「まさか闇派閥の作戦が失敗に終わるとは、冒険者達も存外やるなぁ~」
そう言ってあぐらをかくのは神エレボス。
ルシア・マリーンの作戦により撃鉄装置による信者爆発は無効となった。
「だが、幸い都市の包囲網は機能している。冒険者達の補給は絶たれ、市民は足枷となっている。この状況から上手くリカバリー出来れば―――」
「そいつはぁ、無理な話だな」
「なっ……!?」
市壁の中にいたエレボスは自身を言葉を遮る存在に驚き、背後にいた彼女を見る。
背丈は小さい、だが態度はデカイ。
1人の女神。
エレボスは……いや、彼女を知らない神は存在しない!
だって、警戒すべき神ぶっちきり上位だ!!
なぜなら、
「よぉ。エレボス。久しぶりに顔拝んだらテメェ、昔陰気なのが嘘みてぇに景気のいい顔してるじゃねえか」
「ヴィ、ヴィヴィアン!?なぜここに、いやなぜ下界に降りたんだ!君は下界に興味がなかったはずじゃ」
「っァ~~~。ぁぁ……ぎゃあぎゃあうるせえな。これだから『
ヴィヴィアンは首を鳴らして立ち上がる。
何やら物を噛み続けて、エレボスを睨みあげる。
「テメェが
「―――は?」
ヴィヴィアンが告げ、エレボスが呆気にとられているその次の瞬間。
エレボスの元に1人の構成員が慌てて駆け込んできた。
「た、大変ですエレボス様!と、都市の包囲網が……!」
「なっ……まさか!?」
その報告を受けて瞠目したエレボス。
顔を上げて心当たりのある顔を見ると、彼女は「ハッ」と小馬鹿にしたように嘲笑した顔を見せてきた。
マズイ、彼女は―――『本物の悪』だ!!
「うわああ!?なんだお前ら!」
「こいつら、どこの派閥のやつらだ!?」
「急にこんなに冒険者が……!あ、ありえない!」
「【ガネーシャ・ファミリア】くらいいるぞ!」
「凄まじい数だ!一体どこから!?」
都市中から闇派閥の悲鳴が響く。
それは突然の出来事だった。
フィン・ディムナが率いる都市の冒険者達もいきなり状況が好転し、驚いている。
だが、頭である彼は回転が早い。
即座にそれを利用する動きに出た。
そんな様子も、女神ヴィヴィアンは見下ろす。
エレボスに嘲笑を飛ばすと、彼女はゆっくりと歩き始めて市壁の中からぐるっと都市を回ることにした。
彼女の眷属である忍者が途中で迎えに来て、都市の中心に行くつもりだ。
それまでの間、彼女は都市を見下ろし、徘徊し、『悪』の視点を体現する。
やがて、彼女は忍者の眷属・御門に連れられて都市の中央、ギルドの管制室を乗っ取った。
彼女は声明する。
それは、都市全体に響き渡る!
『あぁ~……っぁ~。オラリオに告ぐ。我が名は女神ヴィヴィアン。
今から盤面全てをぶっ潰す。なぜかって?テメェら全員邪魔だからだ。
目的はオラリオの全ての勢力を抑圧すること。
神の糞共は私の名を聞いた時点で小便散らしてるとは思うが、そうじゃねえ神はこれから順番に分からせる。
抵抗してもいいが、私の恩恵を受けた駒を全員連れてきた。大した駒はいねえが、数だけは立派だ。なんせ世界で2番目に多いからな。
やろうと思えばテメェらは勝てるだろうが、一体何年かかるだろうな?
やるなら付き合うぜ?
やる気のねえ賢者は歓迎する。いつでも降伏どうぞ。
あ、あと邪魔だからついでに闇派閥も潰す。
以上だ。
お前らができることは、突然現れた災害級の理不尽に屈して潰させるだけだってことを念頭に置いとくんだな。
諸君らの懸命な判断を切に願う。
じゃ』
そこで放送は切れた。
ヴィヴィアンの声が消えると共に、騒音が消え、闇派閥の悲鳴だけが残る。