
「「フガフガ…」」
その集団は特徴的な桃色の毛を生やし、屈強な体躯に猿に似た顔をしていた。ボス格と思われる個体は色彩豊かなトサカを生やしていた。
この派手なモンスター達は遺群嶺を気ままに放浪する者達。
桃毛獣はコンガ達を従え、遺跡の側に生えているキノコをムシャムシャと貪っていた。
彼らは決して力の強いモンスターとは言えないが、知性は低くなく上手く強いモンスターを躱し、何より
ゴロゴロゴロ…
「!」
気ままにキノコを貪っていると、山岳地帯の方から何かが転がるような音が聞こえて来た。怠惰な人間のように見える桃毛獣達も、過酷な自然を生き延びて来たモンスターだ。たとえ僅かな環境の変化であっても、それを聞き落とす事はない。
そして音の聞こえた方向を警戒していると、何か赤い物体が山の方から転がって来ていた。
ゴロゴロゴロ!!
「フガオッ!?」
「ウゴアッ!?」
その赤く巨大な弾丸は近くにいたコンガ達をものともせずに転がり、広い場所で停止すると弾丸はモゾモゾと動き―丸めていた身体を伸ばし、その姿を現した。
「ギュルルルルル…!」
その体躯は桃毛獣と大きな差はなく、口からは長い舌を伸ばしていた。その赤い甲殻は重厚感を感じさせ、まるで鎧のようだ。このモンスターはその転がる姿から“赤き獣弾”とも称される。
「ギュロロロロロ…!」
どうやら餌を求めてやって来たらしい。赤甲獣は頭を小刻みに動かしながら周囲を見渡している。
「ブルルアアア!!」
「!」
そんなナメた態度を取る赤甲獣に向かって桃毛獣は威嚇する。大事な食事を邪魔した上に部下を轢きかけるなんて事をされては許せるわけもない。
「ギュロロロ…━━━ッ!!」
バチン!!
「ブゴッ!?」
赤甲獣は桃毛獣の威嚇を受けて姿勢を低くしたかと思うと、一瞬で舌を伸ばして桃毛獣の顔面を引っ叩いた。そのあまりの早業には部下のコンガはもちろん桃毛獣ですら気付いた時にはダメージを受けていた。
「ギュロロ━━━━━ッ!!」
そして赤甲獣は身体を丸めて桃毛獣達に向かって突進する。このエリアに来た時のように坂道から転がって来たわけではない為速度は多少落ちているが、それでも油断できない速度だ。モタモタ走っていれば追い付かれてしまうかもしれない。
「ブオオッッ!!」
そこで桃毛獣は姿勢を低くして思い切り跳躍する事で赤甲獣の突進を躱した。桃毛獣の走る速度は他のモンスターと比較すると速いとは言えないが、パワーや跳躍力は決して低くはない。金獅子のようにパワー、スピード、瞬発力どれを取っても最高峰という程ではないが、腐っても同じ牙獣種、油断すれば一瞬で生命を刈り取られる。
「「ブオオッッ!!」」
部下であるコンガ達も桃毛獣程ではないが、小型モンスターの中では優れたパワーを持っている。桃毛獣に追従するように跳躍し、赤甲獣の攻撃を躱した。
「ギュロロロロロ…!」
突進を躱された赤甲獣は丸めた身体を伸ばして桃毛獣達を睨み付ける。効率を考えると丸まってずっと転がっている方が良さそうだが、どうやら複雑に曲がりくねったりする事はできないらしく、反転する際には一旦身体を伸ばして周囲を確認しなければならないらしい。
「ブルルル…!」
それをなんとなく理解した桃毛獣は自身の尻尾に引っ掛けていた毒々しい色のキノコを齧りだす。人間が口に入れれば間違いなく死に至るものだが、人間の何十倍もの体躯と丈夫さを誇るモンスターの肉体ならば大した問題にはならない。
「ギュロロロ━━━━━ッ!!」
桃毛獣の行動を見た赤甲獣は思い切り跳躍すると同時に身体を丸める。翼があるわけではない為にただ落下するだけだが、赤甲獣の体重と重力による加速を含めれば相手によっては一撃必殺になりかねない。
空中に飛び上がり、自身に向かって落下して来る赤甲獣を桃毛獣は睨み付けると―
「━━━━━━━━━━ッ!!」
「ギュオオオ!?」
―口から毒ガスをブレスのように放ち、それをもろに食らった赤甲獣は堪らず丸めた身体を戻して撃墜された。
桃毛獣は体内で毒素を作り出すような器官は存在しない。ならば何故毒ガスをブレスとして放つという芸当ができたのか。それは当然、先程食した毒キノコの影響だ。
桃毛獣は優れた消化器官のお陰で毒性のある物を食べたとしても身体に害のある効果が現れる事はない。しかし消化速度も早いわけではない為、口にした後消化するまでは体内に残留する。
桃毛獣は雑食である為、余程貴重なものでない限りはこの地域のほとんどの食物類を食べた経験がある。その過程で自身は問題なくとも他のモンスターにとっては有毒である食物もある程度学んで理解していた。
そして桃毛獣の口臭は非常に臭く、摂取した物の影響を受けやすい。その性質を活かして毒キノコを食べた際に口臭に毒ガスを混ぜる事に成功したわけである。
「ギュロロロ…オオ…」
毒ガスを食らってしまった赤甲獣は明らかに身体に異常をきたして、口からは血を流していた。堅牢な甲殻を持っていても、耐毒性が高いとは限らない。毒にもいくつもの種類がある為、完全に無毒化が可能な生物などこの世には存在しない。圧倒的な体躯故に毒が回りきらない生物ならいるが。
