原初の竜でも友達が欲しい   作:伊つき

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未練がましい女

 

「タレイアだと?」

 

都市の外にて、グウィネヴィアから報告を受けたヴィヴィアンは顔を顰める。

嫌いな名前だ。

 

「あの陰キャ、まだ息の根があるのか」

「驚きですわよね。まさかLv.12に殴り飛ばされて生きてるなんて……」

「ハッ。まあ大体カラクリはわかるがな。それよりも本当に奴が動いてるのか?」

 

ヴィヴィアンが尋ねると、グウィネヴィアは渋い顔をする。

 

「た、多分?」

「相変わらずのクオリティだな」

 

ヴィヴィアンは呆れる。

とはいえ、グウィネヴィアによると【フレイヤ・ファミリア】が壊滅し、【ロキ・ファミリア】も倒されたらしい。

ついでにLv.6になった【疾風】有する【アストレア・ファミリア】も。

そんなことができるのは【グウィネヴィア・ファミリア】と【ヴィヴィアン・ファミリア】だけだ。

だが、どっちにも覚えがない。

……と、なると、グウィネヴィアの予測もわからんでもない。

 

「まあ、奴ならコソコソ虫みてぇに生きてちゃっかり戦力整えて盤面をひっくり返すのも印象(イメージ)は合う」

「でも、彼女ってフレイヤやロキにちょっかい出すようなタイプでしたの?」

「大方フレイヤが要らねえことしたんだろ。ロキとアストレアは巻き添えだな」

 

その辺の神の性格は大体網羅している。

何より、宿敵タレイアの考えそうなことはわかる。

ヴィヴィアンの予想が当たってるのは、本人も知るところにない。

 

「どうなさいますの?このまま放っておきますの?」

「勘違いすんな。都市を救う義理はねえ。正義の味方になったつもりはねえ」

 

タレイアに潰されようが知ったこっちゃない。

それで都市が機能を失い、大穴が自由になってもそれも知らない。

けど、タレイアというのが気に入らない。

 

「なぁ。あいつ……未練がましい女に見えるか?」

「見えますわね」

「だよなぁ」

 

ヴィヴィアンは怠そうに頭をかいて項垂れる。

まあ、十中八九彼女が自身唯一の眷属を諦めるとは思えない。

厳密に言えばその眷属を用いた計画だが。

 

「あいつの作文みてぇな論文に初めて目を通した時は、思わずぶん殴ろうかと思ったぜ。それも、Lv.12をご丁寧に完成までさせてやがったからな」

「彼はワタクシ達の手の中ですわ。そう簡単には奪えません」

「どうだかな。奴が算段もなしに動くとは思えねえが。まあいい」

 

ヴィヴィアンは立ち上がる。

やるしかないだろう。

 

「どの道あいつが計画を始動させるつもりなら黒竜討伐の邪魔だ。こっちの【神殺し】を奪おうとしてんだからな」

「では……」

「あぁ。仕方ねえ。都市の奴らに力を貸してやるか。タレイアを潰す」

 

タレイアが決心して遠くを睨む。

グウィネヴィアは安堵した。

やはりヴィヴィアンは正義(こっち)の方がかっこいい。

 

「あ?んだよ」

「い、いえ。なんでもありませんわ」

 

グウィネヴィアに見つめられて、不快に思ったヴィヴィアンがガンをつける。

そして、彼女は突然気づいた。

 

「……なぁ。なんかおかしくねえか?」

「はい?何がですの?」

「いや。ルシアのやつ、迷宮攻略の為に私達に近付いてきたよな。だが、都市にはタレイアがいる。あいつの絶対存在(アブソリュート・デア)にはルシアって絶好の獲物だよな?」

「へ?……あっ!」

 

グウィネヴィアも気づいた。

やはりおかしい。

タレイアがルシアに接触してないわけがない。

それに、ルシアがヴィヴィアン達に交渉してきた時に、リョーカに期待し過ぎだと釘を刺したのに彼女はどこか問題なさそうだった。

おかしい。

まるで、他にも後ろ盾の保険があるような余裕だ。

あの時も感じた違和感だが、タレイアのことを認知してなかったからそのまま受けいれた。

だが、今は違う。

 

「いくらタレイアでも、フレイヤもロキも潰す駒をそう簡単に揃えられるわけがねえ。あいつなら護身の駒は動かさない。んでフレイヤとロキの時じゃやり口が違う」

「つまり、少なくとも駒は3人いる。と、いうことですの?」

「そういうことだな。それ全部がLv.8相当以上だとして……そんなもんゴロゴロいると思うか?どっから輸入してこねえと確保できねえだろ」

 

ヴィヴィアンは確信を持っている。

間違いない。

ルシアは懐柔されている。

 

「逆だ。タレイアと話をつけてから、テメェに接触してきたんだ。あいつは。タレイアは絶対存在(アブソリュート・デア)を使って迷宮完全攻略をする代わりにルシアを手に入れた」

「えっ。っていうことはルシアは利用されて……」

「ま、気づいてねえし言ってねえだろうな。大方計画の9割は開示して1番大事なところは伏せたんだろう。奴がやりそうな手口だぜ」

 

ヴィヴィアンは爪を噛む。

大体見えてきた。

気に食わねえ。

気づかないところで奴がそこまで好き放題をしていたとは。

だが、逆に楽しくなってきた。

 

「おいおい、グウィネヴィア。楽しいショーの始まりだぜ。あいつの邪魔して、阿鼻叫喚してるところ指さして笑ってやろうぜ」

「えぇ……」

 

悪い笑みを浮かべるヴィヴィアンに、グウィネヴィアが微妙な顔をする。

そして、ヴィヴィアンはロキに交渉しにいくことにした。

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