転生先はFSSだと思ってた   作:Delphinus

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呪術高専 入学

「そう言う訳で、君は直ぐにでもここを離れた方が良いわけよ。分かった?」

 

「はーぁ、んー、命を狙われてて、ここは危険……。まぁ、こんなラボ特に愛着何て有りませんし、引き払うのは別に良いんですよ。でも、その……」

 

 よく分からない超絶高身長イケメン目隠しの話を聞くに、ここにいると誰かに狙われて危険で、僕はいつ死ぬか分からないらしい。だから移動する必要がある……まぁ、このラボに愛着があるって言う程入れ込んでる訳じゃ無いし、引き払うのは別に良いんだけど。

 

「それで、呪術高専? て言うのは何なんです? 僕もうすぐ大学院を卒業するんですよ? 今更ハイスクールなんて行っても……、もう博士号まで貰ったし、卒業後は色んな所、それこそアメリカ軍の研究所からもオファーが来てるんです。だから卒業したらアメリカ軍に行こうと思ってて……」

 

「あはは、済まないねぇ。でも悪い話にはしないよ? 高専には呪術についての大量の文献や情報が蓄積されている。高専に入れば好きなだけアクセスさせてあげる」

 

「はい行きます! 何か知らんけど呪術高専行きます!!」

 

「即答だねぇ。悪く無いよ、そーゆーの」

 

 即答した。呪術の文献が幾らでも得られる。コイツは捨て難い。呪術の文献や情報は本当に希少なんだから。なんか知らんけど呪術高専行く事にした。大学院はまあ当分休学で。

 

「良いのですか? マスター」

 

「まー知らんけど、大丈夫じゃない? まー知らんけど」

 

「ふふ、分かりました」

 

 そこまで話して、ふと思う。

 

「そう言えば、呪術高専って呪術師の学校何ですよね。術師じゃない僕が行って良いんですか?」

 

「アハハ、そこは大丈夫、気にしなくて良いよ。君は特例という事にするから」

 

「あー、そんな感じ、んーなる」

 

 

 

 

「はー、呪術高専ってさぁ、思ってたより何か普通だよねぇ。せめて校舎を変形合体させて飛ばそうとか誰も思わない訳? あーつまんない。早く本読みたい」

 

 そうして、呪術高専に入って数ヶ月が経った。僕の学年は1学年という事になっている。天才とか何とか言われても呪術師としては初心者未満だし飛び級出来なくても文句は言わない。でも、その、あれだ。呪術高専って思ってたより数十倍普通の学校だったのだ。

 

「折角の呪術学校なんだよ? もっとホグワーツみたいにさぁ、凄いファンタジー学校にしようとか本当に誰も考えないの? あーつまんないぃ、んー」

 

 そう言いながら、呪術関連の本を読み込んでいると誰か来た。伏黒と、後、誰こいつ、いや、本当にな、何? 

 

(こ、こいつ、何? 身体構造が人間じゃない??)

 

「この人、何か凄い事言ってるな……」

 

「コイツはドクターキエリ、本名は木衿冬嗣だな。非術師だが特例で入学している」

 

「えっ嘘、マジか!? 本当にあのドクターキエリ!? 、お願いです、キエリ先生! サイン下さい!」

 

「ん、は? 、い、いや、貴方どちら様? 、ねぇ伏黒、そいつ誰よ」

 

「コイツは虎杖悠仁。特級呪物、両面宿儺の受肉体だ。今回高専に入学する事になった」

 

「えっ嘘、と、特級呪物? 、両面宿儺って特級呪物の中でもとびっきりやべー物じゃ無かった? 、そ、そんな物学校如きに引き入れるの? さっさと隔離した方が良いんじゃ……、えっ、呪術師の感性って、僕なんかにゃ付いていけない……。良いの伏黒? そんな奴入れて」

 

「大丈夫さ、コイツは底抜けの善人だ」

 

「いや、人格が善人とかじゃなくて、ヤバイのは受肉してる両面宿儺なんじゃ……。両面宿儺がいる以上人格の良し悪しなんて関係無くない?」

 

「ああ、そう思っても仕方ないかも知れないな。だが大丈夫さ。ここには五条先生だって、お前だっているんだ」

 

「いやー、僕なんかカウントされても困ると言うか、あんまり頼らないで下さいよ? 、術師でもないのにそんな事言われても困るし……。あっこれサインです。名前イタドリユージですよね、どうぞ」

