こんな縄張り争い見たい…見たくない?   作:サクラン

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書き貯め尽きる前に古龍同士の争いまで行けて良かった…

これからもガンガン行きます!

それではお楽しみください!


六花乱れる舞踏会

活動的な火山があり、美しく輝く結晶が溢れたこの地の名は“龍結晶の地”と呼ばれる場所だ。新大陸の中で最もエネルギーが集中する場所でもある。

 

 

この地が結晶に溢れている理由は、とある古龍が自身の糧とする為、古龍の生体エネルギーをこの地に集中させ、集中したエネルギーが結晶化したものが、龍結晶と呼ばれるのだ。

 

 

エネルギーを収束させていた元凶の古龍は無事抑えることが出来たものの、この地が放つ圧倒的なエネルギーはそのまま据え置きであり、強大なモンスターや多くの古龍までもがこの地に訪れる事例が確認されている。そして極稀に、この地のエネルギーを糧としていた古龍の王たらん者の生体エネルギーをその身に受け、寿命を限界突破した、その種の王に相応しい戦闘力を獲得した、“歴戦王”と呼ばれる古龍の出現も確認されている。

 

 

そうした自然の超越者である古龍達に影響を与える程、この地が持つ力というのは大きいのだ。

 

 

 

 

 

だが今、この地には少し異常が起こっている。

 

 

それは火山地帯でありながら、深々と雪が降り、霜が植物を覆っている。そして雪が降る程の低温である為、これまで生息していたモンスター達の多くがこの地を立ち去ってしまうという、生態系が崩れかねない事態に陥っている。

 

 

それもその筈。今この地はとある古龍の縄張りとなっているのだ。

 

 

その古龍は透き通るような青い甲殻と鱗に身を覆われ、多くの古龍と同じように前足と後ろ足、前後二対の足で地を捉え、立派な翼をその背に持っている。頭部は鳥の顔面に似た形をしており、特に口は鳥の嘴のようになっている。尻尾は細長いが、先端が鋭利に発達しており、物を突き刺すことに特化した形をしている。しかもその龍の周りは更に低温なのか、霜が降りている。その身から感じる古龍特有の威圧感だけでなく、どこか貴族のような気高さも感じさせるその龍の名は―

 

 

“冰龍”

“イヴェルカーナ”

 

 

冰龍は巨大な龍結晶が一望出来る広場で、その身を下ろし、龍結晶を眺めながら身体を休めていた。冰龍はその異名の通り、冷気を司り、操る龍だが、火山地帯に来て平気なのか―そう思う者もいるかもしれないが、冰龍の冷気を操る鱗は溶岩を急速に冷却し生まれる、鉱石に近い鱗である為、冰龍は溶岩程度、簡単に無力化出来る為、火山地帯に住むこともそこまで問題としないのだ。

 

 

「キュオオ…」

 

 

龍結晶を眺めながら、冰龍が唸る。何を考えているのかは分からないが、目の前の巨大な結晶が多くの古龍、もしかしたら同胞の成れの果てであることに対して、何か思うところがあるのかもしれない。

 

 

―冰龍が感慨に耽っていたその時だ

 

 

 

 

 

ビュオッ!

 

 

 

 

 

「!」

 

 

急な大風が吹き、冰龍の周りの霜や深々と降っていた雪を吹き飛ばす。そして―

 

 

 

 

 

ビュオオォォォォォ…!

 

 

 

 

 

―大風は収まるどころか、どんどん強くなり、竜巻のようになり渦を描き始める。この明らかにあり得ない事態に、流石の冰龍も身体を起こし、周囲を警戒する。そうして警戒する冰龍に向かって―

 

 

 

 

 

ビュゴオオ!!

 

 

「!、キュオオ!」

 

 

 

 

 

―風を圧縮した砲弾のようなものが冰龍に向かって飛んで来る。が、冰龍は優雅に身を翻し、風の砲弾を躱して見せる。

 

 

そしていつの間にか冰龍の前に巨大な竜巻が出来ていた。そして竜巻の中に黒い影が見えた。中の黒い影が翼をはためかせると、竜巻が消散し、中の影が姿を現す。

 

 

 

―冰龍と同じような骨格だが、身体の様子は大きく違う。黒い身体に尻尾は冰龍のように鋭利になってはいない。頭部は外側に向かって角が生えている。冰龍と比べると目立った特徴は無いように思えるが、黒い身体をよく見ると、金属質の光沢を放っている。それもその筈、何せその龍の身体は本物の鋼で出来ているのだ。その金属質の身体が異名の由来となっているその龍の名は―

