リナの星間貿易異聞録 第二期   作:ayasaki

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部長・上層部は少ししか登場してないから妄想するしかなかったです。


面談

「……ううう」

 遂に休日明けの今日、私は久しぶりに部長と面談する。

 気持ちは既に凹んでいるけど、自分は社会人なんだという意識で頑張るのだ。

 そうして、部長と面談予定の部屋で私は待機中。

 ガレナさんやエヴァンスさんから助言は貰ってるけど、結局は出たとこ勝負だよね。

 そして部屋の戸がノックされた瞬間、私は立ち上がって戸の方に体を向ける。

「待たせたね」

 部長が部屋に入ってくる。

 その手の中には私が事前に提出していた報告書類があるようだ。

「いえ、こちらこそ時間をあけていただいてありがとうございます」

 私の言葉に部長は少し表情を変える。

 ……やっぱり生意気に思われていたってことだよね。

 とりあえず挨拶をしたら、お互い座って面談開始だ。

「それで今日はどうしたんだね? 報告は受けていたが、正式に面談をお願いしてくるのは初めてだから驚きはしたが」

「はい、まず最初に」

 そこから私は立ち上がって、きちんと声を張り上げて部長に謝罪する。

「今までの無礼申し訳ありませんでした!」

 部長に向かって腰から上半身を90度曲げる。

 角度的には下げすぎてるから部長の顔は見えないが、とにかく気持ちが伝わってほしい。

 ううう、社会人というか大人という立場が難しく感じてしまう。

 そして体感的には何分もあったように感じるが、

「……まず謝罪をする気になった理由を聞きたいから座り給え」

 あう、その言葉だけでも結構きつく感じるが、それだけの事をしたということになる。

「はい」

 言葉に従って座りなおしてから、とにかく部長の顔にきちんと目を向ける。

 その表情は前に報告した時の表情とは全然違っていて、射貫くような目線で私を見ている。

「それで、どういった経緯があって謝罪に結びついたのかな?」

「はい、情けないことに会社の同僚に教えてもらいました。

 そこで自分の行動を客観的にどうまずいか理解できたからです」

 正直に、誠実に私は話す。

「それであの時の自分の行動がとても自分本位であったことを理解できました。

 ただ……自分は子供の時から地球に行ってみたいという気持ちがあって、あの時その気持ちばかりが先走っていました。

 結果として、あのような行動をしてしまいました。

 それによってご迷惑をおかけしたことを謝罪したいと思ったのです」

 途中、緊張で滑舌がおかしくならないように気を付けながら話していく。

 部長は私の言葉を吟味するかのように、殆ど表情を変えない。

 でも、嫌悪感は今のところ感じられないのだが、返事をしてくれる。

「なるほど。少し成長できたようだ。

 前回の報告では子供のままだと認識していたが、きちんと教えてくれる同僚に感謝だな」

「はい、本当に申し訳ありませんでした」

 座った状態からもう一度頭を下げる。

「ふむ、これなら今後はきちんと話すことも出来そうだね。

 正直なところ、これまでの君の態度では助言も忠告も聞き入れないと判断していた。

 飛び級特有の高慢さもあると考えていて、一度は思い通りにならない現実も体験させておくべきと思って、地球親善大使にした。

 ところが君はあの状況から自分で仕事を生みだして、尚且つ大成功したのは完全に予想外だったよ」

 そこから部長は資料を取り出して語ってくれる。

「それ以降も君の仕事ぶりは目覚ましく、事実ゲーム販売におけることに関しては立派だった」

 あれ? 怒られると思ってたんだけど褒められてる。

「ただ、君の場合は自分が好きなことじゃないと、能力を発揮しないと判断もしているがね」

 うぐ、完全に否定できない。

 ゲームがマルデアにどんどん広がっていくことに楽しさを凄い感じてるし、ガレリーナ社・家族・地球の皆が協力してくれることも嬉しいのだ。

「しかし、これなら上にも少しはいい報告が出来るようになった。

 正直なところ、そろそろ伝える必要があったからね」

「え?」

「地球からの連絡は君宛に届くようにはしていたが、一部の連絡は上だけで止めていたんだよ」

「そうだったんですか!?」

 一部の連絡ってどういうこと?

 確か最初に説明されたとき、全部私に来るようになってたんじゃ?

「……見下している相手だが、一応星間交流になるのだ。

 明らかに問題があるような内容になってないかは確認している。

 当初の予定だと、すぐに無くなる仕事にもなるだろうと思っていたのだがね」

 ……納得。

 小娘が痛い目にあって今後の教訓になるなら、元々交流する気が無かった相手だが一時的に役に立つと判断してたということか。

 その利用に地球を使ったということには、少し反感抱くけど。

 でも、それで地球が気分を害したところで、マルデア側からすればどうにでもなるってことでもあるんだよね。

「とはいえど、内容はある意味見え透いていたのだがね。

 マルデア政府への感謝を伝え、君を派遣してくれたことに対する礼。

 文面的には問題なかったが、やはりマルデア政府からの正式な返事を期待するようだった」

「なるほど」

「無論、この見方は少々悪意のある見方だ。

 素直に受け取れば地球側も誠実な対応をしてくれたと見ることも出来る」

 なんか難しく考えないといけないような感じの言葉だ。

「だがマルデア魔法省としての考えは変わっていない。

 これまで観測してきた事実から鑑みれば、所詮マルデアの文明としての力の差が圧倒的だからこそ、このように低姿勢になっているだけだ」

「そ、それは」

 否定しきれない。

「無いと言い切れるかね?