 

「あ、あんがと……」

 

 そう言って、渡されたキエリ博士のサイン。サインの他にイタドリユージの名前も刻印した特別版だった。ちょっと、いや結構、いやかなり嬉しい。

 

「それにしても、どうしてドクターキエリが?」

 

「知らないか? まぁしょうがないな。ドクターキエリは特級呪術師なんだ。史上初となる、非術師でありながら特級になった存在だよ」

 

「……えっ?」

 

「ドクターは呪術師じゃない。それでも特級になったのは、ドクターが全く新しい画期的な生体コンピュータを開発したからだ。史上初となる呪力を持ったバイオコンピュータ。それがファティマさ。ファティマの発明によって、博士は特級に認定された」

 

「あっはは、ファティマって本当はゴチックメードの制御システムなんですけどね、それを呪術が使える用に改良したら、いつの間にか特級とか何か凄い事に……」

 

「あっえっ、す、凄いんだな……博士は」

 

 所でゴチックメードって何? そんな疑問が頭を過りながら、貰ったサインを眺める。ちょっと嬉しい奴。

 

「あっそうだ伏黒。はいこれ。前言ってたガットブロウです。ツインスイング機構を採用して、砲身にはインフェルノナパームの縮小版を乗せました。これで霊魂も焼き尽くせますよ」

 

「ああ、ありがとな。感謝するよ。これで、上手くいけば魔虚羅の調伏も」

 

「えっ? ガットブロウ? ツインスイング? 霊魂も焼き尽くす? 、そ、それ矢鱈物騒だな。どう言う意味だよ」

 

 着いていけない間に次々と話が進む。専門用語が沢山出てくるから中々話に着いていけない。そして、

 

「さて、他にも紹介しなきゃいけない相手が居るからな。ドクターキエリ、そろそろこの辺りで」

 

「はーい。あっと、そうだ。イタドリユージさん? どうせ修行とか何とか言って映画見たりして遊ぶんでしょう? 後でプラモシュミレーターしましょう。自慢のバッシュでお相手しますよ?」

 

「はっ? プラモシュミレーター?」

 

「キエリ博士が高専に持ち込んだ特別製のゲームさ。作ったプラモを自由に持ち込んでバトルが出来る。案外訓練にもなるし、中々面白いぞ?」

 

 

 

 

「はーぁ、ぁぁ、んっ、ううぅ、面倒だよねぇ。呪術高専ってさぁ、アクの強い生徒ばっかりで、正直着いていけないって言うか」

 

「ふふ、そうですね」

 

 伏黒さんとイタドリユージが去った後、僕はエーオースと合流してそんな話をした。

 

「……特級呪物を学校にぶち込むって、何考えてるんでしょう。全然想像出来ない。死にたいんでしょうか……、伏黒さんにはぐらかされましたけど」

 

「分析の結果ですが、どうやら彼は虎杖を救いたいようです。宿儺の呪縛から解放し、普通の生活を送らせてやりたい、そう思っていると見えます」

 

「あー、そんな感じなんだ。救いたいのねぇ。救いたいくらいで命までかけるかよ、はぁ、普通さぁ」

 

 僕は命を賭けるとか有り得ない。それだけは絶対に避けたい。要するに死にたくないのだ。何としても。だから安全の為にアメリカのラボを捨てて、大学院を休学してまでこっちに来たんだし。

 

「んー、ぅ、呪術師の感性って本当分かんない。善より好悪を重んじるって何? 正義より自分の好き嫌いに従えって事? そう言ってもさぁ、僕の好き嫌いなんてたかが知れてるし、歴史も伝統もある正義の方がまだ信用できるんだよ……んー、無理、もう分からない! 後で国会図書館行こう」

 

 どれだけ勉強しても、呪術って中々分かんないんだよねぇ。ま、だからこそ面白いとも言えるから、そこはまちまちだけどさぁ。

 

 

 

 

「生物の肉体っていうのはランダム性を含んでいるんです。どうしても無目的な部分が残る。ある程度の機能分化はあっても、生物の根本的な目的は、それこそ神しか知らないんですから」

 

「でも、貴方は違う。観察した所、貴方の肉体は一つの機能の為に整然と配置され過ぎていますね。恐らくは、両面宿儺の器になるという目的の為です」

 