 

 

“鋼龍”

“クシャルダオラ”

 

 

未だ謎の多い古龍の中ではまだ研究が進んでおり、風を司る古龍の代表格とも言える鋼龍だった。

 

 

「ガアアン!」

 

 

鋼龍は冰龍に向かって威嚇する。どうやら先程の攻撃は自身の実力を示す牽制程度のものであり、本格的に争うつもりは無いようだ。その理由はその身体から感じる凄まじい力の気配と言い、おそらく老齢の鋼龍だろう。要求内容は死ぬまでの間、穏やかな時間を過ごしたい為に、しばらく縄張りに居座るが、暴れる気は無いから見逃してくれと言ったところだろうか。

 

 

普通なら別に拒否する理由も無いし、何より追い出すメリットに対して負うリスクが大き過ぎる。それが分かるのは先程の鋼龍の攻撃で良く分かる。暴れる気は無いから放っておいてくれということは―裏を返せば手を出せばただでは済まさないということでもある。何せ本当に喧嘩するつもりが無いのならば、わざわざ攻撃することも無いのだ。にも関わらず多少力を見せたのは、相手側に鋼龍を相手にすることの危険性を遠回しに伝える意図もあったのだろう―怪我をしたくなければ手を出すなと。冰龍も実際安息の時に多少水を刺されただけで、本気で争い合う理由は無い。―普通の相手なら

 

 

 

 

 

「キュオオオ!」

 

 

 

 

 

だが冰龍にとってはその多少が戦う理由になるのだ。

 

 

古龍の大半は縄張りに入られた程度ならば、繁殖期でも無い限り、いつでも追い出せるという考え方である為に、基本的に他の生物を相手にしないが、冰龍は古龍の中だと縄張り意識が強い方である為、時折縄張りの誇示という意味を込めて、他の生物を氷漬けにすることがあるのだ。

 

 

それ程縄張り意識の強い冰龍を相手に牽制とは言え攻撃を仕掛けた時点で、冰龍は「喧嘩を売られた」と解釈してしまうのだ。当然冰龍も相手の鋼龍が一筋縄では行かない相手と言うのは分かっているが、それでも自身の安息の時に水を刺した時点でただで居座らせるつもりは無い。最低限手傷は負って貰うと意志を固める。

 

 

「ガアア…」

 

 

そんな冰龍の様子を見て、鋼龍は思わず溜め息をつく。中々手を焼く相手に出会ってしまったと。自身よりは若く、だからこそ血気盛んなようだが、それでも自身の力にかまけた、悪い相手に当たるとすぐに死ぬような世間知らずの若者では無いようだ。確かな実力を持っている。戦ったとして負ける気は無いが、簡単に勝てるような相手では無い。面倒だが、上手くいなしてやり過ごすしかない。そう鋼龍も考えを纏め、老体に鞭打って戦う覚悟を決める。そして―

 

 

 

 

 

「キュオオォォォォォ!!!」

 

 

「ガアアァァァァァン!!!」

 

 

 

 

 

―銀盤の貴人と風を纏う黒影が激突した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オオ!、キュオオォォォォォ!」

 

 

冰龍が咆哮し、更に翼を広げて吼えると、全身に氷を纏う。その姿はシンプルな見た目だった通常時と打って変わり、その様は、まるで透き通った美しいドレスを着たかのようだった。だが、その姿から繰り出される攻撃は苛烈の一言だ。

 

 

「キュオオ!!」

 

 

冰龍は滞空すると、氷を纏い、更に鋭利になった尻尾を鋼龍に向かって突き出す。

 

 

いくら鋼の身体を持つ鋼龍と言えども、その一撃は受け止められる保障は無い。

 

 

「ガアアン!」

 

 

鋼龍は吼え、その一撃を横に飛ぶことで躱すと冰龍から距離を取り―

 

 

 

 

 

「ガアアン!!」

 

 

 

 

 

ゴオォォッ!!と、その口から複数の竜巻をブレスとして放つ。ブレスは地面に着弾し、竜巻となり旋風を巻き上げながら動き回り、冰龍の動きを制限する。

 

 

そして鋼龍は冰龍の動きを観察する。竜巻を放ったが、実はその竜巻の中に、一点だけ抜けられるような空間を作ったのだ。そこを抜けて来るようなら鋼龍自身が攻撃を仕掛ける。冰龍がどう対応するのか見たいというのもある。いざという時、思いがけない反撃を受けないようにする為にも、相手の考える頭がどれ程のものか知っておく必要がある。

 

 

「キュオオ…!」

 

 

冰龍は吼えると、少し後ろに下がり、力を貯めるように身体を沈めると―

 

 

 

 

 

パキィン…!!

