「凄かったわねえ」
日本へ移動中のジェット機の中で、マリアさんがつぶやく。
「アメリカのショーとはまた違った魅せ方だったな。
今度はプライベートで観たいところだな」
ジャックさんも鑑賞してたけど、警護もあるから完全には演目に集中できなかったようだ。
「ぐぬぬぬぬ」
そして興奮冷めやらぬフェルだが、必死に真似しようと倒立をしている。
私は私でそんなフェルの足を支えて補助しているが、離したらすぐに倒れるだろうね。
「……フェル。そろそろやめたほうがいいよ」
顔を真っ赤にして頑張ってるけど、さすがにそろそろ止めておこう。
『フェルちゃん、無理しないでー』
『手で支えるというより、掌底部分に体重を預ける』
『子供の時によくやったなあ』
『バク転出来る奴はヒーローだったな』
うん、動画配信では視聴者たちが懐かしんだりハラハラしたりである。
とりあえず、そんなこんなで日本に到着して私は今回のゲームを受け取りに行く。
まず最初に行くのはスク・ウェニ。
前回渡したタクティクスオウグの懸賞もあるからね。
なので、スク・ウェニの応接室に案内されれば、スク・ウェニの担当さんが挨拶してくれる。
「大使、お久しぶりです。
いやあ、スマブルが早速売り切れ続出とのことで、参加させてもらっているうちとしても嬉しい限りです」
「お久しぶりです。
売れるとは思ってましたが、ここまで人気になるとは予想していなかったのでてんてこ舞いでした」
「はっはっは、うちもその経験は何度かありまして大変さは理解できます。
それに地球側でもダウンロードが大人気でして、またいい感じで盛り上がっていますからなあ」
そこからは少しスマブルのことで談笑しながらも、次の商談へと移っていく。
「それでは大使。
こちらがドラクア・fainalコレクションになります。
内容としてはドラクアは1.2.4.6。
そしてfainalは1~4のシリーズが入っております」
そう、今回のソフトはナンバリングでありコレクションなのだ。
以前からマルデアのお客さん達から度々要望されていたことで、私も機会があれば出したいとは考えていたのだ。
実際最初に販売したドラクアだと、物語上で過去作の一部歴史に介入することがあった。
また3と5も販売してたから、やっぱりお客さん達はナンバリングも出してほしいという要望は非常に多かったのだ。
ただ気持ちは理解できるが、オールスターだともう微妙に入れづらくなってるし、大作として出すには少し弱いかなと考えていた。
fainalも同様でリマスター版があるとはいえ、そのまま出すには難しいかなと思っていた。
だけど、今のマルデアでの人気具合ならいけると考え、またこの二つのナンバリングだからこそ繋げられることがある。
同時に有名人さんが語ったおかげで、新規のお客さんが一気に増えたのだ。
なので、ある意味最初からのナンバリングは新規がプレイするにはちょうどいいだろう。
「それとこちらに置いているのがドラクア4コマシリーズ・派生形ゲーム・漫画・玩具になります」
「……これ全部ドラクア・fainal関連?」
担当さんが見せてくれる関連商品にフェルが驚く。
まあ気持ちはわかる。
ドラクアもfainalも最早本家より派生形が山ほど出てるからねえ。
「ドラクアもfainalも地球では30年以上の歴史がありますから、その間に様々な形で販売しておりましたので。
個人的に一番懐かしいのは四コマですなあ」
わかる!
私もユウジ時代に何度読んでたことか。
色んな作家が四コマに参加してたが、のちに有名になった漫画家の作品もあるし、無名のままで終わった人達のでも面白いと思ったやつはあったからなあ。
思い出すのは1の主人公がお姫様を救った後に、お城に帰る間の戦闘ではお姫様を空中に放り投げて、下で戦闘してまたお姫様抱っこで受け止めるとか。
2だと宿で合流する王子をぶん殴る主人公王子とかね。
ある意味、遊んだ人たちじゃないと共感できないような内容だったけど、妙に印象に残ってるよ。
「とは言えども、漫画文化がマルデアで通じるかどうかが懸念するところでありますが」
そう、漫画って実は結構知らない人には読みにくいものだったりする。
擬音・吹き出し位置・表現・コマ割りなどなど、理解していないと分からない読み方が結構あったりするのだ。
「ええ、ですので最初はこちらをガレリーナ社のサイトで掲載してみようと思ってるんです」
それは鳥獣戯画を利用した漫画の表現を教えてくれる四コマである。
例えば漫画でよく表現される怒りを表す血管マーク。
ぶつかったときに表現される星マーク。
焦りや危険を感じたときに使う、汗の表現。
そういった漫画の表現を知らない人に解説しながらも、理解しやすい内容なのだ。
同時に登場人物を動物で表してるから、地球人を連想することなく親しみやすいなあと考えたからだ。
そしてそれが上手く理解してもらえれば、ドラクア四コマを販売すれば食いついてもらえやすいと思った限りである。
また、そうすれば地球の漫画も受け入れやすい土台になるかなと考えたりもした。
ちょっとあざといかなあとは思ってしまうが、そうすればアニメ関連でも配信できる枠が広がるとも思案している。
「こっちは?」
と、今度はフェルがfainal側のソフトを持ち上げてる。
あ~音ゲーか。
「そちらも地球で販売されているリズムゲーになります。
ただ、場合によってはアーケードに使えるかとも考え中です」
「おもろい?」
「やはり基本はfainalのファン向けでもありますが、楽しめるように製作しております。
そちらもお持ち帰りしていただきますので、良ければ遊んでみてください」
「おう」
あとですぐに遊びそうだな。
まあいいけど、とりあえず商談にもうちょっと時間かかるんだが。
「そして大使。
こちらがオウグ当選者へ送る品です」
そう言って見せてくれるのは、一つはあの作品でも登場するガラスのアイテム。
もう一つは、
「うちの社員たちが当選者の一人一人にあてた寄せ書きになります」
そう、これもまた小さいかもしれないが星間交流になるのだろう。
「マルデア語を翻訳した応募内容を、開発者達は喜んで読ませていただきました。
その中で当選者の楽しんでくれた内容に対して、開発者達が返事をした形になります。
無論文章に関しては推敲を重ねておりますが、ガレリーナ社の皆さんにも確認していただきたいのです。
それで問題なければ当選者の方々にお送りお願いいたします」
ああ、いいなあ。
大好きになったゲームの感想を送ったら、開発者が返事してくれるなんて嬉しすぎるよ。
しかも、全てマルデア語で書いてくれていて、ちゃんと読めるようになっている。
多分、何度も推敲して清書する前に練習してくれたんだろうなあ。
「ありがとうございます。
責任もって当選者の方たちの手元にお届けいたします」
「よろしくお願いいたします」
そうして、スク・ウェニでの商談を終える私とフェルであった。
だけど、今回輸入するのはこれだけじゃない。
さあ、次の商談に行こう。
アンソロジーは当時結構買い集めてましたね。
ヴァルキリープロファイル・スターオーシャン・ナデシコ・ToHeartなど。
他にも三国無双の四コマは結構好きでした。