原初の竜でも友達が欲しい   作:伊つき

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円卓十番勝負:二番目ラン・トーリスタ

 

「スズ!スズ……!どこにいるの!?」

 

上の階に上がり、叫ぶベル。

そこに。

 

「侵入。乱入。死刑確定」

「……っ!」

「またですか!」

 

2階の広間に出たと思ったらシャングリラの上で猫のように屈み、飛び降りる騎士。

赤い短髪の騎士。

中途半端な長さの剣を抜き、ベル達の前に立ち塞がる。

ベルと命も構えた。

 

「不法。侵入」

「か、勝手に入ったのはごめんなさい。でも、どうにかスズに会わせてくれませんか!お願いします!」

「断固。拒否。奴は無能。お払い箱。戦線離脱、永久に」

「……!」

 

またしても友が糾弾される。

それも、本来仲間である者達の口から信じられない程に出てくる。

ベルと命は歯を食いしばり、通せんぼをする猫人の前で表情を歪める。

 

「どうして仲間をそこまで貶せるのですか!貴方達は!」

「スズはどこですか!教えてください!」

「回答。拒否。奴が二度と日の目を見ることなし。パーティに戻して冒険などさせない」

 

立ち上がる猫人。

その名はラン・トーリスタ。

彼は既に戦闘態勢。

ベルと命がその意思を察知する。

 

「【吟遊の騎士(トリスタン)】、ラン・トーリスタ……!元【ミアハ・ファミリア】!聞いたことがあります!」

「ミアハ様の……!?」

「そのランクは―――改修してからランクアップ、Lv.3です!」

「よくご存知で。にゃーにゃー。ヒールヒール」

 

回復薬を作るジェスチャーを見せるラン。

彼は没落する前の【ミアハ・ファミリア】にいた。

あの頃のファミリアは中堅だった。

しかし、団長が腕を失い、団員がダンジョンで大量に死に、彷徨い迷い込んだ先に円卓の導きがあったのだ。

 

「ナァーザさんの仲間がなんでこんなこと……!」

「関係ない。昔の話」

 

最初から対話を放棄し、戦う気満々のランにベルはナイフを抜いて構える。

それに、彼らが口を揃えてスズネリアを貶す意味もわからない。

 

「戦いに来たんじゃないんです!スズを返してください!」

「否否。あやつ、まだガキンチョ、チョキンチョ。人様に迷惑かける前に止めるのも俺達の責任ニンニン」

 

断固として応じないラン。

聞く耳持たないのも、侵入するならば叩き潰すという姿勢(スタンス)も先程の老エルフとなんら変わらない。

やはり彼らは話が通じない……!

 

「終話。これ以上、議論は無駄。侵入者、ぶった斬る。許可あり」

「クソ……!なんで……!」

 

地を蹴るランにベルは仕方なく戦闘に入る。

しかも、速い……!

 

「ぐあっ……!?」

「ベル殿!」

「ベル様!」

 

一瞬で肉薄されて斬り飛ばされたベル。

ナイフで防いだが、壁に背中を強く打った。

何より驚いたのは相手のその敏捷だ。

 

「超速。高速。本番ここから」

「速い……!」

 

ランがまた肉薄し、剣を振るう。

それをなんとか捌くベル。

だが、限界がある。

ランの斬撃は速すぎる。

防いでるつもりでも、捌いているつもりでも、ベルの身体に傷は増えていく。

唯一の救いは、彼の攻撃が"軽い"ことだ。

 

「……っ!【ファイアボルト】!!」

「回避。回避」

 

接近戦から解放されるべくベルが零距離射撃で放った速射魔法ですら、彼はその敏捷で後退し、爆炎に包まれることを回避した。

単純な速度だけではない。

反射神経も半端ない。

ベルは顔を顰める。

 

「くっ……!」

 

またナイフを構えるベル。

今までベルは数多くの格上と渡り合ってきた。

だが、それは得意の敏捷だけは張り合えるという前提がデカかった。

なのに今回の相手は敏捷得意(スピードタイプ)

まさに相性最悪(アンチ・メタ)

他のステイタスで適わうわけもない。

その上で得意すら差をつけられている。

ベルにとって、最も敵わない性質の格上だ。

 

「【ファイアボルト】!!」

「無駄。無駄」

「ぐあっ!?」

 

ベルは攻め込んでナイフを振るい、相手が避けたところに魔法を打ち込もうとしたが、やはり至近距離でも顔を傾けるだけで避けられてしまう。

そして、5回は突かれたあと、また斬り飛ばされる。

今度は転がった。

すぐに体勢を立て直し、片膝をつきながらナイフを構える。

 

「接近戦が得意な人じゃない!遊撃タイプ……!」

「ベル殿!ここは自分とリリ殿にお任せ下さい!」

「命さん……!でも……!」

「自分はステイタス以外にも特技があります!それを合わせれば多少は時間を稼げるはず。なのでお早く……!」

 

ベルの前に躍り出る命。

その後ろにはリリルカが。

2人はランの前に立ちはだかる。

 

「むっ。何奴。邪魔奴」

「貴方の相手は我々です!」

「ベル様!お早く……!」

「2人とも……ごめん!」

 

ベルは上の階に行く。

命とリリルカはそれを一瞥して見送った。

 

「自分達とお付き合い願います!」

「ここから先へは行かせません!」

「悲報。最悪。お叱り確定……」

 

ランは、腰を折り、剣を低く構える。

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