でもアーケードだと、どこかさみしさも感じたりします。
帰還した当日は仕分け作業で少し残業した私。
量も量なので今日も仕分け作業はする予定だが、目途がつくようになったら基本的には社員さん達にお任せする。
私とサニアさんは新作情報でサイトを更新するし、他にもやりたい作業はいっぱいだからだ。
それにそろそろ会社のサイトにシマエナガのことも小さくだが掲載予定だったりする。
どうなるかなあ?
受けてくれるといいけど、正直なところを言えばマイナス印象にならなければ十分な結果だと私は考えている。
お客さん達はゲームをとても楽しみにしてくれているし、地球の商品というのはもう全然気にしてはいない。
ただ、少し突っ込んで言えばだが、どうやって輸入してるかとかまでは滅多に無い。
そりゃそうだけどね。
物流の流れまで興味を持つなんて、仕事柄とか知識欲旺盛な人くらいだろうし。
「さてと、こんな感じでどうでしょうサニアさん?」
下書きした文章をサニアさんに見せる私。
「どれどれ?」
【スウィッツを製造販売している国である日本で生息する小鳥です。
特に雪が降る寒い地方で見られており、その愛らしさから人々から愛されています】
簡単すぎるかなと思えども、写真と動画のほうで理解できると考えた。
「う~ん、ちょっと物足りないわねえ。
ただの紹介文って感じがして、味気ないわよ」
そういうと、サニアさんが修正していく。
【地球訪問時に遭遇したのですが、その見た目と手のひらサイズの小ささに惹かれた小鳥です。
スウィッツを製造販売してる国である日本の在来種ですが、このもこもこした羽毛は雪の降る時期が見頃だそうです】
「……なるほど。ちょっとした物語性を感じさせてくれますね」
「リナの感動とゲームのちょっとした豆知識も入ってるから、そこに写真と動画で実感できるんじゃないかしら?」
ふむふむ、こうやって読みたくなる文章を作るのかあ。
少し勉強になった私だが、結果としては修正したサニアさんの紹介文で掲載することになるのであった。
そして、同時にお知らせで正式にスウィッツ本体の入荷・新作ゲーム・アーケードの情報を更新する。
また、入荷したことをネズム王国側にも伝えていたので、ネズム王国のほうも大々的な発表をしてくれた。
『新作だー!』
『専用コントローラー待ってたぞー!』
『ちょ!? 二つ同時販売?』
『二つともほしいいいいいい』
『え? ネズム王国で販売は知ってたけど、そんなに前から注目されてたの!?』
『音速と電は知名度上がってるよ』
『先見の明があったということか』
『今回予約してた新規だと、どっち買えばいいのかなあ?』
『RPGじゃないかな』
『いやいや、格ゲーでしょ』
『ようやく自宅で対戦できるぜ』
『ひ、一つしか買えるお小遣いが無い』
『選べないよ!』
『ガレリーナ社は超特急でアーケードを設置してね』
『要望してたナンバリングに応えてくれてありがとう!』
『あれ? ゲーム以外でも情報が増えてるって思って見たけど、小鳥可愛い』
『へえ、地球ではこういうのもいるのかあ』
『なるほど、マルデリタさんは地球観光もしてる感じなんだな』
『は~野蛮のイメージだけじゃなくなってきたよ』
『まあ完全に野蛮とは思えなくなってきたかな?』
『さすがにそこまで良いイメージにはならんけどな』
早速熱心なゲーマーたちが書き込んでくれるので嬉しい限りだ。
地球へのイメージも遮断するほどじゃないから、それだけで個人的には十分だよ。
そうしてサイト更新して反応を確認している間に、少しずつ商品を出荷していく。
お店のほうも待ち遠しかったようで、早速予約しているお客さんに連絡しているそうだ。
中には次回予約もしているお店もあるので、次の訪問予定はいつですかの問い合わせもしてきたからなあ。
さすがにまだ次回の正確な日程は決まってないから、地球側と調整中ですと返答している。
それにまずは新作アーケードの販売だ。
既に購入してくれているお店に設置作業にいかないと。
ちなみにブラームスさんはもう無条件に新作だと複数台を購入してくれるから、少しだけだがお得意様割引している。
実際、ブラームスゲームセンターは売り上げだけでなく宣伝効果も大きい。
お店として大きくなってくれれば、それだけゲームを知ってくれる人が増えるのだし、会社としても嬉しいので応援したい相手だからね。
でも、さすがに目途を付けるためにも、今日はまだ仕分けかなあ。
明日からは営業と設置作業予定だけど、スウィッツ本体だけで20万台以上あるから、出荷完了までが大変なのです。
side:ニニア
「くらえ、しょ~る~れっぱー!」
「おあああ、俺のケミィがああ」
放課後、私はいつものようにブラームスゲームセンターに来たら、男子が久しぶりに超スタ2対戦をしていた。
遂に新作格ゲーアーケードが来るので、こっちが隅に置かれる前にまたやりたくなったんだろう。
「やっぱ格ゲーおもしれえよなあ。
最近はBEATMAXとX-TYPEにつぎ込んでたけど、爽快感はこっちが上だぜ」
「家で出来るようになるのは嬉しいけど、ここで対戦するからこその盛り上がりがあるしな」
男子が楽しそうに話しているが、確かに私も遊んでて楽しかった。
皆の反応がいいと、やっぱり気持ちいいんだよね。
だけど、X-TYPEはまだまだ難しさを感じている。
弾幕をいかに回避するか?
