原初の竜でも友達が欲しい   作:伊つき

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スズネリア救出部隊

18階層から帰ってきた彼らは、数日の休暇のあと、ヤマト・命をパーティに加えてダンジョン中層へ潜った。

そして、ベルの一声で打ち上げは中止となり、教会で集まった。

リーダーであるベルは、自身の意志を口にする。

 

「神様、ヴェルフ、リリ、命さん。僕やっぱり……スズネリアを取り戻したい」

「ベル君……」

「ベル様……」

 

彼らの中心、ベルの言葉に仲間一同はその名を呟き、顔を見合わせる。

そして、ヘスティアとリリは力強く頷く。

ヴェルフと命は困り顔で眉を下げてるが、2人の気持ちは硬い。

 

「ベル君。僕は1度受け入れたが。君がそう言うなら、僕は止めはしない」

「神様……ありがとうございます」

 

頭を下げるベル。

しかし、問題がある。

 

「ベル君。君の想いは尊重する。けれど、【グウィネヴィア・ファミリア】は本当に恐ろしい集団だ」

 

そう語るヘスティアは紡ぐ。

彼はただ都市最強というだけではない。

グウィネヴィアと直接話した僕にはわかる、と。

彼らは異常だと。

特にルシア・マリーン。

彼女はグウィネヴィアやヴィヴィアンの直接的な部下じゃない。

もしかしたら別の神との関わりもあるかもしれないのだと。

 

「僕は彼女が1番恐ろしいよ。ベル君、くれぐれも気をつけてくれ」

「ルシア……マリーン……っ!」

 

ベルが今度ばかりは息を飲む。

だって、その名を知らない者はいない。

 

「現都市No.1。最高ランク、Lv.8相当に至った半怪物(モンスターハーフ)。スキルや魔法も、冒険者としても特別。リリでも知っています」

「……【花の魔術師(メイガース)】。そして、最強の斬撃竜。間違いなく今のベル君では適わない。それどころか都市中の誰も……」

 

ヘスティアは俯く。

やはり行かせるべきではないだろうか。

 

「でも……今回はスズを連れ戻すだけ。それにスズが言ってました。ルシアって人は悪い人じゃないって。話だって通じるかもしれません」

「……なるほど。そうだね。何も戦うと決まったわけじゃない。けど、君の要望に彼女が折れなかったら、絶対に戦わず諦めて帰ってくるんだ。それだけは約束してくれ。彼女とは戦ってはいけない」

 

念押するヘスティア。

彼らがスズネリアを連れていった時の強引さを考えるに、素直にこちらの要望を聞くわけがない。

無理やり彼を奪おうとすると、戦いは避けられないはず。

それでもルシア・マリーンが出てきたら絶対に諦めた方がいい。

彼女だけは次元が違う。

相手にならないとかそんなレベルですらない。

もはや生物として別物だ。

象が蟻の相手をマトモにするか?

否、しない。

 

「絶対だよ、ベル君」

「わ、わかりました……」

 

3度目の念押し。

それでやっとベルは渋々頷いた。

そんな彼は荷物を纏める。

 

「とにかく行ってきます!ここで留まってるだけなんて、僕にはできません」

「おい、待て。一人で行く気か?そりゃちょっと無謀だろ」

「で、でも……これはファミリアの問題だし」

 

ベルは俯く。

確かにベルとスズネリアは同じ【ヘスティア・ファミリア】。

同じ派閥の彼が団員を取り戻しに行く道理はある。

ヴェルフ達は他派閥だから義理はない。

だが、彼らは薄情でもない。

 

「おいおい、そりゃないぜベル。確かに俺はスズ坊と関わりは少なかったが、お前には恩がある。お前が奴を助けたいなら協力するさ」

「リリはベル様と同じくらいの時間をスズネリア様と過ごしてきました。もちろんリリも助けに行きます」

「ベル殿達には借りがあります。その贖罪の1つとして、お供します!」

「皆……」

 

3人もついて行くと乗り気。

想いは同じだと頷く。

ベルも……頷き返した。

 

「行こう!皆!」

『おう……!』

 

パーティの意見は纏まった。

一致団結し、恐ろしい城を目指す方針を掲げる。

 

「じゃあ、神様。……行ってきます」

「あぁ。気を付けるんだよ。それと、【これ】をスズネリア君に返しておいてくれ」

 

ヘスティアはベルに、白が基調で透明のラインが入ったゴツイ剣を手渡す。

その剣は、見覚えしか無かった。

ベルは受け取ってすぐ目を見開く。

 

「これって……!」

「スズネリア様の魔道具(マジック・アイテム)、【叛逆の聖剣(クラレンター)】!?なぜヘスティア様が……」

「……スズネリア君が置いていったんだ。自分はもう使わないから、ベル君の役に立ててくれって」

「……っ!スズ……そんな……!」

 

ベルは眉を下げて剣を見下ろす。

そして、その柄を握る手に力を込める。

彼は強い想いを持って、その剣を自身の身を寄せて抱える。

その後、背中に装備して彼はナイフも腰にあると確認する。

 

「……行ってきます。神様」

「……あぁ。スズネリア君によろしくね」

「はい!」

 

ベルは元気よく、そして強く頷いて、城を目指す。

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