転生先はFSSだと思ってた   作:Delphinus

4 / 9
呪術高専 3 9月

「ガットブロウの量産体制確立……思ったより上手く行きましたねぇ」

 

「ふふ、そうですね。一ヶ月の突貫工事でしたが、何とかなりました」

 

 8月を通じて、僕はガットブロウの量産体制確立に奔走した。工場予定地を視察して計画を立案、その後の製造計画構築。作業機械も一々図面を引いて構築したし、人員の確保は高専側に任せっぱなしだったけど、まぁそれ以外は大体頑張った。今はエーオースと2人で、完成した工場の様子を見ている。

 途中でアメリカに引き返して、アメリカ軍のLEDミラージュとブラッドテンプルを調整。その場でツァラトゥストラ・アプター・ブリンガーへのブラッシュアップ計画を説明し、実行に移した。

 アメリカの大学院にも一旦帰って、高専での呪術研究の成果を共有。新しい論文や、呪術研究書の本格的な発表に向けて、会議を幾つもこなしてから帰った。

 

 そして、工場が仕上がった。

 

「んー良い感じだねぇ。やっぱりガットブロウは最高」

 

「んふふ、マスターが嬉しいなら、私も嬉しくなりますね」

 

 工場の本格稼働によって、ガットブロウの生産能力は爆増した。これで日本全国の呪術師に安定的にガットブロウを供給、そして修理出来る体制が整う筈だ。これは間違い無く革命的。

 

「そもそも呪術師の頭数が少ないから、こんな小さな工場でも生産量が十分足りるんだよねぇ。皮肉かなぁ」

 

「まぁ、僥倖ではあります」

 

 この工場は正直工場としては小さい。小さいしショボい。でもその程度でも足りてしまう程、呪術師の数は少ないのだ。

 

「ま、高専側でももう把握してるだろうし、一旦帰ろっか」

 

 

 

 

 9月に入って、そう言えば最近、けんじゃく先生がめっきり来なくなった事に気付いた。

 

「けんじゃく先生。どうしたんだろ……困ったなぁ」

 

 呪術の勉強はまだまだ続いている。到底、恐らく一生終わりそうに無い。けんじゃく先生も、それが分かってるのかな。一生かかっても呪術の研究が終わらないから、一生を伸ばしてでも死を遠ざけたんだろうか。

 

「……分っかんないなぁ。今日は国会図書館行こ」

 

 呪術高専の文献は一通り読み込んだし、そろそろ他の文献が読みたい感じはする。けんじゃく先生なら良い本知ってそうなんだけど……。

 呪術の文献って希少だし、データベースなんて便利な物は無いもん。アクセスが大変な訳。しかも重要な本は何かしら秘匿されてるっぽいし。一般人がアクセスするのはマジでキツい。

 

 高専の文献を漁って、国会図書館行って、神保町で古書漁って、それで論文書いての日々。そのルーチンも、そろそろ変えなきゃいけないらしい。

 

「んー、あっ、そー言えばあれよ、もしかして真希さんにお願いしたら、禅院家の呪術文献読ませてもらえないかな?」

 

「ああ、読めるぞ。文献くらいなら幾らでもやる。後禪院家な」

 

「うゔぉえあ!? 、は、はぁえっ」

 

 気がつくと、真希さんが直ぐ後ろにいて、じっと僕を見ていた。怖い! 正直怖いですぅ! 

 

「あ、はぁぁ、えっ、そ、その、えっとお……その、文献読めるって言うのは」

 

「当主権限だよ。今の私は禪院家の全てを握っている。その私が許可する、だから大丈夫だ」

 

「えっいや、禪院家の全て? い、いつの間に当主になって、そんな話聞いてにゃいれすよ? 、……えぇぃ」

 

「あー、そう言えば言って無かった。8月の間真依と一緒に乗り込んだんだ。禪院家本邸に、お前のガットブロウも持ってな」

 

 真希さんの話によると、8月の間に禪院家本邸に姉妹で殴り込みをかけた、らしい。そこで父親の禪院扇を瞬殺して、え? 、いや、何で父親と戦うんです? その流れのまま躯倶留隊、そして炳と対戦……いや、躯倶留隊って? 炳って何? 更には直哉を下して当主入りを認めさせた、らしい。……だから直哉って誰? 