的確に攻撃出来ているか?
攻撃に夢中になって、回避がおろそかになっていないか?
次に出現する敵の行動パターンはどうだったか?
これらを同時進行で上手く捌けなければ、あっさりとやられてしまうのがシューティングゲームだ。
私もクリアはしたが、やはり何度かコンティニューで追加クレジットをしている。
ラナはBEATMAXの高難易度を少しずつ楽しめるようになっていて、そろそろ新しい曲が来ないかなあと呟いていたりする。
「お? ニニアちゃん来た来た」
「おっしゃ本日のメインきた」
なんかいつもより歓迎されているような?
「ナゴロさん、ニニアちゃん来たぜ」
「え? ナゴロ……さん?」
二年連続で末の日イベントの決勝で対戦した猫さんの名前。
「久しぶりだニャ」
声の聞こえた方向に顔を向ければ、そこにはあの忘れられないニャムル人がいる。
「お、お久しぶりです。
予想だにしていなかったんで、びっくりです」
「うちとしても次会うとしたら、またイベントとは考えてはいたニャ。
ただ、新作の情報が来たのは知っているよね?」
「あ、はい。
午前中に友達から教えてもらいました」
授業後の休憩時間に興奮気味に話しかけてきた友達がいたのだ。
「うむうむ、勿論うちも飛び上がるほど嬉しかったが、そこでふと思いついたんだニャ」
楽しそうに話すナゴロさん。
しかし、その手の中にはコインが何枚もある。
「イベントはイベントで楽しかった。
でも、イベントじゃなくてももっと対戦したかったっていうことを」
「……なるほど」
私はナゴロさんの気持ちを察する。
私もそうだけど、新作が出たらそっちに夢中になってしまうし、次のイベントでは勿論そっちで開催されるだろう。
そうなると、もう超スタ2をアーケードで対戦できる可能性は低い。
やろうと思えば家庭用にもなるのだし、専用コントローラーも販売されるのだから遊ぼうと思えば遊べる。
でも、やっぱりゲームセンターのアーケードだからこそというのがある。
そして、もう超スタ2で盛り上がるなら今しか無い。
そんな気持ちがナゴロさんには芽生えたが、ナゴロさんは初代チャンピオンでもある以上、近場では敵無しなんだろう。
でも、ある意味超スタ2のアーケードとしての最後みたいなものであるからこそ、楽しい対戦相手を考えた時に私を思い浮かべてくれて、そして今日ここに来てくれたということだ。
「付き合ってくれるかニャ?」
そう言ってナゴロさんは見せつけるようにコインを弾いて、対戦に誘ってくれる。
「また勝たせてもらいますね?」
私は向かいの対戦台に座りながら煽ってみる。
普段だとこんな煽りはしないけど、ナゴロさんは寧ろ煽りあうのも楽しんでいるのだ。
「ふふん、今日で勝利数に大差をつけて格付けしてみせん」
嬉しそうに楽しそうにコインを投入するナゴロさん。
「二人ともやれやれ~」
「リウとダルサム以外でも見たいぞー」
周囲の皆も囃し立てるが、私は集中するけど楽しくなってくる。
だって純粋に全力を出せる相手がいるんだから。
『ROUND1 FIGHT』
そうして、私とナゴロさんはマイキャラだけでなく、色んなキャラも使いながら対戦して楽しむのであった。
まだ話数かかりますが、そのうちにまた一般公開を考えています。