リナの星間貿易異聞録 第二期   作:ayasaki

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現在は大戦国ランスをお楽しみ中。


ディアボロス配信

Side:ニニア

 

「ニニアちゃん、今回の新作どう思う?」

 ブラームスゲームセンターで待ち合わせたラナが開口一番に聞いてくる。

 しかしニニアからすれば、今回の新作はラナの好みに完全に合わないはずである。

「面白そうとは思ってるよ。でも可愛いという点を求めるのは無理じゃないかなあ」

 事前情報の画像を見る限り、現実感があるので雰囲気は悪くない。

 だが、確かに表現はきついなあとは思ったのだ。

「だよねえ。でも面白そうなんだよねえ……」

 その言葉に少し疑問を抱くニニア。

 前までのラナだとあくまでも可愛いが基準だから、えぐい表現が入るようなゲームは買わないと思ったのだが。

「タクティクスオウグの時でもあんまり興味なかったのに、どうかしたの?」

 取り敢えず素直に疑問に思ったので聞いてみることにするニニア。

「うーん、デザイン勉強してるとさあ。

 どうも似通った内容になっちゃってね。

 家族からは趣味が合わないものでも、一度触れてみたらって教えてもらったんだ」

「趣味が合わないのをわざわざ知ってみなさい?

 それ苦痛じゃないのかな?」

 どういう事だろう。確かに以前はニニアの母も魔法を頑張れと言ってくれてはいたが、それはあくまでも将来の役に立つからこそという前提があるからこそ。

 趣味に合わないものでまで知ってみろというのは違うような気がする。

「新しいものに触れることで、また違ったイメージが湧くこともある。

 若いんだからどんどん受け入れていって想像を膨らませてみるのも大事だって」

「要するに知識を増やせってことかな」

「キモ可愛いは分かるけど、グロ可愛いは……考えられないよー」

 理解できないものを可愛いという子もいるので、偶に可愛いという概念が分からなくなるよねとラナを見て思うニニアであった。

 その後はいつも通り配信までは皆とお喋りをしながら、飲み物を買っておく。

 そうして時間となり配信が始まる。

 

『皆さんお久しぶりです。リナ・マルデリタです』

『サニア・ベーカリーよ』

 相変わらずリナさんはニコニコしてるし、サニアさんは自信満々に見えるなあ。

『今回は新作ソフトのディアボロスを紹介していきますが、その前に注意事項をお伝えさせていただきますね』

『事前のお知らせにも触れたけど、映像的にきつく感じる可能性があるの』

 うん、そこは私も承知している。

 初めて見た時はびっくりしたけど、そういうゲームと思ってしまえば大丈夫になったけどね。

 それにリナさんやサニアさんのこれまでを考えれば信用も出来る。

 私達にゲームを楽しんでもらうために、色んなことを教えてくれていたんだから。

『この世界では天使と悪魔が戦争を延々と続けている。

 そして、そんな中で人間は生きているけど常に死と隣り合わせな世界だから、精神的に結構荒んでいる人がいっぱいいるっていう世界観なの』

 ……つまり天使と悪魔が元凶?