「そんな物は自然物じゃない。間違い無く人工物の特徴です。つまり貴方は人造人間なんですよ、虎杖悠仁。貴方を作ったのは誰ですか?」

 

「えっ?」

 

 プラモシュミレーターで遊んでいる間、ドクターキエリはふとそんな爆弾を言った。ドクターキエリはバッシュと言うらしい、矢鱈カッコいい、その上見た事も無いプラモデルを見事に操縦して俺のザクⅡを圧倒してくる。プラモシュミレーターは、まるで本当にロボットを操縦しているかの様な感覚が得られる。凄い物だと、そう思っていたらこれだよ。

 

「お、俺が、人造人間だってのか?」

 

「ええ、あくまで観察からの推論ですから、事実の程は知りませんけどね。ファティマ・マイトにはこのくらい分かるんですよ」

 

「は? 、いや、ファティマ・マイト?」

 

「あー、ファティマ・マイトはですね、ファティマを作る才能を持った人間のことです。それで……」

 

 そうやって言葉を継いで、俺の意識が離れた隙を突いたのか、相手のバッシュが密かにバスターランチャーをチャージ。そして発射、俺のプラモが閃光に飲まれて、あ、あああ!? 

 

「ああ! 、そ、それずりいぞ、もう一回!」

 

「あっはは、引っかかった様ですねぇ。まあ、もう一回やりましょう」

 

(しかし、俺が人造人間? だってのか……)

 

 確証は無いと言った。それでも気になる。俺が、人造人間……。いや、違う。

 

「俺は、人間だ。人間だぞ、人造人間なんかじゃ無い……」

 

「ふふ、隙あり」

 

「うおっ」

 

 一気に接近したバッシュのセイバーが炸裂。俺のプラモがまた大爆発。あー畜生、くそぉ。

 

「あーくそっまたやられたぁ、はぁぁ、どうやらゲームの練度が違う見てえだな」

 

「あはは、まぁ初心者にしては頑張ってる物ですよ、虎杖さん。また今度やりましょう? 、じゃあ、今日はこの辺りで」

 

「はぁ、今日は散々やられたぜ……」

 

 ゲームが終わり、使ったプラモデルが戻って来る。ドクターから貸してもらったザクⅡだ。

 

「あっそうだ。折角ですからそのザクⅡは進呈します。お好きにどうぞ?」

 

「えっ? 良いのか? 、サンキューな。出来ればバッシュが欲しいぜ」

 

「あはは、このバッシュは特別なので。キットが無くてですね、量産品じゃ無いんですよ。だから作るの面倒いんですよねぇ」

 

「そ、そうなのか。大変なんだな」

 

「ああ、それと」

 

 プラモシュミレーターのシステムダウンを確認した後、ドクターキリエは振り返る。姿勢を改めて一言言った。

 

「例の少年院のミッション、やるんでしょう? 頑張って下さいね」

 

「おう、任せとけ。何ならお前も来て良いんだぜ」

 

「ふふ、無茶言うなボケが。僕の戦闘力はマイナス53万ですよ?」

 

 

 

 

「ねぇお願い。ガットブロウくれ、伏黒に渡したでしょ。伏黒に寄越すなら私にも寄越せ」

 

「はっ? えっ? あ、えっ?」

 

「ふふ、大変ですねマスター」

 

 翌日、釘崎野薔薇さん、だっけ? そんな名前の物凄く可愛い美人の先輩に詰め寄られた。正直美人過ぎてついて行けない。そんなに距離詰められると困る。ぶっちゃけ、あーもう勃起するんだよぉ! もう! ホントに! 

 

「ど、どうしてガットブロウを?」

 

「決まってるでしょ! 昨日の任務! アンタの銃剣ホントに凄かったじゃない! 、あの少年院で特級呪霊に遭遇したのよ? 大変だったのに、伏黒がガットブロウを出して! インフェルノナパームの一撃であっさり蒸発よ! 、しかもあれ火力がある上に剣としてもめっちゃ頑丈何でしょ? 私も欲しい!」

 

「えっ嘘、特級呪霊? 、な、何で、そんな任務が新人に……いや、これまさか任務の体裁で殺しに来てる? 目的は虎杖悠仁の暗殺? 、い、いや、これは流石に考え過ぎか? ……例え暗殺だとしても誰がそんな事を考えた? ……、虎杖を殺す受益者は誰だ……、あーもうさっぱり分かんない」

 

「えっ暗殺? それホントに? ……」

 

「いや、あくまで推論ですよ……。事実はさっぱり知りませんから」

 

 暗殺の可能性を思いついて玉凍った。勃起とかしてる場合ちゃう。性欲が引いて、代わりにそれよりも激しい恐怖感が来る。怖い。あ、暗殺? マジ? こ、根拠は特に無いし、それは無いよね……。な、無いんですよね??? 

