リナの星間貿易異聞録 第二期   作:ayasaki

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投稿自粛すべきか考えてしまいました。


ゲームチェンジ

 マルデリタ嬢とフェルクルを見送った後、私はいつも通りボスの元へ行く。

 新しい輸入品・オゾン層修復への計画。

 そして地球のこれからの未来。

 様々な事で骨を折ることになるだろうが、地球のよき未来に繋がると思えば気分は上向きになっていく。

「ボスお待たせしました」

 そうして部屋に入れば、ボスはボスで真剣な表情でPCに入力をしている。

「ご苦労だったな。

 魔法靴における検証計画を簡単だが纏めておいた。

 具体的な計画はこれからだろうが、魔法靴の検証時はリアルタイムで見れるようにしてほしいとの要望だ」

「了解しました。

 ボスは魔法靴に関してはどう思われましたか?」

 私の言葉にボスはPCへの入力を止めることなく、澱みなく答えてくれる。

「検証次第だろうが、確実に世界中に広がる事だろう。

 魔石・縮小ボックスほどではないが、汎用性が高い事は明白だ。

 だが、直ぐに馴染むとは思えんがな」

 やはりボスも考えは同じなようだ。

「重力に従って育ってきた私達からすれば、高所による恐怖心の克服は時間が必要でしょうね」

「マルデアでは空を飛べるのは日常の一つ。

 だが地球からすればまさしく架空の世界観だ。

 憧れはしていたが、現実で出来るようになっても意識は中々変えられんだろうさ」

 そう言ってのどを潤すべくボスはコーヒーを飲む。

 嚥下してから改めて口を開けば、

「無論、最初は命綱を装着しながらの検証は必須だ。

 魔法靴の効果は大きいが、一歩間違えば投身してしまうこととなる。

 例え使用方法を完全に熟知したとしても、扱い方は石橋を叩いて渡るようにするつもりだ」

「現場の判断は尊重しますが、その時は自己責任で?」

「ああ。悪いがそこまでは容認できんだろうな」

 検証次第とはいえ、完全に信用して扱えば痛い目に合うことは間違いない。

 それは全ての道具に対しても同じなのだから。

「他にもゲーム業界は未来に対して、かなり頭を悩ましていると聞いているが?」

「……人材・名作ゲームの権利などで一喝しました。

 もう二度と来ないような儲け時でありますが、星間貿易に影響を及ぼすほどになるなど言語道断です」

「ゲーム業界ではまさしくゲームチェンジの時代だそうだな」

 ゲームチェンジ。

 それはゲーム業界だけでなく、様々な分野でも似たような言葉で彩られている言葉だ。

 つまりは時代の変化ということ。

 1980年代にテレビゲームという娯楽は産声を上げ、90年代には人々の当たり前の娯楽となる。

 そして00年代においては、ネットが一般に馴染んだことでネットゲームが流行となる。

 10年代以降はスマートフォンが普及したことで、いつでもどこでも誰でも気軽に無料ゲームが出来るようになった。

 20年代になれば、その無料ゲーム自体もレッドオーシャンとなって乱立が激しくなり、また時代の変化が出てくるだろうと予測されていた。

 だがそれはあくまでも緩やかな時代の変化の中でと思われた矢先に、星間貿易によりゲーム業界は突然ともいえるゲームチェンジを余儀なくされた。

 私の予想だが、もし星間貿易が無ければ地球の家庭用ゲーム機はいつしかパソコンに全て置き換わっていくと考える。

 確かにnikkendoのスウィッツは素晴らしい物ではあるし、抱えているゲームソフトも強力だ。

 しかし、最早ゲームというものは家庭用・パソコン双方で販売されるのが当たり前になってきている。

 だが時代が進んだことでゲームを遊ぶための要求性能は跳ね上がっていき、それに伴い家庭用ゲーム機の値段はどんどん上がってきている。

 そうなると最早ゲーム以外にも汎用性が高いパソコンのほうを選んでしまうユーザーも必然的に増加の一途だ。

 またダウンロード販売も当たり前になることで、パッケージで買う意義も減ってきている。

 同時にデータで買えば企業側も利益が大きい部分もあり、顧客情報も入手できるのだからビッグデータの一つとして活用も可能。

 ユーザーにとっても最早ゲームソフトを入れ替えるという作業自体が手間になっていたりもしているのだ。