「ブルアアアア!」
「ブガアアアアア!」
「ブルオオオオオ!」
そして桃毛獣が足で立ち上がりつつ吼えると、何か指示を出したのかコンガ達が一斉に赤甲獣に向かって襲い掛かる。一対一なら間違いなく赤甲獣に軍配が上がるが、複数で襲われれば負けはせずとも手間が掛かる。そこに桃毛獣も加われば負ける可能性の方が高くなる。
「ギュロロロ…━━━━━ッ!!」
迫りくるコンガ達を見た赤甲獣は、毒で苦しそうにしながらも口から液体を吐き出した。それは明るい黄色の液体であり、弧を描きながら迫るコンガの内の二頭に浴びせられた。
「ブ…ア゙ア゙…ァ゙…」
「グ…オ゙オ゙…!」
すると液体を浴びせられた二頭のコンガは身体を痙攣させ、苦しそうに声を漏らす。
赤甲獣が放ったのは強い麻痺毒を持った液体。小型モンスター程度であれば即座に痺れさせられる。毒が回って動きづらいとは言え、紫毒姫のように食らうと即死するような代物ではない。
「ギュロロロロロ!!」
バギィ!!
「ブオオ!?」
そして赤甲獣は舌を高速で薙ぎ払い、コンガ達を吹き飛ばす。毒で弱らされたとは言え、腐っても大型モンスターなのだ。小型モンスターの中だとまだ上位に入る強さだが、コンガ達のみで敵う相手ではなかった。
「ブオオ…━━━━━ッ!!」
コンガ達だけでは厳しいと見兼ねた桃毛獣は、自身の巨体を活かして赤甲獣に向かって突進する。流石に轟竜程の速度はないが、猛然と駆ける桃毛獣を受け止めるのは簡単な事ではない。
「ギュロロ…━━━━━ッ!!」
突進して来る桃毛獣を見た赤甲獣は身体を丸めて同じように突進し、真っ向から轢き倒さんとする。
ドズン!!
そして転がって来た赤甲獣を桃毛獣は二足で直立しながら受け止めた。が、それでも赤甲獣は回転を止める事はなく、突進を続けて桃毛獣をジリジリと押して行く。
「オオ…━━━━━ッ!!」
桃毛獣は身体を物理的に削られる痛みに耐えながら大きく息を吸い込む。
ボンッ!!
「ギュオオオ!?」
そして胸を張るように腹部を突き出すと大量の空気を含んだ腹部が膨張し、赤甲獣を吹き飛ばした。ただの腹芸のようにも思えるが、限界まで空気を溜め込んだ桃毛獣の腹部は相当な硬度を誇り、業物であっても弾き返してしまう。
「ギュルルル…!」
吹き飛ばされた赤甲獣は体勢を立て直しつつ桃毛獣に威嚇する。かなり手傷を負ったが、まだ戦う事はできる。そう考えて桃毛獣の動きに注意していると―
「ブル」
「!」
―同じようにこちらを向いていた桃毛獣が急に真逆の方向―赤甲獣に尻を向けるような体勢になった。赤甲獣が警戒を強めていると―
「ブルルルルルッ…///」
―桃毛獣の尻から不快感の強い音が響くと同時に明らかに危険な色をした気体が放たれた。その気体はしばらく滞留した後空気に溶け込むようにして消えた。
「ギュルルル…!?」
しかしその強烈な臭いは全く消えておらず、その臭いを嗅いだ赤甲獣は身体を縮めて悶絶する。赤甲獣自身激臭ガスを放つ事はできるが、まんま糞の臭いを嗅いで平気でいられる程嗅覚は死んでいない。
「ギュオオオ…!」
「!」
その激臭に赤甲獣は堪らず身体を丸めて逃走した。今更自身臭いなど気にしてない桃毛獣は拍子抜けしたような表情を浮かべるが、たった一発でもほとんどのモンスターが尻尾を巻いて逃げ出すような激臭を放っているのだ。赤甲獣が逃げるのも何もおかしな事ではない。
「ブルルル…」
なお当の桃毛獣は赤甲獣が逃げ出した理由など全く考えず、残っていたキノコを再び貪り始める。背後には麻痺から復帰したコンガ達がのそのそと歩み寄り、同じようにムシャムシャとキノコを貪り始める。
どこまでも、自由な無法者達であった。
はい、今回はここまで。遅くなってしまい申し訳ありません…
今更だけど一周年の話がこんな汚え組み合わせで良かったのだろうか…
評価、感想もよろしければお願い致します。
それでは次回をお楽しみに。
メインモンスター+αでコイツが好き
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リオレウス
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イャンガルルガ
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クシャルダオラ
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ティガレックス
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ナルガクルガ
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今回の司会ちゃん