 

「……ちょっと言ってる意味分かんない、ですけど、えっと何で父親と戦うんですか?」

 

「……あっ、……そうか、そうだったな。禪院扇はどうしようもないクズ野郎なんだ。娘すら手にかけようとして無様に返り討ちさ」

 

「い、いや、それ、クズだからで説明出来る次元超えてる……幾らクズ野郎でも娘を殺すとかどう考えてもしないでしょ……えっ? いや、ちょっと理解出来ない……な、何それ」

 

「ふふ、やっぱり優しいな。お前は本当に素敵な奴だよ。お前の爪の垢の一片でもあの親父に飲ませてやりたい」

 

「はっ? あ、ぇ、いや、爪の垢とか薬としてはそんなに良くありませんよ。薬ならもっと良いのがありますから、そっちを処方して貰えば……」

 

「そんな上等な薬、あいつには要らないだろ」

 

「え、えあぇ……」

 

 言ってる事微塵も分からなくて着いていけない。や、やっぱり呪術師の感性って桁違い過ぎる。あー、んー、こうしていると、呪術師と一般人のギャップの差を思い知る。呪術師って何やかんや言ってもやっぱりやべー奴なんだなぁ、て。

 

「それと、お前の銃剣にも感謝してる。あれとんでも無く頑丈だな。私の全力にも当たり前みたいに着いてくる。本当に気に入ったよ。それと、出来れば予備用も欲しいんだが」

 

「そりゃあ頑丈でしょう。あれゴチックメードの武器を小型化して再設計した奴ですから。それと、予備ですか? ガットブロウの工場が稼働状態に入ったので、今なら大丈夫です。後で高専の倉庫に」

 

「そうか、有難う。それと文献の話、後で細かい所を詰めるぞ」

 

「は、はい、そうでふか……」

 

 そして真希さんは去って行った。僕の頭には理解出来なくて、それでもまだ目が点になってた。

 

 

 

 

「凄かったぞドクターキエリ! あの44連装バスターランチャー! 魔虚羅の調伏に成功したんだ! 盲点だったよ、幾ら強い武器を持ち込んでも良いんだ。術者とは違って、武器は戦力としてカウントされない!」

 

「うえぇぁっい、んゆゆぁぅぅ、っ、えぇ、な、何ですかぁぁ……」

 

「あー済まない、興奮し過ぎた」

 

 いきなり頭がグラグラさせられて大変だった。相手は、どうやら伏黒さんのようだ。兎に角威力のある武器が欲しい、そう伏黒さんに言われて、僕が提供したのが、カートリッジ式44連装バスターランチャー2門、計88門のバスターランチャーを搭載した超大型兵装「ツインタワー」となる。

 ヤクトミラージュの武装を元にした最低最悪の殲滅兵器、そのシステムを生身の人間用に小型化して再設計し、引き渡したのが7月の終わり。そして8月の間に、伏黒さんは魔虚羅の調伏を完了したらしい。……所で魔虚羅って何? 調伏ってどういう意味? 分かんない事だらけの上にぶんぶんされた頭がまだ揺れてる。

 

「兎に角、有難う。これで俺はもっと多くの物を守れる」

 

「は、はぁ、何か知らんけどそれは良かったです」

 

「さっきは揺さぶって済まなかったな。それと、この借りはきっと返す。覚えといてくれ」

 

 そう言って、伏黒は嵐のように去っていく。また僕は1人に戻る。

 

「はぁ、まだちょっと痛い。どうしよ……今日は、プラモシュミレーターしようか」

 

 

 

 

「呪術の研究、ちょっと鈍足気味だなぁ……」

 

 呪術の研究は滞り気味。高専の文献は一通り読んで、次の文献はさっぱりな感じ。呪術の本って本当に希少なの。中々見つからない。やっぱり禪院家の文献が鍵かなぁ。いや、もしかして五条先生にお願いしたら、五条家の文献も見せて貰えたりしない? 