 最初の通信では明らかに傲慢さが見え隠れしていた。

 地球の代表というアメリカとて、それは勝手に名乗っているだけに過ぎない。

 報告においても、魔石と縮小ボックスによる発展があるからこそ地球側も君を歓待しているのだ。

 それによって君が成長したことは喜ばしいことだが、正式な交流は現状考えてはいない」

 理路整然と部長が語る内容に、私は自信をもって言い返せない。

 少なくとも部長は野蛮という言葉を使わず、地球のこれまでを観測してきた事実から方針を私に伝えているのだから。

「それでも君が思っている以上に上層部は君も地球も評価しているよ。

 確かにガレナ・ミリアムを筆頭に優秀な人材が助けてくれているとはいえ、君の行動力に関しては上層部でさえ戸惑いを見せている」

「へ?」

 なんかさっきから上げて下げてを繰り返されるから、どう反応すればいいかわかんなくなってきた。

「……若さ故にというのもあるだろうが、マルデリタ君。

 君、マルデアで国外交流どころかフェルクルの女王に覚えられているのは理解しているかい?」

「はあ?」

 誕生日以降は会ってないけど、もう日常として自宅のお店にはフェルクル達がいるからなあ。

「実際にフェルクルに商売をしてきたというだけでも驚きなのだが、しかも成功させてきた。

 マルデアにとっては近くて遠い隣人であったフェルクルをだ。

 私もそうだが上層部も神秘対象であったから、正式に交流など考えたことが無かったからだ」

「……」

 そういえば前に話した時も有り得ないという感じできいてもらってたことを思い出す。

「マルデアにおいてフェルクルは、その在り方をそのまま受け入れるという考え方だ。

 歴史上、マルデア人がフェルクルと触れ合うことは日常でも、神秘対象に商売をしようなどと考えたものは滅多にいなかったのだよ」

 い、一応いたということか。

「だが、それでも挑戦した者たちの記録から見れば、すぐに手を引いたり交渉失敗に終わった。

 フェルクル達にとっては、商品や金銭に価値を見出せなかったんだから」

「価値観が違いすぎたということでしょうか?」

「そういうことだな。

 一度は興味を引き出せても、新鮮さが維持できなかったり継続的に欲しいと思われなかったそうだ」

 あ~確かにゲームだと定期的に新しい刺激が提供されるし、次の刺激が欲しくなるように作る前提なところもある。

「そういった視点から考えると、ゲームは中々よく出来ていた。

 適度な難易度・発想・物語として、そして分かりやすさ。

 娯楽文化をあまり重視していなかったマルデアとしては画期的だと考えさせられたよ」

 んんん? なんか部長の話し方だと、

「もしかして遊んでくれているんですか?」

「……子供が……な」

 どう表現していいかわからないような顔になる部長。

「ええっと……購入ありがとうございます?」

 こういう時、今の言葉以外でどう返せば正解なんだろう。

「まあ、それはともかく改めて仕事として指示だが」

「はい!」

 来た。この評価なら大丈夫だよね?

「まず地球親善大使はこれまで通り行ってもらう。

 魔法省側からの行動制限もこれまで通り、輸出入に関しては許可。

 こういった誓約も変更する予定は現時点では無い」

「今まで通りで?」

「ああ、あくまでも地球の娯楽文化を持ってきているだけだから、上層部も危険視していない。

 予想するとしたら民意からの正式な星間交流だろうが、その時はその時で判断予定だ」

 へ!? なんか思った以上に上層部の頭が柔らかくなってない!?

「顔に出ているぞ。

 これだけの社会現象を巻き起こせば、魔法省とて考えさせられるものだ。

 だが、あくまでも可能性のひとつであるし、魔法省が動くということはマルデア全体に影響するということも理解しておきたまえ。

 そんな簡単に魔法省の方針が変わるようなら、マルデアという星はとうに統制を欠いて崩壊している」

 確かに。

 大勢を動かす時に動かす人達がコロコロ意見を変えてしまえば、従っている人達も困ってしまうし、安心して動くことが出来なくなってしまうだろう。

「大きな組織の腰が重くなるのはそういうことだ。

 大きな組織が動けば、それだけ周囲への影響が大きいのだから、一度決めた方針や認識はよほどじゃないと変わらないと覚えておいたほういい」

 その言葉は体験してきた人だからこそであろうが、私としては実感がわかない。

 ガレリーナ社の皆と仕事しているときは、仲間意識のほうが大きいからなあ。

 そんなこんなで私の面談は無事終わらせることが出来るのであった。

 ただ、部長としては私への認識が変化したことで、これまでの業務の仕方を幾つか教えてもらう。

 今まで注意されなかった報告書類の細かな指摘。

 マルデアでの商売においては、私もガレナさんも魔法省所属でもあったから、名義的には魔法省も関わっていると思われているところもあることなど。

 とりあえず、今後も時々は面談をして私自身からの経過報告をするということになるのであった。




傍から見れば動いてないと思われますが、内部だとどう判断すればいいか結構活発な意見交換してたりする。
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