 

 

「!?」

 

 

 

 

 

―凄まじい大きさの氷の壁を、一瞬で生成する。それを見た鋼龍は素直に驚く。初めて見た時から歳に見合わない力を冰龍が宿していることは知っていたが、ここまでとは思わなかった。が、その驚愕もすぐに抑え、鋼龍は構える。

 

 

何故ならあの冰龍が防ぐだけで終わる訳が無いと、半ば確信していたからだ。

 

 

 

 

 

バギィン!!

 

 

 

 

 

竜巻を防いでいた氷の壁が地面から発生する氷の波で押し砕かれ、鋼龍に向かって行く。が、速度はそこまででは無い。鋼龍ならば避けられる。そして鋼龍は氷の波を避けると同時に、身体を引いて力を貯める。すると―

 

 

 

 

 

「キュオオ!!」

 

 

 

 

 

―氷の波の向こうから、冷気を纏ったブレスが放たれる。不意打ちに近い形で放たれたブレスだ。ほとんどのモンスターが躱すことが出来ないであろう攻撃だったが、

 

 

「ガアアン!!」

 

 

あらかじめ追撃が来る可能性を考えていた鋼龍は風を纏ったブレスを放ち、冰龍のブレスとぶつけて相殺した。

 

 

この攻撃は当てられると思っていた冰龍は鋼龍が対応してきたことに対して、これには思わず苛立ちよりも驚きが先に来てしまう。冰龍はこれまでの鋼龍の動き方を見て、鋼龍が力を見せず、自身の攻撃をのらりくらりとやり過ごしていたのは目に見えていた。自身を高く見ている冰龍にとっては、その行動は例え何かしらの意図が無かったとしても、見下されているように感じたのだ。だからこそ、その余裕を後悔させてやると先程の攻撃を行ったのだが―鋼龍はその攻撃すらやり過ごして見せた。

 

 

冰龍は攻撃の結果を受けて、認識を改める。邂逅した時から鋼龍が強いのは分かっていたが、それでも自身の認識が甘かったことを思い知った。今までは精々、良くて自分よりほんの少しだけ上の強さの程度だと思っていたが、とんでもない。この鋼龍は自身よりも格上だ。業服ながらも、それは認めるしかない。

 

 

だが、それは戦いを止める理由にはならない。相手が思っていたより強かったからと言って逃げ出すなど、冰龍自身のプライドに傷を付けることになる。そんな情けないことは絶対にあってはならない。逃げるにしても、鋼龍に絶対手傷を与えてやると、冰龍は気を引き締め、出し惜しみもここまでとして、全力を出すことを決める。

 

 

「!」

 

 

そして、その変化は鋼龍にも伝わる。鋼龍は冰龍から発される気配をその身に受け、鋼龍は目を細める。鋼龍から見た、目の前の冰龍に対する評価は、実力はあるし、頭も回るが、自身以外の存在を見下す傾向があり、いつか足元を掬われ、それが取り返しの付かない事態に繋がることになる、元から持っている力が大きいだけで、いつか訪れる結末は、自身の実力を過信した古龍のものだと鋼龍は思っていた。

 

 

―だが、鋼龍もまた、その認識を改めざるを得ない。冰龍は今、鋼龍を格上だと認めた上で、鋼龍に挑む道を選んだ。

 

 

何が変わったのかと思う者もいるかもしれない。だが、鋼龍は知っている。こういった、現実を受け止めてなお乗り越えようとする者は強いと。このタイプの生物の行く末は二通りしかない。一つは自身の限界を超えられずあっさり力尽きる。二つ目は―

 

 

 

 

 

―自身の限界を超え、強さの極致に至る。

 

 

 

 

 

「キュオオオォォォン!!!」

 

 

 

 

 

冰龍が吼え、冷気を極限まで高める。あまりの冷気に、空間そのものが青白く染まっているかのようだ。実際、冰龍の周りはダイヤモンドダストが舞っている。

 

 

本気を出した冰龍の様子を見て、鋼龍は久し振りに、心が昂るのを感じる。厳しくはなるが、おそらく全力を出さずとも凌ぐことは出来る。だが―

 

 

 

 

 

―若造がここまで力を尽くしているというのに、格上である自身が応えないというのは不粋だろう。時には全力で身体を動かさねば、勘も鈍る。何よりこの冰龍がここで終わりか、あるいは更に先の領域に行くのか興味がある。

 

 

