パラドゲーは凄すぎるけど、……操作が大変すぎます。
でもやってみると開発者に拍手するしかないよ。
日本で輸入品を受け取った後は、アメリカに移動する私たち。
「久しぶりにスカールさんと会いますが、やっぱり忙しく働かれてるんでしょうね」
「おっさん、元気?」
重責が凄いからこそ、……薄くなってるんだろうなあと思うが、あんまり強く言えないしなあ。
そこら辺の感覚は私には、どうしても実感できないし。
「あ~、スカールさんは普段から色々やってるからね。
でも、他の人じゃ代われない業務もあるから、中々ねえ」
「状況が落ち着けば休んでもらうことも出来るんだが、さすがにマルデア大使との会談は外せんよ」
二人とも、どこかお茶を濁すような言い方だ。
……察したほうがいいのかもしれない。
私はそれ以上突っ込まないことにしておくのであった。
そして、アメリカに到着すると、いつものスカールさんとの対談する場所で待つ。
フェルも挨拶してから、別室で待機予定になる。
「待たせたね、マルデリタ嬢」
「スカールさんお久しぶり……です」
数か月ぶりに合うスカールさんを見た瞬間、私は思わず真顔になってしまう。
明らかにスカールさんが瘦せていたのだ。
目の隈も酷いし、もう頭頂部より先にそちらを心配するしかない。
だから、私はもうそこからは躊躇なく魔石を取り出して、
『願う、スカールさんの健康を』
「光パゥワー」
フェルも同調してくれたようで、同じくスカールさんの体に元気を送り込む。
一瞬、スカールさんが驚きの表情を見せるが、体から抜けていく疲労を実感していったのだろう。
そのまま体を預けるかのように、目を閉じて気持ちよさそうにしてくれる。
周囲の警護の人達も一瞬は緊張感を走らせていたが、私の行動を理解してくれたようで、サポートできるように動いてくれている。
こうして少しの間スカールさんの体調を回復させていくと、スカールさんが大丈夫という合図を出してくれたので、私とフェルは回復を止める。
そうすると、スカールさんは軽く体をほぐすと、申し訳なさと感謝の気持ちが入った表情で話し出す。
「心配をかけてすまない。
そしてありがとう、とても体が楽になったよ」
「すいません、お会いした瞬間のスカールさんを見たら、余りにもきつそうだったので」
「おっさん、ぶっ倒れそうだった」
フェルもすぐに手助けしてくれたほどだったからね。
「ああ、最近は仕事でどうしても私でなければならないことが多くてね。
星間貿易に関わる内容でもあるから、把握しておく必要があることも沢山あるんだ」
「ううん、そちらでのお仕事内容は私は門外漢ですから、口出しできませんね。
でも、体調だけは気を付けてくださいね」
立場的にはマルデア大使と地球外交官だから、相手の業務内容に文句なんて言えないよ。
「お気遣いありがとう。
将来的には必要な業務なんだが、とにかくやることが多くてね。
それに地球がいい方向へ進む事柄でもあるから、やりがいはあるさ」
そういうスカールさんの表情は笑ってはいる。
でも、なんとなくかたい感じかなあ?
フェルも首を傾げてるから、多分言えないようなことなんだろう。
まあ、気を取り直して、
「分かりました。
ではマルデアでの進捗をお話ししますね」
そうして、改めて星間貿易にシフトしていく。
スマブル・ゲーム機・ネズム王国・アーケード・グッズのことなどなど。
フェルはその間に移動して、マジックを見せてもらっている。
そして私のマルデア進捗を聞いている間、スカールさんは真剣に内容を咀嚼していく。
「なるほど。
更なる市場の発展に差し掛かっているようだね。
ただ、突然の需要拡大になっているから一時的な在庫切れ……か」
「ええ、既に生産拡大中にしてくれてはいますが、今回と次回は予約者以外はスウィッツを買うことは出来ないでしょうね」
「ああ、それについてだが生産拡大に関しては、実際我が国も協力しているんだ。
世界的な半導体不足とは前に説明させてもらったが、今後の星間貿易のことだけでなく、地球での商売でも四の五の言ってられない。
だから世界的に協力して半導体の開発・製造・安定した生産を整えている最中なんだ」
「そうなんですか!?」
うわあ、世界中が協力して作ろうとしてるんだ。
経済ってどうしてもお金稼ぎに繋がっちゃうから、大きい組織同士が協力するなんて下準備大変だったろうなあ。
「うむ、だが単純な経済的な結びつきだけでないから、色々な誓約も考えたりで……な。
現代だと半導体はどんな分野でも使うんだが、どこに優先的に配るかもあるんだ」
「あ~、ゲーム機にも半導体ありますから、確保するためにも必死にならないといけませんか」
「そういうことなんだ。
だが、これも地球が良い方向に進んでいることの一種さ。
話し合うことは大事だからね」
その代わり、苦労もいっぱいだからスカールさんは体調崩してたのかあ。
「そして、ここからが一番話したかったことだ」
スカールさんが目くばせをすると、警護の一人が書類を持ってきてくれる。
「地球人による魔石の検証結果の書類だ。
一部は電子書類にもしているが、最悪のことを考えて現物活用もしているので、すまないが紙で説明させてもらうよ」
情報セキュリティ対策なんだろう。
不謹慎だが少しワクワクしてしまうけど、内容が内容だ。
「マルデリタ嬢が実際に医療分野で実行してくれていたので、それを参考にさせてもらった。
結果だけ言えば成功はしたのだが、まだまだ検証すべきことだらけではある」
「結果だけとは?」
「四肢損傷・神経断裂による動作不可・治療できない整形関連という感じで、医療分野のエキスパートや生体研究者達で治験を行っている。
だがイメージで治療を行うということもあって、魔石の使用者次第で治療速度・治り具合・癒着・整形具合。
そして魔石の消耗具合がばらけているんだ。
現在は検証でもあるから、それも研究データになる。
しかし、安定しないということは安心できないし、不確定要素につながるから、まだまだ時間はかかるだろう」
「……上手くいかなかった場合もあったんですよね?」
「ああ、だが被験者には責任を持って対応している」
「協力してもいいでしょうか?」
「状況次第だが、お願いする」
暗に失敗してしまった人を治療したいと伝えたが、スカールさんはすぐに理解してくれたようだ。
そして、こちらからも懸念している輸出品の品目のことを伝えると、
「品目を増やしてもらえるのはありがたいな。
とは言えど、どんな物がいいかとなると難しい。
だが、やはりどんな品であろうとまずは公的機関で運用することは間違いない」
「うーん、考えてるのは災害救助で役立つものとかいいかなと思ってるんですが」
「いいと思う。
もう少し求めるなら管理しやすく扱いやすい物だな。
分かりやすさはとても大事で、高性能でも操作が多いものほど中々活用されないんだ」
色んな機能を増やしても、使う人が理解出来なかったら無用の長物だしなあ。
「まあ魔石や縮小ボックスに木の実だけでも、我々としてはおつりが出るほどどころじゃないから慌てなくても大丈夫さ。
こうやって友好的に円滑な星間交流がマルデリタ嬢と出来ているだけで、感謝しているんだから」
そう言ってスカールさんは今度は裏表を感じさせない笑顔を向けてくれて、今回の会談と訪問を終えて、私はマルデアへ帰還するのであった。
次回はスカールさん視点。