 

「ねぇ、五条先生にお願いしたらさ、五条家の呪術文献読ませてもらえるって思わない?」

 

「えっ嘘、何、五条センセ、う、うわっ、ずりーぞそれ!」

 

 高専に置いたプラモシュミレーター。虎杖のガンダムをバイファムで圧倒する。虎杖はかなり頑張ってるけど、技量と経験の差が露骨に出てる感じ。

 五条先生の話題を出して鎌を掛けて、ボロを見せた所をビームガンで集中射撃。あっさり落ちた。

 

「ちくしょー、そのバイファムって機体強過ぎねぇか? 滅茶苦茶動き回るし。俺も折角ガンダム用意したのに」

 

「アハハ、そうでも無いですよ? このバイファムは機動力こそありますけど、技量の良し悪しが露骨に出るんです。それに格闘武器も無いから、寄り付かれるとキツくてですね」

 

「そんな事ねーだろ。もう一回やるぞ」

 

「はーい」

 

 そんな感じで虎杖を甚振って、パンダを撃破して、狗巻も撃沈。並み居る高専生をバイファム一体で次々と打ち破る。

 

「くそぉ、流石に開発者に挑むのは分が悪いのか!?」

 

「あー強いねぇ、本当に」

 

「……しゃけ」

 

 でも、その人がやって来た。

 

「ふーん、じゃあ俺もお願いしよっか」

 

「おお、伏黒! 頼む、ガンダムの仇を討ってくれぇ!」

 

「おや、良いですよ、さ、プラモは何を使うんです?」

 

「これだ」

 

 そう言って伏黒が見せたのは、G-セルフパーフェクトパックだった……やめろ、Gレコだけは、止めろ。

 

「G-セルフは、ちょっと、酷くありません?」

 

「知るか。お前に対抗する為なんだから、ハンデくらい付けさせろよ」

 

「うおお、頑張れ伏黒ぉ! 、あの悪魔をやっつけてくれぇ!」

 

「しゃけ」

 

「止めて? いや、ほんとG-セルフは止めて?」

 

 その後、バイファムはフォトントルピードの光と消えた。ゲームが終わった後、壊されたバイファムが排出される。ゲームで壊されたからと言って、別にプラモが破壊されるみたいな仕様では無い。でもまぁ、悲しくは有るのさ。

 

「あーうぅ、そーゆーの持ち出すならこっちも本気ですよ?」

 

 繰り出すのは勿論これ。ツァラトゥストラ・アプター・ブリンガー。呪術高専でのお披露目は初めてになりますね。

 

「うお、なんじゃこりゃっ、カッコい! 美しっ、でも気持ち悪っ! 理解出来ねぇ! な、何だよこれ!? こんなの思いつく奴マジの天才じゃねぇか!」

 

「うおお、凄げぇなぁこれ。何てプラモだ。滅茶苦茶複雑だぞ」

 

「……明太子」

 

「ふふ、これがツァラトゥストラ・アプター・ブリンガー、その意味は火炎の神の叙情詩。僕のゴチックメードのプラモ版です。本来はジョーカー星団の神が作り上げた最強の機動兵器なのですが、今はその劣化複製品、しかも未完成状態に過ぎません。でも、強いですよ?」

 

「ん? そのロボットの関節、ツインスイング機構だな。もしかしてツインスイングってこれと同じ由来なのか?」

 

 伏黒はそう言ってツインスイング機構の合致点を指摘した。ツインスイング付きガットブロウを持たせていたから気付いたんだろう。切れ者ですよねぇ、相変わらず。

 

「あはは、そうですよ。GTMの目玉と言える関節機構、それが本来のツインスイング関節です。では、楽しんで下さいね」

 

 戦いは、圧倒的だった。全方位にフォトントルピードと全方位レーザーを乱射するG-セルフに対し、一瞬の隙を突いて突撃。ガットブロウの刺突を浴びせ、コックピットを刺殺する。それで終わり。

 

「も、もう終わりかよ、は、早……」

 

「パンダの目にも見えなかったぜ。な、何て速さだ」

 

「負けたな。はぁ、次はもっと別の機体を持って来ないとな……」

 

「あはは、では、今日のプラモシュミレーターはこの辺りにしましょう。また次の機会に」

 

 

 

 

 伏黒がG-セルフを繰り出して、また数日後。僕の元に意外な面子が来た。虎杖に、えっと誰です? 