この冰龍の未来がどういうものであれ、少なくとも鋼龍にはこの戦いにおける冰龍の行く末を見届ける権利がある。ここで終わるならそこまでだ。強さの極致に行き着くと言うのなら、こんな老いぼれなんぞ乗り越えて見せろ―

 

 

 

 

 

鋼龍はそう冰龍に対して心の内で挑発し、それでも老いぼれにもあるプライドにかけて、全力を解放する。

 

 

 

 

 

「ガアアアアァァァァン!!!」

 

 

 

 

 

空が曇り、風が更に強くなる。鋼龍の周りには黒い風を纏い、まるで鎧のようだ。

 

 

「…ッ!キュオオ!!」

 

 

遂に解放された鋼龍の全力に多少冰龍はたじろぐも、負けじと吼える。

 

 

 

 

 

―冰龍は己のプライドに懸けて、鋼龍は可能性ある若造への期待と、それでも存在する老いぼれの意地に懸けて―

 

 

 

 

 

―全てを凍てつかせる冷気と、あらゆるものを吹き飛ばす風が激突した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「キュオオ!!」

 

 

冰龍が空中にブレスを放ちながら吼える。すると何も無い空中に氷柱が現れる。そして―

 

 

 

 

 

「キュオオン!!」

 

 

 

 

 

直線状のブレスを放つと同時に、生み出した氷柱を鋼龍に向かって射出する。全力を出した鋼龍相手に様子見なんて呑気なことは出来ない。とにかく全力で攻め続ける。幸いにも、冰龍の力は物量に優れている。並のモンスターなら成す術もなく押しきられるだろうが―

 

 

 

 

 

「ガアアン!!」

 

 

 

 

 

―この鋼龍相手には決して優位が取れるとは言い難い。鋼龍が力を貯めるように身体を屈めると、次の瞬間鋼龍が吼える。すると鋼龍の周りから黒い竜巻が出現した。

 

 

冰龍の氷柱とブレスは、鋼龍の竜巻や風の鎧によって、当たっても大したダメージにならない程にまで軽減される。

 

 

「キョオオン!!」

 

 

そのことに大した動揺もなく冰龍は突っ込む。黒い竜巻によってダメージを負うのにも構わず、鋼龍に向かって鋭利な尻尾による突きをお見舞いする。視界が利かない状態での強襲。それを腕の立つ冰龍にされると普通に死ねるものだ。

 

 

「ガアアア!!」

 

 

そんな強襲を鋼龍は動揺もなく後方に羽ばたくことで躱す。そして―

 

 

 

 

 

「ガアアン!!」

 

 

「ギュオオ!?」

 

 

 

 

―勢いをつけて身体全体を使い冰龍を蹴り飛ばす。冰龍の自傷も厭わない突撃は悪い策では無かったが、生憎とそんなイカれた生物を相手にするのは初めてでは無かった。そしてただの体当たりと思うかもしれないが、侮ってはならない。鋼龍の最大の特徴は風を操る力だが、身体能力の方も、尻尾の一振で火竜を打ち倒せる程高いのだ。そんな鋼龍の体当たりともなれば、同じ古龍と言えどもダメージは免れない。冰龍は血を吐きながら何度も地面を転がる。

 

 

そして鋼龍は吹き飛ばされた冰龍に対して、容赦なくブレスを乱射する。吹き飛ばされた冰龍が顔を上げると、目の前には竜巻の群れが迫っていた。一瞬左右に逃げようとも思ったが、少し離れたところにも竜巻が渦巻いている。ならば逃げられる場所は―

 

 

 

 

 

「キュオオン!」

 

 

 

 

 

―上しか無かった。だが、あの鋼龍がその可能性を考えない程愚かでないこと位、冰龍は分かっている。だがそれを理解して冰龍は飛び上がる。そして竜巻の群れを抜けると―

 

 

 

 

 

―目の前に黒い影が迫っていた。だがそれを予期していた冰龍は影にブレスを放った。が―

 

 

 

 

 

―それはただの風の塊だった。

 

 

 

 

 

その風の塊を放った張本人は更に上空で力を貯めー

 

 

 

 

 

「ガアアアァァァァン!!!」

 

 

「ギュオオ!??」

 

 

 

 

 

―ブレスとして放っていたものとは比べ物にならない程の巨大な竜巻を生み出した。

 

 

その中心部にいた冰龍は竜巻に巻き込まれ、全身を風によってズタズタにされ、地面に墜落する。結果として、鋼龍はほぼ無傷であり、冰龍が全身に大怪我を負っている。鋼龍はそんな冰龍の姿を見て思う―お前も王の領域には至れなかったか―と。