 そういった事を考えれば、もう家庭用ゲーム機というものは全てパソコンに置き換わるのではないか? と私は予想したわけだ。

 だが、それはあくまでも星間貿易が無い未来線であり、この世界では今後も家庭用ゲーム機は開発されていくことは間違いない。

 マルデアとの星間貿易において、現時点ではパソコン販売など意味がないからだ。

 現代のパソコンの強みは最早誰もが理解している。

 しかし、その強みの一つはインターネットが不可欠だ。

 だがマルデアで地球のインターネット環境など無いのだから、必然的にゲームをするだけでいいのならばゲーム機で成り立つ。

 もしマルデアでインターネット環境というインフラが用意できるとしても、それは何年も必要になる事だろう。

 実際、地球とてインターネット環境が当たり前のように使えるようになるまで、民間・公共事業で複数年は必要だったのだ。

 同時に地球側としてはゲームをデータでなく物質的に用意しなければならない為、様々な産業が関わってくる。

 他にもマルデアとの星間貿易においては、レートを気にする必要はない。

 魔石・縮小ボックス・木の実。そして今回の魔法靴。

 いずれも破格の価値を示しており、地球では決して手に入らない代物。

 そう考えれば一国の利益という考えにはならず、地球全体として考える必要が出てくる。

 また……地球全体の考え方が変わってくることも間違いない。

 それは星系単位の考え方だ。

 まだまだ未来としてだが、火星へのテラフォーミングも地球では視野に入れていた。

 つまり市町村→道州制→国が基本のところに、更に地球か火星か?

 という星系国家というものも、何時しか考えられるようになるだろうと予想されている。

 同時にそうなってしまえば、他の星の住民から見れば、

「アメリカ? 確か地球の一部だっけ?」

 そういう単位で括られれば、国でなく地球の地域になる。

 それにマルデアが地球以外とも星間交流をしているならば、地球もいつかそちらとも交流する可能性は否定できない。

 まあ、この考え方は今の地球では理解されないであろうが、将来的には想定されるのだ。

 実際に未来学・統計学・人口学・経済学など様々な分野の研究者達も突然ぶち込まれたマルデアとの星間交流からの実績データと予測データで混沌になっている。

 ……過去があるからこそ未来はつくられていくのに、良い影響をもたらしてくれてはいてもマルデアとの今後の星間交流は予測としてしか計算できないので、研究者達は色々なパターンを予測しているそうだ。

 それに地球上の各国も、自国の人間から様々な意見を言われてるせいで、もう自国の利益とかに執着してしまえば、未来に乗り遅れるとも理解している。

 企業と宗教団体?

 星間交流に余計なことをすれば、本気で地球の破滅になることをアメリカ政府は骨の髄まで分かっている。

 そこに無責任な狭い了見のままで動こうとするなら、本気で潰しておくしかない。

 この点において、魔石の自白が途轍もない効果を発揮できているのは、己の利益と足を引っ張る事しか考えていない輩は大概犯罪行為をしでかしていることだ。

 本来ならば民衆の間で排他的な考え方をするものはいるだろうが、大概は裏で扇動されているだけに過ぎないのだから。

 本当に心から民衆が求めるものとは、自分達の短期的な安心である。

 それをマルデリタ嬢は意識せずに希望を与えてくれているので、大衆達も受け入れやすいところがあり、政府側も後押ししているのだから。

 忘れてはならない。

 偏向報道や無意識からの情報取捨選択により、国を動かす人物が馬鹿に見えてしまうこともあるし、本当に屑なやつらもいることはいる。

 だが、根本的には国を動かすところまでの権力を手に入れる人間は、正道・外道関係なく能力だけで見れば十分有能な奴らが占めているということを。




読む人によっては今回のお話は賛否両論になる部分もあるかな~とは思います。
でも、あんまり暗いお話書いても楽しくないので、これくらいがお話し的にはちょうどいいと考えてます。

とりあえずバルダーズゲート3が気になるところ。
ニケは黒紅蓮三凸して、モダニア1凸。三凸したいが迷ってます。
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