 ここだけ聞くとどっちに対しても好感は抱けないかな。

『まあ、そんな世界観だから敵をぶっ飛ばすのに躊躇する必要はないですけど』

 あ、なるほど。

 ゲーマー達からすれば気分的に倒すことに引っかかるような敵じゃないので、ぶっ飛ばせばぶっ飛ばすほどスカッとするような敵にしてるってことかな。

「バックボーン次第で見た目の印象も変わるっていう手もありか」

 ん? ラナが配信内容からデザインへのヒントにしてるようだ。

「マルデアでもそういうのを題材にした物語とかあったな。

 ここら辺は地球も似たようなもんってこと?」

 一緒に見ている男の子が呟く。

「ま、主人公目線からすればぶっ飛ばす相手が悪いやつであればあるほど、スカッとするし」

「だけどぶっ飛ばすだけってのは、ある意味つまんないぜ?」

 うん、強い相手を倒す方が楽しいかな私も。

 そうしてリナさんとサニアさんがえぐい世界観を語っていくけど、肝心のゲーム映像をまだ見せてくれない。

 何となく想像できるけど、きっちり説明することで見ている私達に覚悟させてるんだなあ。

『さて、世界観を語らせてもらいましたが、そろそろ肝心のゲーム画面をお見せしたいと思います』

『多分気づいてると思うけど、こうやっていつもより長く語らせてもらったのは、ここまでの時点で受け付けにくいと思った人への配慮だったの』

『ガレリーナ社としてはこのゲームは面白いし販売したいと思ったからこそですが、やはり世界観的にきついものがあります』

『だから遊んでは欲しいけど、あくまでも遊ぶ人達には無理をさせる気はないわ』

 こういうところが私はガレリーナ社の好きなところなんだけどなあ。

『なので、これから10秒後にゲーム映像を流しますが、きついと思った方は無理に見ずに消してくださいね』

 そうリナさんは言って、画面が切り替わっていく。

 実際ここで一緒に見ている皆の間でも席を立つ人はいない。

 そうして待っている間の時間が過ぎた時、映像が流れ出す。

「うわああ、なるほどね」

 そこに見える映像はとても実写的で、現実感が凄く感じられてしまう。

 しかも映し出される敵にはとてもグロテスクで生々しさを演出していてるのだ。

 敵を倒した時も暫くの間は出血や死体が表示されたままだったりする。

 それどころか、その死体を活用するような動きも表現されていく。

「事前の画像よりきっついなこれ」

「ごめん、予想以上だったから私離れるね」

 恐怖感も感じられることで、離れていく仲間もいる。

「俺はこういうの好きだわ」

 中には現実感が感じられるのが好きな仲間もいる。

 なんだろう?

 虫や動物を見るレンズで拡大したら、より具体的に細部を認識することが出来たことで直視できなくなるのとはまた違った感じだ。

「映画や小説でも似たようなのあるから、それに近いと思うけど」

「そういうのは好みに合わなかったら見ないよ」

 私もちょっときつく感じる部分もあるけど、まだ映像段階だから操作してるところが気になる。

 そこから戦闘画面に移行していくと、

「わーお、俺こういう戦闘大好き!」

 戦闘をする主人公らしきプレイヤーの周囲に、無数に群がってくる魔物達。

 どうやって倒すのかを見れば、魔法を使用するようだが、その演出はとても派手。

 雷・火・氷などの魔法を駆使して、画面中に広がっていく。

 かと思えば別のキャラだと邪悪で背徳的な呪術を駆使するキャラ。

 または獣に変身? まさしく己が魔物になったかのように暴れまくるキャラ。

 他にもドワフ人みたいに強力な武器を振り回すことで大暴れするキャラ。

 まさしく縦横無尽に戦場を駆け巡り、プレイする人に爽快感を思いっきり感じさせてくれるようなゲームだと思わせてくれるのだ。

 これは正しく今までのゲームには無かった楽しさがあるね。

 シューティングゲームであった全ての敵を殲滅する爽快感とは全然違うけど、自由な戦い方があるようだ。

「あの音なんだろう?」

 戦闘中、時々分かりやすく響き渡る演出音と共に光るドロップ品。

 明らかにレアアイテムが出たような感じだけど、何個も出てくるからそこまでレア度高くないのかな?