 

「暗殺は、多分無いですよ……だから大丈夫、ですって、えっと……多分。あーそれと、ガットブロウですけどね、元がゴチックメードの武器を小型化した物ですから、材質がちょっと特殊で、製造に時間が居るんです。ですけど予備で良ければ直ぐに渡せますよ」

 

「あれが手に入るなら何でも良いわ! 、宜しく! ……所でゴチックメードって何?」

 

「ええ、お任せ下さい。後で用意します。それとゴチックメードはですね、モーターヘッドの後継機体群で……」

 

 

 

 

「あーぁ、これがガットブロウ。何て美しさ! しかもこれで頑丈だなんて最高」

 

「はは、お気に召して頂けて何よりです」

 

 釘崎さんにガットブロウを引き渡すと、物凄く喜んでくれた。僕は一言付け加える。

 

「それ、故障したり何か異常があったら渡して下さいね。修理くらいしますから」

 

「ええ、覚えとくわ……あーもお本当に素敵。輝いて見えるっ、最高の武器じゃない。ドクターキエリって、貴方本当に天才なのね」

 

「あっはは、天才なんて、そう言われてるだけですから」

 

「今日は本当に有難う、じゃあね。後九十九由基に初見でいきなり求婚したって本当?」

 

「えっ本当ですけど、何か……」

 

「えっ嘘、マジ? 、えっ? ……」

 

「えっ? 僕また何か言っちゃいました?」

 

 いきなり空気が凍った。僕はまたもやついて行けなかった。

 

「うふふ、マスターは女性関係についてはクソバカニブチンなのです。それ以外天才の癖に」

 

「く、クソバカニブチンとか言うなぁ! エーオースぅ!」

 

「……初見で特級術師の九十九由基に求婚するなんて。世の中にはとんでもない化け物が居るのね……。こいつも術師でも無いのに伊達に特級やってないって訳か」

 

 

 

 

「やっ、おひさー」

 

「おひさーじゃ無いですよぉ! 、聞きましたよ五条先生! 昨日の少年院! 特級呪霊が出たって! 、どんな場所に初心者突っ込ませてるんですかぁ! 、虎杖の事暗殺したいんですか! したいんですよねぇ! 、したい奴どこかに居るんですかぁ!」

 

「あっはは、大変だねー。でも大丈夫、だって君の武器もあっただろ?」

 

「それはオマケです! 、あんなの戦力の内に入りません!」

 

 釘崎さんが去って暫くした後、五条先生と会って話をした。僕は少年院の任務について必死にクレームを付けたけど、残念ながらマトモに取り合ってくれないのだった。

 

「それに、昨日は3人とも無傷で帰って来た。それが結果だよ」

 

「あー、結果なんてついでですよ。偶々そうなっただけですって。ほらぁ」

 

「あ、それとねぇ、君のガットブロウだけど」

 

 話を急に打ち切って、五条先生は告げる。僕なんかじゃ会話の勢いを止められないのだ。

 

「あれ、本格的に量産出来ないかな?」

 

「不可能じゃ無いですけど。そんなに欲しいですか?」

 

「そりゃ欲しいって。だってアレ、性能自体は特級呪具と同レベル、いや、物によってはそれ以上だよ? 誰でも欲しくなるさ。それに」

 

「アレが沢山あると、高専みんなの生存率が大幅に上がる。どうか頼む。それに、九十九も同じ事を言ってる」

 

「九十九さんまで? そ、そう言われると弱いですねぇ……、んー、量産は可能です。ただ、工場の敷地と、機械の用意、後作業員が結構必要ですよ?」

 

「必要な物は全部こっちで手配しとく。だから量産化だけを考えてくれるかな?」

 

「分かりました。先生の頼みならやります」

 

 日本、いや世界呪術界が似たような銃剣まみれになるまで、あと少し。

 