 

 

鋼龍はこの大陸に到達するまで何となく、本当に何となくだが、大きな気配を感じていた。その気配の大きさは正に“王”と崇めるには相応しいものだった。実は鋼龍がこの大陸に訪れた理由は、穏やかな最期を迎える為ではあるが、もう一つ、その気配の正体を確かめる為でもあった。この大陸に到達する直前、その気配を感じることが出来なくなってしまったが…それでも鋼龍はあの気配を感じて思った。―あれは全ての古龍を統率する終着点なのかもしれないと。そしてあれを王とするのならば、他の古龍にもあれに近い領域にまでは至れるのかもしれないと。鋼龍自身はそこまでの領域には至れなかったと思っているが…

 

 

もしかしたら他の古龍には可能性があるのかもしれないと思っていた。だが真相は分からない、すっかり年老いた爺の世迷い言なのかもしれない。

 

 

だがまずは、目の前の冰龍の息の根を止めてやらねばならない。生かすという選択肢は無い。それが全力で戦った冰龍への礼儀になると、鋼龍は思っている。

 

 

そう思い、冰龍に近づこうとしたその時―

 

 

 

 

 

「ギュオオオオオオオオオオ!!」

 

 

「!?」

 

 

 

 

 

もう動けないと思っていた冰龍が起き上がり、力を解放し、氷の槍を自身の周囲に発生させる。驚きながらもそれらを躱す鋼龍だったが―

 

 

 

 

 

「!?」

 

 

 

 

 

―その鋼龍の躱した先に、凄まじい冷気を纏ったブレスが放たれる。どうにか逃れた鋼龍だったが―

 

 

 

 

 

ドッゴオオオン!!!

 

 

「ガギャアアン!?」

 

 

 

 

 

―着弾すると同時に炸裂し、鋼龍を余波で吹き飛ばす。直接当たったわけではない為、負った傷は少ないが、ここまで動けるとは思っていなかった。そうして体勢を立て直した次の瞬間―

 

 

 

 

 

「キュオオン!!」

 

 

「ガアアン!?」

 

 

 

 

 

―冰龍が滑空してきており、尻尾の突きによって鋼龍の角に傷を付けた。そうして鋼龍が怯んだ隙に、冰龍は空に離脱した。

 

 

そうして空へ飛び去った冰龍を、鋼龍は見つめる。今すぐ飛び立って追えば、間違いなく止めを刺せるが、鋼龍は追撃しなかった。何故あそこまで傷を負っていながら、あれ程の力があったのが疑問だったが、今思えば冰龍は、本気で戦ってはいたのだろうが、古龍としての力を使った回数は少なかった。真正面からのぶつかり合いがキツいと思ったからこそ、最低でもダメージを与えられるチャンスを狙っていたのだろう。それでも勝負の判定としては鋼龍の勝ちだろう。

 

 

だが、それでも鋼龍は冰龍を讃える。完全に出し抜かれたことなど本当に久し振りだ。あの冰龍がこれからどうするのかは分からないが…もう少し長生きするのも悪くないと、鋼龍は思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

冰龍はふらつきながら空を飛んでいた。その心境は穏やかなでは無かった。最終的に勝負がほとんど決したタイミングでの不意打ちだったのだ。生存競争としては、別に間違ったものではないが、冰龍のプライドとしては、非常に悔しいものだった。だが、ああでもしなければ出し抜け無かったのも事実だ。全力で戦ったが、あんなにも攻撃が当てられる気がしなかった相手は初めてだ。悔しいが、今日の所は自分の負けだ。だが、このままで終わらせるつもりはない。敗北を知った冰龍は老練の鋼龍へのリベンジを誓い、力を付けることを決めた。

 

今の冰龍なら頂点へ至れるのかもしれない…




結局死闘じゃねえか!!

ある程度の所で手打ちにさせるつもりだったのに過去最高に長くなってしまった…

敗け知らずのボンボンカーナちゃんと武人系クシャルお爺ちゃんのお話でした。

ちなみにクシャルお爺ちゃん自分は王の領域まで行けてないみたいなこと言ってたけど、寿命が限界突破していないだけで、戦闘力としては歴戦王一歩手前です。なので少しとはいえ傷負わせたカーナちゃんは相当頑張りました。

評価、感想もよろしければお願いします!

それでは次回もお楽しみに!

メインモンスター+αでコイツが好き

  • リオレウス
  • イャンガルルガ
  • クシャルダオラ
  • エスピナス
  • ティガレックス
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