『ちなみにこのゲームではレアアイテムの価値は自分で決めるようなものでもあります』

『同じ職でもそのキャラをどう育成するかはプレイヤー次第。だから同じ性能のアイテムが出たとしても、レアの価値は貴方が決めるようなもの』

『例えば、火力を重視する人だと威力を高める装備が欲しいでしょう』

『もしくは攻撃の回転率を重視する人なら、クールダウン重視の装備に価値を見出すでしょうね』

 リナさんが拾ったアイテムの性能を見せてくれるけど、なんかいっぱい性能がついててよく分からない。

『実はこのゲームだと殆どの装備に付属する性能はランダムなんです』

「うわあ、性能突き詰めるの大変そうだなこりゃ」

 あ、想像できた子がぼやくけど、なんか表情は楽しそう。

『ある意味、自分がやりたい事に対して思う存分弄り倒せるけどね』

 言ってるサニアさんは早速厳選するかのように装備を確認していくのだ。

 うん、この時点で私は理解した。これやり込む人向けのゲームだと。

 同時にキャラ育成と装備厳選で時間があっという間に無くなるゲームだ!

『ちなみにお互いスウィッツを持ち寄れば最大4人まで協力プレイも可能です』

 ……皆で遊べばグロテスクな気分も薄れて楽しめるのも狙ってないかな?

 それも狙ってるなら、やっぱりガレリーナ社って賢い人たちが揃ってるんだろうなあと実感する私であった。

「マスター! 予約お願い!」

 あ、男の子の一人が早速お願いしてる。

「俺もよろしく。DOOOOOMとは違うけど、やっとこういうエグイの遊べる。今後もこういうの増やしてもらわないとな」

 やはりこういう世界観望んでいた人もいたかあ。

「……頑張ってみるかなあ。でもどうしようかなあ」

「無理しないほうがいいよラナ」

 ラナが前向きに頑張ろうとするけど、それで嫌な記憶になっては元も子もないし。

「ありがと、取り敢えず発売後にもう一度考えてみる」

 そんなこんなで配信後に皆で思いっきり盛り上がって予約殺到とまではいかなかったが、発売後のマルデアでの反応が気になる終わりになるのだが、

『そしてもう一つお知らせすることがあります』

 配信の終わりかけにリナさんが語りだす。

『これまで皆さんのご愛顧にガレリーナ社はとても感謝しております。

 そして末の日イベントでも大勢の方が来ていただきましたが、やはり末の日以外でも開催してほしいという要望がありました。

 ガレリーナ社としてもこの嬉しい要望にお応えしたいと思っておりましたが、実行までに様々な事を考える必要がありました』

 え!? 何この語り方。

 もしかして!?

『ですが漸く実施できることとなりましたのでお伝えさせていただきます。

 8月後半にガレリーナ社は夏イベントを開催いたします!』

「うおっしゃあーーーーーー! 今回は参加だー!」

「年末は予定無理だったから嬉しー!」

「ほ、補修受けてる場合じゃねえ!?」

 あ、末の日だと行きたくても行けなかったメンバーが早速参加を決めている。

 しかし、末の日にラナと一緒に2回とも参加した私達も、

「……予定あけておこうかニニアちゃん」

「だねラナ」

 受験生だけど即座に予定に組み込む。

 勉強はちゃんとしているから、一日くらいなら何とかするのがゲーマーだよ。

『ただ、夏イベント開催の為に人手が欲しいため短期バイトも募集する予定です。

 後日ホームページに掲載しますので、もしバイトしてもいいかたは応募よろしくお願いします』

「え!? バイトも!?」

 ちょっと待って!?

 短期バイトならやってみたいと考えてたけど、このタイミング!?

 どうしよう、参加者としても楽しみたいけど、バイトしておけば将来的には私はガレリーナ社に就職したいから有利に働くかもしれない。

 そういう計算は少し思いついてしまうけど、やっぱり純粋にガレリーナ社にはいつも楽しませてもらってるので、その力になりたいっていうのもあるんだ。

「……どうしよう」

「ニニアちゃん、もしかしてバイトで参加したい?」

「……正直そっちの方に心惹かれてる」

「そっか。普段からニニアちゃんの気持ちは聞いてるから、バイトのほうに行くなら応援するよ」

 ラナは私の気持ちを知っているので理解してくれる。

「でも、まずは夏イベント情報確認してからってことにしよう」

「確かにそうだね」

 こうして、私は受験生でありながらも、勉強以外で忙しくなる予定が出来るのであった。

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