「そうそう、後京都高専との交流会だけど『行きませんよ?』いや、君も来て貰うよ?」

 

「えー、僕戦えませんよ……、呪術師なんてあんな曲芸大集団と本気のお付き合いとかしたく無いし、東堂とか言うキモいのいるし……」

 

「あはは、なら君も鍛えたらいいんじゃないかな?」

 

「嫌です!!! 、鍛えるとか面倒い!!!」

 

 

 

 

 その日の夜。眠りに着いた後僕はまたあいつに会った。

 

「何で毎回こんな所に来るんです、何か面白いんですかね?」

 

「面白いさ。君は常に新しい可能性を提示してくれる。人間の可能性だけでなく、今や呪力の可能性までも。心から賞賛させて貰う、本当に最高だよ」

 

「んー、そんなに褒めるような事やってませんよ?」

 

「そんな事は無いさ。もっと自信を持って良い」

 

「ふむん、じゃあ質問ですけど……呪術については、知らない事が多過ぎて何するにも身動き取れないんです。兎に角何でも良いので論文のネタ下さい」

 

「構わないよ。どんなのが良い?」

 

「わーい。そーですねぇ、じゃあまず」

 

(この人、よく分かんないけど凄いよねぇ……)

 

 最近良く夢に出て来るこの人。何か凄い。和服の変人で、何か額にテープが付いてるのに呪術の知識が本当に凄いのよ。話してるだけで論文の種がわんさか出てくるというか。

 

(多分だけどこの人けんじゃくって言うのかな……所でけんじゃくって何?)

 

 これまでの観察内容から推論するに、この人の名前は多分けんじゃくって言う、と思う。悪魔で推定。事実は知らん。

 ……所でけんじゃくってどう言う意味? 

 

「あの、けんじゃくってどう言う意味なんですか?」

 

「おや、それはもしかして羂索の事かい? 羂索というのは鳥獣を捕らえる罠の事。ひいては、衆生を救う仏や菩薩の働きを意味する様になった言葉だよ。それで……」

 

「ふえぇー、そーなんすか」

 

(それにしても観察しただけで私の名前を察するなんてね……やはり君は最高だよ)

 

「君がこの世界に生まれてきてくれて本当に良かった。私はとても感謝しているよ。この運命に」

 

「はっ? 、え、いぇ、そんな事感謝されても、こ、困るといーますか……」

 

 それからも、講義は続いた。けんじゃく? さんの講義は普通に面白い。為になって助かる。ちょっと鎌かけてはみたけど。名前がけんじゃく? かどうかは分かんなかったねぇ。まいっか。

 

「それで貴方は人間が、術師も非術師も合わせた上で呪力の可能性の一部だって、そう考えてるんですか?」

 

「ああ、そういう事になる。術師も、非術師も、呪霊もね、これらは皆呪力の可能性の一部なんだよ。私はもっと呪力の可能性を探求したい。そうすれば、今よりもっと素晴らしい世界が作れると思うのさ」

 

「んー、なる。呪術師だとそんな考えになるんですか……あー、ちょっと納得しました。でも、僕の考え方はちょっと違いますね」

 

「おや、それはどういうものかな。お聞かせ頂いても?」

 

「僕は自然主義なんですよ。人間何かじゃ無くて、悪魔で自然の可能性を探求したいのです。でも、自然主義こそ科学の常道でしょう?」

 

「それに、人間だけの世界に、ファティマの余地は有りません。ジョーカー星団も存在し無い。神も宇宙人もロボットも無い。つまらないんですよ。世界はもっと普遍的で、もっと面白い物であるべきです」

 

「ほう、成る程、中々面白い事を考えるんだね。それは参考になるよ」

 

「参考なんて、言うほどじゃぁ……あっそんな事より!」

 

「貴方凄い術師じゃ無いですか! 良ければ呪術高専の教師になってくれません? 教えるの上手いし適任ですよ! その方が楽しそうですし……多分」

 

「アッハハ、そうだねぇ、そう言う事なら考えておくよ」

 

 その辺りで、話は終わった。夢はまた閉じる。

 

(それにしても、あの人凄いよねぇ、何か知らんけど。さっぱり知らんけど。でも割と真剣に呪術高専の教師になって欲しい)

 

 なんて、そう思いながら僕はまた次の朝を迎える事になった。

 

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