 

「ん? そちらは……」

 

「こっちは吉野順平。プラモシュミレーターに興味を持っててな、連れて来たんだ」

 

「よ、宜しくお願いします……」

 

「ああ、成る程。僕は木衿冬嗣、ドクターキエリです。宜しく。そして、こちらはファティマのエーオース」

 

「エーオースです、初めまして」

 

「ドクターキエリ、そ、それに、ファティマ? ……ほ、本当ですか!? アメリカの学校を飛び級で卒業して、それでロボットを作って、更には呪術の存在を世界中に公開した大天才だって、さ、サインお願いします!」

 

「アハハ、良いですよ。サインには慣れてますから」

 

 パパパッとサインを書いて渡す。僕の名前に、吉野順平の名前も組み込んだ特製サイン。随分と喜ばれた。

 

「それで、本日はプラモシュミレーターですか? では早速やりましょう。プラモは持っていますか?」

 

「はい、一応」

 

 そう言って、順平は天元突破グレンラガンを取り出す。……お願いだからそれ止めて? 

 

「順平さん、貴方術師ですね? でも、脳の構造が今一つ噛み合っていない。だから術式を発現出来ない」

 

「えっ?」

 

「術式は恐らく式神です。脳手術さえすれば、悪くない術師になれる筈です」

 

 そう言って、隙を作ってから天元突破グレンラガンにガットブロウの斬撃を叩きつける。そのままバラバラに解体。

 

「あ、あああっ、くそ、やられたぁ」

 

「アハハ、プラモシュミレーターは原作の性能をそのまま再現するものでは有りません。原作で強ければシュミレーターも強いとか思わないで下さいね?」

 

「言葉で思考を乱すのはキエリの得意技だぞ、気を付けろ順平!」

 

「ああ、分かった! 虎杖、もう一度!」

 

「ふふ、構いません」

 

 そのまま何戦かやって、何回か負けた。やっぱりグレンラガンが相手なんて分が悪い。もう一つ爆弾をぶつけないと。

 

「ねぇ順平さん。貴方呪霊と関わったでしょう」

 

「えっ? いや、そんな事……」

 

「呪霊は、人間? これ何でしょうか。人間が憎いのですか? 何の呪霊かは分かりませんが、高度な知性が有ります。それに人間に関係があるようですね。その呪霊が貴方の報復を代行したのでは?」

 

「な、何だって、本当かよ順平!?」

 

「い、いや、そんな事……」

 

「ふふ、隙あり」

 

「あ……」

 

 隙を突いてチャージしたバスターランチャーが天元突破グレンラガンを破壊。プラモが戻って来る。

 

「あっくそっぉ、謀ったなキエリぃ」

 

「あはは、そうですねぇ。でも」

 

「呪霊が、特に知性ある呪霊が人の心につけ込むのは当然の事です。貴方は間違ってなど居ませんよ。その上で、貴方は、貴方達は庇護される必要がある。順平さん? 推論ですが貴方家族が居ますね。家族ごと高専に来てもらいます。でないと貴方達の命が危ないですよ?」

 

「えっ? いや、そんな事生徒が決めて良いのかよ」

 

「良いんですよ。高専の先生方なら、事情を話せばどうせ認めます。早くやっちゃいましょう? 

 ……さて、順平さんと家族の方は当分の間高専で保護します。それと、この提案を受けるなら、貴方が呪術師になる為の脳手術を施術してあげましょう。そうすれば貴方も呪術師という訳です。これが対価ですね」

 

「えっあ、いや……」

 

「命が掛かっているので拒否は受け付けません。嫌と仰るなら、無理矢理にでも連れて行きます。虎杖が」

 

「俺がかよォォ!? ……ま、まぁ、その、だな、順平? 悪い事にはならねぇよ。お母さんと一緒に高専に来てくれ、ほんの少しの間で良いからさ」

 

「あ、あぁ……分かった。母さんに連絡しても良いか?」

 

「ええ、お好きにどうぞ。僕はこの件について先生方と折衝して来ます。この場は頼みましたよ、虎杖。さぁ、行きましょうエーオース」

 

「はい、ふふ、何時もながら博士がすみませんね」

 

「あ、ああ、任せとけ……」

 

 吉野順平とその母親、吉野凪の呪術高専滞在許可はあっさりと降りた。さて、当分の間は警戒態勢ですねぇ。

 




魔虚羅:44連装バスターランチャー2門の露と消える。可愛そうに
死滅禪院編:重軽傷者多数、死者は0。直毘人は死ぬ程面白がっていた。
インフェルノナパーム:霊魂などの霊的な存在をも焼き尽くす。こんな物量産するバカは誰だ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。