原初の竜でも友達が欲しい   作:伊つき

152 / 154
【ロキ・ファミリア】

 

オラリオに着いた【タレイア・ファミリア】は、ギルドでの申請を済ませて都市の派閥となり、すぐに階層主・ゴライアスに挑んだ。

しかし、結果は。

 

「かはっ……!?」

 

『オオオオオオォォォォーーーー!!』

 

大敗北。

やはり無謀な戦いだった。

レンは地面に叩きつけられ、ゴライアスは勝利の雄叫びを響かせる。

それでも彼は立ち上がろうとした。

 

「……っぁ!ま、まだ……!」

 

神になりたい。

タレイアに植え付けられたその天望は育てられ、肥大化していた。

その欲求は狂気となり、植え付けた天望を本心と勘違いしながら命を懸けてしまっている。

それでもタレイアは微塵も悪いとは感じない。

何も無い無価値な人間である彼をたった1人消費させるくらいでバチが当たるとは思えない。

どうせ沢山いるんだ。

1人くらいいいだろう。

 

「まだ……だ……!」

 

レンはふらつきながら武器を支えに立ち上がり、片足を引きずりながら前へ進む。

 

「【ウィン・フィンブルヴェトル】!」

「……っ!」

 

瞼が腫れて狭くなった視界に豪雪が舞い散る。

ゴライアスは凍結し、レンは慌てて振り返った。

すると、そこには道化師の紋章。

6人の冒険者がいた。

 

「無事かい!?」

「一人でゴライアスに挑むとは、無茶しおるわい……!」

「ノアール!バーラ!彼を頼む!」

「な、なんだお前たち」

 

アマゾネスとヒューマンがレンに駆け寄った。

レンは顔を顰める。

余計な邪魔だ。

そして、先頭を走る小人族とドワーフ、エルフを見る。

そのエルフを目撃した時―――レンの中で衝撃が走った。

目を奪われ、瞠目する。

 

「……綺麗だ」

「なに?」

 

先程魔法で守ってくれたエルフに、レンは気付かずに声をかけていた。

そのエルフは、レンを見る。

そして、彼女もレンの眼差しに晒されているのを確認し、その目を大きく見開いた。

それは……彼女にとっても、運命の出会い

 

 

を感じた訳ではなく、彼女は思い切り落ちてる剣の柄で彼の仮面を殴打した。

 

 

 

「ぐあっ!?は!?」

「汚らしい目でこの私を見るな!俗物め!!」

「あー……遅かったか」

「やってしもうたな」

 

小人族のフィンと、ドワーフのガレスがゴライアスを処理して戻ってきた頃にはもう手遅れ。

プライドの高いハイエルフ、リヴェリアにより邪な目線を向けてしまったレンは気絶させられてしまった。

 

 

 

 

 

数時間後、起きるとレンは顔面の痛みを訴える。

 

「痛ぇ……なんて気が強い女だ……」

「申し訳ない。彼女は王族のエルフなんだ。人一倍厳しくてね」

 

ゴライアス討伐後、18階層でレンの手当をした【ロキ・ファミリア】。

謝るのは団長のフィン。

レンは1番レンと距離を取っているリヴェリアを一瞥した。

やはり彼女の美貌は凄まじい。

また眉間にシワを寄せられたのですぐに目を逸らす。

 

「タレイアに聞いたことがある。ハイエルフって奴か。初めて会ったな」

「タレイア……それが君の女神の名かい?」

「あぁ」

 

レンは頷く。

フィンは少し考える。

このオラリオにいて、聞いた事のない女神だったからだ。

帰ったらロキに相談しようと決めた。

 

「それにしても無茶しよる」

「そうだよ。ゴライアスに1人で挑むなんて」

「そうだね。聞いてもいいかな?なぜそんなことをしたのか」

「……それは」

 

ノアール、バーラ、フィンに囲まれ見下ろされ、尋ねられてレンは言い淀む。

正直に言っていいものか悩んだが、誤魔化すのも苦手だ。

 

「か、神になる為だ」

『……!?』

 

当然、6人全員が瞠目する。

そっぽを向いていたリヴェリアですら2度見した。

 

「えっと。どういう意味かな?それは」

「そのままの意味だ。俺はLv.12になって、神化する。タレイアと約束したんだ」

「女神……タレイア、か」

 

フィンが目元をピクリと動かす。

しかも親指が疼く。

そのタレイアという女神は……名前を聞いただけでなんとなく嫌な予感がする。

 

「とにかく、もう無茶をするでない。死んでしまうぞ」

「死んでも構わない!!」

『……っ!!』

 

レンがノアールの手を払って、叫ぶ。

彼のその気迫は狂気だった。

全員が彼の様子がおかしいことに気づく。

彼は、神化に異様に拘っている。

そして、その為なら自分の命も厭わない。

 

―――狂っている。

 

「もう……ほっといてくれ。俺は、誰とも関わりたくないんだ」

 

そのくせエルフに魅了される矛盾。

気付かずにレンはフラフラと歩き出して立ち去る。

【ロキ・ファミリア】はそんな彼の背中を見送ることしかできなかった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。